拡大を続ける中古マンション市場ですが、売りに出せばすぐに買い手が見つかるとは限りません。マンションがなかなか売れないときには、どのような理由があるのかを考え、適切な対策を講じることが重要です。
この記事では、マンションが売れない10の理由と打つべき対策、どうしても売れない場合の対処法を解説します。
マンションの売却にかかる期間はどれくらい?
まずは、マンションの売却にはどれくらいの期間がかかるのかを確認しましょう。
東日本不動産流通機構が発表した首都圏不動産流通市場の動向(2022年)によると、首都圏の中古マンションの売却にかかる平均日数は71.4日となっています。つまり市場に出されたマンションは、2カ月半以内に売却されている計算です。
不動産会社との媒介契約の期間は3カ月となっているので、1回目の契約で売却できなかった場合はその理由を考え、対策を講じる必要があるといえます。
マンションが売れないときのよくある10の理由と考えられる対策を解説します。
マンションが売れないときのよくある10の理由と対策
マンションが売れないときの理由とその対策について考えていきましょう。
理由1. 需要が少ないエリアにある
マンションのある場所が人口減少の進む地方都市であれば、そもそもの需要が少なく購入希望者を見つけるのは困難です。また都心であっても通勤・通学に不便なエリアだったりする場合は、利便性を重視する購入希望者には関心を持ってもらいにくくなります。
対策:地元事情に精通した仲介担当者に依頼する
需要が少ないエリアにあるマンションの売却は、その地域の不動産事情に精通した担当者がいる不動産会社に依頼することが重要です。
地元で長く営業しているような不動産会社は、エリアの市場ニーズを把握し、確度が高い顧客リストを有している可能性が高いです。また地元に詳しい担当者であれば、周辺環境を含めて物件の魅力を買い手にアピールしてもらうことも期待できるでしょう。
理由2. 売り出し価格が相場より高い
売り出し価格は不動産会社が出す査定価格をもとに決められるケースがほとんどですが、最終的に決めるのは売主です。そのため「買い替え資金にしたいからせめて〇千万円で売りたい」など、売主の希望が反映されることも少なくありません。
一方、中古マンションの購入検討者は、できるだけ程度のいい物件をお得な価格で買いたいと考えているものです。そのため売り出し価格が相場より高いと、その時点で候補から外してしまう傾向があります。
対策:市場相場に詳しい仲介担当者に相談して価格を決める
売り出し価格が相場よりも高い場合、相場価格まで下げるだけで購入希望者が現れることもあります。
ただし、売り出し価格は市場ニーズや物件個々の事情によって、慎重に決めなければなりません。なかなか売れないからといって安易に値下げしてしまうと、訳アリ物件と警戒される可能性もあるので注意が必要です。
市場を読み、適切なタイミングで売り出し価格を調整するのは、プロに任せるのが無難です。マンションがあるエリアの市場動向に詳しい担当者に相談し、慎重に検討しましょう。
理由3. 築年数が古い
築年数が古いことが、マンションが売れない原因となる場合もあります。
以下のグラフは、東日本不動産流通機構が発表している中古マンションの対新規登録成約率(築年帯別)を表したものです。
※「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」(東日本不動産流通機構)を参考に作成
中古マンションの対新規成約率は、新築マンションと競合する築5年まではやや低めではあるものの、築20年までは30%前後を維持しています。しかし築20年を超えたあたりから20%を下回り始め、築30年を超えると約10%程度にまで落ち込みます。これは築20年を超えるマンションは劣化が気になることが、理由として考えられます。
対策:インスペクションや瑕疵担保保険を検討する
マンションが売れない理由が築年数にあると考えられる場合は、買い手が抱える不安を払しょくすることがもっとも効果的な対策になります。戸建てのように土地を専有していないマンションでは、建物に問題がないとアピールすることが大切です。
例えば不動産会社に相談し、インスペクションを受けるのも方法のひとつです。インスペクションとは、住宅の専門家がおこなう住宅診断を指します。インスペクションで現状問題がないことを第三者に証明してもらい、さらに瑕疵担保保険(売却後に不具合が発覚したときに補償を受けられる保険)に加入すると、買い手の安心感を高めて売却につながりやすくなるでしょう。
理由4. 築年数に比べて劣化が進んでいる
中古マンションを検討する人は、ある程度の劣化を考慮しています。しかし、築10年ほどで喫煙者がいたことで壁紙が大変汚れている場合など、予想以上の劣化が進んでいると、購入への意欲が低くなります。
対策:不動産会社の売却サポートを利用する
内装や設備の劣化が気になる場合、簡単なリフォームやハウスクリーニングを行うことをおすすめします。売却サポートとして、このようなサービスを提供している不動産会社を選ぶことで、コストを抑えながら価値を向上させることができます。
ただし、中古マンションを購入してフルリノベーションを希望する人も少なくありません。マンションがあるエリアでどのようなニーズがあるかを把握し、不動産会社のアドバイスを聞いて最終決定を行いましょう。
理由5. 買い手へのアピールが不十分
内覧者があまり現れない場合、物件の魅力が買い手に伝わっていない可能性があります。不動産売買はインターネットが主戦場であるため、サイトに掲載される写真や動画の質が重要です。魅力的に見えなければ、興味を持ってもらうことが難しくなります。
対策:マンション売却に強い仲介担当者を選ぶ
まずは、物件が不動産会社のウェブサイトやポータルサイトでどのように掲載されているか確認しましょう。魅力が伝わらない場合は、担当者に相談して改善を求めましょう。
仲介担当者選びも重要です。マンションに強い不動産会社でも、担当者が売却に慣れているかは分からないため、仲介担当者紹介サービスなどを利用し、担当者個人の専門分野や実績を確認することが大切です。
理由6. 内覧がうまくいっていない
内覧者がいるものの購入申し込みに進まない場合、内覧がうまくいっていない可能性があります。内覧に来ることは、価格や物件の広さ、間取りなどに問題がないと考えられます。内覧では、購入希望者に入居後のポジティブなイメージを思い描いてもらえるよう、工夫することが重要です。
対策:ハウスクリーニングやホームステージングを検討する
部屋を見に来たときにひどく汚れていたり散らかったりしていると「大切にされていない」と思われてしまうため、まずはきれいに掃除することが先決です。特に住みながらの売却では、部屋を広く見せるため、不要なものは処分しましょう。マンションは共用部分も評価されるので、内覧当日はゴミが落ちていないか確認が重要です。
すでに新しい住戸に引越し空室になっている場合は、不動産会社の売却サポートを活用するなどし、水回りだけでもハウスクリーニングに入ってもらうとよいでしょう。おしゃれな家具やインテリアを飾るホームステージングも効果的です。これにより、入居後の生活をイメージしやすくなりますので、担当者に相談してみましょう。
理由7. 管理費や修繕積立金が相場よりも高い
近隣の同じ築年数のマンションに比べ、管理費や修繕積立金が高い場合、買い手が敬遠しがちです。これらの費用は購入後も継続して支払う必要があるため、負担を感じてしまうためです。
対策:管理費や修繕積立金が高い理由を仲介担当者に説明してもらう
管理費や修繕積立金が高くても、納得できる理由があれば問題ありません。共用ジムがある場合や、優れたセキュリティシステムが整っている場合など、アピールポイントになることもあります。
そのため、管理費や修繕積立金が高い場合は、物件の魅力を正確に把握し、買い手に理由を適切に説明できる仲介担当者に依頼することが重要です。
理由8. 良い条件の競合物件が多い
同じマンション内に複数の売り出し中の住戸があり、条件がより良い場合、売れにくくなります。また、近隣で新しいマンションが安く売られている場合も、そちらが先に売れることがあります。
対策:エリアの市場動向に精通した仲介担当者に戦略を立ててもらう
競合に対抗して価格を下げることも考えられますが、価格競争に陥る可能性があるため慎重に検討が必要です。売却期限に余裕がある場合、売り出しタイミングをずらす方法もあります。
いずれにしても、市場動向を見極めて物件に合った戦略を立てることが大切で、エリアの不動産事情に詳しい仲介担当者に相談することが重要です。
理由9. 間取りが市場ニーズとマッチしていない
間取りが市場のニーズと合っていない場合、買い手が見つかりにくくなります。例えば、単身者の需要が高いエリアでは、ファミリー向けのマンションは売れにくいです。また、近年人気のない間取り(対面キッチンでない、和室があるなど)は、関心を集めにくい傾向があります。
対策:幅広い顧客層を持つ不動産会社に売却を依頼する
ターゲットが限定的なマンションの売却は、多様な顧客層を持つ大手不動産会社に依頼することで、アプローチできる買い手の母数が増えます。
また間取り自体が不人気と考えられるケースでは、リノベーションを前提としている買い手を探すのも方法のひとつです。リノベーションとセットで提案してくれる不動産会社に依頼することも検討しましょう。
理由10. 仲介担当者選びが適切ではない
不動産会社の担当者には、戸建てが得意、土地の売買に注力しているなど、それぞれ得意分野があるのが一般的です。そのためマンションを売りたいのに戸建てが得意な担当者に依頼しても、うまく戦略を立てられず、なかなか売れないことがあります。
対策:仲介担当者紹介サービスを利用する
マンション売却時には、担当者選びが重要です。その実力が売却成果に大きく影響するからです。
ただし、担当者の強みを見極めるのは難しいです。一括査定サイトでは、不動産会社を提案してくれても担当者までは選べません。
そこで、「仲介担当者紹介サービス」がおすすめです。これは担当者と直接マッチングできます。例えば、三菱地所グループが運営するTAQSIE(タクシエ)では、物件情報を登録すると、エリア内でマンション売却実績や買い手を持っている担当者とマッチングされます。プロフィール、実績、買い手情報を見て、相談したい担当者を選べます。ぜひ検討してください。
そうですね。これらの理由が当てはまることが多いと思います。
不動産エージェントとのマッチングサービスTAQSIE(タクシエ)では、大手不動産会社を中心に厳選された担当者が揃っており、あなたの物件やニーズに合わせて最適な売却のプロをご紹介します。
マンションがどうしても売れないときにはどうすればいい?
マンションがなかなか売れない場合、不動産会社の買取や賃貸という2つのオプションを検討することが有益です。それぞれの選択肢を解説します。
売却を急ぐ場合は買取を検討する
マンションが売れない時は、不動産会社の買取を検討してみましょう。買取は、不動産会社が直接買い取る売却方法です。
マンションを所有している限り、毎月の管理費、修繕積立金、毎年の固定資産税や都市計画税などの費用がかかります。買取の売却価格は仲介よりも低くなる傾向がありますが、買主を探す必要がなく、早ければ1週間で現金化できるのが利点です。
売却期限があるものの、時間に比較的余裕がある場合は、「買取保証付き仲介」も検討できます。これは、一定期間仲介で売却を試み、売れなかった場合に買取を行う方法です。
全てのマンションが買取対象になるわけではありませんが、売れずに困っている場合は、不動産会社に相談してみましょう。
不動産の買取について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
不動産買取とは? 買取の種類や仲介との違い、業者の選び方、成功ポイントを解説
賃貸に出すかどうかは慎重に検討しよう
マンションが売れない場合、賃貸を検討するのも選択肢の一つです。ただし、注意が必要です。
まず、もしマンションに住宅ローンが残っている場合、原則として賃貸に出すことはできません。住宅ローンは、借り入れた本人が住むことが条件となっているためです。
住宅ローンを完済していれば賃貸に出せますが、賃貸契約を結ぶと、所有者の都合で退去してもらうことが難しくなります。また、賃貸に出す場合でも、管理費や修繕積立金は通常オーナーが負担することが一般的です。
空室リスクや経年劣化による修繕費の負担なども考慮し、不動産会社と相談しながら注意深く検討することが重要です。
まとめ
マンションがなかなか売れないときには、その理由を見極めたうえで適切な対策を講じる必要があります。しかし、複合的な理由があるのが一般的です。どのような手を、どんな順番で打つのかは、不動産会社に任せるのが無難でしょう。
そのため売主としては、マンション売却が得意な担当者を見つけることがもっとも重要になります。担当者の実力を見極めて不動産会社を選びたいときには、マッチングサービスを利用するのが効率的です。
三菱地所グループのTAQSIE(タクシエ)は、地域内でマンション売却実績が豊富な仲介担当者を紹介してくれます。プロフィールや実績、買い手情報を確認し、チャットで直接コミュニケーションを取りながら、売却を依頼する担当者を選ぶことができます。このサービスを活用し、適切な対策を立てましょう。
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