古くなったオフィスビル。再生できる? 売れる?

2021.10.01

東京都23区のビルのうち過半数は築30年以上だというデータがある※。築50年を超えるビルも珍しくない。古くなったビルなどの物件には、さまざまなリスクがあり、対策が必要だ。そもそも老朽化が進み、昨今のオフィス事情にも合わなくなっているオフィスビルでは借り手がつきにくいケースもある。自社オフィスだとしても、IT化が進むビジネスのなかでは、古いオフィスでは対応できないことがあったり、設備が新しい建築関連の法令に適用できていない、災害時に備えたBCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)対策が施されていない、省エネなどの対策が十分ではないこともありえる。そういった点からも、古い物件を活用するには難しい点があり、対策が必要になってくる。

※オフィスピラミッド 2021 ザイマックス総研調べ
https://soken.xymax.co.jp/2021/01/15/2101-stock_pyramid_2021/

古くなった物件は売りにくい…また使い続けるにも不便が多い

自社ビルや工場、倉庫などの不動産を所有している企業は多い。それは会社の資産として有効に活用されているはずだが、老朽化が進むとさまざまな課題が出てくる。オフィスを所有している場合、その対策は、単に古くなったから修繕すればいいというものではない。昨今の働き方改革の促進、IT化、テレワークへの対応など、オフィス事情も変化している。ビルを賃貸している場合は、最新の設備を導入した新築ビルに対抗できず、空室リスクが高くなる。さらに、最近では、BCPの観点からも、古い物件の課題が指摘されている。耐震基準にとどまらず、給水管、排水管などからの漏水、雨漏りによる被害が出た場合、自社やテナント企業のビジネスそのものが止まってしまいかねない。

では、古くなったビルをどうすればいいのか。もっともシンプルな対応策として考えられるのは売却若しくは買い替えだが、そもそも売却希望価格で買い手がつくのか、見通しが立たないケースも想定される。建て替えをするにも、費用がかさむ上に、建築基準や用途地域が変更されていて、望むような建て替えができない場合もある。そこで、検討すべき手段の一つがリノベーションだ。

古い物件をリノベーションでよみがえらせる

過去の記事『ビルは人間より早く年を取る!? 築30年までに老朽化対策が必要!』(https://www.mecyes.co.jp/library/watch/093)でも触れているが、古くなったビルへの対策は大別して3つある。「売却」「建て替え」「リノベーション」だ。しかし、売却先が見つかるかどうかは不明であり、建て替えはハードルが高い。一方、「リノベーション」では、注目するべきメリットがある。建て替えに比較して「投資額が抑えられる」「工事期間が短い」「物件価値の向上が見込める」といった点だ。

最新のIT環境に適したリノベーション、空調の更新、照明設備のLED化、テレワークが普及した環境に即した内装、レイアウトへの変更に対応したリノベーションなどを行えば、物件価値が向上するだろう。また、外装の変更、エレベーター、エントランス、トイレなどの共有部のリノベーションなども有効だ。これまで自社ビルとして使用した物件をリノベーションし、一部を賃貸する、あるいは別にオフィスを借りて全棟を収益物件として活用するといったことも検討できる。さらには、リノベーションして稼働率が向上していれば、希望価格で売却先が見つかる可能性が高くなる。

不動産活用はプロフェッショナルの知識と経験が必要になる

リノベーションを考える場合、検討するべきことがある。それは建物の用途だ。交通の利便性が良い立地のオフィスビルであれば、テレワークの普及で需要が高まっているシェアオフィス、サテライトオフィスとして活用することもできる。自社ビルとして使用する場合でも、テレワーク導入で余剰が出たフロアを賃貸することも可能だ。

不動産の活用に際しては、下記のように「どのような活用ができるか」「どう取り組んでいく必要があるか」を整理することが重要だ。こういったロジカルな判断も重要となる。

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古い物件をリノベーションしてバリューアップすれば、自社での活用や、用途変更だけではなく、売却、賃貸など、さまざまな道が広がる可能性がある。ただし、問題なのはリノベーション、売却、用途変更、賃貸など多くの専門知識や経験が求められることだ。リノベーションの専門企業、一般的な不動産会社では対応できないことも多い。それらをすべて複合的に対応できる不動産会社を見極める必要がある。