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不動産市場で注目されている「新しい投資対象」とは?

2019.04.11

不動産投資といえば、従来はマンションやアパート等の一棟収益物件を所有するのが一般的だった。しかし最近は、貸倉庫やトランクルーム等のセルフストレージや学生のための寮、保育園等の教育施設、高齢者のための介護施設等にも投資の関心が向かっている。物件によってはマンションやアパート以上の利回りが期待できる案件も出てきている。
その理由には、日本の人口減というすでに表面化しつつある現実があり、従来型のマンション、アパート経営だけではなく、別の投資先も模索するという金融の分散投資の考え方が出てきたことも見逃せない。ここでは、学生寮への投資をピックアップして、その現状を紹介していこう。

(画像=Tim Large_Shutterstock.com)

学生寮ビジネスが注目されている背景

学生寮が投資対象として注目される理由の一つに、日本の大学進学率の上昇が挙げられる。日本の18歳人口は1992年の204.9万人をピークに2015年は119.5万人にまで減少してきているが、大学進学者数は54.2万人から61.8万人と寧ろ増加しているのだ。その他にも、学生寮は入居と退去の時期が年度の変わり目に集中しているため先々の計画が立てやすい点や、大学への学生寮の一括賃貸を働きかけるなど入居者の募集をしやすく空室リスクを低く保ちやすい点も投資対象として注目されている要因だ。そして契約については、学生の保護者と結ぶケースが多いため家賃回収もしやすく、滞納リスクが低い点もメリットと言えるだろう。

政府の後押しで留学生の学生寮需要が伸びる期待が高まる

一般に学生寮と聞くと、日本人大学生のための寮を真っ先に思い浮かべる方が多いかもしれないが、最近では留学生向けの寮もその対象となる。そして、留学生向け学生寮の今後の需要増加に期待が掛かっている。政府が2008年に掲げた、2020年を目途に30万人の留学生受入れを目指す「留学生30万人計画」が、学生寮ビジネスの市場環境の安定化に寄与することが見込まれている。

では、近年の留学生の推移はどのような状況なのだろうか。独立行政法人日本学生支援機構が発表している2017年5月の調査では、外国人留学生全体の数は267,042名(対前年比27,755名・11.6%増)と高い伸びを示している。学生寮ビジネス分野については、底堅い需要が見込める可能性が高い。

また、安倍政権は2018年6月15日に決定された「骨太の方針」(「経済財政運営と改革の基本方針2018」)に、単純労働(在留資格名は「特定技能」)に従事する外国人労働者を受け入れる政策を盛り込んだ。この制度は、言うまでもなく今後絶対数が不足する労働力を補うことが目的である。その予備軍として、海外からの学生を受け入れているという側面もあるのかもしれない。

海外における学生寮の実例 ハイスペックな学生寮が定着

今までの学生寮というと、最近も話題になった京都大学・吉田寮のような、歴史はあるものの居住快適性には十分とは言えないイメージがある。しかし、海外ではハイスペックな学生寮が定着しており、FINANCIAL TIMES紙は学生寮投資の急速な拡大と確実性を評価し、低金利下における新たな投資対象として世界の投資家が評価していることを報じている。設備面では寮内のWi-Fi環境が完備され、国内外の学生が交流するホールなどが併設されているのが当たり前になってきている。

今後、日本でもカフェやラウンジ、テラスがあり、さらには最低限必要な図書などが完備された学生寮の増大を待ちわびている学生が多いのではないだろうか。学生寮は不動産投資の観点から、空室リスクが低く、さらには大学や専門学校への一括賃貸が期待できるなど安定収益が見込まれるため、投資対象として注目してみてはいかがだろうか。