不動産相続

家の相続はどう進める?注意点や相続したくないときの対処法も解説

不動産相続

家の相続はどう進める?注意点や相続したくないときの対処法も解説

実家の親が亡くなるなどして家の相続が発生したときには、速やかに相続手続きすることで後々のトラブルを防ぎやすくなります。とくに相続税が発生する場合には、相続の開始から10カ月以内に申告・納税をおこなわなければならず、限られた時間ないで多くの手続きを進めなければなりません。

そこで本記事では、家の相続が発生したときの手続きの流れを、必要な書類やかかる費用なども併せて解説します。また相続したくないときの対処法や、相続をスムーズにすすめるために押さえておきたいポイント・注意点もご紹介します。

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家の相続手続きの流れ

まずは、家を所有していた方が亡くなり、相続が発生したときの登記までの流れを図で確認しておきましょう。

家の相続手続きの流れ

このように、家の相続は発生から相続税の申告・納付まで、7つのステップを踏むのが一般的です。それぞれのステップでどのようなことをおこなうのか、順番に解説します。

STEP1.遺言書の有無を確認する

家の相続が発生した際には、最初に被相続人が遺言書を残しているかどうかを確認することが重要です。遺言書がある場合は、原則としてその内容に従うことになります。もし相続手続きを進めた後に遺言書が見つかってしまうと、全てをやり直す必要があるため、時間と手間が無駄になってしまいます。

遺言書の有無を確認するためには、被相続人の自宅だけでなく、公証役場に公正証書遺言が預けられている可能性もあるため、慎重に調べることが大切です。公正証書遺言は、公証人が立ち会いのもとに作成するため、遺言書の信頼性が高く、遺言による紛争を防止するためにも推奨されています。

STEP2.相続人と相続財産を確定する

遺言書を探すと同時に、法定相続人を確定していきます。相続人が配偶者と子、もしくは子のみであれば、問題ありませんが、被相続人の親兄姉が亡くなっていて、配偶者のみが相続人の場合は、甥姪まで相続範囲が広がり、複雑になりがちです。

また、思わぬところから相続を主張する人が現れることもあるため、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍を集めて、権利関係を調べる必要があります。場合によっては、非常に時間がかかることもあります。相続手続きを始めたら、できるだけ早めに着手することが大切です。

相続人の調査を進めながら、家を含む相続財産も調べて確定します。プラスの資産として、家や土地、預貯金などがあるかどうか調べるだけでなく、住宅ローンや借金などのマイナスの資産(負債)もあるかどうか調べましょう。

STEP3.相続税がかかるか確認する

相続財産を洗い出したら、基礎控除分や負債、葬式代金などを差し引いて相続財産総額を算出し、相続税がかかるか調べておく必要があります。相続税の基礎控除分は、「3,000万円+600万円×相続人の人数」で計算します。

例えば、相続人が母と2人の子である場合、3,000万円+600万円×3人で、基礎控除額は4,800万円となります。相続財産総額が基礎控除額を上回らなければ、相続税は発生せず、申告は不要です。相続税は、相続が発生してから10カ月以内に申告する必要がありますので、早めに確認しましょう。

家の価値を調べるためには査定が必要

相続税を計算するときには、家は固定資産評価額で評価されます。しかし固定資産評価額は、時価よりも低いのが一般的です。

そのため実際どのように家を相続するかを考えるときには、不動産会社の査定を受け、時価を確認することが重要です。相続後に高額で売却できることが分かっていれば、「自分が相続したかった!」というトラブルが起こり得ます。

また、家の時価を含めた遺産総額がマイナスになる場合は、相続放棄を検討する必要があります。相続放棄の期限は、相続を知った日から3ヶ月ですので、家を含む不動産の査定は早めに行うことが重要です。

なお戸建てはマンションと違って個別性が高いため、査定を受ける際には、エリアの相場に詳しい仲介担当者がいる不動産会社に依頼しましょう。エリアのニーズを把握している担当者なら、家の適正な売却見込み額を教えてくれるのはもちろん、ほかの活用方法についての提案も期待できます。仲介担当者紹介サービスを利用すれば、担当者のプロフィールや実績を確認して依頼先を選べるので便利です。ぜひ活用してください。

STEP4.遺産分割協議で家の相続方法を決める

相続人と相続遺産が確定できたら、どのように遺産を分けるかを決めていきます。相続人が1人であれば問題ありませんが、複数いる場合には「遺産分割協議」を開き、分割方法を考えます。

とくに家は現金や預貯金と異なり、人数で切り分けることはできません。そのため以下の4つの方法から、どのように分割するかを選ぶのが一般的です。

家の相続方法

それぞれどのような分割方法なのかを確認しましょう。

現物分割

「現物分割」では、家は母、車は長男など、現物のまま分配します。家のように物理的に分けられないものが遺産に含まれている場合に、とくに有効な分割方法です。

換価分割

「換価分割」は、家を売却して得られた代金を分配する方法です。現金化されるので、預貯金などと合わせて相続割合通りに分配するのが容易になります。

ただし家を含む不動産の売却には相続人全員の合意が必要とされているため、相続人のうち一人でも反対者がいると売却はできません。換価分割をおこないたい場合は、遺産分割協議で相続人全員の合意を取り付けることが重要です。

代償分割

「代償分割」は、家を相続した人が相続割合に応じた金額を、各相続人に対して代償金として支払う方法です。家を売却する手間や時間を省けますが、家を相続した人には他の相続人に代償金を払うだけの資力が求められます。

また代償金を決めるときに、家をどのように評価するかでトラブルになる可能性もあります。代償分割をおこなうときには、相続人全員が納得する売却ができるような評価方法を決めることが重要になるでしょう。

共有分割

「共有分割」とは、複数の相続人の名義で家を相続登記し、共有する方法です。家の分割方法としてはもっとも公平ですが、さらに相続が発生したときに名義人が増え続けてしまうのがデメリットです。

名義人が多いと、いざ売却しようとしたときに意見がまとまらずトラブルになる傾向があるため、共有分割は基本的には避けるのが無難です。

STEP5.相続登記に必要な書類を用意する

相続登記に備え、必要書類を用意しましょう。相続登記では、以下のような書類の提出が求められます。

書類名 内容 取得先
相続登記の申請書類 相続登記を申請するために法務局に提出する書類 法務局
被相続人の戸籍謄本および除籍謄本 出生から死亡までの連続したもの 被相続人の本籍地の市町村役場
被相続人の本籍地が記載された住民票除票または戸籍の附票 戸籍に記載された被相続人と登記名義人が同じ人物であることを証明するための書類 被相続人の本籍地の市町村役場
相続人の戸籍謄抄本 相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本 各相続人の本籍地の市町村役場
相続関係説明図 相続人の関係を示した図
家を相続する人の住民票 家を相続する人の現在の住所を証明するための書類 相続人が居住する市町村役場
遺産分割協議書 遺産分割協議で取り決めた内容を記し、相続人全員が署名・実印で捺印したもの
相続人全員の印鑑証明書 遺産分割協議書に押印した印影が実印であることを証明するための書類 相続人が居住する市町村役場
代理人権限情報(委任状) 司法書士などに申請を依頼する場合のみ必要
固定資産税納税通知書 登録免許税を計算するために必要

被相続人の戸籍謄本と除籍謄本は、出生から死亡までの全ての記録が必要です。もし被相続人が度々転居していた場合、書類の収集にはかなりの手間と時間がかかるため、早めに取りかかることが望ましいです。

STEP6.相続登記する

STEP6.相続登記する

相続登記に必要な書類が揃ったら、相続登記を法務局で行い、被相続人から新たな相続人へ登記を変更します。

ただし、現在は相続登記が義務化されていないため、所有者が不明な土地が増え、社会問題になっています。

そのため、2024年(令和6年)4月1日から、相続登記が義務付けられます。相続発生後3年以内に相続登記を行わないと、正当な理由がなければ10万円以下の罰金が科される可能性があります。この規定は既に相続が発生しているケースも対象です。従って、相続が発生したら、速やかに相続登記を行うことが無難です。

家の相続登記にかかる費用

家の相続登記には以下の費用がかかるため、あらかじめ見積もっておきましょう。

登録免許税 固定資産評価額×0.4%
不動産の持分の価額が100万円以下では免税(対象期間:令和7年3月31日まで)
司法書士報酬 相続登記を司法書士に依頼する場合にかかる費用
相場は5〜15万円を支払う

相続登記は自分でおこなうことも可能です。その場合、司法書士報酬は不要です。

STEP7.相続税を申告・納付する

相続税が発生する場合は、申告・納付の期限は相続開始から10ヶ月以内となります。時間が限られているため、早期に遺産の確定を行い、手続きを進めることが重要です。

家を相続したくない場合の対処法

家を相続したくない場合の対処法

相続放棄する

家の価値が低かったり、マイナスの遺産が多い場合など、相続を望まない場合は相続放棄が可能です。ただし、遺産の一部だけを放棄することはできません。相続放棄は相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があり、遺産の確定を速やかに行うことが大切です。

なお、相続を放棄すると、法定相続の順位が繰り下がる点には注意しましょう。自分が放棄することで、自分の子や甥・姪などに相続の権利が移る可能性があり、場合によっては親族間トラブルになることも考えられます。相続放棄により、誰にどのような影響があるのかまで確認し、対応を検討することが大切です。

換価分割で相続して売却する

家は必要ないけれども相続放棄はしたくない場合には、売却して得られた代金を相続する「換価分割」を選ぶのも方法のひとつです。

家は所有している限り、固定資産税やメンテナンス費などの維持・管理費がかかりますが、売却すれば不要になります。売却できる見込みがあるか、売却する場合いくらで売れるかなどを知りたいときには、不動産会社の査定を受けてみるとよいでしょう。

その際、エリアの市場動向に精通し、相続を得意とする仲介担当者がいる不動産会社に相談することをおすすめします。そうすることで、売却以外の選択肢を提案してもらえる可能性があるためです。

とはいえ、不動産会社の窓口に行ったり、一括査定サイトを通して問い合わせたりするだけでは、担当者の得意分野まではわかりません。そのようなときには、仲介担当者紹介サービスの利用がおすすめです。

仲介担当者紹介サービスとは、不動産会社の担当者と直接マッチングされるサービスです。プロフィールを確認したうえで依頼する担当者を選べるので、ミスマッチがありません。利用を検討してみるとよいでしょう。

家を相続する際のポイントと注意点

家を相続する際のポイントと注意点

最後に、家を相続するときのポイントと注意点を解説します。

権利関係を明確にしておく

家の相続が予見される場合、被相続人が亡くなる前に権利関係を整理することが大切です。特に代々継承されてきた家では、相続登記が未完了で権利関係が複雑になることがあります。さらに被相続人の死後、権利関係が更に複雑化し、遡及して解決が困難になる可能性があります

被相続人が健在な間に、将来の話をするのは難しいかもしれませんが、現状の所有者や権利関係を明確にし、事前に整理することが重要です。これにより、亡くなった後の手続きやトラブルを避けることができます。

生前贈与や遺贈も検討する

家は物理的に分割できないため、相続に関するトラブルが生じやすいです。そのため、生前贈与や遺贈を検討することがトラブルを回避する方法の一つです。

生前贈与は、家の所有者が存命中に家を贈与する方法で、遺贈は遺言書で相続相手を指定する方法です。どちらも所有者の意思が反映され、相続後のトラブルを防ぐことができます。

ただし、生前贈与では贈与税が発生する可能性があり、相続開始前10年以内の贈与は遺留分侵害とされることもあります。

家の相続に関するトラブルを防ぐためには、家族全員で相続方法について話し合い、事前に確認しておくことが重要です。

共有名義はできるだけ避ける

家の分割方法が決まらない場合、「とりあえず」共有名義にするケースがありますが、これはリスクが伴います。共有名義では、名義人が亡くなる度に新たな相続が発生し、名義人が増え続けていきます。その結果、売却時に名義人全員の合意が必要となり、売却が困難になることもあります。

相続人が納得したうえで共有名義にした場合でも、関係がいつまでも良好であるとは限りません。また、名義人が変わることで意思の共有が難しくなる可能性もあります。

トラブルのリスクを減らすため、相続した家はできるだけ共有名義を避けることが望ましいです。現物分割や代償分割で単独名義にするか、換価分割による売却を検討しましょう。

家の売却代金を相続税に充てる場合は期限に注意する

相続税は、相続発生後10カ月以内に申告・納付しなければならないとされています。相続税が少額で、手持ちの現金や遺産からまかなえる場合は問題ありませんが、相続税額が高額で家の売却代金での充当を考えるケースもあるでしょう。

その場合、相続から10カ月以内に買主を見つけて決済までおこなう必要があるため、迅速に不動産会社に相談することが重要です。期限までに買主が見つからない場合には、不動産会社に直接買い取ってもらうと早ければ1週間程度で現金化できるので、検討してもよいでしょう。

不動産会社の買取について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
不動産買取とは? 買取の種類や仲介との違い、業者の選び方、成功ポイントを解説

まとめ

まとめ

物理的に分割できない家の相続方法は、相続人の誰かがそのまま相続する、売却して現金を分け合うなど選択肢が複数あります。そのため誰が、どのように相続するのかについては、相続人同士でよく話し合うことが重要です。

相続方法を考えるときには、エリアの市場動向に精通し、相続に詳しい仲介担当者に相談するのがおすすめです。相続した家の査定を受けて価値を把握したうえで、どのように相続するともっとも価値を生みだせるのかを提案してもらうとよいでしょう。

相続が得意な担当者がいる不動産会社を探したい場合には、仲介担当者紹介サービスを利用すると便利です。例えば 三菱地所グループが運営するタクシエでは、物件情報を登録すると、該当エリアで実績が豊富な担当者が直接マッチングされます。

担当者のプロフィールや取引実績などを確認したうえで、相続した家をどう活用すればよいのか相談する相手を選べるので、ミスマッチがありません。チャットでコミュニケーションを取りながら、担当者の人柄を見極め相性を確認できるので、ぜひ利用をご検討ください。

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