一戸建ての家の売却を成功させるには、売却方法の種類や引き渡しまでの流れ、かかる費用などをあらかじめ理解しておくことが重要です。そのうえで売却に際してやってはいけないことを把握しておくと、失敗を防ぎやすくなるでしょう。
この記事では、一戸建てを売却するときに知っておくべき基礎知識を、成功の決め手となる不動産会社の担当者の選び方とあわせて解説します。
一戸建ての家を売却する方法と選び方とは?
一戸建ての家を売る方法は仲介と買取があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。
種類 |
売却方法 |
メリット |
デメリット |
仲介 |
不動産会社に買主を探してもらって売却する |
不動産相場に近い価格で売却できる可能性がある |
売却までに時間がかかる |
買取 |
即時 買取 |
不動産会社に直接買い取ってもらう |
買取価格に納得すればすぐに現金化できる |
相場価格よりも安くなるケースが多い |
買取 保証 |
一定期間仲介を試みて、買主が見つからなかった場合に買い取ってもらう |
一定期間仲介による高値売却にチャレンジできる |
不動産会社に熱心に売却へ取り組んでもらえない恐れがある |
どの方法が適しているかは、一戸建てを売却したい理由や状況によって違います。たとえば期限があり売り急いでいるなら買取がおすすめですが、時間に余裕があるなら仲介を選んだほうが高値での売却を期待しやすくなるでしょう。
また比較的時間の余裕はあるものの、転勤までには売却したいなど期限が決まっている場合には、買取保証がおすすめです。
今回は、仲介による売却を中心にご紹介します。
買取について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
不動産買取とは? 買取の種類や仲介との違い、業者の選び方、成功ポイントを解説
一戸建ての家を売却する流れと期間
一戸建ての家を売却するには、どのような手順を踏むのでしょうか?
ここでは一般的な仲介による売却の流れを8ステップでご紹介します。
STEP1.まずは一戸建ての状況を確認しよう
まずは売却を検討している一戸建てが「今すぐ売れる」状況にあるかを確認します。以下の2点の状況次第では、売却に進めない恐れがあるので必ずチェックしておきましょう。
・名義は誰になっているか?
・境界は確定しているのか?
一戸建てに限らず、不動産は名義人本人でないと売却できません。とくに相続した一戸建てなどの場合、名義がご自身に書き替わっているかは重要です。また隣地との境界が確定していない場合もトラブルになりやすいため売却は困難になります。境界確認書があるかを調べましょう。
STEP2.おおよその相場を調べよう
一戸建ての査定を不動産会社に依頼する前に、おおよその相場を調べます。相場を把握していないと、査定額の妥当性を判断できないためです。一戸建ての相場は、以下の方法で調べられます。
不動産ポータルサイト |
近隣で売りに出ている築年数や構造などが似た一戸建てがあれば参考にしましょう。 |
AI査定(不動産会社のサイトや一括査定サイトなど) |
近隣の類似物件の過去の売却実例をもとにAIが参考価格を算出してくれます。 |
レインズマーケットインフォメーション |
対象エリア内で、不動産流通機構を通して実際に売却された物件の価格などを調べられます。 |
ただし一戸建ては個々に特有の特徴があるため、上記で調べた相場はあくまでも目安にしかならない点は理解しておきましょう。
相場の調べ方について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
STEP3.査定を依頼し不動産会社を選ぼう
おおよその相場を把握したら、複数の不動産会社に査定を依頼します。査定方法には次の2種類があり、まずは机上査定を受けてから訪問査定に進むのが一般的です。
机上査定(簡易査定) |
一戸建ての築年数や構造など、書類上の条件から簡易的に査定額を出す方法 |
訪問査定 |
実際に一戸建てを訪問し、劣化状況や立地条件、周辺環境などを考慮して査定額を出す方法 |
査定を受ける不動産会社は、どのように選べば良いのでしょうか?
一括査定サイトはミスマッチが起こりやすい点に注意!
近年、不動産会社の査定を受けるときには、一括査定サイトを利用する方が増えてきました。一括査定サイトを使うと、一度物件情報を登録するだけで複数の不動産会社に査定依頼を出せるので便利です。
ただし一括査定サイトは、不動産会社は選べても担当者は選べません。そのため「誠実に対応してくれなかった」「経験が未熟な人だった」などのミスマッチが発生しやすいのがデメリットです。
一括査定サイトはミスマッチが起こりやすい点に注意!
一戸建てを含む不動産売却の成功は、熱心に取り組んでくれる担当者と出会えるかどうかによって決まります。
とくに一戸建ては物件の個別性が高いので、担当者のエリアの精通度や実績は非常に重要です。実際、タクシエの調査では、不動産売却経験者の8割以上が「担当者探しは売却希望を叶えるために重要」と回答しています。
初めから担当者を重視して不動産会社を選びたい方は、一括査定サイトではなく担当者と直接マッチングしてもらえる「エージェント紹介サービス」の利用を検討すると良いでしょう。
STEP4.不動産会社と媒介契約を結ぼう
一戸建ての家の売却を依頼する不動産会社を選んだら、次の3種類のなかから媒介契約を結びます。
種類 |
特徴 |
一般媒介契約 |
・複数の不動産会社と同時に媒介契約を結べる
・レインズ*への登録、売主に対する販売活動の報告義務はない |
専任媒介契約 |
・1社の不動産会社とのみ媒介契約を結ぶ
・7営業日以内のレインズへの登録義務、2週間に1回以上の売主への販売活動報告書の提出義務がある
・売主は自分で見つけた買主と直接売買契約を結んでも良い
|
専属専任媒介契約 |
・1社の不動産会社とのみ媒介契約を結ぶ
・5営業日以内のレインズへの登録義務、1週間に1回以上の売主への販売活動報告書の提出義務がある
・売主は自分で見つけた買主と直接売買契約を結ぶことはできない
|
※レインズ:国土交通省の指定を受けた不動産流通機構が運営するコンピュータネットワークシステム
基本的には、高い需要が見込めるなど広く買主を募りできるだけ高く売りたいときには一般媒介契約を、不動産会社と二人三脚でじっくり売却に取り組みたいなら専任系を選ぶと良いでしょう。
STEP5.売却活動を始め内覧に対応しよう
媒介契約を締結したら、不動産会社はポータルサイトや自社サイトへの物件情報掲載、チラシの配布、広告出稿などをおこない買主を探し始めます。売主は販売活動報告書で不動産会社の動きをチェックしつつ、購入希望者が現れたら実際に一戸建てを見に来る内覧に対応しましょう。売却活動の期間は、3〜6カ月かかるのが一般的です。
STEP6.買主と売買契約を結ぼう
一戸建ての買主が決まったら、売買契約を締結します。売主はこの時点で売買代金の20%以内の手付金を受け取り、仲介手数料の半額を払うのが一般的です。手続きが済んだら、決済日までに新居への引っ越しを済ませましょう。
STEP7.決済して家を引き渡そう
買主の住宅ローンの手続きが終わるのを待ち、司法書士の立ち会いのもと決済・引き渡しをおこないます。売主は残金を受け取って一戸建ての鍵などを引き渡し、不動産会社に仲介手数料の残りを支払います。
STEP8.売却益が出た場合は確定申告しよう
売却金額から一戸建てを購入したときにかかった費用や経費、建物の経年劣化による減価償却費、売却に際してかかった経費などを差し引いてなお利益(譲渡所得)が出た場合には、翌年3月に確定申告が必要です。
一戸建ての家の売却でかかる費用を把握しておこう
一戸建ての家の売却では以下のような費用もかかるので、あらかじめ想定しておきましょう。
必ずかかる費用 |
仲介手数料 |
売却価格が400万円以上の場合「(取引価格(税抜)×3%+6%)+消費税」が上限。3,000万円の場合で105.6万円。金額が大きくなりがちなので、現金を残しておきましょう。 |
印紙税 |
買主と交わす売買契約書に収入印紙を貼付します。1,000万円超〜5,000万円以下で1万円です(軽減税率適用の場合)。 |
場合によってはかかる費用 |
登録免許税 |
売却する一戸建てに抵当権が付いている場合、抹消登記する際に必要です。建物と土地それぞれ1つにつき1,000円かかります。 |
司法書士報酬 |
抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合に支払います。依頼先によって異なりますが、5,000円〜1万円+実費が相場です。 |
譲渡所得税 |
一戸建てを売却して利益が出た場合、利益に対して約20%〜40%程度の譲渡所得税が発生します。マイホームの売却の場合、一定の要件を満たすことで3,000万円まで控除される特例などを受けられる可能性があるので、売却の翌年には確定申告をおこないましょう。 |
一戸建ての家の売却でやってはいけないこととは?
一戸建ての家を売却するときに「やってはいけないこと」を5つ紹介します。
売却前に家を解体・撤去して更地にする
売却を考えている一戸建てが古いという理由で、家の解体や撤去を考える方がいますが、自己判断で進めるのは避けるのが無難です。家の解体・撤去にかかる費用は構造や立地条件などによって異なりますが、場合によっては数百万円かかることも。しかし費用をかけて解体しても、土地の売り出し価格に上乗せして回収できるとは限りません。
古い一戸建ての家を売るときには、そのままの状態で「古家付き土地」として売却する選択肢もあります。市場のニーズによってもどのような対応を取ると良いかは違うため、まずはエリアの事情に精通した不動産会社に相談しましょう。
大がかりなリフォームをする
リフォームについては、費用回収が難しくなる大がかりな工事は避けるのが無難です。とくに近年は、中古で購入した一戸建てを自分好みにリノベーションして住みたいと考える人が増えています。そのため購入希望者の好みに合わないリフォームをするよりは、かけるつもりだった費用分の値引き交渉に応じるほうが現実的です。
ただし生活していくうえで欠かせない住宅設備の修繕や、多くの人が気にする水回りのハウスクリーニングなどは、内覧者の購入意欲を高める効果も。リフォームについても、どのような対応が望ましいかはそのエリアの需要によって異なります。自己判断でのリフォームは基本的に避け、不動産会社に相談して判断しましょう。
1社でしか査定を受けない
一戸建ての家を高く売却したいと考えるなら、複数社に査定を依頼しましょう。1社でしか査定を受けなければ、出された査定額が適正なのかを判断できないためです。とくに一戸建ては個別性が高くそれぞれが一点ものなので、査定額は不動産会社によって大きく異なるのが一般的です。
しかしこのことを知らずに、1社だけの査定価格を信じて売却活動をおこなう人は少なくありません。実際、タクシエが日本トレンドリサーチと共同でおこなったアンケートでは、不動産売却をした際1社にしか査定依頼をしなかった人が59.1%と最多の結果となりました。
【出典】日本トレンドリサーチ
複数社の査定を受けていれば、もっと高く売却してくれる不動産会社が見つかったかもしれないのに、とてももったいないことですよね。
また不動産売却は、担当者の経験や実績などによっても大きく結果が左右されます。大切な一戸建てを納得いく形で手放したい場合は、複数社の査定を受けて出された価格と、担当者の実力を比較しましょう。
査定価格で売れると見込み資金計画を立てる
不動産会社から出される査定価格は、あくまでも「売却に至ると考えられる予想価格」であり、売却が確約された買取価格や見積もり金額ではありません。そのため査定で出された金額で売りに出したとしても、値下げしなければ売れないこともあり得ます。
にもかかわらず、査定を受けた価格で売れると見込み、先走って新居を購入してしまうと、資金計画が狂い後悔することになりかねません。「査定価格=売却価格」でないことは、よく理解しておきましょう。
一戸建ての家の売却を成功させるポイントは担当者選びにあり!
先にご紹介したとおり、一戸建ての家の売却を成功させるには、パートナーとなる担当者選びがもっとも重要なポイントになります。すべてが一点ものである一戸建ての売却は、担当者がどれだけエリアに精通しているか、一戸建ての売却経験があるかが成否を左右するためです。
タクシエが日本トレンドリサーチとおこなったアンケート調査でも、「満足な売却ができた」理由として、以下のように「担当者に満足した」との回答が複数寄せられました。
”信頼できる仲介者により納得感のある売却ができた(70代・男性)
担当者がきちんとした段取りをしてくれて、安心できた。(70代・女性)
親身になって相談に乗ってくれたから。(70代・男性)”
【引用】日本トレンドリサーチ
とはいえ「『信頼できる担当者』をどう見つければ良いのかわからない…」という方も多いのではないでしょうか?
担当者を重視して選ぶならエージェント紹介サービスがおすすめ
初めから担当者を重視して不動産会社を選ぶなら、エージェント(担当者)と直接マッチングできる「エージェント紹介サービス」を利用するのがおすすめです。
たとえば三菱地所グループが運営し、大手仲介会社のエース級担当者が登録されているタクシエなら、担当者それぞれのこれまでの売却実績を確認できるので安心です。売却希望にもっともマッチ度が高い3名の担当者とマッチングされるので、ミスマッチの可能性を大きく減らせます。
マッチングされたあとは、チャットで気軽にコミュニケーションを取りながら担当者を見極められるのもおすすめポイント。大切な家の売却を任せられるパートナーは、タクシエで探しましょう。
まとめ
一戸建ての家の売却は、あらかじめ流れを把握しておくと次にすべきことが予想できるので安心して進められます。自己判断で解体やリフォームをおこなうと、よかれと思ったことが無駄になる可能性もあるので、まずは不動産会社に現状を見てもらって相談しましょう。
なお、個別性が高い一戸建ての家の売却は、「不動産会社」ではなく、一戸建ての売却経験が豊富でエリアに精通した「担当者」を選ぶことが重要です。直接担当者とマッチングできるエージェント紹介サービスの利用を検討し、安心して任せられるパートナーを選びましょう。