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ワークスタイルの多様化を支えるオフィスの「通信環境」、基本をチェック

2019.03.08

快適なオフィスに欠かせない要素のひとつである、「通信環境」。かつては、デスクトップPCを有線LANでつなぐだけで事足りたが、いまはノートPCを従業員に貸与し、自席だけではなく会議や打ち合わせに帯同したり、タブレットを用いたりすることが当たり前になってきた。フリーアドレスのオフィスも増えていて、これらの固定席ではない作業環境をストレスなく実現するために、PCアクセスのインフラ整備は必要不可欠だ。
また、近年は「働き方改革」の一環として、オフィスに出社しないで、自宅やサテライトオフィスといった、会社から離れた場所で業務に就く「リモートワーク」も推進されているが、これに当たり「VPN(Virtual Private Network=仮想専用線)」は、情報を安全にやり取りできる技術として注目を集めている。ここでは、そんなオフィスにまつわる“いま知っておきたい”通信環境の基本を押さえ、ビジネスをより良く遂行するためのヒントをお伝えしよう。

(写真=Wireless communication network concept. IoT(Internet of Things). ICT(Information Communication Technology)./Shutterstock.com)

オフィスの無線LAN 選び方のポイントとは

一般的にオフィスの通信環境と言えば、ビルオーナーや入居する企業が事業用のインターネット回線を導入したり、有線・無線LANといったインフラを整備したりしていることだろう。ケーブルを使った「有線LAN」は安定した大容量のデータ通信に向いていて、「無線LAN」は電波を利用することでデバイスの設置場所の制限をなくしたデータ通信に有用だ。とりわけ、いまは従業員一人ひとりがノートPCやタブレットを持ち、オフィス内のあらゆる場所からアクセスできるニーズが高まっていて、無線LANのアクセスポイントを充実させることが求められている。

昨今は「無線LAN=Wi-Fi」と捉える人が多いようだが、Wi-FiはIEEE 802.11を採用した通信機器メーカーの業界団体である「Wi-Fi Alliance」が認証した無線LANの認定規格のことである。言うなれば、無線LANのなかにある一つのブランドであり、同団体では異なるメーカーの製品同士が接続できるかチェックを行い、クリアしたモノに対してWi-Fiのロゴマークを与えている。これにより、消費者はマークを頼りに安心して機器の選択・購入ができるようになり、Wi-Fiは無線LANの世界標準になったというわけだ。

無線LANの規格は複数あり、2.4GHz帯を利用する場合、最大速度が11Mbps~600Mbpsまでの3規格がある。5GHz帯を使う場合は最大速度54Mbpの規格や、最大速度433Mbps~6.93Gbpsで現在主流規格となってきた「IEEE 802.11ac」がある。また、次世代規格の「IEEE 802.11ax」では最大速度9.6Gbpsと、アクセス混雑下でも速度低下の懸念が少ないと期待が寄せられている。

一般的に2.4GHz帯は無線LANの他、Bluetoothやワイヤレスマウス、コードレス電話、電子レンジにも使われる帯域で電波干渉を起こしやすいのが難点である。オフィスの給湯室で電子レンジを使用するとネットワークに障害が起きることもある。他方、5GHz帯はそういったことがなく、オフィスでの安定性を求めるなら現在のところIEEE 802.11acがマッチしているだろう。同じ無線LANでも規格により特徴や最大速度は異なり、どのタイプを選ぶかによってアクセスの快適性に差が出るため、導入の際は注意しなければならない。

また、自社で通信環境を整備する際は、親機であるアクセスポイント、子機であるデバイスの両方がどの規格に対応しているか選定を熟慮しないといけないし、アクセスポイントが設置済みのオフィスに入居する際もどれが使えるのかチェックすることが必要不可欠だ。

アクセスポイントの仕様には「4×4」や「3×3」といった記載があり、これはアンテナの本数のことである。4×4であれば送信用と受信用のアンテナが各4本あることを示す。無線LANはアンテナの数が速度に比例し、本数が多いと多くのデバイスを同時に接続できる。オフィスの中央に設置すると全方向に電波を送受信するが、隅に設置すると方向が限られるので、こういった点にも注意しながら、設置する数・エリアを考える必要がある。

多様性のある働き方を広げるのに「VPN」は必須のテクノロジー

今は官民が一体となり働き方改革を進めていて、場所にとらわれずに働くことができる「リモートワーク」の普及はそのテーマのひとつだ。子育てや親の介護などで離職するビジネスパーソンを減少させる手立てになるだろう。

リモートワークにおいても、リモートスポットとオフィスをつなぐためのインターネット回線は必須だが、気になるのは情報の漏洩や第三者による盗み見、改ざんといったリスクだ。これらを防ぐために利用を考えたいのが「VPN」だ。VPNは、インターネット上に仮想の専用線を設けることで、安全に情報を送受信できる技術として知られている。専用線を設置すると聞くとコスト負担が心配だが、VPNは既存のインターネットを利用しているので低コスト。それにも関わらず距離に関係なく疑似的なLAN環境を作り出すことができ、セキュリティも担保される。自社でリモートワーカーを増やす方針であれば外部とつなぐ通信環境の整備にも努めたい。

通信関係の技術は専門的で、深く理解するのは難しいだろうが、こういった基礎を知っておくだけでも、快適で安心・安全な通信環境の実現に一歩近づく。通信インフラの設置から保守・管理までを手掛ける専門のベンダーも今は少なくないが、自社に知識を持った従業員がいると、先方担当者ともスムーズに話が進む。また、今後リモートワーク等に取り組む際にもきっと役立つため、覚えておくといいだろう。