相続した空き家を売却する際には残された家財を処分する必要がありますが、ゴミに出せる家電・家具とは異なり、仏壇はどのように処分したら良いのかわからないという方も多いでしょう。仏壇は先祖への大切な供養の場であり、その処分には丁寧な対応が必要です。
そこで本記事では、売却を円滑に進めるための仏壇の処分方法と注意点について紹介します。
- この記事を読むと分かること
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- 仏壇の処分方法
- 仏壇を移設する手順
- 空き家の売却について
売却時は仏壇の処分が必要になる?

空き家の売却を検討する際に、仏壇の扱いについて悩まれるケースが多くあります。実は、仏壇が置かれたままの状態では、売却に影響を及ぼすことが多いようです。
これらの問題を避けるためにも、売却を始める前に仏壇の処分について知っておくことが重要です。一般的な不動産の売却活動には3~6ヶ月程度かかりますが、この期間を利用して並行して仏壇の処分を行うことで余裕を持って対応することができるでしょう。
対処方法は主に2つ

残された仏壇の対処方法として、主に「移設」と「処分」という2つの選択肢があります。どちらを選択するかは、仏壇の状態や家族の意向、また予算などを考慮して決めると良いでしょう。
移設と処分を判断する場合のポイントは以下の通りです。
【移設の場合】
- 仏壇が比較的新しく状態が良い
- 家族が継続して祀りたい意向がある
- 移設先の十分なスペースがある
【処分の場合】
- 仏壇の経年劣化が進んでいる
- 継承者がいない
- 移設先のスペースが確保できない
これらの条件を総合的に判断して、最適な対処方法を選択することが重要です。
仏壇を住んでいる物件に移す
仏壇を現在お住まいの物件に移設する場合、十分なスペースの確保と丁寧な作業が必要となります。移設する際は、以下の手順に沿って進めましょう。
移設の際の基本的な手順
- 移設先のスペース確認と整備
- 閉眼供養
- 仏具の取り外し、仏壇本体の養生・梱包
- 専門業者による運搬
- 新しい場所での設置
- 開眼供養の実施
罰当たりとみなされないためにも、特に閉眼供養や開眼供養の手順は省かずに必ず行うようにしましょう。また、仏具によっては適切な梱包をしないとキズがついてしまう場合もありますので、移設作業はできるだけ専門家に依頼することをお勧めします。特に大型の仏壇の場合は、安全な移動のために経験豊富な業者の力が必要です。
仏壇を処分する
仏壇を処分する選択をされた場合、まずは適切な処分方法を選ぶことが重要です。仏壇は一般的な家具とは異なり、宗教的な意味を持つ物であるため、丁寧な対応が求められます。
仏壇の状態や予算に応じて、以下のような処分方法から選択できます。
- お寺への引き取り依頼:3〜10万円程度
- 仏具店での下取り:2〜8万円程度
- 粗大ごみとしての処分:1,000〜2,000円程度
- 不用品回収業者への依頼: 1〜2万円程度
いずれの方法を選ぶ場合も、必ず事前に閉眼供養を行い、適切な手順で処分を進めることが大切です。
お寺に引き取ってもらう
お寺への引き取り依頼は、望ましい仏壇の処分方法の一つです。お寺では仏壇を適切な作法で供養し、処分してくれます。
ただし、お寺に依頼した場合、お布施の他にも3〜10万円程度の費用が発生することがほとんどです。また仏壇をお寺まで運ぶ必要があり、持ち込みが大変なため業者に依頼をするケースもあるようです。
仏具店に引き取ってもらう
仏具店は、仏壇の下取りや買取も行っている場合があります。特に新しい仏壇を購入する際には、下取りが可能であることが多いです。しかし中古仏壇の需要は低いため、買取が難しい場合もあります。
仏壇の種類や状態、製作年代、材質、供養の必要性を確認することが重要です。供養は仏壇を処分する際に行うべき重要な手続きであり、仏具店が供養を含めた処分を行うことができる場合もあります。
仏具店に処分を依頼した場合には、2~8万円程度の費用がかかることが一般的です。
粗大ゴミとして回収してもらう
仏壇の処分方法として、粗大ゴミでの対応も選択肢の一つとして存在します。閉眼供養を行えば一般的な家具や家電と同様の扱いで処分でき、他の方法よりも安価に済ませることができます。
しかしながら、仏壇には先祖への感謝や大切な思い出が込められています。粗大ゴミとしての処分に抵抗がある方もいるでしょう。その場合は、お寺での引き取りや専門の処分業者への依頼など、より丁寧な処分方法を検討されることをお勧めします。費用は多少かかりますがより適切な選択となるでしょう。
不用品回収業者に依頼する
不用品回収業者への依頼も、手軽に処分できる方法です。ただし、許可を持った正規の業者を選ぶことが重要です。
業者選びのポイントについては以下のとおりです。
【業者選びのポイント】
確認項目 |
内容 |
許可証の有無 |
一般廃棄物収集運搬許可を確認 |
料金体系 |
見積もりの透明性をチェック |
口コミ評価 |
過去の利用者の評判を確認 |
対応の丁寧さ |
電話での応対や説明の様子 |
保険加入 |
作業中の事故に備えた保険の有無 |
ほとんどの不用品回収業者がルールを守って運営していますが、少なからず悪徳業者の可能性もあります。業者見積もりは必ず複数の業者から取って比較検討をしましょう。
仏壇を処分する際の流れ

移設する場合も処分する場合も基本的な手順はほとんど同じです。
- 処分方法の決定
- 閉眼供養の依頼・実施
- 仏壇の中身を整理
- 仏壇の運び出し・処分
- 新しい場所への設置・開眼供養(※移設の場合のみ)
先述したように、仏壇は一般的な家具・家電とは異なり宗教的な意味合いも含んでいるため、特に魂抜き(閉眼供養)・入魂(開眼供養)といった儀式を入念に執り行うことが大切です。
移設・処分前に閉眼供養をする
仏壇を移設する際にも処分する際にも、必ず閉眼供養を行う必要があります。閉眼供養は、仏壇に宿る御仏の魂を供養する大切な儀式です。この儀式を行うことで、長年お祀りしてきた仏壇を正しい形で処分することができます。
閉眼供養は、菩提寺や最寄りのお寺に依頼して執り行います。一般的な閉眼供養の流れは以下の通りです。
手順 |
内容 |
所要時間 |
事前相談 |
お寺への連絡と日程調整 |
1週間程度 |
準備 |
供養に必要な供物の用意 |
1~2日 |
儀式 |
読経と供養 |
30分~1時間 |
整理 |
御札や位牌の処理 |
1日程度 |
閉眼供養の費用は寺院によって異なりますが、一般的に3万円から10万円程度が相場となっているようです。料金に関しては依頼予定のお寺に事前確認することをお勧めします。
仏壇の中身を整理
仏壇の中身は、位牌や仏具など大切なものが多く含まれています。これらを丁寧に整理することは、処分の重要な準備段階となります。
整理する際のチェックポイント
- 位牌(ご先祖様の位牌は特に丁寧に扱う)
- 仏具(材質や状態を確認)
- 過去帳(先祖の記録として保管)
- 数珠(家族の思い出として保存)
- お供え物(古いものは処分)
- 装飾品(材質に応じて分別)
これらの整理が終わったら、保管するものと処分するものを明確に分けて、家族で確認しながら進めていくことが重要です。
仏壇を移動する場合:開眼供養
仏壇を新しい場所へ移動する際には、開眼供養が必要となります。これは、新しい場所で仏壇を正しくお祀りするための大切な儀式です。
開眼供養の際の注意点
- 新しい設置場所の方角を確認する
- 部屋の清浄を保つ
- お坊様に事前に設置場所を確認してもらう
- 必要な供物を準備する
- 家族全員で儀式に参列する
この儀式により、新しい場所でも正しく御仏をお祀りすることができます。
このように処分方法によって必要な手続きや費用が異なるため、各方法のメリット・デメリットを理解した上で選択することが重要です。
神棚の処分はどうすればいい?

神棚の処分も仏壇同様、敬意を持って行う必要があります。神棚は神様をお祀りする場所であり、適切な作法で処分することが大切です。
神棚の処分方法には以下のようなものがあります。
処分方法 |
特徴 |
注意点 |
神社に依頼 |
最も望ましい方法 |
事前に相談が必要 |
お焚き上げ |
神社で執り行う |
時期や費用の確認 |
自身で処分 |
最終手段として |
作法を守って実施 |
処分の前には必ず最寄りの神社に相談し、適切な方法をご確認いただくことをお勧めします。
まとめ
また、空き家の仏壇処分は、適切な手順と方法で行うことが重要です。
まとめると以下のポイントに注意が必要です。
- 売却と並行して仏壇処分の計画を立てる
- 必ず閉眼供養や開眼供養(※移設の場合のみ)を行う
- 状況に応じて最適な処分方法を選択する
- 専門家のサポートを活用する
- 丁寧な対応を心がける
これらの点に注意して処分を進めることで、安心して空き家の売却を進めることができます。不安な点があれば、専門家に相談することをお勧めします。
空き家の売却はどこに依頼すればいい?
空き家の売却を検討しており、仏壇の処分について調べられている方も多いでしょう。
空き家の売却を進める際は、一般的に不動産会社に仲介・買取を依頼することになります。空き家の売却を成功させるには、実績が豊富であり信頼できる不動産会社・担当者に依頼することが大切です。
しかし、不動産会社・担当者によって得意としている物件やエリアについては異なるため、ただ実績が豊富、口コミ・評判が良いというだけで選んでしまうと希望に沿った売却をできない可能性もあるでしょう。
そのため、空き家の売却の相談先にお悩みの場合は、不動産売却に精通してるプロを紹介してもらえるマッチングサービスの利用がおすすめです。
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