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マンションの相続税がかかるケースは?評価額の新ルールや納税額の計算方法を紹介

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マンションの相続税がかかるケースは?評価額の新ルールや納税額の計算方法を紹介

相続したマンションに相続税が発生するかは、遺産総額が基礎控除額を上回るかどうかで判断します。課税対象となった場合、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に納付しなければなりません。

本記事では、マンションの相続税がかかるケースを解説します。

この記事を読むと分かること
  1. マンションの相続税の計算方法
  2. マンションの相続税の節税につながる特例・控除
  3. マンションの相続税を納付できない場合の対処法

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マンションの相続税がかかるケース

マンションを含む遺産総額が基礎控除額を超えると、上回った金額に対して相続税がかかります。基礎控除額とは、税負担を軽減するために遺産総額から一定額を差し引ける金額です。相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求められます。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

参考:「財産を相続したとき」(国税庁)

たとえば法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円となります。

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円(基礎控除額)

仮に遺産総額が5,500万円であった場合、基礎控除額4,800万円を差し引いた残額700万円に対して相続税がかかります。

相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません(※)。

(※)「相続税の申告と納税」(国税庁)

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2024年1月からマンション相続税評価額の新ルールが適用

2024年1月1日以降に相続または遺贈で取得したマンション(居住用の区分所有財産)には、相続税評価額の新しい算出ルールが適用されます。

相続税評価額とは、相続や遺贈により取得した財産の税額を算出する際の基準となる金額です。旧ルールでは、区分所有権と敷地利用権の価額それぞれの合計額をマンションの相続税評価額としていました。

新ルールでは、区分所有権と敷地利用権の価額それぞれに対し、区分所有補正率を掛けて相続税評価額を求めます(※1)。

算出方法が見直された理由は、マンションの相続税評価額が不動産の市場価格より著しく低かったからです(※2)。新ルールの適用により、適切な相続税評価額にもとづいて相続税額を算出できるようになりました。

(※1)「居住用の区分所有財産の評価が変わりました」(国税庁)
(※2)「マンションの相続税評価額と市場価格の乖離率の推移」(国税庁)

マンションの相続税の計算方法

マンションの相続税の計算方法

マンションの相続税の計算方法は、以下のとおりです。

  1. 正味の遺産総額を計算する
  2. 課税遺産総額を計算する
  3. 相続税の総額を計算する
  4. 各相続人の相続税額を計算する

それぞれの計算手順を解説します。

1.正味の遺産総額を計算する

はじめに、正味の遺産総額を算出します。正味の遺産総額とは、被相続人のプラスの財産からマイナスの財産と葬儀費用を差し引いた総額です。

正味の遺産総額=プラスの財産ー(マイナスの財産+葬儀費用)

たとえば、プラスの財産が5,000万円、マイナスの財産が2,000万円、葬儀費用が100万円の場合、正味の遺産総額は2,900万円になります。

5,000万円ー(2,000万円+100万円)=2,900万円(正味の遺産総額)

プラス財産とマイナス財産に該当するのは、以下のようなものです。

財産の評価

財産の種類

プラスの財産

・不動産

・現金

・預貯金

・有価証券など

マイナスの財産

・借入金(住宅ローン)

・未払金

・債務など

プラスの財産である不動産の金額には、マンションの相続税評価額を用います。マイナスの財産である借入金には、住宅ローンやマイカーローンの残債などが含まれます。

被相続人の火葬費や納骨などにかかった費用は葬儀費用として差し引けますが、香典や法事費用は該当しないため、算出する際に含めないよう注意しましょう。

2.課税遺産総額を計算する

次に、課税遺産総額を計算します。課税遺産総額とは、相続税の対象となる財産の総額です。課税遺産総額は、正味の遺産総額から非課税財産の合計額と基礎控除額を差し引いて算出します。

課税遺産総額=正味の遺産総額ー(非課税財産の合計額+基礎控除額)

参考:「財産を相続したとき」(国税庁)

たとえば、正味の遺産総額が9,000万円、非課税財産の合計額が1,000万円、基礎控除額が4,800万円の場合、課税遺産総額は3,200万円になります。

9,000万円ー(1,000万円+4,800万円)=3,200万円(課税遺産総額)

非課税財産には、以下のようなものが該当します。

  • 仏壇
  • 祭具
  • 国や地方公共団体などに寄附した財産
  • 生命保険金(「500万円×法定相続人の数」まで非課税)
  • 死亡退職金(「500万円×法定相続人の数」まで非課税)

参考:「財産を相続したとき」(国税庁)

本来、生命保険金や死亡退職金は相続税の課税対象ですが、「500万円×法定相続人の数」を限度額として非課税になります。

3.相続税の総額を計算する

課税遺産総額を計算したら、相続税の総額を求めます。相続税の総額は、すべての法定相続人の相続税を合計した金額です。相続税の総額を算出するには、以下の各相続人の法定相続分に応じて課税遺産総額を按分します。

法定相続人

法定相続分

配偶者と子ども

配偶者:2分の1

子ども:2分の1

(子どもの人数に応じて2分の1を分ける)

配偶者と両親もしくは祖父母

配偶者:3分の2

両親もしくは祖父母:3分の1

配偶者と兄弟姉妹

配偶者:4分の3

兄弟姉妹:4分の1

参考:「相続人の範囲と法定相続分」(国税庁)

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人、課税遺産総額が3,000万円の場合、法定相続分の割合に従って以下のように按分します。

・配偶者:3,000万円×2分の1=1,500万円

・子どもA:3,000万円×4分の1=750万円

・子どもB:3,000万円×4分の1=750万円 

課税遺産総額を按分したら、法定相続分の取得額に応じた相続税率を掛けて、控除額を差し引きます。

出典:「相続税の税率」(国税庁)

先ほどのケースの場合、各法定相続人の相続税額は以下になります。

・配偶者:(1,500万円×15%)ー50万円=175万円

・子どもA:750万円×10%=75万円

・子どもB:750万円×10%=75万円

控除額を差し引いた各法定相続人の相続税額を合計すると、相続税の総額が算出されます。今回のケースだと、相続税の総額は325万円(175万円+75万円+75万円)になります。

相続税の総額は、最終的な税額を出すための基準となる金額です。この段階では、各種特例・控除を適用しないよう注意しましょう。

4.各相続人の相続税額を計算する

相続税の総額を算出したら、受け取る遺産の割合に応じて相続税額を按分します。按分割合は、各法定相続人の課税遺産額から課税遺産総額を割って求めます。

各法定相続人の按分割合=各法定相続人の課税遺産額÷課税遺産総額

参考:「財産を相続したとき」(国税庁)

たとえば、課税遺産総額3,000万円に対し、配偶者が1,500万円、子ども2人が1,500万円を取得した場合、按分割合は以下のとおりです。

・配偶者:1,500万円÷3,000万円=50%

・子どもA:750万円÷3,000万円=25%

・子どもB:750万円÷3,000万円=25%

按分割合が割り切れない場合は、小数点以下2位未満の端数を調整できます(※)。ただし、端数調整によって納税額が増える場合もあるため、不公平が生じないよう相続人同士で話し合いましょう。

最後に、相続税の総額に相続税の按分割合を掛けて、各相続人の相続税額を求めます。

各相続人の相続税額=相続税の総額×相続税の按分割合

参考:「財産を相続したとき」(国税庁)

たとえば、相続税の総額が325万円で、法定相続人が配偶者と子ども2人の場合、相続税額は以下のようになります。

法定相続人

相続税額の計算式

配偶者

325万円×50%=162.5万円

子どもA

325万円×25%=81.25万円

子どもB

325万円×25%=81.25万円

各相続人の相続税額の確定後に特例・控除を差し引いた金額が、実際の納税額です。納税額の計算が難しい場合は、税理士へ相談するとよいでしょう。

(※)「第16条《相続税の総額》関係」(国税庁)

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マンションの相続税の節税につながる特例・控除

マンションの相続税の節税につながる特例・控除

マンションの相続税の節税につながる特例・控除は、以下の2つです。

  • 配偶者控除
  • 小規模宅地等の特例

それぞれの特例について解説します。

配偶者控除

配偶者控除とは、被相続人の財産を配偶者が相続した際に一定額まで相続税が非課税になる制度です。以下のうち、どちらか大きい金額までは相続税が発生しないため、税負担を大幅に軽減できます。

  • 配偶者が相続した遺産総額が1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分に相当する金額

本特例を受けるためには、相続税の申告期限までに遺産分割協議を終えていなければなりません。期限までに相続人全員との協議が難しい場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。

参考:「配偶者の税額の軽減」(国税庁)

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たした宅地の相続税評価額を最大80%減額できる制度です。本特例を適用できる土地の利用区分・要件・限度面積・減額割合は、以下のように定められています。

出典:「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(国税庁)

マンションの場合、本特例の適用対象になるのは敷地権(土地)のみです。被相続人が居住していたマンションだけでなく、事業用・賃貸用のマンションにも適用できます。

マンションの相続税を納付できない場合の対処法

マンションの相続税を納付できない場合の対処法

マンションの相続税を納付できない場合の対処法として、以下が挙げられます。

  • 延納を申請し分割納付する
  • 相続した財産を物納する
  • マンションを売却して得た資金で納付する

それぞれの内容について解説します。

延納を申請し分割納付する

相続税の納付が困難な場合は、被相続人の住所地を管轄する税務署に相続税の延納を申請するとよいでしょう。相続税が10万円を超え現金納付が難しい場合、延納申請により分割納付が可能です。

延納申請の要件は、以下のとおりです。

  • 相続税額が10万円を超えている
  • 現金納付が困難な理由がある
  • 延納税額に相当する担保を提供する
  • 相続税の納付期限内に申請する

相続税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合、担保の提供は不要です。

参考:「相続税の延納」(国税庁)

相続した財産を物納する

相続税の現金納付が困難で、かつ延納も認められない場合は、相続した財産を相続税として納める方法があります。物納を希望する際は、被相続人の住所地を管轄する税務署に申請します。

物納の申請要件は、以下のとおりです。

  • 延納や現金納付が困難な理由がある
  • 物納する財産は、相続や遺贈によって取得したものである
  • 日本国内に所在する財産である
  • 相続税の納付期限内に申請する

なお、物納できる財産は、以下のように優先順位が定められています。

順位

相続した財産

第1順位

・不動産

・船舶

・国債証券

・地方債証券

・上場株式など

第2順位

・非上場株式

第3順位

・動産(貴金属、美術品、自動車など)

たとえば、第1順位のマンションと、第3順位の貴金属・美術品を相続した場合は、第3順位のみの物納はできません。なお、第1順位のマンションを相続した場合であっても、住宅ローンの残債があり、抵当権が設定されている場合は物納できないため注意しましょう。

参考:「相続税の物納」(国税庁)

マンションを売却して得た資金で納付する

相続税の納付が困難な場合は、マンションの売却代金で納税するのも一つの方法です。相続税の納付期限前に相続登記手続きを済ませて売却できれば、納付する資金を確保できます。

一般的に不動産の売却は、3〜6ヶ月程度かかります。そのため、相続税の納付期限までに資金を確保するには、早めの売却準備が欠かせません。

参考までに、株式会社NEXERとTAQSIE(タクシエ)が相続した不動産の売却にかかった期間を調査したところ、マンションは3〜6ヶ月未満での売却が多い傾向です。

出典:「【築年数、駅距離、物件種別で紹介!】相続した不動産、売却成立までの期間に関する調査」(PR TIMES)

マンションの売却代金で相続税を納付する場合は、早めに不動産会社に査定を依頼しましょう。

相続したマンションを売却する際はTAQSIE(タクシエ)に相談!

マンションの相続により遺産総額が基礎控除額を超えた場合は、相続税が発生します。税負担を軽減するには、配偶者控除や小規模宅地等の特例を利用するとよいでしょう。

相続税の納付が困難な場合は相続したマンションを売却し、売却代金で納税するのも選択肢の一つです。

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落合 晃
三菱地所リアルエステートサービス 新事業推進部  「不動産売却マスター」編集長 【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、衛生管理者、ファイナンシャルプランナー3級 2008年入社。人事部門で福利厚生制度などの企画運営、住宅賃貸部門でタワーマンション営業所長、高級賃貸マンション企画などを経て、2018年より経営企画部で主に事業開発を担当し、複数の新規事業立上げに従事。2020年度三菱マーケティング研究会ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞。「TAQSIE」では初期構想から推進役を担い、現在もプロジェクト全般に関わっている。 「不動産の売却に特化した情報を発信する『不動産売却マスター』編集部です。不動産の売却や買取をスムーズに進めるポイントや、税金、費用などをわかりやすく解説します」
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