製造業・物流業に求められる、これからの不動産戦略と拠点戦略とは?

2021.03.01

工場や物流施設など、ある程度の規模が求められる拠点は、物流コストなどの面で経営戦略に大きな影響を及ぼす。かつては人材コスト削減の観点などから、規模を問わず、海外拠点を展開する企業も多かったが、近年では国内回帰の傾向も強い。そういった環境も踏まえ、国内の拠点戦略を見直す機会になっていると言える。

「拠点戦略」とは? いま、製造業や物流業で拠点戦略が求められる理由

「拠点戦略」は企業経営では欠かすことができない要素だ。例えば小売業、飲食業などでは、どこに店舗があるかは売上に直結する。ネット通販がメインの業態でも、リアルな店舗を有名な立地に出店してイメージ向上を図るケースもある。セブン-イレブン・ジャパンのドミナント戦略は商圏を設定した上で、物流コスト削減を視野に取り込んだ集中出店で成功を収めた。

セブン-イレブン・ジャパンの拠点戦略には「物流」の視点が盛り込まれている。これはBtoBの製造業、物流業に通じる点がある。近年の経済環境の変化で顧客が変わった、納品先に変化があった、利益率が変わり、拠点にかかるコストを見直す必要が出てきたなど、製造拠点である工場、顧客に製品を送る物流拠点の見直しが必要となっているケースがあり得る。

かつては企業規模を問わず、製造コストの中で人材コスト削減や大手取引先の海外拠点への納品の便を考慮した海外進出が盛んだった。しかし、海外の人材コストが上がってきたことなどによって、近年は国内回帰の傾向が強くなってきている。そうなると国内の製造拠点、物流拠点を用意する必要があり、拠点戦略の見直しが求められる。

拠点戦略の基本的な考え方とは?

製造分野での拠点戦略を考える場合、基本的なポイントは次の3つになる。

製品別でのポイント

製品ごとの損益を把握し、製品原価と製造コストを分析する。その中で拠点にかかるコスト(維持費、固定資産税や賃貸の場合は賃料など)、物流費を算出する。コストダウンを原価、製造コストで実現できるか、拠点コストで削減できるかを考えていく

顧客別でのポイント

顧客ごとの売上と製品原価、製造コスト、物流費などを把握し、分析する。大口顧客に向けた製造・物流拠点を確保しているケースでは、維持コストがどれだけ利益に影響しているかを考える

工場別でのポイント

工場ごとに製造コスト、工場の維持管理費を把握する。そこで工場の売上とコスト、利益を分析し、工場間の違いや役割、強みと弱みをもって利益を上げられるように検討する

簡単に言えば「何(製品)」を「誰(顧客)に」「どこ(工場)で作って」で販売していくかを把握することが第一歩になる。それぞれで、拠点の所在地、維持コストがどれだけ利益に影響を与えているかを考えていくことが重要だ。

例えば、かつて大きな取引が続いていた顧客のために専用の工場を用意し、その顧客用に製品を製造していた場合、取引内容に変化があれば、上記の製品別のポイント、顧客別のポイントで大きな影響が考えられる。その場合、工場の立地なども取引先を想定して考えられていることも多く、他の取引先向けに製品を製造した場合、物流コストが想定以上にかかるといった事態も起こり得る。
別途、物流拠点を用意し、物流コストを見直す。あるいは工場を移転したほうが、トータルでコストダウンできることも多い。

物流分野での拠点戦略を考える場合、まず考えるべきなのは「集約型」か「分散型」かという点である。
「集約型」の場合、工場の近く、あるいは港湾や空港、高速道路のインターチェンジなど、交通の便が良い場所に大型の物流施設を配置する。ここで集中的な在庫管理を行うことで在庫コストの低減を実現できる。ただし、配送先へのアクセスは考慮されないため、配送コストの負担が大きくなる可能性がある。
一方の「分散型」は、全国の顧客、消費地の近くに中小規模の物流施設を点在させる。この方法では、配送のリードタイムの短縮、配送コストの低減が見込まれ、物流施設の小型化も可能だ。ただしこちらの場合、各施設内の在庫量が増えること、在庫管理コストの増大、多くの不動産を管理する負担が大きくなる。

ここで注意点としては地域によって固定資産税や法人税に差があることだ。移転先を検討する際、現在の固定資産税などと比較する必要がある。また、地域によっては、工場などを建築する際に税金の免除、地域での雇用創出に対する助成金などが見込める場合があることにも留意したい。

拠点戦略でポイントとなる「不動産取引・管理」の視点

拠点戦略では不動産取引、管理での視点も欠かせない。移転候補先の地価の動向はもちろん、工場や物流施設となると、取り扱う部材の性質によっては、制限がある場合も生じる。移転先では、製品や原材料の調達のための立地(高速道路などに近いなど)にとどまらず、人材確保ができるのか(通勤アクセスの状況など)も確認しなければならない。

周辺地域への影響、税金、補助金、移転に伴う作業負担など、単純に「引っ越す」にとどまらない課題が出てくる可能性が高い。

また、購入するべきか賃貸で対応するべきかという課題もある。通常の不動産取引や賃貸仲介の斡旋では対応しきれないケースも出てくる。加えるならば、拠点戦略は経営戦略に大きな影響を及ぼすため、中長期的な経営視点での対応が求められる。そこまで踏み込んで相談できる不動産の専門家、パートナーとなる不動産会社の助けを借りることが現実的だと言える。

かつての大量生産大量消費時代ならば、同一の製品を特定の取引先に納品すればよかった。現在は多品種少量生産が主流となりつつある。製造業はそれに対応した生産体制に移行している。物流業でも同様のことが言える。そのときに、「特定の取引先に特化した立地の工場・物流体制」のままの拠点では、対応しきれないケースも増えてくるだろう。今後は、大胆かつ慎重な拠点戦略が求められる。

このように、拠点の移転や統廃合を進めるためにはさまざまな課題が存在する。移転先、移転元に内在する想定外のリスクのケアや移転プロジェクトの業務負荷など、大きな負担になる。
そこで専門的な知識と経験を有するパートナーとの連携がこの課題を低減させてくれるだろう。施設の移転や統廃合を検討したい、検討しているが難航している場合は、
「移転や統廃合のテーマとゴールを明確に進めるソリューション」を検討してはどうだろうか。
また新拠点を構築するためには目的のための要件定義や要件定義に見合うコストの適切な設定が欠かせない。隠れたニーズも逃さず、最適な提案、サポートを行う「新拠点を明確化するソリューション」も検討すべきだろう。

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