マンションの買い替えに際し、購入と売却の両方を成功させるには、資金計画とあわせて慎重に進行を検討する必要があります。マンションの買い替えは主に「買い先行」「売り買い同時進行」のいずれかで進めるのが一般的ですが、それぞれ メリット・デメリットがあるのでどちらが適しているかを検討することが大切です。
この記事では、マンション買い替えの2つの方法のメリット・デメリットや向いている人、資金計画の立て方、かかる費用を解説します。売却で出た利益に対する税金の軽減に役立つ制度や買い替えのポイントなどもお伝えしますので、マンション買い替えを成功させたい方はお役立てください。
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マンションを買い替える2つの方法とメリット・デメリット

マンションの買い替えは、買いたいマンションが見つかったときに検討する方がほとんどです。そのため「買い」に軸足をおいたうえで、進めるのが一般的です。
ここで「買い先行」と「売り買い同時進行」の2つをご紹介します。
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1.「買い先行」によるマンション買い替えとは
「買い先行」とは、新しいマンションを購入し、引っ越してから今のマンションを売却する方法です。
買い先行にはどのような メリット・デメリットがあるのか確認します。
買い先行のメリット
買い先行のメリットは、以下の3つです。
- 余裕をもって新居を探せる
- 仮住まいしなくてよい
- 内覧対応に手間を取られない
まず気に入ったマンションが見つかるまでじっくりと新居探しに取り組めます。
もし先にマンションを売却してしまうと、引き渡しまでに新居を見つけられなければ仮住まいが必要になるため購入を急いでしまいがちです。結果、満足いく住み替えができなくなるかもしれません。
また買い先行では新居に引っ越してから今のマンションを売却するので、仮住まいも不要です。売り出し時にはマンションが空室となっているので、内覧のたびに片付けや掃除をする必要がなく、内覧者の対応も不動産会社の担当者に任せられます。
株式会社NEXERとTAQSIE(タクシエ)が、住み替えによる不動産売却経験者を対象に調査したところ、不動産売却を検討したタイミングで最も多かったのは「次の住まいを決めてから(46.9%)」でした。ついで多かったのは、「次の住まいを契約してから(31.1%)」の回答でした。

出典:「【住み替えで不動産売却をした方に調査】売却についてもっとも多い後悔は「もっと早く売却を始めれば良かった」」(PR TIMES)
「次の住まいを決めてから」と回答した理由には、以下の声が寄せられています。
・売却費用で次の家を買うため。(40代・男性) ・次が決まって早く手放したかった。(40代・女性) ・古くなると価値がなくなるからその前に家を売りたかった。(50代・女性) ・次に住むところを見つけてからでないと、売却できません。(50代・男性) ・売却費用を新しい家の購入資金に使いたいから。(60代・男性) |
引用:「【住み替えで不動産売却をした方に調査】売却についてもっとも多い後悔は「もっと早く売却を始めれば良かった」」(PR TIMES)
上記の調査から買い先行の方は、新居の購入資金を確保したい、資産価値が下がる前に手放したいなどの理由から売却のタイミングを決めていることがわかります。
買い先行のデメリット
一方、買い先行は、次のようなデメリットもあります。
- ダブルローンになる可能性がある
- 売却するまで管理費や修繕積立金の負担が生じる
- 負担を抑えようと売り急ぐ傾向がある
- 資金計画に狂いが生じやすい
買い先行で問題が発生するのは、売却するマンションに住宅ローンが残っているケースです。新しいマンションも住宅ローンを組んで購入する場合、今のマンションとのダブルローンになり重い負担が生じます。
住宅ローンを完済しているマンションでも、管理費や修繕積立金については売却して手放すまで負担し続けなければなりません。売却後の費用負担を重く感じる結果、売り急ぐ傾向があるのが買い先行でマンションを売るデメリットです。
また買い先行では、今のマンションの査定額を参考に資金計画を立てますが、査定額はあくまで売却見込み額であり、その価格で売れるとは限りません。その結果、資金計画に狂いが生じる可能性がある点も、留意しておく必要があるでしょう。
買い先行が向いている人
買い先行が向いているのは、次のような方です。
- 手持ち資金だけで新居を購入できる
- 住宅ローンが完済している
- 住宅ローン残債が少なく、売却代金で完済できる
買い先行での買い替えでは、今のマンションの売却代金を新居購入の頭金などには流用できません。そのため比較的資金に余裕がある方、今のマンションの売却代金で住宅ローンを完済できる見込みが高い方におすすめの方法となります。
2.「売り買い同時進行」によるマンション買い替え
売り買い同時進行とは、新しいマンションの購入と、今のマンションの売却を平行して進める方法です。とはいえ、ほとんどの方は購入したいマンションが見つかった時点で具体的に売却に向けて動き出すため、同時進行といっても以下のように買いがやや先行するのが一般的です。
- 新しいマンションの売買契約を結ぶ
- 1. 今のマンションの売買契約を結ぶ
(1と2はタイミングにより逆となる場合もある) - 今のマンションの引き渡しと新しいマンションの決済を同日におこなう
買い先行との違いは、今のマンションと新しいマンションの決済日を同日にあわせることです。同日決済のメリットを得ることが、売り買い同時進行で進める目的です。
売り買い同時進行のメリット
売り買い同時進行のメリットは、次の3点が挙げられます。
- 売却代金を新居購入の費用に充当できる
- ダブルローンにならない
- 管理費・修繕積立金などの負担がない
売り買い同時進行では、売却するマンションと購入するマンションの決済を同日におこないます。そうすることで、マンションの売却代金を新居の購入費に充当できるのがメリットです。
また現在のマンションに住宅ローンが残っている場合でも、決済日当日に受け取った売却代金で一括返済が可能です。新しいマンションのローンの融資は同日に実行されるので、ダブルローンになることもありません。
買い先行で進めた場合には、今のマンションが売れるまでは管理費や修繕積立金を負担しなければなりませんが、売り買い同時進行ではその必要がないのもメリットです。
売り買い同時進行のデメリット
メリットが多い売り買い同時進行によるマンション買い替えですが、交渉も同時に進める必要があり煩雑になるというデメリットもあります。
売り買い同時進行では、マンション購入を決めると同時に売却活動をスタートします。購入するマンションの購入手続き、中古マンションの場合は仲介担当者や売主との対応や交渉をおこないつつ、売却するマンションの仲介担当者や買主への対応も必要です。
売り買い同時進行では、これらをすべて購入したマンションの決済日までに進めなければなりません。現在建築中のマンションへの買い替えで時間に余裕がある場合を除き、手続きはかなり煩雑になると考えておく必要があるでしょう。
売り買い同時進行が向いている人
売り買い同時進行が向いているのは、次のような人です。
- 売却代金を新居の購入資金としたい人
- ダブルローンや管理費・修繕積立金などの負担を避けたい人
- スケジュール管理がしっかりできる人
売り買い同時進行は、マンション売却で得られる資金を新居の購入費に充当したい人に向いています。また売却代金で今のマンションの住宅ローンを一括返済してダブルローンを避けたい、新居に引っ越したあとまで今のマンションの管理費・修繕積立金などを払いたくないなど、新生活の経済的負担を軽くしたい人にもおすすめです。
なお売り買い同時進行は、マンションの売却と購入を同時に進めなければならないため、スケジュール管理をしっかりと行うことも必要です。
売り先行になるのは、絶好の売りチャンスや喫緊の場合のみ
マンションの買い替えは、購入したいマンションが見つかったときに初めて考えるのが一般的です。そのため「今のマンションを売ってから購入するマンションを考えよう」と、売りを先行させるケースはあまりありません。
なにより売り先行でマンション買い替えをおこなう場合、仮住まいが必要になるため二度の引っ越しを含め大きな費用負担が発生します。そのため売り先行は、今すぐ売ることに大きなメリットがある場合や、どうしても売り急ぐ理由がある場合にのみ検討するとよいでしょう。
マンションの買い替えを検討するタイミング

マンション買い替えを検討するタイミングは、以下のようなケースが挙げられます。
- 転勤や転職により引越しが必要になったとき
- 結婚や出産により家族が増えたとき
- 子どもが独立したとき
- 両親の介護が始まったとき
上記のタイミングでマンションの買い替えを検討すべき理由を解説します。
転勤や転職により引越しが必要になったとき
遠方の勤務地への転勤・転職により通勤が困難になる場合は、マンションの買い替えを検討すべきタイミングです。通勤時間が長いと睡眠不足や疲労の蓄積により、精神的にも体力的にも負担が大きくなるからです。
職場に近いエリアに住み替えて通勤時間を削減することで、体を休める時間を確保できるため、快適な生活リズムを維持しやすくなります。また、家族と過ごせる時間が増え、仕事と家庭の両立を実現できるでしょう。
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結婚や出産により家族が増えたとき
結婚や出産により家族が増えたときも、マンションの買い替えに適したタイミングです。家族が増えると荷物が増え、これまでの住まいの広さや間取りでは手狭になる可能性があるからです。
たとえば、1LDKのマンションに夫婦と子どもが暮らす場合、収納スペースが足りず、生活しにくいと感じやすくなります。また、夫婦と子どもの寝室が共同だと、生活リズムの違いによりストレスを抱えてしまう場合もあるでしょう。
家族が増えたら2LDKや3LDKなど部屋数が多いマンションに買い替えることで、家族が快適に過ごしやすくなります。
子どもが独立したとき
子どもが独立して空き部屋が出た際は、コンパクトな間取りのマンションへの買い替えを検討するとよいでしょう。空き部屋があると、掃除や荷物の管理に手間がかかるからです。
また、全館空調システムのマンションの場合は、空き部屋分の光熱費も発生するため、光熱費の負担が大きくなってしまいます。
たとえば、夫婦2人暮らしになり、駅から徒歩15分の4LDKのマンションを持て余している場合、駅近の2LDKに買い替えることで利便性を高めながら支出も抑えられます。家族の人数に合わせてコンパクトな間取りを選ぶことで掃除・管理する手間が省け、老後がより過ごしやすくなるでしょう。
両親の介護が始まったとき
両親の介護が始まった際も、マンションの買い替えを検討するタイミングです。介護するためのスペースが確保しにくい設備の配置や、生活導線が狭く身動きが取りにくい間取りだと、介護される側・する側の双方に負担がかかるからです。
たとえば、両親の足腰が悪い状態にもかかわらず段差が多い住居に住み続けると、移動する度に介助が必要となり、介護の負担が大きくなります。エレベーター付きやバリアフリー設計のマンションへ買い替えることで、介護の負担を大きく減らせます。
マンション買い替えの平均年齢

2024年度の国土交通省のデータによると、マンション買い替えの平均年齢は約57歳です。マンションの買い替えは、新規・中古ともに60代が多い傾向にあります。

出典:「令和6年度住宅市場動向調査報告書」(国土交通省)
60代は定年退職を迎えたり、子どもが一人暮らしを始めたりすることでライフスタイルが大きく変化しやすい時期です。そのため、家族構成に合わせた間取りや老後の過ごしやすさを踏まえて、マンションの買い替えを検討する方が多いと考えられます。
マンション買い替え時の資金計画の立て方

売りと買いが発生するマンション買い替えにおいては、資金計画をきちんと立てておかないと「売れると思っていたマンションを売却できなかった」といったことになりかねません。ここではマンション買い替え時の資金計画の考え方をご紹介します。
住宅ローンの残債を確認する
売却するマンションに住宅ローンが残っている場合、抵当権(万一返済が滞ったときに備え、融資した金融機関が担保とする権利)が設定されています。抵当権がついたマンションは売却できないため、住宅ローンを一括返済しなければなりません。そのためまずは住宅ローンの残債の確認が必要です。
住宅ローンの残債は、融資を受けている金融機関から毎年送られてくる返済予定表で確認できます。手元にない場合は、借り入れた金融機関にローン残高証明書の発行を依頼しましょう。
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今のマンションの査定を受ける
続いて今のマンションがいくらで売れるかを確認するために、不動産会社の査定を受けます。その際、担当者には、ローン残債がある場合はその金額と、買い替えを前提としていることを明確に伝えましょう。現実的な査定額を出してもらわないと、資金計画が大きく狂う可能性があるためです。
買い替えを前提に査定を受けるときには、エリアの市場に詳しくマンション売却を得意とする担当者がいる不動産会社を選ぶことが重要です。仲介・買取担当者との不動産売却マッチングサービス「TAQSIE(タクシエ)」を利用すると、マンション売却の実績が豊富な担当者と直接マッチングされるので利用を検討するとよいでしょう。
なお査定額がローン残債を下回り、さらに手持ち資金でも補えない場合は、一括返済による抵当権抹消ができないため売却は難しくなります。不動産会社の担当者に、買い替えのタイミングを相談しましょう。
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購入できるマンションの予算を考える
マンションの査定額が出されたら、それを踏まえて購入できるマンションの予算を考えます。
ただし査定額はあくまでも「売却できると考えられる見込み額」である点は十分理解しておく必要があります。「○千万円で売れる」と見込み、それをあてにして新居の予算を立ててしまうと、実際その価格で売れなかったときに資金計画が大きく狂ってしまいかねません。
またマンションの売却と購入にはさまざまな費用も発生します。次章でご紹介しますので、あわせて把握しておきましょう。
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マンションの買い替えにかかる費用の種類と目安

マンションの買い替えには、新しいマンションの購入費以外にもさまざまな費用が発生します。あらかじめ確認のうえ、予算に組み込んでおきましょう。
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マンションの売却にかかる費用
まずはマンションの売却にかかる費用から解説します。
仲介手数料
仲介手数料は、今のマンションの売却を不動産会社に依頼し、買主を見つけてもらったときにかかります。仲介手数料は、マンションの売却金額に応じて上限が定められており、次の計算式で求めます。
売却金額(税抜)×3%+6万円+消費税
※売却金額が400万円超の場合
たとえば今のマンションを2,000万円(税抜)で売却した場合の仲介手数料は、72.6万円(税込)です。
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印紙税
印紙税は、契約書や領収書などの課税文書に対してかかる国税で、マンション売却に際しては売買契約書に課税されます。課税額は売却代金に応じて決まり、5千円〜3万円程度が目安です。(500万円超1億円以下の場合)
登録免許税(抵当権抹消登記)
今のマンションに住宅ローンが残っている場合は、抵当権を抹消登記する必要があり、その際、不動産1戸に対して1,000円の登録免許税が課されます。マンションの場合は建物の専有部分と区分所有する土地のあわせて2戸で2,000円となるのが一般的です。
司法書士報酬
抵当権抹消登記の手続きを司法書士に依頼する場合には、司法書士報酬がかかります。報酬額は依頼する司法書士によって異なり、5千円〜1万円+実費が相場です。
住宅ローン繰り上げ返済手数料
今のマンションに住宅ローンが残っている場合は、一括返済する際に繰り上げ返済手数料がかかります。金額は銀行によって異なりますが、5千円〜3万円が目安です。
譲渡所得税
今のマンションを売却して利益がでた場合には、譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)が課税されます。譲渡所得税は、次の計算式で求めます。
かけあわせる税率は、売却するマンションの所有年数に応じて以下のように決まります。
| 所得の区分 | 短期譲渡所得 | 長期譲渡所得 |
|---|
| 売却した年の1月1日時点での所有期間 | 5年以下 | 5年超 |
| 税率 | 39.63% (所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%) | 20.315% (所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%) |
参考:「土地や建物を売ったとき」(国税庁)
譲渡所得税について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
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マンションの購入にかかる費用
続いてマンションの購入にかかる費用もご紹介します。
マンションの購入費
マンションの購入費用は、地域によって異なります。国土交通省のデータによると、2023年度における首都圏・近畿圏のマンション平均価格は、以下のとおりです。
地域 | マンションの平均価格 |
|---|
首都圏 | 8,101万円 |
近畿圏 | 4,666万円 |
参考:「令和6年度住宅経済関連データ」(国土交通省)
首都圏と近畿圏のマンション平均価格は、約4,000万円も差があります。首都圏におけるマンションの購入費用が増加している要因には、以下のことが複合的に絡み合っていると考えられます。
- 地価の上昇
- 円安による海外投資家からの需要増加
- マンション戸数の供給不足
マンションを含む不動産の価格は、社会情勢や経済状況によって大きく変動します。買い替えを検討している場合は、エリアごとの地価動向や開発状況を確認しておくことが大切です。
不動産取得税
マンションの買い替えにより新たに不動産を購入した際は、不動産取得税がかかります。不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を購入もしくは贈与された際にかかる税金です。
不動産取得税額は、以下の計算式で求められます。
不動産取得税の本則税率は4%ですが、2027年3月31日までに取得した居住用の土地・建物には軽減措置が適用され、3%に引き下げられます(※)。
(※)「不動産取得税」(総務省)
仲介手数料
購入するのが中古マンションの場合には、売却時と同様に、次の計算式で算出する金額を上限として仲介手数料が発生します。
購入金額(税抜)×3%+6万円+消費税
※購入金額が400万円超の場合
なお近年新築マンションの価格が高騰しているのを受け、不動産会社が買い取ってリフォーム後に売り出す「買取再販物件」が人気です。買取再販されるマンションを売主となる不動産会社から直接購入する場合は、中古物件であっても仲介が発生しないため仲介手数料は不要です。
印紙税
マンションの購入に際しても、売買契約書に対して印紙税が課税されます。課税額はマンションの購入代金に応じて決まり、5千円〜3万円程度が目安です。(500万円超1億円以下の場合)
登録免許税(所有権保存登記・所有権移転登記・抵当権設定登記)
購入したマンションに自分の所有権を登記する際には、登録免許税が発生します。登録免許税は、購入したマンションが新築物件か中古物件かによって課税額が異なります。
購入した 物件 | 登記の 種類 | 課税額 |
|---|
新築 マンション | 所有権 保存登記 | 固定資産税評価額×0.4%(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅は0.1%、その他の住宅は0.15%) |
中古 マンション | 所有権 移転登記 | 固定資産税評価額×2.0%(0.3%) |
区分所有 する土地 | 所有権 移転登記 | 固定資産税評価額×2.0%(1.5%) |
※( )内は土地は2026年3月31日まで、建物は2024年3月31日までに登記し軽減税率が適用された場合の税率
※参考:国税庁
また住宅ローンを借り入れてマンション購入するケースでは、抵当権設定登記にも登録免許税が課されます。
※( )内は2024年3月31日までに登記し軽減税率が適用された場合の税率
※参考:国税庁
なお、軽減税率が適用されるには一定の条件を満たす必要があります。国税庁のページでご確認ください。
司法書士報酬
購入するマンションの所有権や抵当権などの登記手続きを司法書士に依頼するには司法書士報酬が必要です。司法書士により報酬額は異なり、所有権保存・移転登記は3〜5万円、抵当権設定登記は5万円〜10万円+実費が相場です。
火災保険料・地震保険料
新しいマンションを住宅ローンを借り入れて購入する場合、金融機関から火災保険と地震保険への加入を条件とされるのが一般的です。保険料はマンションの所在地や広さなどによって異なりますが、借り入れ時には15万円〜40万円程度支払うのが一般的です。
マンションの買い替え時に利用できる特例

マンションの買い替え時には、以下の特例を利用できます。
- 3,000万円特別控除の特例
- 10年超所有軽減税率の特例
- 特定居住用財産の買い換え特例
- 譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例
それぞれの特例について解説します。
3,000万円特別控除の特例
3,000万円特別控除の特例は、マイホームとしていたマンションの売却において、一定の要件を満たすことで譲渡所得から3,000万円まで控除される特例です。適用されると譲渡所得3,000万円までは譲渡所得税を負担しなくてよくなるため、適用条件に該当するかは必ず確認しましょう。
※参考:国税庁
10年超所有軽減税率の特例
売却したマンションの所有年数が10年を超える場合は、一定の要件を満たすことで、課税対象となる譲渡所得額に対して以下の軽減税率が適用されます。
譲渡所得額 | 軽減税率 |
|---|
6,000万円以下の部分 | 14.21% |
6,000万円超の部分 | 20.315% |
参考:「土地や建物を売ったとき」(国税庁)
本特例は3,000万円特別控除の特例と併用できるので、マンションの売却で高額な利益が発生した場合に適用すると税額を軽減できます。
特定居住用財産の買換えの特例
特定居住用財産の買換えの特例は、売却により発生した譲渡所得税の納付を、新しく購入したマンションを売却するときまで繰り延べられる制度です。この特例は納付時期を先送りするものであり、実質的な減税や免税にはなりません。ただし買い替え時に譲渡所得税を納める必要がなくなるため、売却益を全額購入に充てられることがメリットです。
※参考:国税庁
譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例
マンションを売却した際に譲渡損失が発生した際は、一定の要件を満たすと損益通算・繰越控除の特例を適用できます(※)。損益通算とは、不動産売却で生じた損失を給与所得や事業所得などの他の所得から差し引く制度です。
損益通算してもその年に譲渡損失が相殺できなかった場合は、翌年以降3年間にわたり繰り越せます。
損益通算・繰越控除を適用することで課税対象の所得が減るため、所得税や住民税の負担を軽減できます。
(※)「マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」(国税庁)
マンションの買い替え時に利用できる制度

マンションの買い替え時に利用できる制度は、以下の2つが挙げられます。
それぞれの制度について解説します。
住宅ローン控除
住宅ローン控除は、買い替えるマンションを住宅ローンを組んで購入したときに、一定の要件を満たすことで利用できる制度です。具体的には年末のローン残高の0.7%が、新築・買取再販のマンションの場合で13年間、中古マンションの場合で10年間控除されます。借り入れ限度額は、住宅性能などによって異なります。
なお住宅ローン控除は、先にご紹介した売却で使える特例との併用はできません。どちらがより税負担の軽減につながるか、よくシミュレーションしたうえで選ぶことが大切です。
住宅ローン控除の詳細については、以下からご確認ください。
参考:「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」(国税庁)
つなぎ融資
買い先行でマンション購入を進める際は、つなぎ融資制度を利用できる場合があります。
つなぎ融資とは、不動産の売却代金が入るまで、新居の購入資金を一時的に借り入れる融資制度です。不動産の売却よりも先に新居が決まったものの購入資金が足りない場合は、つなぎ融資を利用することでスムーズに住み替えができます。
ただし、つなぎ融資は通常の住宅ローンよりも金利が高く設定されています。住宅ローンの変動金利は0.7%〜1.6%ですが、つなぎ融資の金利は1.8〜3.7%です。また、保証料や事務手数料などの諸費用も発生します。
余計な金利負担を減らすためにも、早めに不動産売却手続きを進めることが大切です。なお、つなぎ融資を取り扱っていない金融機関もあるため、事前に確認しておきましょう。
マンションの買い替えを成功させるポイントと注意点

マンションの買い替えを成功させるためには、以下の点を意識しましょう。
- 自分にあった買い替え方法を選ぶ
- 現実的な資金計画を立てる
- 査定を受ける前に相場を調べておく
- マンションが得意で対象エリアに精通した担当者に査定を依頼する
- 売り買い同時進行は同じ担当者に依頼するのが無難
- 中古マンションの購入は管理状況をよく調べる
それぞれの内容について解説します。
自分にあった買い替え方法を選ぶ
マンションの買い替え方法として、買い先行、売り買い同時進行の2つの方法をご紹介しました。両者はそれぞれ特徴やメリット・デメリットが異なるため、手持ち資金や時間的余裕などによって適切な方法を選ぶことが大切です。
現実的な資金計画を立てる
マンション買い替えにおいては、現実的な資金計画を立てることも重要です。
とくに今のマンションに住宅ローンが残っている場合には、査定額で売れると見込んで資金計画を立ててしまうと、実際にその金額で売却できなかったときに計画が大きく狂ってしまいます。査定価格はあくまでも売却できると見込まれる金額であり、確実に手にできる金額でないことは、常に念頭においておきましょう。
資金的に余裕がある場合も、今後のライフプランを予想したうえで、無理なく返済できる金額で住宅ローンを組みましょう。
査定を受ける前に相場を調べておく
マンション買い替えの資金計画を立てるときには、今のマンションがいくらで売れるか把握するために査定を受ける必要があります。その際、あらかじめマンションの相場を調べておくと、出される査定額が適正かどうかを判断しやすくなるのでおすすめです。
類似物件が多いマンションは、AI査定でも比較的精度が高い査定額が出されるので、利用してみるとよいでしょう。TAQSIE(タクシエ)でもAI査定サービス(なっとく提案売却コース(仲介)が対象)を提供していますので、ぜひお気軽にお試しください。
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マンションが得意で対象エリアに精通した担当者に査定を依頼する
現実的な査定額を出す必要があるマンションの買い替えにおいては、マンション売却を得意とし、さらに物件があるエリアに精通した仲介担当者に査定を依頼することが重要です。
仲介担当者にはそれぞれ「一戸建てが得意」「土地取引が得意」など得意分野があります。そのためマンション売却ではマンションを得意とする仲介担当者に依頼すると、実情に即した適正な査定額を出してもらいやすくなります。またマンション取引が得意な担当者は、よい顧客を握っている可能性があり高値売却が期待できるのもメリットです。
担当者紹介サービスを利用すると効率的
マンションを得意とする担当者に査定や売却を依頼したいときには、担当者と直接マッチングされる紹介サービスを利用すると効率的です。
一般的な一括査定サイトでは、不動産会社は選べても担当者は選べないのが現状です。査定してくれた担当者の実力を見極めるのは難しく、また査定を担当してくれた人が売却まで受け持ってくれるとも限りません。「査定してくれた人はよかったのに、売却担当者とは相性が悪い」といったこともあり得ます。
その点たとえばTAQSIE(タクシエ)では、マンションの情報を登録すると、対象エリアで売却実績が豊富な担当者を3人ご紹介いたします。担当者のプロフィールや実績、顧客層などを確認したうえで相談相手を選べるので、ミスマッチがありません。
また、買い替えを急いでいる場合は、「スピード売却コース(買取)」を利用することで、スピーディーな売却が可能です。最大5社から3日目安で買取価格が提示され、最短1ヶ月以内で売却が完了します。
もちろん同じ担当者が、引き渡しまで責任をもってお手伝いいたします。安心してお任せいただけますので、まずはお気軽にご登録してみてください。
売り買い同時進行は同じ担当者に依頼するのが無難
売り買い同時進行は、購入と売却の決済日を同日にする必要があるため、綿密なスケジュール管理が求められ、非常に難易度が高いことが特徴です。とくに購入するのが中古マンションで、買いと売りの不動産会社が別々である場合には、窓口が2箇所になることからやりとりが煩雑になる傾向があります。
そのため売り買い同時進行でマンションを買い替えたい場合は、買いも売りも同じ担当者に依頼して、窓口を1つにするのが無難です。
中古マンションの購入は管理状況をよく調べる
集合住宅であるマンションは、区分所有する住戸については劣化状況にあわせて自分でリフォームが可能です。しかし共用部分や建物本体については、長期修繕計画に基づき修繕されるため、自分では管理できません。
新居として購入するのが中古マンションの場合、修繕記録や修繕積立金の状況、長期修繕計画は念入りにチェックしましょう。
マンションの買い替えでよくある質問

最後に、マンションの買い替えでよくある質問とその回答をご紹介します。
住宅ローンが残っているマンションでも買い替えられる?
マンションに住宅ローンが残っている場合、売却するためには住宅ローンを一括返済し、抵当権を抹消しなければなりません。そのため住宅ローン残債と査定価格を確認し、手持ちの資金や売却代金で一括返済できるか確認が必要です。
調べた結果一括返済できるのであれば売却は可能です。そうでない場合、査定を受けた不動産会社に買い替えのタイミングなどを相談しましょう。
マンションの買い替えにかかる期間はどれくらい?
マンションの買い替えにかかる期間は、購入するマンションの状態によって異なります。
新築分譲マンションであれば、建物完成前に売買契約を結ぶような場合には、引き渡しまでに半年〜1年以上かかることもあります。一方すでに完成している新築マンションや、中古マンションに住み替える場合は、購入から引き渡しまでには1カ月〜3カ月程度しかかかりません。
その間に売り買い同時進行による同時決済を目指し、売却を試みるのであれば、同程度の期間で買い替えが終了します。もし新居に引っ越してから売り出す場合は、そこからさらに3カ月〜半年程度見込んでおく必要があるでしょう。
マンションの買い替えはTAQSIE(タクシエ)に相談!
マンションの買い替えは、住宅ローンの残債や売却見込み額、時間的余裕などによってどう進めればよいのかは異なります。売り買い同時進行で同日決済できると理想的ですが、綿密なスケジュール管理が必要となるため難易度は高めです。そのためマンションの住み替えを成功させるには、資金計画とあわせて相談できる担当者を見つけることが重要です。
マンションの買い替えについて相談したい場合は、不動産の買取・仲介担当者とのマッチングサービス「TAQSIE(タクシエ)」をご活用ください。大手不動産会社80社以上が推薦する約700名の担当者の中から、売却目的や要望に応じて3名(スピード売却コース(買取)は最大5名)紹介いたします。
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三菱地所リアルエステートサービス 新事業推進部
「不動産売却マスター」編集長
【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、衛生管理者、ファイナンシャルプランナー3級
2008年入社。人事部門で福利厚生制度などの企画運営、住宅賃貸部門でタワーマンション営業所長、高級賃貸マンション企画などを経て、2018年より経営企画部で主に事業開発を担当し、複数の新規事業立上げに従事。2020年度三菱マーケティング研究会ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞。「TAQSIE」では初期構想から推進役を担い、現在もプロジェクト全般に関わっている。
「不動産の売却に特化した情報を発信する『不動産売却マスター』編集部です。不動産の売却や買取をスムーズに進めるポイントや、税金、費用などをわかりやすく解説します」