不動産の売却にあたり、物件の査定をどのように受けたらよいか知りたい方もいるのではないでしょうか。
不動産査定の方法はいくつかありますが、査定の目的によって選ぶべき方法が異なるため、適切に使い分けることが大切です。
本記事では、不動産査定の種類や流れ、トラブルを避けるための留意点を解説します。
- この記事を読むと分かること
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- 不動産査定の種類と評価ポイント
- 不動産査定が無料の理由
- 無料査定でトラブルにならない留意点
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不動産査定とは

不動産査定とは、不動産会社や不動産鑑定士が不動産の価値を調査して、推定の売却価格を算出することです。査定を受けることで、適切な売り出し価格を把握できます。加えて、物件がいくらで売れそうかわかれば、新居の購入資金や生活資金の計画が立てやすくなります。
通常、不動産査定の依頼は無料です。売却の意思が固まっていなくても査定だけ受けられるため、不動産の売却を検討している方は査定を依頼するとよいでしょう。
不動産の無料査定の種類

不動産の無料査定は3種類あり、それぞれ査定の精度や査定結果が出るまでの時間が異なります。
査定を依頼する前に、各査定方法の特徴を理解しておきましょう。
簡易査定(机上査定)
簡易査定とは、築年数や所在地、間取りなどの物件情報と、公示価格や路線価、類似物件の成約価格などの情報をもとに査定額を算出する方法です。現地調査はせず、入手可能な情報だけで査定額を算出するため「机上査定」とも呼ばれます。
簡易査定のメリットは査定がスピーディーで、早ければ30分〜1時間程度、遅くても翌日には査定結果を得られる点です。ただし、実際の物件の立地や状態などが考慮されていないため、査定の精度はそれほど高くありません。
簡易査定は、売却の予定が明確に決まっておらず、おおよその査定額を知りたい場合に向いています。
訪問査定
訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に現地に出向いて不動産を調査し、査定額を算出する方法です。物件の基本情報に加え、建物の状態や境界線、近隣の環境も考慮して物件を評価します。
訪問査定では詳しく現地調査をするため、簡易査定と比べて精度の高い査定結果を得られます。また、調査を通じて営業担当者と直接コミュニケーションを取ることで、売り出し価格の相談や営業担当者との相性を確認できる点もメリットです。
査定結果が出るまでに数日~1週間程度かかりますが、不動産の売却の意思が固まっている場合は、正確な査定額が把握できる訪問査定がおすすめです。
AI査定
AI査定とは、売却予定の不動産と条件が類似している物件情報や、過去の成約事例のデータなどをAIが解析して査定額を算出する方法です。
インターネット上で物件がある場所の住所や築年数、不動産の面積などを入力するだけで、簡単に査定額がわかります。
氏名や電話番号などの個人情報を入力しなくても査定を受けられるため、営業電話を受ける心配をせずに査定額を調べたい人におすすめです。
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不動産の査定が無料である理由

不動産会社の査定が無料である理由は、顧客を獲得するための営業活動の一環であるからです。
不動産の売買契約が成立すると、不動産会社は成果報酬である仲介手数料をもらえます。査定を無料にすれば、顧客になる可能性がある売主と接点をもつことができ、将来的に売買契約をしてもらえる可能性があります。
このような目的があることから、不動産会社は査定を無料として、将来の顧客候補を集めているのです。
不動産の査定額を算出する方法

不動産の査定額を算出する方法には、以下の3種類があります。
それぞれの算出方法について解説します。
取引事例比較法
取引事例比較法とは、過去の成約事例の中から売却予定の不動産と条件が似た物件の事例を抽出し、成約価格を比較して査定額を算出する方法です。比較する類似条件は、以下などが挙げられます。
- 立地(交通の利便性)
- 住環境
- 築年数など建物の状況
- 市場動向
取引事例比較法は、条件が類似する物件が多い区分マンションや土地の査定によく使用されます。
原価法
原価法とは、同じ建物を再建築する場合に必要なコストを想定(再調達価額)し、経年劣化などを加味(減価修正)して査定額を算出する方法です。原価法による査定額は、以下の計算式で求められます。
査定格 = 坪単価 × 坪数 × (耐用年数までの残年数) ÷ 耐用年数 |
原価法は、一戸建ての建物部分の査定額を算出する際に用いられます。
収益還元法
収益還元法とは、不動産が将来どれだけの収益を生み出せるかを評価し、その評価額をもとに査定額を算出する方法です。査定に不動産の収益性を加味する点が他の査定方法との違いです。
査定額(収益価格)は、不動産が生み出した年間の利益を近隣類似物件の還元利回り(収益性を表す利率)で割って算出します。
収益還元法は、店舗や事務所、アパートなどの賃貸物件の査定に用いられます。収益還元法には、直接還元法とDCF法の2種類があります。DCF法は算出手順が複雑なため、投資物件以外の査定に使用されることはほとんどありません。
不動産の査定額を左右する評価ポイント

訪問査定で評価される要素は、大きく分けて5つあります。
- 築年数
- 建物の状況
- 土地・敷地の状況(一戸建て・土地の場合)
- 立地・周辺環境
- 管理状態(主にマンションの場合)
具体的に、どのような点が査定額に影響するのか把握しておきましょう。
築年数
不動産の築年数は、査定額に影響する大きな評価ポイントです。不動産の築年数が古いほど資産価値が減少するため、査定の評価額は下がります。
国で定められた法定耐用年数は、木造住宅が22年、鉄筋コンクリート造のマンションは47年です(※1)。国土交通省の資料によると、住宅の資産価値は経年により減少し、戸建て住宅は建築から20年後には資産価値がほぼゼロになるとされています(※2)。
(※1)「主な減価償却資産の耐用年数表」(国税庁)
(※2)「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」(国土交通省)
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建物の状況
訪問査定では建物内外の状況も評価されます。建物の主な評価ポイントは、以下のとおりです。
- 壁、床の状態
- 水回りの劣化状況
- 設備交換やリフォーム歴
- 雨漏りやシロアリ被害、傾き、結露などの瑕疵(不具合)の有無
- 屋根や外壁の劣化状況、破損の有無
- 日照や通風、眺望
- 建築基準法や都市計画法の適法性
建物や設備が劣化していると、買主に将来的な修繕負担が生じる可能性があるため、評価が低くなります。
一方、メンテナンスや修繕、リフォームをしており、建物の状態が良いと高い評価につながります。
土地・敷地の状況(一戸建て・土地の場合)
土地の形状や広さ、状況も訪問査定で評価されます。主な評価項目は、以下のとおりです。
- 面積や形状(整形・不整形)、接道、傾斜、境界線
- 駐車場の有無
- 地盤沈下、埋没物・残置物(井戸や浄化槽など)の有無、越境の有無
- 建築基準法、都市計画法などの適法性の確認
建物の設計の自由度が高い正方形か長方形の土地や、日当たりが良好な土地などは高く評価されます。
一方、法的な規制により住宅しか建築できないなど、幅広い用途に活用できない土地は、評価が下がる傾向です。
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立地・周辺環境
訪問査定では、物件の立地や周辺環境についても評価されます。主な評価のポイントは以下のとおりです。
- 商業施設や学校、医療機関の有無
- 工場や墓地などの嫌悪施設の有無
- 近隣の開発計画の有無
- 最寄駅からの距離(路線の利便性)
周辺に商業施設や医療機関、学校などがあると、暮らしやすい環境であることから高く評価される傾向にあります。
また、不動産の資産価値は、将来的なエリアの発展性にも左右されます。大規模な商業施設の誘致や鉄道の延伸が決まっている場合などは、プラスの評価に働くでしょう。
管理状態(主にマンションの場合)
マンションの場合は、管理状況も評価の対象となります。評価されるポイントは、以下などが挙げられます。
- 建物の設備や管理体制
- 修繕積立金の金額・積み立て状況
- 管理費の金額
防犯カメラやオートロックなどのセキュリティ設備がある、管理人が常駐しているなど、管理体制が充実している場合は、評価が高くなります。
修繕積立金や管理費が高めの場合、購入者にとって長期的な負担となることから、査定額は低くなる傾向です。
不動産査定を受ける流れ

不動産査定を受ける流れは、以下のとおりです。
- 簡易査定を受ける
- 売却を決めたら訪問査定を依頼する
- 査定の現地調査に立ち会う
- 査定結果を確認する
売却の意思が固まっている場合は、簡易査定を受けずに訪問査定を受けても問題ありません。査定結果は不動産会社によって異なるため、複数社に依頼して比較するとよいでしょう。
訪問査定の際は立ち会いが必要です。査定当日の所要時間は1〜2時間程度ですが、物件の状況によっては時間がかかる場合もあります。時間に余裕をもって査定を受けましょう。査定結果が出るまでには、数日〜1週間程度かかります。
不動産査定を受けるための準備

正確な査定額を得るためには、事前準備が不可欠です。以下の準備を済ませておきましょう。
- 査定に必要な情報をまとめておく
- 土地の境界線を確定しておく
査定に必要な情報をまとめておく
査定を受ける前に、物件情報をまとめておきましょう。情報が揃っているほど精度の高い査定額が得られるからです。事前に揃えておきたい情報や書類は、以下のとおりです。
- 物件の所在地
- 物件の種別(戸建て、マンション、土地など)
- 面積(土地面積・建物延べ面積)
- 構造
- 築年数
- 間取りなど
- 本人確認用の身分証明書
- 登記簿謄本(登記済権利証・登記事項証明書・登記識別情報)
- 建築図面
- 売買契約書
- 建築確認済証
売却物件に関する書類が揃っていれば、その後の売却手続きもスムーズに進められます。
土地の境界線を確定しておく
戸建ての場合は、査定前に土地の境界線が確定しているかを確認しましょう。境界が未確定だと正確な査定額を算出できないからです。また、境界が曖昧だと将来トラブルが起こる恐れがあり、購入希望者に敬遠され売れ残る可能性があります。
境界の確定は土地家屋調査士に依頼する必要があります。不動産会社によっては測量サービスを提供しているので、対応可能か問い合わせるとよいでしょう。
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不動産の無料査定でトラブルを避けるための留意点

不動産査定を依頼する前に、売却予定の不動産の売却相場を調べておきましょう。事前に相場を把握していれば、不動産会社が提示した査定額が適正かどうか判断できるからです。
不動産の売却相場は、以下のサイトで調べられます。実際の不動産取引価格が登録されているので、参考にするとよいでしょう。
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不動産査定の相談はTAQSIE(タクシエ)へ!
不動産査定には、簡易査定(机上査定)、訪問査定、AI査定の3種類があります。大まかな査定額を知りたい場合はAI査定や簡易査定、より正確な査定額を知りたい場合は訪問査定がおすすめです。
不動産の査定は、複数の不動産会社に依頼しましょう。複数社の査定額を比較することで適正な売却価格を把握できます。
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三菱地所リアルエステートサービス 新事業推進部
「不動産売却マスター」編集長
【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、衛生管理者、ファイナンシャルプランナー3級
2008年入社。人事部門で福利厚生制度などの企画運営、住宅賃貸部門でタワーマンション営業所長、高級賃貸マンション企画などを経て、2018年より経営企画部で主に事業開発を担当し、複数の新規事業立上げに従事。2020年度三菱マーケティング研究会ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞。「TAQSIE」では初期構想から推進役を担い、現在もプロジェクト全般に関わっている。
「不動産の売却に特化した情報を発信する『不動産売却マスター』編集部です。不動産の売却や買取をスムーズに進めるポイントや、税金、費用などをわかりやすく解説します」