プロパティマネジメントなくして、不動産投資はありえない!?

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人口減少など、不動産オーナーに限らず、投資においては、先行きに不透明感や不安感を抱かせる情勢が続いている。自然と地価が上がり、人口が増加していた時代では、不動産を所有するだけで収益を上げることもできた。しかしいまでは、より魅力ある物件、付加価値が高い物件でないと収益が上がらない可能性もある。そこで、不動産の所有と経営を分離し、専門家に物件運営を任せることで、収益を最大化する考え方が注目されている。その仕組みがプロパティマネジメントで、委託された不動産運営、経営のプロフェッショナルが、不動産オーナーに代わってあらゆる不動産経営業務を代行する。今回はプロパティマネジメントで行われる業務内容の解説や、アセットマネジメントなど他の不動産マネジメントとの違い、マンション経営におけるプロパティマネジメントにも言及する。

そもそもプロパティマネジメントとは? アセットマネジメント、ビル管理と何が違う?

いま、不動産オーナーの手元には「プロパティマネジメント」の案内が多く届いているのではないだろうか。プロパティマネジメントとは、ビルやマンションの経営代行だといえる。つまり不動産経営の実務代行のことなのだが、「ではいま、管理会社に頼んでいる、物件管理と何が違うのか」と思うだろう。まずは、その違いを解説したい。

ところで、プロパティマネジメントに関連する言葉に、アセットマネジメント、ビルマネジメント(ビル管理・マンション管理)がある。まず、プロパティマネジメント・アセットマネジメント・ビルマネジメントを比較することで、プロパティマネジメントがどのようなものなのか、理解が進むはずだ。

アセットマネジメントとは、いわゆる「資産運用」のことで、複数のビルやマンションを長期的な視点から資産として捉え、ポートフォリオへの助言やファンド運用を始めとして、投資計画の策定・実施やデューデリジェンスを行う。そして売却戦略まで含めてオーナーが所有する「収益の価値」を最大化することが目的だ。プロパティマネジメントが個別不動産の「資産価値」を最大化するのに対して、アセットマネジメントは不動産以外も含む「資産全体収益の最大化」を目指すという点で、プロパティマネジメントとは異なる。

続いて、ビルマネジメント(ビル管理・マンション管理)だが、プロパティマネジメントが資産価値の最大化を目指すのに対して、ビルマネジメントは「資産の収益に関与しない」点が大きく異なる。ビルマネジメントを専門とする会社があるが、ビル・建物の維持管理(メンテナンス)を行う会社となる。多くの不動産オーナーにとって、「管理会社」といえば、このビルメンテナンスサービスの会社を指すだろう。主な業務としては、オーナーや管理組合の指示、修繕計画に従って、ビル清掃や設備の管理等を行う。

それぞれ、役割は違うが、建物の維持管理(ビルマネジメント)ができていなければ、資産価値の最大化(プロパティマネジメント)はできず、結果として、資産全体収益の向上(アセットマネジメント)も難しくなる。それぞれは、密接に関連していると言える。

アセットマネジメントプロパティマネジメントビルマネジメント
内容不動産資産の運用不動産経営の実務代行建物、設備の維持管理
目的資産収益の最大化資産価値の最大化建物の機能維持

なぜ、いま、プロパティマネジメントに注目が集まるのか?

かつて人口が増加し、経済成長が当たり前だった時代ならば、オフィスビルや住宅の需要も右肩上がりであり、不動産のオーナーは今よりも有利な条件で収益を上げられていた。不動産への需要は増加する一方なので、不動産を所有することそのものに「価値」があったと言える。古くは「大家と店子」の関係では、大家が圧倒的に強い立場であり、「貸してやっている」という時代だ。しかし、いまでは不動産の需要は減少傾向にあり、条件が良い物件があるとすぐに店子が出ていってしまうのが当たり前になりつつある。と言って、賃料を下げることで入居者を集めることは、危険だ。賃料を維持しつつ、物件としての魅力を高める手段として、いま「プロパティマネジメント」に注目が集まっている。

プロパティマネジメントは先に解説したように、不動産経営の専門家が不動産経営を代行し、収益を最大化する仕組みだ。そもそも、不動産の維持管理であれば、ビルマネジメントで十分だが、収益の最大化には、それだけでは足りない。よりよい環境を整備し、賃貸物件としての価値を高めるには、専門家のノウハウが求められる。それを代行し、必要な施策を提案するのが、プロパティマネジメントだと言える。

オーナーの役割は、物件を所有することであり、経営ではないという「不動産の所有と経営の分離」という考えが浸透しつつあるいま、プロパティマネジメントに注目が集まるのは当たり前だといえる。

プロパティマネジメントで行ってくれることとは?

不動産経営において、欠かせないプロパティマネジメントだが、具体的にはどのような業務をしてくれるのか、5つに分けて具体的に解説する。

(1)リーシングマネジメント業務

リーシングとは、不動産の世界では物件の借り手を探して、稼働率を最大化することを意味する。つまり不動産の空室率を下げ、商業不動産であればテナント稼働率を最大化する。
マンションやオフィスでのリーシングマネジメント業務では、物件周辺のエリアの賃料相場を調査の上、物件の特性を加味しながら賃料設定を行い、テナントの募集や入居交渉、並びに契約業務と更新、解約など契約関係の管理業務を行う。商業物件では、マーケット調査を行い、テナント誘致のための戦略・企画立案やテナント募集、そして賃貸借契約締結までとりまとめて行う。
入居するテナントによって、物件のブランド価値も変わるため、リーシングマネジメントは一層重要となる。

(2)テナント管理業務

テナントからの要望や意見を受け付ける窓口業務である。テナントは収益の源であり、クレームや賃料滞納などはできる限り避けなければいけない。プロパティマネジメントでは、テナントの意見や動向をいち早く察知することで、賃料収入の減少や退去を防ぐ。また、テナントの要望に応じて、物件の設備の更新などの検討を行うこともある。

(3)請求出納業務

テナントへの請求書発行や入金を管理し、キャッシュフローを毎月報告する。純収益(賃料から経費等差し引いた利益)をもとにした収支予算計画書の作成や年次予算の組立なども行う。

(4)建物管理業務

不動産経営では、物件の管理が欠かせない。法定点検はもちろん、自主点検や日常的な巡回業務、清掃なども行う。法定点検などのハード面の管理は常日頃から行うことで、物件の修繕費を最小に抑えることができる。また清掃が適切に行われていることも重要で、テナントや入居者、来訪者の満足度が向上する。

(5)コンストラクション・マネジメント業務

大規模な修繕、リニューアル工事計画のマネジメントを行う。プロパティマネジメントでは、工事の質やコストの管理、適切な工事を行っているかを第三者的視点で管理する。また計画と実績の進捗なども合わせて、工事をマネジメントする。
プロパティマネジメント会社が、不動産オーナーと工事業者との間に入ることで、契約が守られているか、法を遵守した工事が行われているかどうかなどが分かりやすく、また、オーナーの実務負担の大幅な軽減につながる点が大きなメリットとなる。

マンション経営におけるプロパティマネジメントとは?

ここまで、プロパティマネジメントについて紹介してきたが、最近まで「プロパティマネジメントは、オフィスビルや商業物件で行われること」と捉えられている傾向が強かったようだ。しかし、最近では、マンションなどの住宅物件でもプロパティマネジメントは重要であると考えられるようになってきている。
そもそも従来の賃貸マンション経営では、物件管理・入居者管理・賃料の請求出納業務がメインの業務と考えられていた。そして従来のこれらの業務には「資産価値最大化の視点」が抜け落ちていることが多い。住宅としての機能が満たされていれば良いという考えで、賃貸住宅物件では、立地や賃料の設定のほうが重要だと考えられてきた背景がある。もちろん、それらは重要な要素だが、ペット可、楽器可、リノベーション可など、望む条件を満たすならば、賃料が少々高くてもその物件を選ぶという要素は数多い。ただし、その需要を見抜き、そうした条件を満たしたときにどのようなマネジメントが求められるかまで考慮した経営が必要になる。例えば、楽器可の物件ならば、周辺環境を考慮して実現可能なのか、防音壁の導入コスト、それらの維持管理、更新コストまで踏まえて、収益性を考えなければならない。
ペット可にする場合でも、壁紙や床の素材の変更だけでなく、周辺にペット可物件がどのくらい存在するかなどを調査し、どの程度収益に寄与するかの判断が必要だ。

ビル・商業物件だけでなく、マンション経営でも、いまでは、従来の「物件を持っていれば、入居者は集まる」時代とは異なる。収益性を高める工夫が不可欠だと言える。しかし、多くの不動産オーナーは、「不動産経営のプロフェッショナル」ではないため、不動産経営のプロがそれを代行する「プロパティマネジメント」に注目が集まっている。この場合、信頼できるプロパティマネジメント会社を選定することが重要なポイントになる。

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