買取再販業者の動きは、市場の温度感を映す先行指標の一つ。以下のnoteでマンションリサーチ福嶋総研の福嶋真司さんに伺ったとおり、マンション市場に弱含みの動きが見られる数ヶ月前から、すでに買取再販業者の動向には変化が見られ始めていました。
東京都心マンション価格の3年ぶりの下落、そして実需層の購入余力も限界に近づきつつあるマンション市場で、買取再販業者が「今」注目しているエリアとは。引き続き、同社のデータを基に福嶋さんに伺います。
今回、お話を伺った方
マンションリサーチ福嶋総研 福嶋 真司さん
早稲田大学理工学部卒。大手不動産会社で調査を担当後、設計事務所の法務を経て現在はマンションリサーチで市場調査や評価指標の開発を担う。福嶋総研の代表として企業の意思決定を支援。メディアや学術機関へのデータ提供など、多方面で実績を誇る。
- この記事を読むと分かること
-
- 再開発が進む大井町エリアの中古マンション価格は顕著に上昇
- 大井町のような「価格上昇ポテンシャル」が高いエリアは、買取再販業者の主戦場
- 買取再販業者の次なる主戦場は「東京近郊」か
家を売りたくなったらタクシエ
その高い査定額、
本当に売れる価格ですか?
査定額と実際の売却価格には、
大きな差が出ることがあります。
登録完了後、
売却前に知っておきたい
「失敗しない家の売り方」ガイドを限定公開しております。
「第二の大井町」を見つける動きが加速
出典:マンションリサーチ福嶋総研
福嶋さんによれば、今、買取再販業者の中では「第二の大井町」を見つける動きが加速しているといいます。大井町は近年、中古マンション価格が大きく上昇した代表的なエリアです。駅前の再開発や大規模商業施設のオープンなどが複合的に作用し、単なる便利な街から「資産価値が伸びる街」へと評価が変化しました。
買取再販業とは、その名のとおり、買い取った不動産を再販することによって利益を得る事業です。大井町のような「価格上昇ポテンシャル」の高いエリアは、買取再販業者の主戦場であり、同時に資産価値の上昇や高額買取に期待しやすいエリアといえるでしょう。
「マンション価格の顕著な高騰により、市場が過熱しすぎた都心部では在庫が積み上がり、都心近郊エリアでは実需層による予算の限界が見えつつある今、とくに注目されやすいのは都心へのアクセス性が高い一方で、周辺主要エリアと比べて価格に割安感のある街です。
加えて、大規模再開発計画や駅前整備、新線計画、商業施設開業など将来的な街の変化が見込まれるエリアでは、買取再販物件の仕入れが増え始めています。これは単なる短期転売ではなく『数年後の市場評価』を見据えた先行投資的な動きともいえるでしょう。再販会社は、市場参加者の中でも特に変化の兆しに敏感なプレイヤーです。つまり、彼らの資金流入先は『将来的に価格が伸びる可能性がある』と判断されたエリアのシグナルとも読み取ることができます」(福嶋さん、以下同)
注目される「東京近郊エリア」
出典:マンションリサーチ福嶋総研
上記グラフのように、東京都内では買取再販物件の割合が増加傾向にあります。一方で、昨今、連日報道されているように、都心部ではマンション価格が3年ぶりに下落に転じ、在庫が積み上がっている状況です。
買取再販市場でも都心部の物件は減少傾向にあり、たとえば2023年から2024年にかけて買取再販物件の数を大きく伸ばした中央区の晴海や勝どきでは、以下のように再販投資が急速に減速しています。
出典:マンションリサーチ福嶋総研
「過熱しすぎた都心部では価格調整局面に入ることが懸念されることから、買取再販業者は近年『東京近郊エリア』に目を向けている様子がうかがえます。とはいえ、東京近郊エリアのマンション価格はここ数ヶ月ほぼ横ばいで推移しているため、場所を選ばなければ、再販によって大きな利益を出すことはできません。
第二の大井町となり得るエリアとして有力なのは、まず『江東区内陸部東側』だと思います。このエリアは現在も都心までのアクセスに優れていますが、今後は東京メトロ有楽町線の延伸による交通利便性のさらなる向上が期待されています。鉄道インフラ整備は不動産価格に対して極めて大きな影響を与える要素であり、とくに『都心直結性』が強化されるエリアは、中長期的に住宅需要が高まりやすい傾向があります」
出典:マンションリサーチ福嶋総研
2020年以降築・100戸以上の大規模マンション分布を見ると、江東区内陸部東側では大型マンション供給が非常に集中していることが分かります。これは超都心部を除けば、東京都内でも有数の供給密集エリアといえます。大規模マンションが集積することで、街並みや商業環境が更新され、人口流入によってエリア価値の向上が進みます。
また近年のマンション開発では、単なる住宅供給ではなく、商業施設や広場、防災機能などを含めた「街づくり型」の開発が増えており、エリアそのものの評価が中長期的に押し上げられやすくなります。
出典:マンションリサーチ福嶋総研
「加えて、シンボリックマンションの在庫推移を見ても、江東区内陸部東側では相対的に流動性の低い物件が少ない状況です。たとえば、『プラウドタワー亀戸クロス 』では、在庫の減少傾向が確認されており、高い流動性を維持しています。これは購入需要が依然として強いことを示しており、エリアとしての評価が現在進行形で高まっていることを意味します。
つまり、江東区内陸部東側は『都心価格高騰による代替需要』『大規模開発』『交通インフラ強化』『高い流動性』という、大井町の価格上昇を支えた要素と非常に似た条件を備えているのです。今後、湾岸エリア一辺倒だった資金流入が内陸部へ分散していく中で、このエリアが“次の価格上昇エリア”として注目度を高めていく可能性は十分にあるといえるでしょう」
江東区内陸部東側に限らず、近年は東京の「イーストエリア」の利便性や魅力が再認識されつつあります。金町や小岩、立石などで大規模な再開発が進む葛飾区、地価上昇率の高さが目立つ北千住や綾瀬、北綾瀬などを擁する足立区もまた、相対的な割安感もあって注目されるエリアです。
「都心は『東』にシフトしつつあります。東京の中心である東京駅に出やすいのは、北側・南側・西側ではなく東側。良くも悪くも開発の余地が大きいという点からしても、割安感があり、将来性がある東京のイーストエリアに買取再販業者がさらに進出していくというのは自然な流れなのではないでしょうか」
有望エリアは「買取」による売却も有力な選択肢に
かつて、買取再販業者による買取価格は「相場の7掛け」というのが一般的でしたが、この常識も近年は変わりつつあります。とくに資産価値の上昇が見込まれるエリアでは、現に相場の8掛け、9掛け、あるいは相場価格と遜色のない買取価格が提示されることも少なくありません。
また、金額的には一定の妥協が必要であったとしても、買取の場合は仲介手数料がかからず、何より取引がスピーディー。最短数日での資金化が可能です。
近年、新築マンションは建設費の高騰を背景に狭小化が進み、以前と比べて仕様も全体的に簡素化されている傾向にあります。買取再販業者は、不動産の目利きのプロ。新築にはない中古マンションならではの価値やエリアの将来性などを評価してもらいやすいのも、買取という売却手段の大きな魅力といえるでしょう。
「2000年代前半、とくに2003年から2005年のマンションの魅力は大きいと思います。当時は今と比べて建築費が安く、多くの新築マンションが供給された時代でもあります。競争力が働いたことで、仕様やグレードも総じて高い。相対評価でマンションの良し悪しが判断できるのは、買取再販業者ならではです。
不動産会社の仲介による売却では、良くも悪くも『今』の価値が評価されます。しかし、買取再販業者は『未来』を見ていますから、この先有望なエリアはとくに、買取という売却方法が有力な選択肢になってくると思います」
あなたのケースにあった
ご成約者の声を見てみる
絞り込む