マンション売却においては、まずは査定を受ける必要があります。近年は従来のような不動産会社に直接査定を依頼する以外に、AI査定や一括査定などを利用する方も増えてきました。
その一方、マンション売却に際してどの査定を受ければ良いのか、そもそも一括査定の精度はどの程度なのかなど、疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか？
そこで今回の記事では、マンション売却における査定の種類や違い、それぞれの精度、査定を受ける不動産会社の選び方などをご紹介します。マンション売却を検討している方は、ぜひご参考にしてください。
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マンション売却で必要になる「査定」とは？
マンション売却に際しては、まずは「査定」を受けることから始めます。「査定」とは、売却したいマンションの築年数や構造などの情報、類似物件の取引価格、周辺環境などさまざまなデータをもとに、「売却の予想価格」を出すことです。出された予想価格は「査定額」と呼ばれます。
「査定額＝見積もり金額」ではない
査定により出される査定額はあくまで売却の「予想価格」であり、この金額で売れると確約された「見積もり金額」ではありません。査定額で売れると見込み、新居購入などの資金計画を立ててしまうと、その価格で売却できなかったときに資金計画が狂うため注意しましょう。
「査定額＝売り出し価格」でもない
査定額は売り出し価格とも異なります。査定額はさまざまなデータから出される売却予想額なので、売り出し価格は査定額に基づき決められることが多いのは確かです。しかし実際にいくらで売り出すのかは、売主の事情や希望に応じて自由に決めて構いません。
マンション売却における査定の種類と違い
マンションの査定額を出す方法は主に以下の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
| 査定の種類 | 査定方法 | 査定の精度 |
|---|
| AI査定 | AIが同マンションや近隣マンションにおける類似物件の過去の取引事例などに基づき査定す | 低 |
机上査定
（簡易査定） | 不動産会社の担当者が、立地条件や物件情報など書類上のデータや過去の類似物件の取引事例を参考に査定する | 中 |
| 訪問査定 | 書類上のデータに加え、不動産会社の担当者が実際に物件を訪問して物件の諸条件を確認したうえで査定する | 高 |
AI査定（匿名査定）
AI査定は、マンション名や専有面積、間取り、階数、方角などの物件情報を、過去の類似物件の取引情報と紐付けることで、AIが査定額を算出するシステムを指します。主に一括査定サイトや不動産会社のホームページに専用フォームが用意されていて、誰でも利用できるようになっているのが一般的です。
マンションは同じ建物内での類似物件の取引事例が多いので、1点ものの一戸建てや土地と比較すると、AI査定の精度は高くなる傾向があります。とくにマンションが多い大都市では、過去の取引事例の豊富さから、その傾向が高くなるようです。
ただし入力する情報が少なければ査定の精度は低くなり、またあくまでも過去の取引データがベースとなっているため、現状や将来の市場予測などは査定額に反映されません。そのため机上査定や訪問査定と比較すると、査定の精度は劣ります。
AI査定は、マンション売却をまだ迷っていて、とりあえずおおよその相場を把握したい方が利用するのに向いてる方法です。
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机上査定（簡易査定）
机上（きじょう）査定は、AI査定と同様に、売却するマンションの専有面積や間取り、階数、方角などの物件の書類上の条件や、類似物件の過去の取引情報などをもとに査定金額を出す方法です。簡易査定と呼ばれることもあります。
ただしAI査定とは異なり、実際に査定するのは人間である不動産会社の担当者です。そのため査定額だけではなく、不動産会社の対応も比較できるのが机上査定のポイントです。またAI査定では主に過去の取引事例をベースに査定額を出しますが、机上査定では最新の市場環境などが反映されるので、精度はより高くなります。
とはいうものの、机上査定では実際に物件を見るわけではないので、周辺環境や室内の状態、眺望などは査定額に反映されません。そのため査定の精度は、次にご紹介する訪問査定よりは低くなります。
内部リンク：机上査定
訪問査定
訪問査定は、机上査定の内容に加え、実際にマンションを訪問して室内の状態や眺望、共用部分の管理状況、周辺環境などを考慮したうえで査定額を出す方法です。直接物件を確認するので、AI査定や訪問査定と比較すると、もっとも査定の精度が高くなります。
マンションを売却するのであれば、基本的には必ず訪問査定を受ける必要があります。そのため売却すると決めている方や依頼したい不動産会社が念頭にある方は、AI査定や机上査定を受けずにいきなり訪問査定を依頼しても問題ありません。
ただしその場合でも、複数社の訪問査定を受けることが大切です。1社からだけ出された査定額を見ても、その金額が適正なのか、判断しようがありません。マンション査定においては、複数社の訪問査定の結果を比較することがもっとも重要です。
一括査定サイトが出すマンション査定の精度はどの程度？
マンションの査定を受けるときに、一括査定サイトを活用する人が増えてきました。一括査定サイトを利用すると、複数の不動産会社の査定を一度に申し込めて便利です。
しかしその一方、一括査定サイトを使って出される査定額が適正なものなのか、気になる人もいるようです。一括査定サイトのマンション査定の精度はどの程度なのでしょうか？
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マンション買取一括査定サイトのメリット・デメリットは？起こりうるトラブルや注意点も紹介
一括査定サイトで出される査定額の精度は「中」程度
一括査定サイトでは、売却したいマンションの築年数や階数などの物件情報を入力し、不動産会社に査定を依頼します。つまり一括査定サイトでおこなわれるのは、基本的には机上査定です。そのため査定の精度は「中」程度と考えておきましょう。
また一括査定サイトにおいては、契約を取りたいがためにわざと高い査定額を出す不動産会社もあります。不動産会社は、一括査定サイトを経由している以上、競合他社も査定額を提示していることがわかっているためです。
マンションの売却に向けて精度の高い査定額を知りたい場合は、不動産会社の訪問査定を受けましょう。
それでも一括査定を受けるべき？
最終的に訪問査定が必要なのであれば、一括査定は不要では…と思うかもしれません。しかし訪問査定では不動産会社の営業担当者が実際にマンションを訪れます。いきなり営業担当者の訪問を受けるのは心理的ハードルが高く、まずは担当者の信頼性を確かめたい人も多いのではないでしょうか？
その点、先に一括査定を受けると複数の不動産会社とコンタクトを取れるので、担当者のコミュニケーションの丁寧さや自分との相性を見極めやすくなり安心感を得られます。
また不動産会社が多い都心部に住んでいると、自分で選ぶのは手間と時間がかかります。一括査定サイトを利用すると、条件設定することで適度に絞り込めるのもメリットです。そのためマンション売却に際しては、まずは一括査定サイトを活用して査定額や担当者を比較し、次章でご紹介する選び方を参考に、訪問査定を受ける不動産会社を2〜3社に絞り込むのがおすすめです。
マンションの査定だけ依頼することは可能？
マンションを売却する意思が固まっていなくても、査定だけ依頼することは可能です。多くの不動産会社は、将来的に媒介契約を結んでもらうことを目的として、査定を無料で行っています。そのため、売却を検討中の段階でも安心して査定を依頼できます。
査定を受けた後にしつこい営業の電話がかかってくるのではないかと心配な場合は、売却するか明確に決めていない旨を査定の依頼時に伝えておくとよいでしょう。
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マンションの売却査定を依頼する際の注意点
マンションの売却査定を依頼する場合は、以下の点に注意が必要です。
- 事前に必要な書類を揃えておく
- 住宅ローンの残債を確認しておく
- 自己判断でリフォームをしない
それぞれの注意点について解説します。
事前に必要な書類を揃えておく
マンションの査定を受ける前に必要な書類を準備しておくことが重要です。情報が不足していると、正確な査定額が算出できず実際の売却価格と差が出てしまう可能性があるためです。
マンションの査定で必要となる主な書類は、以下が挙げられます。
- 登記事項証明書（登記簿謄本）
- 分譲時のパンフレット
- 購入時の売買契約書と重要事項説明書
- マンションの管理規約や修繕計画書
- 住宅ローンの返済予定表
- 登記済権利証または登記識別情報
これらの書類を揃えておくことで、精度の高い査定結果が得られます。
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住宅ローンの残債を確認しておく
住宅ローンが残っている場合は、マンションの査定を受ける前に残債を確認しておきましょう。マンションの売却時には、ローンを完済して抵当権を抹消しておく必要があるからです。
抵当権を抹消しないとマンションの所有権を買主に移せないため、売却が難しくなります。売却代金でローン残債を完済できない場合は、預金を切り崩して完済する、住み替えローンを利用するなどの対応が必要です。
想定外の資金の負担や売却計画の遅れなどを防ぐために、査定を依頼する前に残高証明書や住宅ローン返済予定表を確認し、住宅ローンの残債を把握しておきましょう。
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自己判断でリフォームをしない
査定前に自己判断でリフォームするのはやめましょう。リフォームにかかった費用が売却価格に反映されるとは限らず、結果的に損をする可能性があるからです。
また、売主がよかれと思ってリフォームしても買主の好みと合わない場合、購入を見送られることもあります。
このようなリスクを回避するためにまずは現状のままで査定を受け、不動産会社と相談しながらリフォームの必要性・内容を検討しましょう。
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売却するマンションの訪問査定を受ける不動産会社の選び方
それでは実際に訪問査定を受ける不動産会社をどのように選べば良いのか、チェックすべきポイントをご紹介します。
マンション売買の実績をチェックする
訪問査定を依頼する不動産会社は、ホームページなどで過去の取引実績をチェックし、マンション売買の実績が豊富な会社を選びましょう。
マンションの査定には、建物や共用部分の維持管理状態、管理規約、修繕履歴やこれからの修繕計画など、一戸建てや土地にはない独特のチェックポイントがあります。不動産会社にはそれぞれ得意な物件種別があり、一戸建ての売買が得意な会社に依頼しても適正な査定額を出してもらえないかもしれません。
またマンション売買が得意な会社であれば、マンションを購入したい顧客を多く抱えていると考えられます。そのため売却を依頼した場合には、スムーズに買主が見つかる可能性ががあるでしょう。
査定額の根拠を確認する
複数社から出されたマンションの査定額を比較したときに、他社よりも高い査定結果については鵜呑みにせず、担当者に根拠を確認することが大切です。もし明確な理由を述べられない場合は、媒介契約を結びたいがために、高い査定額を出している可能性があるので避けるのが無難です。
他社と査定額がずれていても、明確な根拠を示せるようなら基本的に問題はありません。ただし机上査定で出された査定額はあくまでデータから判断された金額です。訪問査定を受けた結果、机上査定で提示された査定額より下がる可能性があることは念頭に置いておきましょう。
信頼できる担当者かを見極める
訪問査定を受ける不動産会社を選ぶときは、信頼できる担当者であるかを見極めることも重要です。三菱地所ハウスネットのアンケート調査によると、「不動産会社を選ぶにあたり重視したこと」でもっとも多かった回答は、「担当者の丁寧な対応」となっています。
【出典】住まいの売却アンケート2020 vol.2｜三菱地所ハウスネット
マンション売却は、販売戦略と実際の売却活動が成功のカギを握ります。しかしいくら提示された戦略が良くても、担当者に意欲と熱意がなければスムーズに売却できない恐れがあります。
とくに築年数が古い、不便な場所にあるなど、高く売れないように思える物件は、不動産会社は大きな利益を期待しにくくなります。そうすると優先順位が落ち、熱心に売却活動に取り組んでもらえないこともあるでしょう。
そんなときに、熱意を持って売却に取り組んでくれる担当者がいるかは重要です。査定を通してよくコミュニケーションを取り、「この人なら任せられる」と思える担当者を見つけることが、マンション売却のもっとも大切な成功ポイントといえるのです。
マンションの売却査定を依頼できるおすすめの不動産会社5選
マンションの売却査定の依頼におすすめの不動産会社を紹介します。
どの不動産会社を選べばよいか悩んでいる場合は、「TAQSIE（タクシエ）」をご活用ください。マンション売却に精通した不動産会社のエージェントの中から3名を厳選し、無料でマッチングいたします。
株式会社groove agent
株式会社groove agentは、首都圏で不動産売買やリノベーション事業を手掛ける不動産会社です。リノベーション会社ならではの視点で行われる査定が大きな強みで、他社よりも平均で300万円高い価格での売却実績が多数あります。
また、買主の意向に沿った再販を行い、あらかじめ売主がリフォームする必要がない点も特徴です。
年間266万人に届く独自販売網を活用して売却活動を行い、幅広く買主にアプローチするため早期の売却が期待できます。
アーバンライフ株式会社
アーバンライフ株式会社は、関西圏でリノベーション事業や賃貸事業などを行う三菱地所グループの不動産会社です。
専有面積40㎡以上、かつ駅徒歩15分以内のマンションの買取を行っています。条件が明確であるため、該当する物件であればスムーズな査定と早期の現金化が期待できます。
また、売却と同時に賃貸借契約を結べる「リースバック買取」も可能です。売却後も住み続けられるため、生活環境を変えずに資金を確保できます。
株式会社レジデンシャル不動産
株式会社レジデンシャル不動産は、首都圏をメインに全国28店舗を展開している大手不動産会社です。
リフォーム産業新聞の買取再販年間販売戸数ランキング2024では、総販売戸数1,885件で総合2位、マンション部門では1位を獲得しています。多数の取引実績にもとづくデータや経験を活かした、精度の高い査定を受けられます。
また、エリア担当制を採用している点も特徴です。担当者は各エリアのマンション情報やエリアの特性に精通しているため、エリアごとの需要や市場動向を踏まえた、適正価格での売却ができるでしょう。
項目 | 内容 |
|---|
企業名 | 株式会社レジデンシャル不動産 |
対応可能物件 | マンション |
所在地 | 東京都足立区千住1丁目18番1号 レジデンシャルビル（東京本社）
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電話番号 | 03-6812-0600 |
ホームページ | https://e-resi.jp/ |
グローバルベイス株式会社
グローバルベイス株式会社は、首都圏や近畿圏で中古マンションを買い取り、リノベーションして再販しているDaigasグループの企業です。
中古マンションの再販事業を一貫して手がけており、買取実績は5,000件以上を誇ります。豊富な成約データにもとづく査定が受けられるため、査定額と最終成約価格の乖離が小さく、安心して取引を進められます。
買い手が限られる高価格帯のマンションも買取対象としており、販売期間の長期化や値下げ交渉のストレスを回避できる点も魅力です。
株式会社福屋不動産販売
株式会社福屋不動産販売は、全国に90店舗以上を展開しマンションや戸建ての仲介を手がける大手不動産会社です。
各店舗には、そのエリアに精通したスタッフが在籍しているため、エリアの市場特性を踏まえた査定や売却提案を受けられます。
下取り保証サービスを設けており、一定期間内に売却できなかった場合には、事前に提示した価格で買い取ってもらえます。そのため、仲介であっても確実な売却が可能です。
マンション売却にはエージェント紹介サービスもおすすめ
マンション売却を成功させるには、エージェント紹介サービスを活用するのもおすすめです。エージェント紹介サービスとは、「不動産会社」を紹介する一括査定サイトとは異なり、不動産会社の「エージェント（担当者）」を紹介してくれるサービスを指します。
売却したい物件を登録すると、選ばれたプロのエージェントのうち、とくにマッチング度の高い複数のエージェントからの提案を受けられる仕組みです。各エージェントとチャットで直接コミュニケーションを取ることで、レスポンスの良さや説明の丁寧さなどを比較できるのがメリットです。
最終的に担当者を重視して不動産会社を選ぶのであれば、エージェント紹介サービスを利用することにより最短でたどり着ける可能性が高くなります。「自分で担当者を見極めるのが不安」「まずは信頼できるパートナーを探したい」と考える方には、選りすぐられたエージェントだけが登録されているエージェント紹介サービスはおすすめです。
マンション売却の査定はTAQSIE（タクシエ）を活用しよう
ご紹介してきた通り、マンション売却の査定方法は3種類あり、訪問査定 ＞ 机上査定 ＞ AI査定の順に精度が高くなります。
マンション売却に際しては、まずはAI査定でおおよその相場を把握し、一括査定サイトで複数の不動産会社に机上査定を依頼。そのなかから訪問査定を受ける会社を選ぶと良いでしょう。その際、査定額だけでなく、担当者を重視して選ぶことがマンション売却成功のポイントです。
もし信頼できる担当者を見極める自信がない場合には、はじめからエージェントとマッチングしてくれるエージェント紹介サービスの活用を検討するのもおすすめです。タクシエなら大手不動産80社以上から選ばれた700名のプロのなかから、マッチング度の高いエージェントの提案を受けられます。気になる方は、下記からお気軽にお問い合わせください。
三菱地所リアルエステートサービス 新事業推進部
「不動産売却マスター」編集長
【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、衛生管理者、ファイナンシャルプランナー3級
2008年入社。人事部門で福利厚生制度などの企画運営、住宅賃貸部門でタワーマンション営業所長、高級賃貸マンション企画などを経て、2018年より経営企画部で主に事業開発を担当し、複数の新規事業立上げに従事。2020年度三菱マーケティング研究会ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞。「TAQSIE」では初期構想から推進役を担い、現在もプロジェクト全般に関わっている。
「不動産の売却に特化した情報を発信する『不動産売却マスター』編集部です。不動産の売却や買取をスムーズに進めるポイントや、税金、費用などをわかりやすく解説します」
