賃貸オフィスエリアレポート 麹町・半蔵門 エリア
目次
皇居西側に位置する麹町・半蔵門エリア。地下鉄駅が複数近接し、都内各所へのアクセスの良さが大きな魅力だ。江戸期からの歴史を受け継ぎ、落ち着いた雰囲気を持つこのエリアには、永田町に近接することもあり、現在は法律事務所など士業が集積している。
区割りのルーツが記された「麹町永田町外櫻田絵図」
甲州街道の一部である新宿通りは、江戸城内堀の半蔵門(図右端)から外堀の四ツ谷(図左端)へ向かって西へ伸びる。諸説あるが、この半蔵門付近に幕府の「麹御用」を務めた麹屋三四郎の店があったことが「麹町」という地名の由来であると言われている。1878年に麹町区が誕生、1947年に特別区に移行するために神田区と合併して、千代田区となった。「麹町」は、千代田区の西部および南部一帯の地名として現在に至っている。
5つの駅が近接。高い利便性が特徴のエリア
千代田区西側に広がる麹町・半蔵門エリア。主に四ツ谷駅から半蔵門交差点までの麹町大通り(新宿通り)沿い周辺を指す。北部は番町、南部は紀尾井町や平河町に隣接する。交通の中心となるのは東京メトロの麹町駅と半蔵門駅。さらに、麹町駅から半径約700m圏内に四ツ谷駅など複数の駅が近接している。JR、東京メトロ、都営地下鉄7路線の利用が可能であり、新宿方面や東京方面など都内各所へ容易にアクセスできる。
江戸時代には大名屋敷や旗本屋敷が建ち並び、加えて、有力商家が集積する江戸の中枢であった麹町。明治維新後、大名の屋敷は政府高官の屋敷や軍用地に入れ替わった。戦後、軍関連施設の跡地は学校や国立劇場、ホテルなどの大規模施設に転換。多くの商家が廃業した後には大企業のオフィスが進出、高級マンションも建設される。
1970年代に麹町大通りが拡幅されたのを機に、古くからの町並みは一新され、以降、麹町・半蔵門エリアのオフィス街としての発展が加速する。同時期に東京メトロ有楽町線と半蔵門線が開通し利便性が向上したことが、多くの企業をこのエリアに移転させる契機となった。オフィスの集積にあわせて飲食店やクリニックなども出店するなど、働く人の需要に応えるまちへと変化していった。
士業が集積するオフィス街
時代に応じて徐々にその様相を変えていった麹町・半蔵門エリア。一方で、江戸期に培われた落ち着いたまちの空気は今も受け継がれている。現在のエリア内は上品でゆったりとした雰囲気のオフィス街や閑静な高級住宅街が連なる。文教地区でもあり、ミッションスクールや教会、小学校や大学などの教育機関も多い。さらに、外国の大使館や公館も数多く置かれているなど、上品で落ち着いた雰囲気が土地に根付いている。このエリアの大きな特徴といえるのが、新宿通り付近に30軒以上も集中している法律事務所や税理士事務所である。最高裁判所をはじめ政府官公庁の主要機関が集積する永田町に近接していること、また、近隣に各国大使館が多くあることが士業に選ばれている理由といえるだろう。
戦後、1952年に日本テレビがこのエリアに本社を置いたのをはじめ(※)、1966年に文藝春秋、1985年にエフエム東京が本社を移転しており、企業が長く拠点を構え続けている側面もある。
※本社・スタジオは2004(平成16)年に汐留の「日本テレビタワー」へ移転
麹町大通りを軸に進むオフィス開発
2021年に策定された千代田区マスタープランにはその土地柄をふまえて、「落ち着いた住環境と業務空間が共存・調和し、誰もが住み続けられるまち」を目指すと掲げられている。近年のオフィスビルの開発動向を見ると、2018年4月に地上10階地下1階のオフィスビル「住友不動産麹町ファーストビル」が竣工。2020年5月には地上22階の高さ130メートル「住友不動産麹町ガーデンタワー」が竣工し、大手総合リース会社の芙蓉総合リースがこのビルに本社を移転した。さらに、「麹町弘済ビルディング」への建替え計画も開始。2025年6月に地上12階地下2階、事務所や店舗が入居するオフィスビルが生まれる予定だ。エリア内のオフィス需要に応えるべく、麹町大通りを中心に新たなビジネス拠点の整備が着々と進んでいる。
かつて江戸のまちの中心として賑わい、明治期には文化人が住まいを構えた麹町・半蔵門エリアは今後も落ち着いたエリアの空気を受け継ぎながら、ビジネス拠点として発展していくだろう。
移転の視点
- 麹町駅を中心に5駅が近接し、都内各所へ交通が至便
- 閑静な住宅街や文教地区の落ち着きが醸し出す静穏な雰囲気
- 皇居内堀や赤坂御所に挟まれた緑が溢れる豊かな街並み
- メディア関連などの有名な大企業が点在
- 法律事務所や税理士事務所が集積
ビジネスマップ
新宿通り沿いを中心とする麹町・半蔵門エリア。エリアがもつ伝統的な雰囲気を保ちつつ、自然との調和や、ウェルビーイングに特化したオフィスビルが誕生している。都内各所への高い交通利便性が生かされる、新しいビジネス拠点として飛躍が期待される。
- 竣工予定プロジェクト
- 竣工済みプロジェクト
- 当社管理物件
竣工予定プロジェクト
- REVZO(レブゾ)麹町
竣工:2025年5月
竣工済みプロジェクト
- 千代田区麹町444プロジェクト
竣工:2022年9月 - PMO麹町
竣工:2021年6月
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都市の利便性と心安らぐ環境が共存するビル麹町弘済ビルディング
2025年6月末竣工予定
地上12階/地下2階
事務所、店舗、駐車場
新宿通りに面する高さ約62m、延床面積約11,000坪の高層オフィスビル。麹町駅と四ツ谷駅の中間に位置し、交通利便性が高い。
エントランスホールの先には敷地の高低差を利用した3つの緑豊かなテナント専用テラスが、最上階12階には赤坂離宮、神宮外苑に面した開放的な共用テラスが広がる。また、全階床行先予約システムを組み込んだ27人乗りエレベーターが7基設置されているため、出社時でも混雑を避けることができるなど、快適なオフィス環境を生み出す機能と緑豊かな空間が融合したビルである。
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品格のあるエリアに生まれたウェルビーイング特化ビルフロントプレイス千代田一番町
2024年9月竣工
地上11階/塔屋1階
事務所
東京メトロ 半蔵門駅徒歩1分。同駅から東京・大手町・渋谷駅には10分以内、新宿・銀座駅には12分以内の電車アクセスを可能とし、皇居のすぐ西側という豊かな環境と機動性を兼ね備えた立地である。
アクセスの良さのみならず、非接触式ボタン付きエレベーター、輻射空調、自然換気窓、専有部自動ドアを標準採用。外部から自席まで、一切触れることなく移動することを実現した三菱地所の物件の中でもウェルビーイングに非常に特化した物件である。
150坪のフロアプレートは、100坪と50坪に分割ができフレキシブルなレイアウトを実現可能とする。かつて江戸城の西側の守りを固めていた石垣を想起する石積みの外観は、多くのビルの中でもひときわ目を引くランドマーク性を有している。
※本記事の内容は2024年10月時点のものです。