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話題の『不動産テック』とは?押さえておきたいその基礎知識を解説!

2020.03.05

いま、多くの業界で「〇〇テック」が話題になっている。そして不動産業界でも『不動産テック』が急速に普及し始めている。一言で『不動産テック』といっても、その内容は幅広い。今回は、『不動産テック』の概要と背景、今後の動向について簡単に解説する。

『不動産テック』が普及するその理由とは?

いま多くの業界でIT化が進み、テクノロジーによる業界の革新が進んでいる。金融業界での「FinTech」、マーケティング業界の「MarTech」、人事・労務管理での「HR Tech」などが話題だ。多くの人が活用しているネット決済やキャッシュレス決済は「FinTech」の一種であり、人材採用ポータルサイトやスマートフォンなどを活用した勤怠管理システムは「HR Tech」だ。これらのテクノロジーの進化による「業界の進化」は、多くの業界で今後ますます進んでいくだろう。

不動産業界でも『不動産Tech』が浸透し始めている。もともと不動産業界は、IT化が遅れているというデータがある。厚労省の「平成27年版 労働経済の分析」では、日本の不動産企業のIT資本投資は、アメリカ企業の1割にとどまっている。他業界もアメリカ企業よりもIT資本投資は低い傾向にあるが、不動産業界の数値は際立って低い。この背景には、日本の不動産企業には中小企業が多いこと、経営者の高齢化が進んでおり、IT化への理解度があまり高くなかったことも関係していると思われる。しかし、人手不足への対応で労働生産性の向上が急務であること、物件情報など、様々な情報の透明性が求められていることなどから、不動産業界のIT化『不動産テック』は、今後急速に浸透していくだろう。

『不動産テック』その12のカテゴリーとは?

一言で『不動産テック』といっても、その内容は多岐にわたる。一般社団法人不動産テック協会では、数多い『不動産テック』を12のカテゴリーに分類しカオスマップを作成している。それが以下の図だ。

不動産テック カオスマップ

※不動産テックカオスマップ第5版(一般社団法人不動産テック協会)

同協会の定義に基づいて、それぞれのジャンルを簡単に解説すると次のようになる。

AR・VR

AR(拡張現実)・VR(仮想現実)技術を使用したもの。例えば、物件の内覧の代わりにVRで物件内を仮想体験する。モデルルーム内で、AR技術を用いて、内装や家具の配置を変えて物件をチェックするなどの用途が考えられる。

IoT

物件内のエアコンなどの機器を、クラウドを活用してスマートフォンから操作できるようにするなどのサービスが始まっている。スマートフォンで鍵を管理するスマートロックなども普及しつつある。

スペースシェアリング

短期、あるいは中期で物件、空きスペースをシェアするサービス。そのマッチングサービスも含む。オンラインで物件、空きスペースを探し、予約するなど、事前手続きのほとんどがスマートフォンなどを使ったネット経由で行われることが多い。

リフォーム・リノベーション

リフォーム・リノベーションの企画・設計・施工、Webプラットホーム上でリフォーム業者のマッチングを提供するサービスが多い。

不動産情報

賃貸や、分譲などの物件情報以外の不動産に関するデータを提供、分析するサービスのことで、登記簿などをオンラインで閲覧、取り寄せることができるデータベース、空き家情報を提供するサービスなどがある。

仲介業務支援

不動産事業者向けを中心とした仲介支援サービスを指す。内覧予約などの他、物件情報・顧客情報管理運営支援システムや分譲物件および賃貸物件向けの仲介業務支援に特化したシステム・ツール。

管理業務支援

不動産管理会社、物件オーナーのプロパティマネジメント業務を支援するサービス。管理支援ツールだけではなく、賃料査定サービスなどもある。2017年に開始されたIT重説も含まれる。
IT重説…インターネットでのビデオ通話などを活用した重要事項説明

ローン・保証

住宅ローンや保証に関するサービス。オンラインでの家賃保証サービスやローンの借り換えシミュレーション、ローン比較などのサービスがある。

クラウド
ファンディング

不動産を利用した事業、あるいは不動産への投資・融資をクラウドファンディングで募集するサービス。個人・法人を問わず、複数の投資者から資金を調達する。また、資金が必要な不動産事業者と投資希望者のマッチングプラットフォームサービスも多い。少額でも投資できる、これまで資金調達の方法が限られていた不動産事業者の選択肢が増えるなどのメリットがある。

価格可視化・査定

不動産価格や賃料の査定、将来予測などを行うサービス。

マッチング

従来の賃貸とは異なる短期賃貸、物件シェアリング、空き家活用などのマッチングサービスが多い。

物件情報・メディア

賃貸や分譲での物件情報を提供するサイト、メディア全般を指す。物件情報にとどまらず、さまざまな不動産に関する情報、知識を提供するメディアも増えている。

 

『不動産テック』のなかでも注目すべきは、「管理業務」「仲介業務」のカテゴリー

不動産テック協会が作成したカオスマップの変遷を見ると、2017年から2019年の2年あまりの間に「管理業務支援」「仲介業務支援」のカテゴリーに含まれるサービスが急増している。なかでも「管理業務支援」のサービスは50種を数え、12カテゴリーの中で最も多い。

「管理業務支援」は、プロパティマネジメントやビルマネジメント業務の支援ツールを中心にその数を増やしている。不動産情報や物件の管理、修復履歴の管理、入居者の管理などそれぞれに特化したサービス、包括的なサービスなど、提供企業によってサービス内容はさまざまだ。今後は、不動産業界特有の商慣習にもマッチしたサービスも増え、物件管理に関する総合的な支援ができる総合型サービスと特定の機能に特化した特化型サービスに二極化していくと考えられる。

「仲介業務支援」では、労働集約型で利益率が低い傾向にある賃貸仲介業の業務効率化、生産性向上を意図したサービスが多い。特に人的負担が大きい内覧に関するサービスが増えている。また、ネットで物件を探し内覧せずに契約するケースも増えており、仲介手数料などもオンラインで決済する需要が高まっているため、非対面決済サービスもこのカテゴリーで増加している。

『不動産テック』で、これからの不動産業界はどう変わるのか?

『不動産テック』によって、今後の不動産業界はより透明性が高い業界に進化していくと考えられている。これまで不動産業界は、その専門性の高さから、一般の消費者と不動産企業の間で情報量に差があり、不透明な側面があると言われていた。例えば賃貸物件を探す際にもかつては、駅前の不動産会社を何件も訪問して物件を探したが、必ずしも不動産会社が保有するすべての物件情報を見せるわけではなかった。いまでは物件情報サイトなどの普及により、情報がオープンになり透明化が進んでいる。

プロパティマネジメントを含む管理業務でも、その内容の専門性の高さもあり、管理会社と物件オーナーの間の情報量、その理解度には差があったといえる。しかしこれも、ほとんどの情報が共有されることで物件オーナーの理解も進み、より効率的で利益を生みやすい管理業務の実現に繋がりつつある。今後も『不動産テック』の普及で、不動産業界の情報の透明性が高まること、効率化が進むことで、不動産会社、物件オーナー、一般消費者、それぞれにメリットが生じるはずだ。

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