不動産の売却を検討するにあたり、机上査定とはどのような査定方法なのか、机上査定を依頼する必要があるのかなどの疑問をもっている方もいるでしょう。
机上査定とは、現地を確認せずに不動産の情報のみで査定額を算出する方法です。インターネット上で査定が完了するため、手軽に査定額を把握できます。
本記事では、机上査定のメリット・デメリット、訪問査定との違いなどを紹介します。
- この記事を読むと分かること
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- 机上査定で考慮される情報
- 机上査定のメリット・デメリット
- 机上査定に必要な書類
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机上査定とは

机上査定とは、築年数や所在地、周辺の類似物件情報などのデータのみで査定額を算出する方法です。現地調査の必要がなく、インターネット上で査定が完了するため、簡易査定と呼ばれることもあります。
一般的に、不動産会社に依頼する机上査定は無料です。
机上査定では現地の状況や周辺環境などを考慮しないため、物件がいくらで売れそうか、おおよその金額を知りたい場合に有効な方法です。
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机上査定と訪問査定の違い

不動産の査定は、おもに机上査定と訪問査定の2種類の方法があります。机上査定と訪問査定では、以下の3つが異なります。
- 査定額の算出基準
- 査定の精度
- 査定結果が出るまでの所要時間
両者の違いを把握しておくことで、自分の状況に適した査定方法を判断しやすくなります。机上査定と訪問査定の違いを見ていきましょう。
査定額の算出基準の違い
机上査定では、売主が提供した不動産情報や過去の売却物件などのデータのみを参考にして査定額を算出します。
一方、訪問査定の場合は、データだけでなく現地調査も行って査定額を算出します。実際に現地を見ないとわからない、以下のような要素も査定額に反映されるのが大きな違いです。
- 周辺環境(騒音や振動など)
- リフォームや修繕の実施状況
- 外壁や屋根の劣化具合
- 日当たり
- 眺望
訪問査定のほうが、物件の個別事情を加味した現実的な査定額が出やすい傾向にあります。
査定の精度の違い
机上査定の精度は、訪問査定と比べて低くなります。机上査定では物件個別の事情が加味されず、実態に即した査定額の算出が難しいからです。
とくに一戸建ての場合は、過去の取引事例などの定量的なデータのみを使用する机上査定では、実際の物件の市場価値と誤差が生じることもあります。一戸建ては類似物件が少ないうえに、屋根や外壁の劣化、リフォーム歴など物件ごとに状態のばらつきが大きいからです。
一方、訪問査定では現地調査により建物や土地の状況、管理状態、景観など物件の個別事情が査定額に反映されるため査定の精度は高めです。
売却の意思が固まっている場合は、精度の高い査定結果が得られる訪問査定がおすすめです。
査定結果が出るまでの所要時間の違い
机上査定と訪問査定では、査定結果が出るまでの所要時間に大きな差があります。
査定方法 | 査定額が出るまでの所要時間の目安 |
---|
机上査定 | 即日〜3日以内 |
訪問査定 | 1週間程度 |
机上査定は、インターネット上で建物の築年数や面積などの物件情報を入力するだけで査定額が算出されるため、早ければ即日、遅くとも2〜3日以内には査定結果が得られます。
対して訪問査定は、査定額が出るまでに1週間程度かかることも少なくありません。担当者が実際に物件を確認し、建物の状態や周辺環境も査定評価に加えるため、査定額の算出に時間がかかります。
スピーディーに査定額を知りたい場合は机上査定を、時間がかかっても精度の高い査定結果を得たい場合は訪問査定を依頼するとよいでしょう。
机上査定で考慮される情報

机上査定では、築年数や間取り、所在地などの物件情報に加え、以下の情報も考慮して査定額を算出します。
- 条件が類似する物件の過去の成約価格
- 条件が類似する物件の売り出し価格
- 公的価格
- 景気の動向
それぞれの内容について解説します。
条件が類似する物件の過去の成約価格
机上査定による査定額は、売却したい不動産の条件と似ている物件の過去の成約価格を参考にして算出されます。所在地や面積、築年数などの条件が近い物件は、同程度の価格帯で取引される可能性が高いからです。
とくにマンションの場合は、同じマンション内や近隣エリアで似た条件の成約データが見つかりやすく、査定の精度が比較的高くなります。
ただし過去の成約価格には、当時の景気動向も反映されているため、あくまで目安として利用されることが一般的です。
条件が類似する物件の売り出し価格
机上査定では、条件が類似する物件の売り出し価格も考慮して査定額を算出します。売り出し価格には、地域の相場や需給バランスなどが加味されており、参考情報として適しているからです。
売り出し価格の設定が近隣の類似物件よりも高すぎると、割高だと判断されて売れ残る可能性が高くなります。反対に安すぎる場合、欠陥があるのではないかと不信感をもたれ、敬遠されるリスクがあるでしょう。
このような理由から、机上査定では近隣の売り出し価格を参考に売れそうな価格帯を見極めて査定額を導き出します。
公的価格
一戸建ての机上査定では、公示地価や路線価、固定資産税評価額などの公的価格も考慮して査定額を算出します。一戸建ての査定額には、土地の評価が大きく影響するからです。
公示地価・路線価・固定資産評価額をもとに査定額を算出する際は、以下の計算式を用います。
公的価格の種類 | 計算式 |
---|
公示地価 | 公示地価×土地の面積×1.1 |
路線価 | 路線価×土地の面積÷0.8×1.1 |
固定資産税評価額 | 固定資産税評価額÷0.7×1.1 |
公示地価とは、全国26,000地点の標準地を不動産鑑定士などが鑑定評価した土地の価格です。土地取引価格の指標(基準値) になり、実勢価格(実際の取引価格)に近いとされます。
一般的に実勢価格は、公示地価の1.1倍程度になるケースが多いため、「公示地価×土地の面積×1.1」の計算式で査定額を求めます。
路線価とは、道路に面した宅地1㎡あたりの評価額です。公示地価の80%程度に設定されているため「路線価×土地面積÷0.8×1.1」の計算式で査定額を算出します。
固定資産税評価額とは固定資産税を課税するために、市町村が算出した建物や土地の評価額です。一般的に、公示地価の70%程度が固定資産税評価額になることが多いため、査定額の算出には「固定資産税評価額÷0.7×1.1」の計算式を用います。
公示地価と路線価は国税庁のホームページで調べられます。固定資産評価額は、毎年5〜6月頃に市町村から送付される固定資産税納税通知書に記載されているので、確認しておくとよいでしょう。
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一戸建ての査定価格の算出方法|査定の流れと査定額を上げるためのポイントを解説!
景気の動向
机上査定では、景気の動向も参考にして査定額を算出します。不動産価格は景気の影響を受けやすく、数ヶ月後には相場が変動する可能性があるからです。
不動産は売却完了までに時間がかかるため、世界経済や資源価格などに起因する景気変動によって現在の取引価格が売却時に通用しなくなる可能性があります。そのため、類似物件の売り出し価格を参考にするだけでは、将来的な値動きを加味できておらず、算出の根拠が不十分です。
このような理由から、机上査定では精度の高い査定額を算出するために、景気の動向も参考材料としています。
机上査定のメリット

机上査定のメリットには、以下の3点が挙げられます。
- 短時間で査定額がわかる
- 気軽に査定を依頼できる
- 匿名で査定を依頼できる
それぞれの内容について解説します。
短時間で査定額がわかる
机上査定の大きなメリットは、短時間で査定額を把握できる点です。インターネット上で物件情報を入力するだけで査定が完了するため、スピーディに査定結果を得られます。
査定額を知るまでの時間を短縮できれば、資金計画や住み替えの検討などを早い段階からできるため、売却をスムーズに進めやすくなります。
気軽に査定を依頼できる
時間や場所を問わず、いつでも気軽に依頼できる点も机上査定のメリットです。Web上で査定が完了するため、不動産会社に出向く必要がありません。
また、一括査定サービスを利用すれば、一度の依頼で複数の不動産会社から査定結果を得られます。手間や時間をかけずに査定額がわかるため、仕事や家事などで忙しい方でも、依頼しやすいといえます。
匿名で査定を依頼できる
机上査定のなかには、氏名や電話番号などの個人情報を提供せずに利用できるサービスもあります。そのため、しつこい営業の電話やメールが届く心配がありません。
不動産会社とのやり取りに時間を割きたくない場合や、個人情報の取り扱いに不安を感じる場合は、机上査定を活用するとよいでしょう。
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机上査定のデメリット

机上査定のデメリットは、査定額の正確性に欠ける点です。周辺環境や物件の状態などが反映されていないため査定額はあくまで概算であり、実際の売却価格と乖離が生じる可能性があります。
また、机上査定では不動産会社の担当者と顔を合わせないことから、担当者との相性を確認できない点もデメリットです。
机上査定は情報収集の初期段階で利用し、売却の意思が固まったら訪問査定を依頼して、正確性の高い査定額および担当者との相性を確認することをおすすめします。
机上査定がおすすめなケース

机上査定が向いているケースには、以下などが挙げられます。
机上査定がおすすめな理由を解説します。
売却するか迷っている
不動産の売却を迷っている段階では、気軽に依頼できる机上査定がおすすめです。机上査定で相場感を掴むことで、売却の意思決定がしやすくなるからです。「この価格なら今売ろう」「もう少し有利な条件で売却できるまで待とう」など、売却のタイミングを見極めやすくなるでしょう。
実際、株式会社NEXERとタクシエ(TAQSIE)が行った調査では、不動産を売却するかどうか迷っている理由としてもっとも多いのが「高く売れそうにないから」でした。

出典:「「今売却するか迷っている不動産がある」と回答した方の72.7%が「まだ不動産会社などに相談していない」と回答、その理由は?」(PR TIMES)
机上査定を受けることで、少なくとも「自分の想像とかけ離れた価格にならないか」は把握できるでしょう。
また、おおよその売却価格を把握できれば、資金計画や住み替えの計画を立てやすくなります。売却時期が明確に決まっていなくても査定だけ受けることは可能なので、机上査定をうまく活用しましょう。
査定したい物件が遠方にある
査定したい物件が現在の居住地から離れている場合は、机上査定が向いています。不動産会社と査定の日程調整をしたり、立ち会いのために売却物件まで出向いたりする手間や時間をかけずに査定額を把握できるからです。
相続で取得した実家など売却予定の不動産が遠方にある場合は、机上査定を検討しましょう。
机上査定を依頼する際の必要書類

机上査定を依頼する際には、以下の書類を用意しておきましょう。
各書類に記載されている内容や取得方法を解説します。
登記事項証明書(登記簿謄本)
机上査定を依頼する際は、登記事項証明書(登記簿謄本)を用意しておきましょう。以下のような不動産の情報が詳しくわかるため、机上査定の精度が高まります。
- 所在地
- 不動産の種類
- 建物の構造
- 不動産の面積(地積や床面積)
登記事項証明書は、全国の法務局窓口で取得できます。郵送やオンライン請求にも対応しているため、自宅にいながら手配することも可能です。
なお、土地と建物は別々の不動産であることから、一戸建ての場合は土地と建物それぞれの登記事項証明書を取得する必要があります。マンションの場合は、専有部分と敷地権が一体で登記されていることが一般的であるため、原則として登記事項証明書は1通で済みます。
公図
一戸建てや土地の査定を依頼する際には、公図も用意しておくとよいでしょう。公図には以下のような情報が記載されており、隣接地との位置関係や境界線を把握できるからです。
土地の形状や接道状況は、査定額に影響を与えます。これらの情報を査定時に伝えることで、査定の精度が高まります。
公図は法務局にオンラインや郵送で交付請求をすれば取得できます。
測量図や建物図面
測量図や建物図面もあわせて用意しておくことで、より精度の高い査定結果が得られます。
測量図や建物図面があれば、不動産会社は現地を見なくても建物や土地の状況を把握しやすくなるため、机上査定の正確性が向上します。
測量図・建築図面の記載内容や特徴は、以下のとおりです。
測量図 | 建物図面 |
---|
・面積の計算方法や境界点の位置などが記載されている ・公図よりも精密な情報が得られる | ・建物の構造や配置などが記載されている ・各階の形状や床面積がわかる「各階平面図」が含まれている |
いずれも法務局で取得できます。ただし築年数が古い物件の場合、法務局に保存されている建物図面には、床面積や建物の形状しか記載されていないこともあります。
そのため、物件購入時のパンフレットもあわせて用意しておくと、細かな間取り図や配管がわかり、精度の高い査定額の算出に役立ちます。
机上査定の依頼を検討している方はTAQSIE(タクシエ)に相談!
机上査定は、訪問査定よりも査定の精度が低いですが、短時間で売却物件の査定額を把握できます。売却を迷っている方や物件が遠方にある方は、訪問査定の前に机上査定を依頼するのがおすすめです。
机上査定の依頼先に悩んでいる場合は「TAQSIE(タクシエ)」をご利用ください。大手不動産会社70社以上の中から、物件情報や売却目的などをもとに適した担当者を紹介します。会員登録は無料なので、不動産の売却を検討している方はぜひご活用ください。
三菱地所リアルエステートサービス 新事業推進部
「不動産売却マスター」編集長
【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、衛生管理者、ファイナンシャルプランナー3級
2008年入社。人事部門で福利厚生制度などの企画運営、住宅賃貸部門でタワーマンション営業所長、高級賃貸マンション企画などを経て、2018年より経営企画部で主に事業開発を担当し、複数の新規事業立上げに従事。2020年度三菱マーケティング研究会ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞。「TAQSIE」では初期構想から推進役を担い、現在もプロジェクト全般に関わっている。
「不動産の売却に特化した情報を発信する『不動産売却マスター』編集部です。不動産の売却や買取をスムーズに進めるポイントや、税金、費用などをわかりやすく解説します」