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『会社移転』で必要な手続きと失敗しないためのポイントとは?

2020.03.05

より好立地な場所、設備が整ったオフィスへの移転など会社の移転を考える理由はさまざまだが、個人の引っ越しとは違い、会社の移転にはより煩雑な手続きが必要になる。今回は会社移転で失敗しないための手順と手続きを紹介する。

『会社移転』するのはどんなとき?内的な要因と外的な要因とは?

『会社移転』はどの会社でも発生しうるし、その理由もさまざまだ。企業が移転を検討する理由は、大きく2種類に分類できる。「外的要因」と「内的要因」だ。「外的要因」は、たとえば入居しているビルの老朽化、あるいは再開発などによる建て替え、立ち退きのほか、賃貸契約の満了時にオーナーの事情で更新を希望しない場合など、会社の都合ではなく外的環境の変化によるものだ。
一方の「内的要因」は、会社自身の都合によるもの。人員が増えてオフィスが手狭になった。業績が拡大し、倉庫や工場の拡大が必要になった。創業時はできるだけ賃料を抑えることを意図していたが、より好立地の物件に移転したい。また、立地を変えることで企業のブランド力を高めたい、人材採用に有利な環境にしたいなども、会社移転の理由になる。

もちろん、業績悪化による移転もあるが、多くの場合、会社の移転はポジティブな理由が多い。

これを「手続きが面倒そうだ」「時間もお金もかかってしまう」と躊躇すると、場合によっては企業の成長を滞らせてしまうこともある。慎重な判断は必要だが、会社移転に関してどんな手続が必要か、どんな手順で進めるべきかを知っておくことは必要だろう。

『会社移転』をする場合の手順とは?

『会社移転』をする場合の手順

この図のように、『会社移転』を進めることが多い。いきなり移転先の物件探しに入るのではなく、まず「現状調査」から行うことが重要だ。現在のオフィスの立地、就業人数の把握では、今後の人員計画も加味しておく必要がある。現在の契約条件やオフィスの使い勝手なども従業員からヒアリングしておき、新たなオフィスの参考にしておくといいだろう※。

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この分析を踏まえて、移転希望のエリア、面積や予算などの条件を策定する。そこから具体的な物件探しに入ることになる。複数の候補から物件の絞り込みを行い、その後内見を重ねていくが、この際に従業員の意見も積極的に取り入れておきたい。また、複数の物件で移転コスト、内装・レイアウトにかかるコストも見積もって、移転先選定の参考にしておくべきだ。賃料ばかりに目が向いていると、想定外の費用がかかることもある。

移転先の物件が決まったら、貸主との契約条件交渉を経て、契約に至る。契約が済んだら、移転の準備になる。引越業者だけでなく、内装などを始め、新オフィス移転のためにやっておくことは多い。移転予定日までにスムーズに進むよう、調整が必要になる。また、現オフィスの解約手続き、原状回復も欠かせない。移転計画の早い段階で契約内容を確認しておくべきだろう。

また、『会社移転』に伴うさまざまな手続きも忘れてはならない。

『会社移転』で忘れてはならない手続きとは?

『会社移転』は、ただ場所を移っただけでは完了しない。さまざまな「公的な手続き」が必要になる。どれも欠かせない手続きであり、期限内に終わらせなければならない。

法務局

会社移転の際には、登記している法務局への「移転の登記申請」が必要。移転先が現在の管轄法務局と異なる場合には現在の管轄法務局と新住所の管轄法務局の両方で登記申請が必要となり、申請書を2通作成しなければならない。
(申請書は旧住所法務局で2通分の提出が可能)
また定款に本店住所(本社所在地)が記載されており、変更となる場合は定款の変更も必要となる。
(定款の変更は株主総会の特別決議が必要となる)

※登記費用として登録免許税3万円、管轄が変わる場合は登録免許税6万円が必要

移転後、
2週間以内

労働基準監督署

労働基準監督署へ「労働保険名称所在地等変更届」を提出する。
e-GOVを利用して、インターネットでの手続きができる。ハローワークへ「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出する。

移転後、
10日以内

税務署

税務署に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」、「所得税(消費税)の納税地の異動に関する届出書」を提出する。
納税地が変わる場合は、現在の管轄税務署、新住所の管轄税務署の双方に提出しなければならない。e-Taxでの届け出も可能。

移転後、
一ヵ月以内

年金事務所
健康保険組合

年金事務所および健康保健組合に「適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を提出、住所変更の手続きを行う。
移転先で管轄する年金事務所が変わる場合と変わらない場合で申請書の書式が異なるので注意が必要。

移転後、
5日以内

都道府県税事務所

管轄する都道府県税事務所に住所変更の書類を提出。

都道府県税事務所によって、提出書類、提出期限が異なるので事前に確認しておくこと。

都道府県税事務所によって異なる

市区町村

地方税に関する法人等異動届出書」を提出。
登記事項証明書が必要になるが、書式や期限は市区町村によって異なるので注意が必要。

市区町村によって異なる

公共職業安定所

公共職業安定所へ「事業主事業所各種変更届」を提出。

移転後、
10日以内

警察署

自動車を所有している場合、車庫証明(自動車保管場所証明申請書)」の提出が必要。
また、「安全運転管理者変更届」も提出。

管轄が変わらない場合と変わる場合で手続きが異なるため、事前に確認しておく必要がある。

移転後、
15日以内

税務、法務、労務関係と公的な手続きは上記のように多岐にわたる。多くの場合、移転後に手続きをすればいいが、煩雑になるため事前に準備をしておいたほうがいいだろう。上記の中で最も期限が短いのは、年金事務所への所在地変更届で、移転後5日以内となっている。漏れがないように注意したい。

また、上記以外にも、郵便局への届け出をしておくと移転後も一年間は、旧住所への郵便物を転送してもらえる。さらに、銀行への住所変更届、取引先への移転連絡は事前にしておいたほうがいいだろう。

忘れてはいけない、旧物件の解約と原状回復

『会社移転』は、準備と実行、各種手続きとやるべきことがたくさんある。その中でも忘れてはならないのが、旧物件の解約手続きと原状回復だ。「『会社移転』をする場合の手順は?」でも触れたが、契約解除の際に違約金などが発生しないか、契約満了の時期はいつかなど、契約内容を確認しておかなければならない。その内容によっては、会社の移転時期が変わる可能性もある。また、大きなポイントは原状回復だ。貸主との契約解除時のトラブルでは原状回復に関わる部分が多くを占めている。丁寧に対応することで無用なトラブルは避けることができるので、「どうせ出ていく」という考えではなく、きちんと原状回復の内容を物件の所有者と確認しておきたい。

『会社移転』は、最初に述べたようにポジティブな理由で移転することが多い。移転によって従業員の士気の向上、生産性の向上を実現することも多い。また新たな取引先の開拓のきっかけになるほか、ブランドイメージ向上、人材採用への貢献といった効果も期待できる。
『会社移転』を成功させるためにも、早期から信頼できる不動産会社に相談しておくと、総合的なサポートをうけることもできるだろう。

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