コミュニケーションを活性化させるオフィス改革

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目次

コロナから2年半、改めてオフィスの在り方を考える

新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延で、急遽加速したリモートワークの導入から2年半余りを経て、昨今では感染症の収束後を見据えた働き方とオフィスの見直しを課題とする企業が増えている。

オフィス以外で働く環境の整備が進んだこともあり、多くの企業はリモートワークの継続を予定している。
加えて、働き方の多様化によりフレキシブルな就業体制を望む人材が増加しており、就業者の約7割が転職経験者という調査結果もある。
このような時代にオフィスの役割は今後どうなるのか。オフィスの先進事例も交えながら紹介する。

対面でのコミュニケーション不足による影響

オンラインによるコミュニケーションはこの数年で浸透した。在宅勤務を中心にリモートワークも広まり、ワークライフバランスの充実など、さまざまな利点の実体験により、働き方の変化は多くの社員に好意的に受け入れられているのではないだろうか。
一方で、従来は当然だった対面コミュニケーションの減少による課題も浮かび上がっている。部下の「困りごと」や「悩み」への初動対処の遅れなどは最たる例だ。リクルートワークス研究所が発表した「職場における集まる意味の調査」によると、「たまたま出会ったり、予定していなかった人との情報交換」など、オフィスでの偶発的な出会いから発生するコミュニケーションが減ったと感じている人が多いようだ。社員同士の気軽な交流や助け合いの減少は職場の一体感や帰属意識の低下などの中長期的な課題につながる懸念がある。

職場の他者と関わる機会

出典:リクルートワークス研究所「職場における集まる意味の調査」(2021年10月)
出典:リクルートワークス研究所「職場における集まる意味の調査」(2021年10月)

ニューノーマル時代に求められるオフィスの再定義

「仕事はオフィス以外でもできてしまった」という実体験の広まりは、社員がオフィスを必要とするシーンの変化にもつながった。以前はオフィスの主役といえた固定席は重要度が低下し、わき役に見られがちだった会議室や誰もが自由に利用できるフリースペースなど、社内外の人が自由に交流可能なエリアが「オフィスならではの機能」としてニーズを高めている。ハイブリッドワークが普及したニューノーマル時代におけるリモートワークでの「個の働き」とオフィスワークでの「交流による創造」。この2つの良好なバランス構築を企業や部署それぞれのカラーを活かしながら可能にする、「社員が出社したくなる」「生産性が向上する」オフィスの再定義が求められている。

自社に最適なコミュニケーションスペースの選択を

コミュニケーションを誘発するスペースは複数の種類がある。業務内容や働き方に合わせて最適なスペースを選択していくことが必要となる。

個室型スペース

集中作業やweb会議、守秘義務のある業務などに活用できる。

会議スペース

面積はプロジェクトを進める規模に合わせて検討する必要がある。

来客用スペース

社外関係者からの印象に繋がる重要なスペース。サイネージやウォールアートなど、会話に繋がる仕掛けを意識していきたい。

1on1ミーティングスペース

守秘義務のある話や上司と部下で落ち着いて会話をしたいときなどに活用できる。

ファミレス席

主に複数名のミーティングスペースとして活用。オープンとクローズの良いとこどり空間。web会議にも対応できる。

フリーアドレス

部署を超えたコミュニケーションの創出が期待できる。

リラックススペース

ボードゲームを置いて遊び場として機能させる、芝生にクッションなどを置き、カフェスペースよりほっと一息つける場とするなど家具によって使い方が変わる。

マグネットスペース

コーヒーメーカー、ライブラリー、ごみ箱など社員が自然と集まる場所を設置し偶発的な出会いを促す。

カフェスペース

打合せや休憩など多用途に使える場。社内のイベントにも使える。

偶発的な出会いの創出を意識する

オフィスに行けば他部署の人や普段のリモートワークではコミュニケーションを取る機会が少ない人と出会えるチャンスが生まれる。⑥・⑧・⑨などを設けると出会えるチャンスを活かすことができる。

OPENとCLOSEのバランスを考える

リモートワークでできるからといって、集中作業等に適したクローズ空間を設けないことはかえってストレスになることもある。社員の働き方に合わせてオープンな空間とクローズな空間をバランスよく配置することも大切だ。

フレキシブルを意識する

コロナの感染状況に合わせて、出社率が変動する企業は、キャスター付きデスクや組み合わせると打合せブースになる個室型ブースなど、コミュニケーションの目的に合わせて、すぐに変更できる什器を使うとオフィスを有効活用できる。

カルビー株式会社共感、協働、共創をテーマにした
ハイブリッドワークにおける交流基地

早くからハイブリッドワークに積極的な取り組みを実施したカルビー。新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年7月からは、オフィス勤務者のモバイルワークを原則とするニューノーマルな働き方を導入している。
2021年9月のオフィスリニューアルでは、それまでの2フロアを1フロアに集約。個人で進行できる業務や報告型の会議はリモートを前提とする一方で、社員同士やクライアントとの交流、教育やディスカッションなどの「コミュニケーション強化による新たな価値創造の場」としてオフィスを位置づけた。各デスクをあえてばらばらに配置することで生み出された複雑な動線が、社員同士の交わりを増やしているそうだ。

新オフィスのコンセプトは「Dig up field~新しいを掘りだそう~」。「畑」をモチーフにデザインをまとめるなど、企業カラーをしっかりと表現している。

株式会社Legaseedお客様や社員が来たくなる、
会社の存在価値を体現した空間

レガシードではコロナ禍で全社員がリモートワークに移行し、オフィスの縮小も検討していた。しかし、実際に選んだのは前オフィスよりランクアップした品川の駅近オフィス。オンライン時代だからこそ、「お客様が訪れたくなる場所」「社員が働きやすく生産性があがる場所」を目指してオフィス設計を行った。
“都会のオアシス”をコンセプトにしたオフィスは、無限の可能性を表現した「∞」の形になっており、社名の由来、創業からの歴史、目指したい未来、大切にしたいフィロソフィーなど、オフィス全体を使って表現。執務エリアはコミュニケーションを取りやすいように同じ空間にし、一方でオンライン商談用のブースや会議室なども複数設け、働きやすい環境をつくっている。

洞窟のようなエントランスを抜けると、都会のオアシスをイメージした空間が広がる。カウンターバーも設置されており、社員の憩いの場となっている。

まとめ

課題の抽出・分析で最適なオフィス改革を

コロナ禍でハイブリッドワークなどの新しい働き方が定着し、企業はオフィスを再定義すべき時期に差し掛かってきています。オフィスに「コミュニケーションの活性化」を求めるのは1つの選択肢であり、重視すべき点は企業によって異なります。三菱地所リアルエステートサービスではオフィスの課題や状況を把握し、多角的な分析をすることで、オフィス戦略をサポートします。この機会にぜひご相談ください。

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