オフィスから始めるサステナブル経営

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世界が「サステナブルな社会」を推進するなか、日本でも多くの企業がSDGsやESGに紐づく事業活動を経営戦略に取り入れるようになった。
なかでも積極的な企業は、オフィスの計画にもサステナブルな視点を導入し、設備や仕組み、働き方を改進している。
今回は「サステナブルオフィス」の最新事例を紹介しながら、その考え方や企業に与える効果などを解説する。

「SDGs」と「ESG」

サステナブルに関連する用語や概念は多岐にわたるが、なかでも認知度の高い指標が「SDGs」と「ESG」である。2点の違いは「ゴールが定められているか」であり、企業がESGを意識して事業活動を推進することが結果としてSDGsの目標達成につながるという関係性をもつ。

世界を動かす17の目標「SDGs」

2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標。17のゴールと169のターゲットで構成され、地球上の誰一人取り残さないことを誓う。

投資価値の判断材料「ESG」

持続可能な世界の実現のために、企業の長期的成長に重要な環境・社会・ガバナンスの3つの観点。3つの充足度は機関投資家などが企業価値を測る指標の一つにする。

なぜサステナブルが注目を集めているのか

ESGへの注目はリーマンショックがきっかけのひとつといわれており、それまで企業が重視していた「短期的な利益の追求」という考えが「長期的で持続可能な経営」へ転換されていった。また、昨今の異常気象による自然災害や新型コロナウイルスの影響で企業が地球環境や社会問題に配慮することは必然であるという考え方が広まった。2015年にはSDGsが提唱され「サステナブル」というワードも広まり始めた。

企業経営の考え方の転換 利益追求型から総合型へ

サステナブルオフィスが企業にもたらす効果

事業活動に加えて、企業の姿勢を可視化できるオフィスでも、持続可能な社会への貢献を念頭に「地球環境」や「働く人」に配慮した企業が増えてきた。サステナブルオフィスの構築は、業務効率化や労働意欲の向上、コスト削減などの改善が見込まれる。それ以外にも、クライアントや投資家、就活者などの多くの人が、サステナブル意識の高い経営姿勢を、企業価値を測る一つとしているため、対外的にもさまざまな効果が期待される。

サステナブルオフィスを実現する2つのキーワード「地球環境」「働く人」

「地球環境」と「働く人」にやさしいオフィスの構築

地球環境の観点では、環境性能の高いビルへの入居やリユース品を利用したオフィスが登場。また、ペーパーレスや社員食堂のフードロスに向けた運営方針の転換も見られる。一方「働く人」への配慮では、多様な人材の活躍を可能にするユニバーサルかつフレキシブルな働き方が拡大。社会を構成する一人でも多くの人材が、労働を通じて持続可能な社会に貢献できるよう企業として体制整備を進めることが大切だ。

地球環境にやさしいオフィス

環境配慮型グリーンビルディングビルへの入居

グリーンビルディングとは建設や運営にかかるエネルギーや水使用量の削減、施設の緑化など、建物全体の環境性能が高まるよう最大限配慮して設計された建築物のことで「WELL」や「CASBEE」などの指標が代表的である。近年の新築ビルにおいてはほとんどが環境を意識した設計をしている。
最近では築古ビルから出た廃棄物をビル内で発電エネルギーに変えるなどの「再エネビル」が登場している。三菱地所はRE100に加盟しており、2022年度内に東京都内や横浜市内に所有するすべてのオフィスビル・商業施設を再生エネルギー由来にすると発表。脱炭素に対する企業からのニーズも高まっているという。

※ 環境省が取り組む、企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ

オフィス家具のリユース

オフィス家具一覧ページにて検索が可能。

ショールーム。

東京駅周辺を中心としたオフィスで使用されていた高品質なリユース品をメンテナンスして販売。一定期間出荷に至らない商品は廃棄せずリユース&マテリアルリサイクルをするなど、「サステナブルな社会の実現」に貢献した取り組みを実施している。

働く人にやさしいオフィス

バリアフリー

障がい者や高齢者などに対して障壁を取り払うこと。家具の選定や動線の拡張など、オフィスのレイアウト段階での検討が必要となる。

ユニバーサルデザイン

性別や人種、宗教など個人の属性に関係なく、誰もが公平に自由に働ける環境づくり。瞑想ルームやパブリックトイレなど。

働く場所の選択

ハイブリッドワークやワーケーションなど、エリアにとらわれない働き方の推進が地方人材の獲得や離職率の低下となり、働き続けられる環境の構築につながる。

三菱地所ホーム株式会社「木」を活かし社会課題への意識へ導く

住宅メーカーの同社は事業活動を通じて、国産木材の重要性や林業が抱える課題に日常的に触れてきた。社員全員が「木」の大切さ、そして地球環境保全への意識を持てるよう、オフィスは国産材や現場で発生する端材を活用した設計としている。受付兼カフェエリアの「Ground」には、スギ・ヒノキ・カラマツなどの原木を設置。50年を生きる木の持つ力強さに触れ、個々の感性を刺激し、事業へ還元できるイノベーションの創出を目指している。業務から心身を切り離し休息(リチャージ)するスペースの「Mori」では、雑誌や書籍を設置し、SDGsなどの社会課題や最新の外部情報に触れ自らの知識や知見をアップデートする場としている。

来訪者も利用する「Ground」と右奥の執務スペースの間をガラス壁にすることで内部から常に外部を感じ取り社会との接続を意識できるようにしている。

リチャージスペースの「 Mori 」。椅子の側面にはSDGsのアイコンがデザインされている。

国産の原木。年月を経て乾燥した原木は取り外して木のプロダクトに加工し、再びオフィスで活用される予定。

株式会社コンフォートジャパンサステナブルビューティーテックカンパニー社員がやりがいを持って働き続けられるオフィス

美容総合商社として、海外のヘアケア・スキンケア商品などの販売を通じてお客様の「美」をサポートするとともに人の心を綺麗にすることをミッションに掲げている。また、「自然の持つ美しさ」を大切にする心を社員に持ってほしいという想いのもと、オフィスに木や廃材などの素材を取り入れるなど、サステナブルな取り組みを積極的に行っている。社員の働きやすい環境づくりに取り組む企業が評価される「よこはまグッドバランス賞」を受賞しておりさまざまな働き方の推進のため、多種多様なワークスペースを設けている。

ガラス張りで開放的な雰囲気のミーティングルーム。

左:「よこはまグッドバランス賞」。
右:製造過程・パッケージ・成分においても環境に配慮された製品を販売。

まとめ

移転を機にサステナブルへの意識改革を

最近では移転先の新オフィスにサステナブル要素を加え、従業員の意識向上を目指す企業も増えてきました。サステナブルの定義は広く、何から始めれば良いのかわからないお客様もいらっしゃるかと思いますが、ウェルビーイングや働き方改革を踏まえたオフィス改革も企業のサステナブルへの取り組みといえます。三菱地所リアルエステートサービスではお客様の課題に合わせて最適なオフィスを提案いたします。

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