「そろそろマイホームを売却しようかな…」そう思った時、まず気になるのは「一体いくらで売れるのか?」ということではないでしょうか。
一戸建ての売却価格は、築年数や間取りだけでなく、土地の広さや形状、周辺環境、さらにはリフォームの有無など、様々な要素によって大きく左右されます。
そのため、家を売る際には、まず正確な査定価格を知ることが非常に重要になります。
この記事では、一戸建ての査定価格の決まり方から、査定の流れ、査定額を上げるためのポイントまでを分かりやすく解説していきます。
- この記事を読むと分かること
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- 戸建ての査定額の算出方法
- 査定額を上げるためのポイント
この記事の監修者
三菱地所リアルエステートサービス(株) 鑑定部
[出身校]慶應義塾大学法学部
[保有資格]不動産鑑定士、不動産証券化マスター、宅地建物取引士、マンション管理士等
[主な職歴]
慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、不動産仲介業務を経て平成8年に不動産鑑定士登録。
三菱地所(株)鑑定室、三菱地所投資顧問(株)鑑定調査部長を経て、三菱地所リアルエステートサービス(株)鑑定部
長を務める。
以前は日本不動産鑑定士協会連合会常務理事、現在は日本不動産鑑定士協会連合会修了考査委員会委員
長、鑑定評価品質管理委員会副委員長や東京簡易裁判所民事調停委員も務める。
一戸建ての査定価格の算出方法
一戸建ての売却を検討した際に、真っ先に浮かぶのは「いくらで売れるのか」といった疑問が一般的です。査定価格は、様々な要素を考慮して算出されるため、その仕組みを理解しておくことは売却活動を成功させる上で非常に重要です。
一戸建ての査定価格は、土地と建物の価値をそれぞれ評価し、合計することで算出されます。
具体的には、以下の要素が査定価格に大きく影響します。
土地の評価
| 土地の広さや形状、周辺環境、駅からの距離などを考慮して評価します。取引事例比較法を用いることが多いです。 |
建物の評価
| 建物の構造、築年数、延床面積、間取り、設備などを考慮して評価します。原価法を用いることが多いです。 |
付加価値要素
| リフォーム履歴や日当たり、眺望など、物件特有の要素も評価に影響します。 |
これらの要素を総合的に判断し、最終的な査定価格が決定されます。それぞれの評価については次項で詳しく解説していきます。
土地の評価
土地の評価は、査定価格を決定する上で非常に重要な要素です。土地の広さだけでなく、形状や方角、道路付けなど、様々な要素が評価に影響します。
特に以下の3つの要素が査定価格に大きく影響します。
それぞれの評価については次項で詳しく解説していきます。
土地自体の価値
土地の評価額は、広さ、形状、方角、道路付けなど、様々な要素によって決まります。
要素 |
説明 |
広さ |
広いほど 査定額が高い。
例えば、同じ地域で100坪の土地は50坪の土地よりも 査定額が高くなります。 |
形状 |
整形地は変形地より評価が高い。
正方形や長方形の土地は、建物を建てやすく、土地を有効活用できるため、三角形や台形の土地よりも評価が高くなります。 |
道路方位 |
家に面する道路の方位が南側の場合は、北側より評価が高い。
南側に道路が面している土地は、日当たりが良く、冬でも暖かいため、北側に道路が面している土地よりも評価が高くなります。 |
道路幅員 |
幅の広い道路に接している方が評価が高い。
幅の広い道路に接している土地は、車の出し入れがしやすく、前面の建物との距離が保たれているため静かな住環境が期待でき、狭い道路に接している土地よりも評価が高くなります。 |
住みやすいポイントと同じく、購入者が欲しいと思うような条件を満たしている土地は評価も高くなります。
ただし土地の面積は、ある程度大きい方がゆったりと家を建築できるので好ましいのですが、あまり大きすぎると総額が張ってしまい売却しづらくなることもあります。
土地と道路の関係で重要なものには道路との高低差もあります。道路より低い土地は雨水の浸水などのリスクがあるため避けた方が良いでしょう。道路より高い土地は日当たりが良く、地下車庫などを造る場合には好都合ですが、家に入るのに階段を上がる必要があり転倒のリスクがあるため、高齢者には向かないと思います。
周辺環境
周辺環境も土地の評価額に大きく影響する要素です。
例えば、駅からの距離が近い、商業施設が充実している、学校や公園が近くにあるなど、生活利便性が高い場合は評価額が高くなります。利便性の高い地域は住みたいと考える人が多く、需要が高いためです。
逆に、騒音や振動が多い場所、工場や幹線道路に近い場所などは、評価額が低くなる可能性があります。住環境として快適性が低く、需要が低くなるためです。
具体的には、以下のような周辺環境が評価額に影響します。
要素 |
評価への影響 |
具体的な例 |
交通利便性 |
駅からの距離が近いほど高く、遠いほど低い |
駅徒歩5分以内は高評価、徒歩20分以上は低評価 |
商業施設 |
スーパー、コンビニ、飲食店などが充実しているほど高い |
徒歩圏内に複数のスーパーやコンビニがある場合は高評価 |
公共施設 |
学校、公園、病院などが近くにあるほど高い |
小学校、中学校が徒歩10分圏内にある場合は高評価 |
治安 |
治安が良いほど高い |
犯罪発生率が低い地域は高評価 |
景観 |
景観が良いほど高い |
海が見える、緑が多いなどは高評価 |
騒音・振動 |
騒音や振動が少ないほど高い |
幹線道路沿い、工場近くなどは低評価 |
このように、周辺環境は様々な要素から評価されます。そのため、一戸建ての査定価格を上げるためには、周辺環境の良い物件を選ぶことが重要です。
法規制
用途地域、建ぺい率、容積率などの法規制は、土地の評価に影響します。
用途地域とはその土地にどのような建物を建てられるのかを定めたものです。住宅地として人気の高い地域は、静かで住みやすい環境が期待できるため評価が高くなります。逆に、工場や商業施設が建てられる地域は、騒音や交通量などの問題から評価が低くなる可能性があります。
次に建ぺい率と容積率は、建物の建築面積や延床面積を制限するものです。これらの数値が高いほど、大きな建物を建てられるため、土地の利用価値が高まり評価が高くなる傾向があります。
また建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合を指し、容積率は敷地面積に対する延床面積の割合を指します。例えば、土地面積が100㎡で建ぺい率が60%の場合、1階の建築面積は最大60㎡までとなります。
これらの法規制は、土地の利用価値を大きく左右するため、査定価格に影響を与える重要な要素となります。
関連記事:土地売却・査定の流れを解説!査定額を決める要素や成功ポイントも紹介【2024年最新版】
建物の評価

建物の評価では、構造、築年数、延床面積、状態、省エネ性能など様々な要素を総合的に見て判断されます。
具体的には、以下のような点が評価の対象となります。
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構造
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など、建物の構造によって評価が変わります。一般的に、鉄筋コンクリート造は耐久性が高いとされ、木造よりも評価が高くなる傾向があります。
築年数
築年数が新しいほど評価が高くなります。これは、新しい建物の方が耐震性や設備の性能が高いと判断されるためです。また、築年数が古くても、耐震補強工事が施されている場合は評価が高くなります。
延床面積
延床面積が広いほど評価が高くなります。これは、広い建物の方が居住スペースが広く、快適性が高いと判断されるためです。
状態
建物の状態が良いほど評価が高くなります。例えば、外壁や屋根の塗装が綺麗に行われているか、水回りの設備に不具合がないかなどがチェックされます。
省エネ性能
断熱性や気密性が高い建物は、冷暖房効率が良く、省エネ性能が高いと評価されます。例えば、断熱材の種類や窓ガラスの性能などがチェックされます。
建物の状態が良いほど評価が高くなります。これらの要素を総合的に判断し、建物の評価額が決定されます。
建物の構造
建物の構造には、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などいくつかの種類があります。それぞれ耐久性や耐火性、建築費用が異なり、査定額も変わってきます。
例えば、鉄筋コンクリート造は一般的に耐久性が高く評価されています。これは、地震や火災に強いというメリットがあるからです。しかし、建築費用も高くなる傾向があります。
その他項目については以下表を参考にしてください。
このように、建物の構造によって査定額は異なります。そのため、一戸建てを売却する際には、建物の構造が査定額にどのように影響するかを理解しておくことが重要です。
建物の築年数
築年数は、建物の劣化度合いを測る重要な要素です。築年数が経過するほど、建物の価値は一般的に下がります。これは、経年劣化によって建物の強度や機能性が低下し、修繕やリフォームが必要になる可能性が高まるためです。
例えば、築20年の建物と築5年の建物を比較した場合、築20年の建物の方が査定価格は低くなる傾向があります。これは、築20年の建物の方が、外壁のひび割れや雨漏り、設備の故障など、様々な問題が発生する可能性が高いからです。
しかし、築年数が経過していても、適切なメンテナンスやリフォームが行われていれば、査定価格への影響を軽減できる可能性があります。
また、築年数が経過した建物でも、立地条件や間取り、周辺環境などによっては、高値で査定される場合があります。例えば、駅に近い、商業施設が充実している、眺望が良いなどの好条件が揃っていれば、築年数が経過していても需要が高く、査定価格にプラスに働く可能性があります。
かつては、建築後20年経過した木造住宅は築年数だけで価値が無いものと判断され、購入後は建て替えることが多かったのですが、近年は環境に配慮して多少傷んだ箇所があっても修繕して建物を大事に使う方が多いようです。ですから、築年数が古い建物であっても、きちんとメンテナンスをして大事に使うことで査定額を上げることがでるものと考えられます。
建物の延床面積
延床面積が広ければ広いほど、査定価格は高くなる傾向があります。これは、広い家ほど建築コストがかかり、居住スペースも広いためです。
例えば、同じ築年数で同じような間取りの2つの家があるとします。1つの家は延床面積が100㎡、もう1つの家は延床面積が120㎡です。この場合、延床面積が広い120㎡の家の方が査定価格は高くなる可能性が高いです。
ただし、延床面積が広ければ必ず査定価格が高くなるとは限りません。建物の状態や立地、周辺環境など、他の要素も査定価格に影響を与えるためです。例えば、延床面積が広くても、老朽化が進んでいたり、不便な場所に立地していたりする場合は、査定価格は低くなる可能性があります。
建物の状態
建物の状態も査定価格に大きく影響する要素の一つです。具体的には、内装・外装・設備の3つのポイントを総合的に評価することで、建物の状態を判断します。
内装
壁紙の剥がれや床の傷、汚れ具合などを見られます。例えば、壁紙が剥がれていたり、床に大きな傷がある場合は、マイナス評価になる可能性があります。これは、購入者がリフォームを検討する必要があると判断されるためです。逆に、内装が綺麗に保たれている場合は、プラス評価に繋がります。
外装
屋根や外壁の劣化具合、ひび割れなどをチェックされます。例えば、屋根や外壁の色褪せやひび割れは、建物の老朽化を印象付け、マイナス評価になる可能性があります。また、外壁の塗装が剥がれている場合は、雨漏りのリスクがあるため、より厳しい評価になる可能性があります。
設備
キッチンや浴室、トイレなどの水回り設備、エアコンなどの空調設備、給湯器などの住宅設備機器をチェックされます。新しい設備は、機能性や省エネ性能が高く、購入者にとって魅力的です。そのため、新しい設備が導入されている場合は、プラス評価になります。逆に、老朽化した設備は、故障のリスクや交換費用が考慮され、マイナス評価になる可能性があります。
これらの要素を総合的に判断し、建物の状態を評価します。建物の状態が良い場合は、査定価格が高くなる傾向があります。逆に、建物の状態が悪い場合は、査定価格が低くなる可能性があります。
省エネ性能
近年、地球温暖化やエネルギー価格の高騰などを背景に、住宅の省エネ性能が重視されるようになっています。そのため、一戸建ての査定においても、省エネ性能が評価項目の一つとして加わっています。
具体的には、以下の様な基準や指標を参考に評価が行われます。
断熱性
断熱性とは、熱の移動を遮断する性能のことです。
住宅における断熱性とは、具体的には、外の暑さや寒さが室内に伝わるのを防ぎ、室内の快適な温度を保つことを指します。
断熱性能は、「断熱等性能等級」という指標で評価されます。等級は1~4まであり、数字が大きいほど断熱性能が高いことを示します。
断熱性能が高い住宅は、冷暖房効率が良く、光熱費を抑えることができるため、居住者にとって生活費の節約につながるメリットがあります。
気密性
気密性とは、住宅における隙間風を防ぐ性能のことです。
家には、目に見えない小さな隙間がたくさんあります。窓やドアの枠、壁と床の接合部分など、様々な場所に隙間が存在しています。これらの隙間から、外気や湿気が入り込んだり、室内の暖かい空気や冷房された空気が外に逃げてしまったりします。
気密性能は、「C値」という指標で評価されます。C値は、住宅の隙間面積を延床面積で割ったもので、数値が低いほど気密性が高いことを示します。
気密性能が高い住宅は、冷暖房効率が良く、家が湿度などの影響を受けづらくなるので腐食や劣化を防げ、居住者の疾患リスクなどを軽減する効果が望めます。
断熱性能と気密性の効果を掛け合わせることで、消費電力を抑え住みやすい家になると言えます。
また消費電力を抑える点では、太陽光発電システムやエコキュートなどの省エネ設備の導入状況も評価の対象となります。
住宅で消費されるエネルギー量を示す指標として、「BEI」があります。BEIは、値が小さいほどエネルギー消費量が少なく、省エネ性能が高いことを示します。
これらの基準や指標を満たしている住宅は、高評価を得やすく、査定価格にプラスの影響を与える可能性があります。
このように、省エネ性能は、住宅の快適性や経済性、環境性能などに大きく関わる要素であり、査定価格にも影響を与える重要な要素となっています。
付加価値要素

付加価値要素とは、建物や土地そのものの価値に加えて、プラスアルファで評価される要素のことです。リフォームや設備の充実、美しい庭園、便利な駐車場など、様々な要素が付加価値となります。
特に注目したいことは以下2点になります。
それぞれ詳しく解説していきます。
リフォームの有無と内容
リフォームは、住宅の価値を大きく左右する要素の一つです。例えば、築年数が経過した住宅でも、水回りやキッチンなどの設備を新しくすることで、購入希望者にとって魅力的になり、査定額がアップする可能性があります。
具体的には、以下のようなリフォームが査定額に影響を与えます。
特に水回りついてはリフォームを積極的に検討したいポイントになります。株式会社一条工務店が行った「理想の戸建て住宅に関するアンケート 2024」では、「現在の住まいの中で、不満に思っている場所」で最も回答が多かった場所は「キッチン」(68.5%)で、次いで「洗面・脱衣所」(59.4%)、3位が同率で「バスルーム」「玄関」(53.0%)という結果となっています。
ただし、注意しなければならない点として、リフォームを行えば評価が上がるわけではないことです。リフォームを行っても査定額が数十万円しか変わらないケースもあります。その場合は、リフォーム費用を差し引いたらマイナスになってしまいます。
リフォームを行う前に、不動産会社に相談し査定額への影響度合いを把握しておくことが重要です。専門家のアドバイスを参考に、適切なリフォームを行いましょう。
内装やキッチンなどの設備については個人の好みが強く反映されますので、売主が良かれと思って行ったリフォームが買主に気に入られないということも十分考えられます。どうしてもリフォームをしたいと思ったら、無難なデザインで多くの方に受け入れられるようなものにしましょう。
関連記事:リノベーションでよくある後悔6選│失敗を防ぐポイントも解説
外構や景観
住宅の周りの環境や景観も、査定額に影響を与える要素です。
例えば、広々とした庭は、家族で過ごす空間としての魅力を高め、査定額にプラスの影響を与える可能性があります。庭があることで、ガーデニングやバーベキューなど、屋外でのレジャーを楽しむことができるからです。また、子供が安全に遊べるスペースとしても魅力的です。
また眺望も査定額に影響を与えます。美しい景色はそれだけで価値があります。例えば、窓から見える景色に外壁や電柱のようなものがなく、陽が入りやすい開けた景色の方が一般的には美しいとされ、評価も高くなります。
このように、外構や景観は住宅の価値を左右する要素となります。査定を受ける際には、これらの要素も考慮に入れ、適切な評価を受けるようにしましょう。
査定方法の種類

一戸建ての査定方法には、主に以下の2つの種類があります。
原価法というのもありますが、市場での取引事例の低い物件が対象となるため原価法で算出されるケースは少ないです。
それぞれの特徴を理解し、自分に合った査定方法を選択することが重要になります。
取引事例比較法
取引事例比較法とは、不動産の価格を評価する際に、対象となる不動産と似たような特性を持つ他の不動産の実際の取引価格を参考に価格を算出する方法です。
例えるなら、中古車を購入する際に、同じ車種や年式、走行距離の中古車の価格を調べて、自分の購入したい車の価格の目安にするようなものです。
不動産の場合は、周辺地域で最近売買された類似物件の取引事例を収集し、それらの価格を比較・分析することで、対象不動産の適正な価格を判断します。
主なメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット |
デメリット |
・実際に取引された価格に基づく評価の客観性と信頼性の高さ
・需要と供給の関係を反映した市場の実勢価格に近い評価
・理解のしやすさと売主・買主双方にとっての納得感が強い |
・類似物件の取引事例の不足による正確な評価が困難
・取引事例の過去のデータによる現在の市場状況との乖離する可能性がある
・個別的な要因を査定額に完璧に反映することができない |
取引事例比較法は客観的な評価手法ですが、いくつかの注意点があります。類似物件の取引事例が少ない場合は、正確な評価が難しい場合があります。また、取引事例は過去のデータなので、現在の市場状況と異なる場合があり、その場合は時点修正を行う必要があります。
一方、日当たり、眺望、リフォーム状況など個別要因も考慮する必要があるため、単純に過去の取引事例だけで判断できない場合もあることを理解しておく必要があります。
収益還元法
収益還元法とは、不動産が将来生み出すと予想される収益に基づいて、その不動産の現在価値を評価する方法です。
アパートを例に考えてみましょう。アパートは家賃収入という収益を生み出すことができます。収益還元法では、この将来得られるであろう家賃収入を現在価値に換算することで、アパート全体の価値を評価します。
簡単に言うと、「将来どれくらい儲かるのか」を基準に不動産の価値を決める方法です。
主なメリットとデメリットは以下になります。
メリット |
デメリット |
・不動産の収益力の直接的な評価への反映
・将来の収益見通しの反映による成長性のある不動産への高い評価
・市場比較法や原価法では評価が難しい特殊用途の不動産への有効性の高さ |
・将来的に得られる収益の正確な予測の難しさ
・収益の予測における市場の動向や経済状況の考慮と専門知識及び経験の必要性
・金利やキャップレート(※)の設定による評価額の変動性 |
※キャップレート:不動産の収益性を測る指標の一つで、「還元利回り」や「期待利回り」のこと
収益還元法は、主に収益を生み出す不動産、つまり投資用不動産の評価に用いられます。一棟貸しや賃貸物件などの評価に適しています。
収益還元法を用いることで、不動産投資の収益性やリスクを分析し、投資判断を行うことができます。しかし、収益予測の難しさや専門性の高さから、一般の人には理解しにくい面もあります。
そのため、不動産投資の専門家からもアドバイスを受けることがおすすめです。
一戸建てが賃貸されることは多くないため、賃料水準もはっきりとしたものがなく、またキャップレートの水準などが把握しづらいことから、収益還元法で評価額を決定することは少ないと思います。周辺で同じような物件がどのくらいの価格で売買されるかということからアプローチする取引事例比較法の価格で決定されることが多いと思います。
一戸建て査定の流れ

一戸建ての査定は、以下の流れで行われます。
- 査定の準備
- 査定依頼
- 査定の実施
- 査定結果の受け取り
それぞれのステップで何が行われるのか、事前に理解しておくことで、スムーズに査定を進めることができます。
査定の準備
一戸建ての査定をスムーズに進めるために、事前に必要な書類などを準備しておくことが重要です。
事前に用意しておくと良い書類は以下の通りです。
書類名 |
説明 |
権利証 |
不動産の所有権を証明する書類です。売主がその不動産の正当な所有者であることを示すことができます。 |
登記簿謄本 |
不動産の所有者や面積、抵当権などの情報が記載されている公的な書類です。法務局で取得できます。最新のものが望ましいので、査定前に取得することをおすすめします。 |
固定資産税納税通知書 |
固定資産税の評価額や土地の面積などが記載されています。毎年送られてくるので、比較的用意しやすい書類です。 |
家の図面 |
間取りや建物の構造がわかる図面です。建築時のものがあれば、建物の状態を把握するのに役立ちます。 |
リフォーム履歴 |
過去に行ったリフォームの内容がわかる資料です。リフォームの内容によっては査定額に影響を与える可能性があります。キッチンやお風呂などの水回りをリフォームしている場合は、プラス評価に繋がる可能性があります。 |
不動産会社は、上記の書類を使って売却物件の状態を詳しく把握し、適切な査定額を算出します。
書類を事前に準備しておくことで、査定の時間を短縮し、より正確な査定額を算出することができます。また、不動産会社とのやり取りもスムーズになり、安心して査定を進めることができます。
査定依頼
査定の依頼方法は、大きく分けて以下の3つがあります。
それぞれのメリットとデメリットなどは以下になります。
査定方法 |
メリット |
デメリット |
適している人 |
訪問査定 |
正確な査定額がわかる |
時間と手間がかかる |
正確な査定額を知りたい人、時間に余裕がある人 |
机上査定 |
比較的早く査定額がわかる |
訪問査定に比べて精度が低い |
査定額の目安を知りたい人、すぐに結果を知りたい人 |
AI査定 |
手軽に利用できる、24時間いつでも利用可能 |
・類似事例が少ない場合、精度が低くなる
・専門家の査定よりは大まかな査定額になりがち |
大まかな査定額を知りたい人、手軽に査定したい人 |
それぞれの特徴を理解した上で、自分に合った査定方法を選びましょう。
不動産会社の選定ポイント
信頼できる不動産会社を選ぶことは、納得できる結果を得るためには非常に重要です。なぜなら、不動産会社によって査定額やサービス内容が異なる場合があり、その違いが売却価格や売却期間に影響する可能性があるからです。
複数の会社を比較検討することで、より有利な条件で売却を進められる可能性が高まります。
信頼できる不動産会社を見つけるためのポイントは以下の通りです。
実績
| 豊富な取引実績を持つ会社は、市場の動向を把握しており、より正確な査定額を提示してくれる可能性が高いです。過去の取引事例や近隣の売却状況などを詳しく教えてくれる会社であれば、査定額の根拠を理解しやすくなります。 |
専門性
| 一戸建て売却に精通した担当者がいる会社を選びましょう。専門知識を持つ担当者は、売主の疑問や不安に丁寧に答えてくれます。例えば、相続や税金に関する質問にも対応できる担当者であれば、売却に関する様々な手続きをスムーズに進めることができるでしょう。 |
対応力
| 迅速かつ丁寧な対応をしてくれる会社を選びましょう。売却活動は長期にわたるため、信頼関係を築ける担当者であることが重要です。問い合わせへの返信が迅速であったり、売却活動の進捗状況をこまめに報告してくれる担当者であれば、安心して売却を任せられるでしょう。 |
上記のポイントを参考に、複数の不動産会社を比較検討し、信頼できる会社を選びましょう。それぞれの会社の特徴を理解した上で、自分に合った会社を選ぶことが大切です。
査定の実施
査定当日は、不動産会社の担当者が家に訪問します。査定にかかる時間は、建物の規模や状態によって異なりますが、一般的には1時間程度です。
査定額を上げるためのポイントとしては、以下の点が挙げられます。
- 清潔感のある状態にする: 整理整頓を行い、清潔感のある状態にしておきましょう。第一印象は非常に重要です。
- 必要な書類を用意: 権利証や登記簿謄本など、必要な書類を事前に準備しておきましょう。スムーズな査定に繋がります。
- リフォーム: 査定前にリフォームを行うことで、査定額を上げる可能性があります。特に、水回りや外壁など、目立つ箇所のリフォームは効果的です。
- 周辺環境の情報提供: 周辺環境の良い点は積極的にアピールしましょう。例えば、近くに公園や学校がある、治安が良いなど、具体的な情報を提供することで、査定額にプラスに反映される可能性があります。
ポイント以外で疑問点や不安な点がある場合は、遠慮なく担当者に質問しましょう。査定額の根拠や売却活動について、しっかりと理解しておくことが大切です。また不動産会社によって基準や方法が異なる場合があります。複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討することをおすすめします。
不動産会社の中には、自社を選んでもらいたいため極端に高い査定額を提示して興味を引き付けようとする会社もありますので、複数の会社から査定をとるべきです。そして、出された査定額についてはその根拠について納得するまでしっかり説明を受けましょう。
査定結果の受け取り
査定結果は、通常、訪問査定後数日~1週間程度で受け取ることができることが多いです。査定額は、不動産会社が作成した査定書に記載されています。査定書には、査定額の根拠や周辺の取引事例などが詳しく記載されているので、しっかりと確認しましょう。
査定額は、あくまでも目安であり、実際の売却価格とは異なる場合があります。査定額に納得できない場合は、他の不動産会社にも査定を依頼してみるのも良いでしょう。
査定を依頼する際には、複数の不動産会社に依頼し、査定額や査定の根拠を比較検討することが大切です。信頼できる不動産会社を選び、納得のいく売却活動を行いましょう。
査定額を上げるためには、建物の状態や土地の状態を改善したり、付加価値をつけたりすることが有効です。積極的に行動を起こし、査定額アップを目指しましょう。
一戸建ての売却は、人生における大きな決断の一つです。この記事が、皆様の売却活動の一助となれば幸いです。
関連記事:家を売るときの査定はどこに依頼する?選び方や成功ポイント・注意点を解説
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また、提示される査定価格はあくまで目安としてとらえましょう。
利用する際は、提携不動産会社の得意分野や質、対応エリアなどを確認するのが大切です。さらに納得のいく売却のためには、不動産会社の仲介担当者との相性も見極めなければなりません。
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