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根抵当権の抹消手続きの流れは?必要書類や費用を解説

根抵当権の抹消手続きの流れは?必要書類や費用を解説

不動産取引において、根抵当権の抹消は重要な手続きの一つです。特に不動産を売却する際には、この根抵当権の抹消が必須となりますが、多くの方にとって馴染みの薄い手続きかもしれません。

実際、根抵当権の抹消には、司法書士への依頼や金融機関との調整、さまざまな書類の準備など、複数のステップが必要となります。また、手続きの方法や必要な費用も、ケースによって異なってきます。

このページでは、根抵当権抹消の基礎知識から具体的な手続きの流れ、必要書類、費用の目安まで、誰でも理解できるように詳しく解説していきます。不動産売却や相続を控えている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと分かること
  1. 根抵当権の抹消登記費用
  2. 根抵当権の抹消登記をする時の流れ
  3. 必要書類

【間違えやすい単語】抵当権と根抵当権の違い


言葉は非常に似ている抵当権と根抵当権ですが、どんな違いがあるのか確認をしていきましょう。

【抵当権と根抵当権の主な違い】

特徴 抵当権 根抵当権
債権範囲 単一の特定債権のみ 設定された種類の債権全般
借入方法 一度限り 極度額内で複数回可能
連帯保証 可能 不可
消滅条件 債務完済時 当事者間の合意必要

特に事業者にとって便利な点は、根抵当権では設定した極度額の範囲内であれば、追加の手続きや費用なしで何度でも借り入れできる点です。

ただし、根抵当権には連帯債務者を設定できないという制限があります。これは、債務額が変動する性質上、連帯保証人の責任範囲を明確にすることが困難なためです。対照的に、抵当権では債務額が確定しているため、連帯保証人の設定が可能となっています。

また、抹消手続きに関しても重要な違いがあります。抵当権は債務の完済によって自動的に消滅する権利ですが、根抵当権は債務を完済しても自動的には消滅しません。根抵当権を抹消するためには、債権者との明確な合意が必要で、根抵当権の抹消を検討する際は、債権者との事前協議が不可欠となります。

根抵当権を抹消するケース

根抵当権の抹消が必要となるケースは、主に不動産の権利関係をクリアにする必要がある場合です。以下のような状況で、根抵当権の抹消手続きが必要となるケースが多いでしょう。

抹消が必要となる主なケース

  • 不動産の売却時
  • 相続が発生した時

上記2つのケースでは、できるだけ早めに抹消手続きをしてしまう方が、その後の手続きも円滑に進めることができます。また、金融機関との調整や必要書類の準備に時間がかかることもあるため、余裕を持って早めの対応を心掛けると良いでしょう。

根抵当権付きの不動産を売却するとき

不動産を売却する際に根抵当権は一緒に譲渡されるわけではないため、買主が知らないうちに借金をしている可能性が考えられます。このようなことを防ぐために、売買契約は可能でも不動産の引き渡しはできません。そのため、引き渡しまでに根抵当権抹消登記を済ませておく必要があります。

なお、根抵当権抹消登記は、申請後1週間から10日ほどかかると言われています。書類の準備期間を考慮するともっと時間がかかるので余裕を持ってスケジュールを組みましょう。

関連記事:【売却前の準備】根抵当権抹消登記の必要書類や流れを徹底解説

完済済みの根抵当権が付いた不動産を相続するとき

通常根抵当権も一緒に相続されるため6ヶ月以内に登記を行って根抵当権も相続するのが一般的な流れですが、すでに完済されている場合は根抵当権の抹消登記をすることが可能です。

相続後に売却を考えている場合は、前述したように根抵当権を抹消する必要があるので速やかに金融機関と連絡をとって準備を進めるといいでしょう。

一方で、今後なんらかの資金を調達する必要がある場合は抹消せずにそのまま相続するケースが多いです。

司法書士に依頼した場合の根抵当権抹消の手順


根抵当権の抹消手続きを司法書士に依頼する場合、専門家のサポートにより安全確実に手続きを進めることができます。一般的な手続きの流れを理解しておくことで、スムーズな抹消登記が可能となります。

司法書士依頼から抹消完了までの流れ

  1. 債権者(金融機関など)などから必要書類をもらう
  2. 司法書士に依頼するために委任状に署名捺印をする
  3. 不動産があるエリアの管轄法務局で申請(司法書士が代行することもある)
  4. 根抵当権抹消登記完了
  5. 抹消登記の確認

上記の流れを経て、一般的に1ヶ月〜2ヶ月程度で抹消登記が完了します。依頼者自身で行う作業は、必要書類の準備と金融機関への来店程度であり、その他の煩雑な手続きは司法書士が代行してくれるケースが多いです。

念の為、司法書士に依頼する際にどこまで業務を代行してくれるのか確認をとるといいでしょう。


根抵当権の抹消に必要な書類


根抵当権の抹消には、複数の重要書類が必要となります。これらの書類は、金融機関や法務局から取得するものが多く、準備に時間がかかる場合があります。

【必要書類一覧と取得方法】

書類名 取得先
登記済証(抵当権設定契約書) 所有者保管
印鑑証明書 市区町村役所
根抵当権解除証書(登記原因証明情報) 金融機関
登記申請書 司法書士作成
会社法人等番号 ネット上で調べることが可能
債権者(金融機関など)の委任状 抵当権者(金融機関など)

これらの書類は、有効期限が設定されているものもあるため、取得のタイミングには注意が必要です。特に印鑑証明書は、取得から3ヶ月以内のものが求められることが一般的です。計画的な準備を心がけましょう。

登記原因証明情報(解除証書、弁済証書、解約証書など)

登記原因証明情報は、根抵当権を抹消する法的な根拠となる重要な書類です。金融機関などの債権者としては、債権が無くなると金利が得られなくなりますので金利で収益をあげることができなくなってしまい、債権者にとってメリットがない話ではあります。断られることは少ないですが、もしかすると対応が遅くなる可能性も十分に考えられます。

根抵当権の抹消をする場合は、スケジュールに余裕を持って進められるようにすぐ債権者に連絡をするようにしましょう。

抵当権者(金融機関など)の委任状

法務局で申請する際に債権者の委任状が必要になります。金融機関などの委任状取得は、そこまで大きな違いはありませんが、金融機関によって対応が異なる場合があります。

委任状が必要だということを伝えると債権者の方で委任状を用意してくれるはずなのでまずは担当者に連絡をしましょう。

登記申請書

登記申請書は、法務局に提出する正式な申請文書です。記載内容に不備があると申請が却下される可能性があるため、正確な作成が求められます。今回は司法書士に依頼することが前提のため特に気にすることはないでしょう。

引用元:法務局

一般的には上記の画像のような形式になります。司法書士に依頼することで安心して手続きを進めることができます。

会社等法人番号もしくは会社の法人登記簿

法人が関係する根抵当権抹消の場合、会社の登記情報が必要となります。個人の場合は基本的に不要ですが、法人の場合は必ず準備が必要です。

法人関連書類の取得方法

  • 法人番号:国税庁のウェブサイトで無料確認
  • 登記簿謄本:法務局で取得(オンライン申請可)
  • 所要期間:即日~1週間程度
  • 有効期限:発行から3ヶ月以内

国税庁が運営している法人番号公表サイトで会社名を入れるとすぐに法人番号が確認できます。法人番号のみ必要な場合は、こちらから確認してみましょう。

法人の登記簿が必要な場合は、管轄の法務局に行って取得するか、オンラインで申請を行います。早急に必要な場合は管轄の法務局に行って取得する方が早いのでお急ぎの場合は時間を作って管轄の法務局に行きましょう。

根抵当権抹消登記に必要な費用

ここまでは、流れや必要書類に付いて説明しましたが、ここからは根抵当権を抹消するために必要な費用を説明していきます。

司法書士報酬 1万5,000円~3万円(別途消費税)/不動産1件
登記申請の登録免許税 登記申請する不動産1件につき、1,000円の登録免許税
その他の雑費 書類を郵送代などの雑費が1000円〜4000円ほど

上記の費用はあくまで目安となります。
遠方に不動産があるなど何かしらの理由で費用が多くなってしまうこともあります。

根抵当権抹消の注意点


根抵当権の抹消手続きを円滑に進めるためには、いくつかの重要な注意点があります。これらを事前に理解し、適切に対応することで、不必要なトラブルや遅延を防ぐことができます。

ここからは根抵当権付きの不動産を売却する時に注意しておくべきことを解説していきます。

根抵当権を設定した債権者の許可がもらえるか

根抵当権の契約内容は一緒ではなく「債権者の許可なく不動産の所有権を移転してはならない」と条件がある場合もあります。

その場合は、根抵当権の抹消に債権者(主に金融機関)からの許可が必要不可欠です。この許可を円滑に得るためには、適切な準備と交渉が重要となります。

「売買契約を先にしたけど債権者が応じてくれない」というトラブルに発展しないよう、売却をするためには、最初に根抵当権の債権者に連絡をして、抹消が可能か確認をとった後に売却を進めるように注意しましょう。

不動産の所有者と債務者が違う場合

根抵当権設定者とは、担保となる不動産を所有している人のことを指します。例えば、会社の社長が自宅を担保に会社の運転資金を借り入れる場合、その社長が根抵当権設定者兼債務者となります。

このとき注目すべき点は、根抵当権設定者と実際の借入れを行う債務者が、必ずしも同一人物である必要はないということです。例えば、父親が所有する不動産を担保として、子供が事業資金を借り入れるようなケースでは、父親が根抵当権設定者、子供が債務者という関係になります。

根抵当権設定者の債務状況などによっては、債務の返済が十分に行えない可能性があり、このようなケースでは元本の確定手続きにより根抵当権の性質を消滅させ、一般的な抵当権の扱いを受ける必要があります。

根抵当権の抹消登記をするときは債権者に必ず連絡を取ろう

ここまで、根抵当権の費用や流れについて解説しました。

抹消登記の手続きをする上で、金融機関などの債権者に連絡をとることが一番重要でしょう。債権者とのやり取りがスムーズに進行すれば、根抵当権の抹消登記や売却時の所有権の引き渡しもスムーズに進みます。

ただし、根抵当権が抹消できたから不動産が必ず売れるというわけでなく、根抵当権の抹消は売却をするために必要な手続きにすぎません。

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