経年ビルを効率的にバリューアップ 
ビルが持つ個性を活かした付加価値により資産価値を最大化する「ビルプラス」

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目次

バブル期に誕生したビルが設備の修繕・更新時期を迎え、さまざまな課題にお悩みのオーナー様が年々増加しています。一方、社会変革とともに働き方改革、ファシリティマネジメント、ESG投資等の新たな視点が入り、ビル経営戦略はハード面ソフト面ともに新たなステージに突入しています。
こうした環境下で生まれた「ビルプラス」は、ビルに求められるニーズの変化を的確に捉え、コストを抑えながら最大の価値を引き出し、オーナー様の次世代を見据えたビル経営をサポートさせていただくサービスです。

築30年を迎えるビルが抱える課題と次世代を見据えた戦略

近藤 バブル期と言われた1980年代後半から1990年代初頭にかけて、東京23区で延床面積5,000㎡以下の中小規模のビルが13,000棟以上も竣工しました。これらのビルがちょうど今、築30年程に差し掛かっています。

規模別オフィス着工床面積の推移(東京23区)グラフ
ビル受託営業部 次長 ビルプラス営業課長 兼務 近藤 一成

近藤 建物は時間の経過とともに、外壁、屋上防水、エレベーター、空調、鉄錆び等、ハード面の老朽化が進みます。オーナー様は、どのように賃貸するかという収入面に視点が行きがちですが、竣工から10年が経過すると、老朽化に伴う様々な問題への対応として、改修・修繕に対する投資にも気を配らなくてはなりません。場合によっては想定以上の費用が掛かり、その時点では採算が取れず、「やりたいけどできない」といったケースも考えられます。特にバブル期は長期修繕計画も現在ほど重要視されていなかったため、オーナー様から計画的に修繕を行ってこなかったとご相談をお受けするケースも少なくありません。
一方、オフィス市況に目を向けると、都心5区を中心にかつてない程の低空室率が続いていますが、今後はこのままの好況が続かないのではないかという厳しい見方もあり、専門家の間でも意見が分かれています。もし市況が反転すれば、バブル期に供給された築30年程のビル群が受けるであろう二次空室・三次空室の影響を回避するためにも、早急な対策をお勧めしています。

佐々木 一般的に“築30年”はエレベーターやキュービクルなど大規模な改修が必要となるタイミングでもあるので、保有ビルを将来に向けてどのように活かすか、オーナー様はご検討やご判断に迷われる時期にもなります。しかしそれを自身でご検討・ご判断されることは難しいことから、当社にご相談をいただく機会が徐々に増えてくるようになりました。そして、そのご相談にお応えする形で誕生したのが「ビルプラス」というサービスです。

近藤 ビルプラスは、築年数が経過したオーナー様ご所有のビルを当社が一棟賃借し、費用を立替負担して改修・リニューアルを行った後、テナント様に転貸する仕組みです。基本的にマスターリースの契約は10年間としていますが、オーナー様が追加投資を行う必要がなく、ビルの資産価値向上と長期安定した収益を実現できることが、このビルプラスという新たなサービスの特徴です。

ビルプラス図解

お客様の課題に幅広くご対応できるビルプラスの活用事例

佐藤 都内のJR駅前にある築十数年のビルは、竣工当初から一括賃貸していたテナント様が退去することになったのですが、次のテナント様がなかなか決まりませんでした。オーナー様は修繕の必要性を認識されているものの、修繕計画・リニューアル施策のノウハウもお持ちでありません。そこで当社がご相談を受け、ビルプラスのサービスをご提案させていただきました。
それまで一棟貸しだったビルに、新たにセキュリティ工事やエントランスの動線設計、館内細則や内装工事区分の整備を施し、複数のテナント様が入居するマルチテナント化工事を行い、併せて当社でリーシングも行いました。その結果、オーナー様にとってはビルのバリューアップとテナント様の入替えを一度に解決することが出来ました。

ビル受託営業部 ビルプラス営業課 参事 佐々木 亮太

佐々木 文京区のビルでは、従来オーナー様が一棟自社利用して、低層をオフィス、上層階を住宅として使用していました。しかし、オーナー様の移転に伴い、複数のテナント様が入居するマルチテナントビルへとリニューアルして、収益を上げたいとのご要望でした。
住宅からオフィス仕様へのコンバージョン等大幅なリニューアルが必要であったことから、当社は工事会社の選定から始まり、工事内容の精査、工事中の管理を実施。また、竣工前から竣工後の管理、運営まで当社が一貫して行うことでオーナー様にご負担をかけることなくリニューアルを完了することができました。

近藤 千代田区にある築40年のビルオーナー様は、ビル経営がご本業ではないため、近い将来の建て替えまでにどのくらいのコストを掛けて延命すべきなのか悩んでおられました。そういったご相談へのコンサルティングを重ねることで安心していただき、現在はビルの管理・運営をお任せいただいています。今後も引き続きご相談をお受けしながら、建て替えや改修という選択肢を増やし、ビルプラスをご提案させていただく予定です。

新しい働き方がオフィスの使い方を変える
テナント様のニーズも捉えた提案

佐藤 一方で、テナント様側のオフィスに対する要望も変化していて、現在、“働き方改革”がひとつのキーワードになっています。私は昨年までテナント様の募集を行う部署にいましたが、オフィスの内覧にご案内した際、社員の働きやすさを重視している企業様の声が多くなっていることを感じていました。社員が働きやすい環境を整備することで、企業は優秀な人材を確保することができ、業績向上に寄与するという考え方が浸透しているように思います。
社員の働きやすさという観点では、女性の視点を重要視する傾向が見られます。具体的にはトイレ・給湯設備、フリースペースの充実等の快適さを求めるご要望が増えてきています。

佐々木 企業が社員の働きやすさを重視するなか、オーナー様もテナント様の満足度向上のために、今まで以上にファシリティマネジメント(施設管理)に関心をお持ちになっています。
その一つに、共用部分の充実がありますが、従来のオフィスビルはエントランス・エレベーターホール、共用廊下にはトイレ・給湯スペースがあれば成立していました。しかしテナント様のニーズは多様化しており、ご満足いただくためには、様々な付加価値が求められています。
あるビルでは共用部にフリースペースを設け、緑化、音響システム(R-Live)などでリラックスできる空間を演出、エントランスにアロマディフューザーを設置し、1階には飲料の提供とともにコーヒーの香りでリラックス効果を創出するコーヒースタンド(COMFORT STAND)を導入したケースもあります。

緑化事例「碧緑」 音響システム事例(R-Live) コーヒースタンド事例(COMFORT STAND)
ビル受託営業部 ビルプラス営業課 佐藤 佑樹

佐藤 テナント様のニーズに応じるという点では、オフィス市況を反映したリニューアル内容やリーシング活動も重要となっています。
テナント様の目線だと、空室率の低い現在の市況では、賃料の高い人気エリアで物件が見つけられず、希望エリアを拡大して検討する場合も多く見られます。さらに、設備の良いビルに割安な賃料で入居できることをメリットとして、あえて人気エリア以外でビルを検討するテナント様も多く見受けられるようになりました。
そういったエリアにビルをお持ちのオーナー様からすると、専有部設備(天井高、OAフロア等)や共用部設備(水回り、共用スペース等)のバリューアップを実施し、近隣オフィスビルと比較して高い賃料を設定した場合でも、より高い賃料のエリアを検討していたテナント様がご検討いただける可能性が高まることになります。このように、テナント様が求める設備のリニューアルを行うことで、新たなテナントニーズの獲得や賃料収入アップに繋がった実例もあります。

近藤 社員の働き方が多種多様になり、テナント様のオフィスの使い方が変わってきたことにはオーナー様もご理解を示していて、競争に勝つためにはビル経営のパートナーを探さないと勝ち組になれないことも、認識されているようです。
私たちはそのパートナーとして、単なる場所の提供や老朽化・陳腐化した仕様の改善だけではなく、ニーズの変化も捉えた様々なご提案が可能です。また、そのビルならではの潜在的なポテンシャルを見い出し、各オーナー様のビジョンに即したご提案をさせていただいています。

資産価値を最大化するソリューション
そのひとつとしてビルプラスがある

佐々木 私たちは、ビル経営に関してはオーナー様、テナント様の視点だけでなく、「社会的視点」からも資産価値の最大化に向けたご提案をさせていただいています。事業の持続性(サステナビリティ)が追求されるなか、ビルの経営も従来のような短期スパンで建て替えるスクラップアンドビルドの風潮は敬遠され、既存のビルをリニューアルして長く使用する考え方が評価されつつあります。
三菱地所グループ全体で、丸の内エリアにおける省エネ対策、地域冷暖房設備や緑化設備等の取り組みを展開していて、昨今は新築・大規模のビルでESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みが積極的に行われています。そうしたなか、競合となる既存の中小ビルもESG対策を意識せざるを得ない状況となり、環境や省エネ、地域貢献・社会的貢献に対する意識の高いオーナー様も増えています。

プロパティマネジメント(PM)とは

近藤 築30年のビルはもちろんのこと、大規模修繕の検討が始まる築10年や、テナント様入れ替えのタイミングは、これからの経営を考える良い機会です。
ビル経営についてお困りごとがありましたら、まずは私たちにご相談下さい。潜在的な課題発見から、長期的な収益シミュレーションの実施、お客様に寄り添ったソリューションのご提案、実際の改修・リニューアルに至るまで、三菱地所グループの一員として総合力とノウハウを最大限に活かしてご対応いたします。お客様のソリューションのひとつとしてビルプラスをご提案させていただきます。

三菱地所リアルエステートサービス 賃貸事業グループ ビル受託営業部 次長
ビルプラス営業課長 兼務

近藤 一成

大手メーカーでの商品企画やコンサルティング業務を経て2005年に入社。賃貸経営サポート業務に従事後、現在は新メニュー「ビルプラス」の提供によりビル経営に新たなソリューションを提案。CREコンサルティングのプロフェッショナルとしてビルオーナーの信頼も厚い。

三菱地所リアルエステートサービス 賃貸事業グループ ビル受託営業部
ビルプラス営業課 参事

佐々木 亮太

2010年入社当初からCRE戦略の専門チームにて企業の不動産ポートフォリオ最適化に向けたCRE戦略の立案実行を担当。その後、受託営業部ではビルオーナー様へ保有ビルの資産価値最大化を図るためのコンサルティングや、ビルプラスを通じたオーナー様の抱えている課題解決に向けてのサポートを行っている。

三菱地所リアルエステートサービス 賃貸事業グループ ビル受託営業部
ビルプラス営業課

佐藤 佑樹

2017年入社。リーシングマネジメント部にて、当社管理物件のリーシング業務・契約業務を担当。その後受託営業一部ビルプラス営業課に配属、ビルオーナー様が抱える課題解決に応じる最善な営業を行う。モットーは「目標に向かって走り続けること」。

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