不動産の売却を検討しているものの、売却後の確定申告に不安を抱えている方もいるでしょう。
不動産売却による確定申告には、さまざまな書類が必要になります。特例を適用する場合は、多くの資料を用意しなくてはなりません。スムーズに確定申告を済ませるためにも、不動産売却を検討している段階で確定申告の必要書類を把握しておくことが大切です。
本記事では、不動産売却による確定申告の必要書類を解説します。
- この記事を読むと分かること
-
- 不動産売却による確定申告の必要書類
- 特例を受ける場合の必要書類
- 不動産売却による確定申告のやり方
家を売りたくなったらタクシエ
三菱地所リアルエステートサービスが
あなたのエリアで実績の多い不動産会社をご紹介!
チャットで完結OK!
しつこい営業電話はありません!
不動産売却による確定申告の必要書類【基本のパターン】

不動産売却により確定申告をする場合は、基本的に以下の書類が必要になります。
- 確定申告書第一表、第二表
- 確定申告書第三表(分離課税用)
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
- 売買契約書の写し
- 取得費を確認できる書類
- 譲渡費用を確認できる書類
- 本人確認書類
それぞれの詳細について解説します。
▼関連記事
不動産売却の方法とは?流れや必要書類、発生する税金を解説
確定申告書第一表、第二表
確定申告をする際は、確定申告書第一表・第二表が必要です。第一表、第二表には、以下のような内容を記載します。
- 給与所得や事業所得など、総合課税の対象になる所得の内訳
- 社会保険料控除や医療費控除など所得控除の内訳
- 源泉徴収税額
- 所得税の納税額
不動産の売却益は、第一表・第二表には記載しません。譲渡所得のみを申告する場合でも、所得税の納税額を記載するため提出する必要があります。
確定申告書第三表(分離課税用)
確定申告書第三表は、譲渡所得や山林所得など分離課税の対象になる所得を記載する書類です。不動産の売却益は譲渡所得の収入金額に該当するため、第三表が必ず必要になります。
確定申告書第三表で譲渡所得の税額を計算します。特例を適用する場合は、条文の記載も必要です。
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
譲渡所得の内訳書は、売却した不動産の情報や譲渡所得の計算過程を記載する書類です。確定申告書とあわせて提出する必要があります。
確定申告書と譲渡所得の内訳書は、以下の方法で入手できます。
確定申告書の様式は、税務署の窓口で受け取れます。申告期間中であれば、市役所で様式を配布している場合もあります。ただし、自治体によって取り扱いが異なるため、市役所で受け取りたい場合は、事前に電話で確認しましょう。
また、住んでいる地域を管轄している税務署に連絡すれば、申告書を送ってもらえます。
売買契約書の写し
売買契約書の写しは税務署に提出しませんが、不動産の取得費や売却価格を確認する際に使います。不動産の購入時と売却時の売買契約書をもっている場合は、どちらも必要になります。
売買契約書の内容をもとに譲渡所得の内訳書を記載するため、用意しておきましょう。紛失した場合は、不動産会社に相談してコピーをもらえるか確認しましょう。
取得費を確認できる書類
不動産の取得費を確認できる書類も必要です。以下のような費用が取得費にあたります。
- 不動産の購入代金、建築代金
- 購入時の仲介手数料
- 登記費用(業務用の不動産は対象外)
- 設備費
- 改良費
- 土地を取得する際に支払った測量費
参考:「取得費となるもの」(国税庁)
取得費は譲渡所得を計算する際の必要経費として差し引けるため、領収書や購入時の売買契約書の写しを用意しましょう。
譲渡費用を確認できる書類
譲渡費用を確認できる書類があると、その金額を必要経費に含められます。以下のような費用が譲渡費用に該当します。
- 売却時の仲介手数料
- 売却時に納付した印紙税
- 賃貸物件を売却する際に入居者に支払った立退料
- 土地の売却時に建物を取り壊した場合の取壊し費用と、その建物の損失額
参考:「譲渡費用となるもの」(国税庁)
譲渡所得を算出する際に譲渡費用として差し引く場合は、支出を証明できる領収書を用意します。
本人確認書類
紙で確定申告書を提出する場合は、マイナンバーが記載されている本人確認書類の写しが必要です。マイナンバーカードを持っている場合は両面をコピーします。
マイナンバーカードを持っていない場合は、以下2点の写しが必要になります。
- 番号確認書類(通知カードやマイナンバーが記載されてる住民票の写しなど)
- 身元確認書類(運転免許証や健康保険証など)
参考:「令和6年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」(国税庁)
提出時に本人確認書類を提示する場合は、写しを添付しなくても問題ありません。
不動産売却による確定申告で特例の適用を受ける場合の必要書類
不動産売却による確定申告で特例の適用を受ける場合は、追加の書類が必要になります。ここでは、利用されることの多い特例で必要となる書類について詳しく解説します。
3,000万円控除の特例を受ける場合
居住用財産の売却で、3,000万円控除の特例を適用する際の必要書類は、基本のパターンと同じです。譲渡所得の内訳書に特例の適用条文や特別控除額を記載して計算します。
ただし、売買契約日の前日において、住民票に記載された住所と売却した不動産の所在地が異なる場合は、追加の書類が必要です(※)。戸籍の附票の写しや消除された戸籍の附票の写しなど、不動産に居住していたことがわかる書類を提出しなくてはなりません。
特例を適用した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、譲渡所得税を減らせます。譲渡所得が3,000万円以下の場合は譲渡所得税がかからなくなるため、マイホームを売却する際は活用しましょう。
(※)「マイホームを売ったときの特例」(国税庁)
軽減税率の特例を受ける場合
居住用財産の売却で軽減税率の特例を適用する際は、以下の追加書類が必要です。
- 登記事項証明書(一定の要件を満たすと省略可能)
- 戸籍の附票の写しなど(売買契約日の前日に住民票の住所と不動産の所在地が異なる場合)
参考:「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」(国税庁)
居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例は、マイホームを売却する際に以下の要件を満たすと税率が低くなる制度です。
- 自分が住んでいる、または住んでいた家屋
- 売却した年の1月1日時点で、家屋とその敷地の所有期間が10年を超えている
- 親子や夫婦など特別な関係のある人に売却していない
- 売った年の前年および前々年に本特例を使用していない
参考:「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」(国税庁)
本特例は、居住用財産を売却した場合の3,000万円控除の特例と併用できます。
マイホームの買い換えで譲渡損失が発生したときの特例を受ける場合
マイホームの買い替えで譲渡損失が発生したときの特例を適用する際は、以下の追加書類が必要です。
- 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)
- 居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の対象となる金額の計算書
- 売却したマイホームの登記事項証明書や売買契約書の写しなど
- 戸籍の附票の写しなど(売買契約日の前日に住民票の住所と不動産の所在地が異なる場合)
- 新しく購入したマイホームの登記事項証明書や売買契約書の写しなど
- 新しく購入したマイホームの住宅ローンの残高証明書
参考:「マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき」(国税庁)
マイホームの買い換えで譲渡損失が発生したときの特例は、マイホームを売却したことで発生した譲渡損失(譲渡所得がマイナスの状態)を他の所得から控除(損益通算)できる制度です。
売却後に新しいマイホームをローンを組んで購入した場合に、一定の要件を満たすと適用できます。損益通算で控除しきれなかった譲渡損失は、売却した年の翌年3年以内であれば繰り越して控除が可能です。
たとえば、譲渡損失1,000万円に対して給与所得が600万円の場合、控除しきれない譲渡損失は400万円です。翌年に給与所得が800万円あるならば、期限内に確定申告をすることで800万円と400万円を損益通算して所得を400万円に減らせます。
所得税額を大きく減らせるケースもあるため、マイホームの売却で損失が発生した際は適用条件を満たすか確認しましょう。
住宅ローンが残っているマイホームの売却で譲渡損失が発生したときの特例を受ける場合
住宅ローンが残っているマイホームの売却で譲渡損失が発生したときの特例を適用する場合、以下の追加書類を用意します。
- 特定居住用財産の譲渡損失の金額明細書
- 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算、および繰越控除の対象となる金額の計算書
- 登記事項証明書(一定の要件を満たすと省略可能)
- 戸籍の附票の写しなど(売買契約日の前日に、住民票の住所と不動産の所在地が異なる場合)
- 住宅ローンの残高証明書
参考:「住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき」(国税庁)
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例は、住宅ローン残債を下回る価格でマイホームを売却して譲渡損失が生じたときに、一定の要件を満たすと適用できる制度です。
譲渡損失を給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)できます。ただし、「借入金残高-売却価格」が限度額となります。
たとえば、借入金残高が3,000万、売却価格が2,000万円の場合は、譲渡損失が5,000万円あったとしても1,000万しか控除できません。
その年の所得が1,000万円を下回っており、控除額を使い切れなかった場合は、翌年以降3年間繰り越して控除できます。
▼関連記事
住宅ローン返済中の家を売るには?離婚時の対応や発生する税金についても解説
取得費加算の特例を受ける場合
取得費加算の特例を適用する場合は、基本パターンの必要書類に加えて「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」を提出します。
取得費加算の特例は、相続により取得した不動産を一定期間内に売却した場合に相続税額の一部を取得費に加算できる制度です。特例を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 相続や遺贈により取得している
- 不動産の取得者に相続税が課税されている
- 相続税の申告期限の翌日から3年経過する日までに売却している
参考:「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」(国税庁)
不動産を相続した際に相続税を納付しているならば、譲渡所得税の節税につながります。
▼関連記事
不動産の相続手続きの流れは?かかる税金や評価額の計算方法を解説
不動産相続税の基礎知識|計算方法と節税のコツ、関連費用を解説
不動産売却後の確定申告のやり方
不動産売却後の確定申告は以下の流れで進めます。
- 申告方法を決めて必要書類を集める
- 確定申告書を作成して提出する
- 納付または還付の手続きをする
紙で提出するかe-taxで電子送信するかで用意する書類が変わります。PCやスマホからe-taxで確定申告をする場合は、以下の書類をデータで作成するため、用意する必要はありません。
- 確定申告書第一表、第二表
- 確定申告書第三表(分離課税用)
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
所得税が納付になる場合は、必ず期限内に申告・納税を済ませましょう。期限に間に合わないと、無申告加算税や延滞税が課される場合があります(※)。
特例によっては、申告期限内に提出しないと適用できないケースもあるため、早めに準備を進めましょう。
(※)「確定申告を忘れたとき」(国税庁)
▼関連記事
不動産売却で生じる税金は?節税対策や確定申告が必要なケースも解説
不動産売却後の確定申告は自分でできる?
譲渡所得の確定申告は自分で行えますが、専門知識が必要になります。必要な書類が多く計算も複雑なため、手間や時間がかかるでしょう。
特例を適用する場合は、所有している不動産が適用要件に該当しているかを判断しなくてはなりません。
書類の不備や計算ミスなどで、余計な費用や手間がかかる可能性もあるため、不安な方は税理士に依頼するのがおすすめです。
不動産を売却するならTAQSIE(タクシエ)に相談!
不動産売却後の確定申告では、基本的に7種類の書類が必要です。税負担を軽減する特例を適用する場合は、住民票の除票や住宅ローンの残高証明書など追加の証明書類が求められることもあります。
確定申告書の作成や特例の適用要件の確認には専門的な知識が必要なため、不安な方は税理士に相談しましょう。
不動産を売却する際は、確定申告の必要書類を把握するだけでなく、信頼できる不動産会社を見つけることも重要です。売却活動をスムーズに進められ、希望どおりの価格で売却できる可能性が高まります。
信頼できる不動産会社を探すなら、不動産の買取・仲介担当者とのマッチングサービス「TAQSIE(タクシエ)」をご利用ください。83社以上の大手不動産会社の中から厳選された、信頼のおける担当者を3名(買取のスピード売却コースは最大5名)ご紹介します。
無料で不動産売却実績の豊富なプロに相談できるので、ぜひご活用ください。
三菱地所リアルエステートサービス 新事業推進部
「不動産売却マスター」編集長
【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、衛生管理者、ファイナンシャルプランナー3級
2008年入社。人事部門で福利厚生制度などの企画運営、住宅賃貸部門でタワーマンション営業所長、高級賃貸マンション企画などを経て、2018年より経営企画部で主に事業開発を担当し、複数の新規事業立上げに従事。2020年度三菱マーケティング研究会ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞。「TAQSIE」では初期構想から推進役を担い、現在もプロジェクト全般に関わっている。
「不動産の売却に特化した情報を発信する『不動産売却マスター』編集部です。不動産の売却や買取をスムーズに進めるポイントや、税金、費用などをわかりやすく解説します」