不動産を売却する際、適切な価格で取引を進めるためには、不動産査定書の内容を正しく理解することが重要です。不動産査定書は、物件の価値を専門家が評価した公式文書であり、売却活動の基礎となる重要な資料です。
しかし、査定書の取得方法や見方がわからない、担当者への質問の仕方が分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産査定書の入手方法から、チェックすべきポイント、そして不動産会社の担当者への効果的な質問方法まで、詳しく解説していきます。
- この記事を読むと分かること
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- 不動産査定書を入手する方法とその流れ
- 不動産査定書の重要ポイントとチェックすべき項目
- 担当者に聞くべき質問とその意図
不動産査定書はどうやって入手するの?

不動産査定書は、売却を検討している物件の市場での価値や売れそうな金額についてまとめた書類です。
不動産査定書には、査定価格やその根拠、周辺環境や駅からの距離、類似物件の事例などが記載されています。
査定書は、売却価格の設定や市場価値の把握に役立ちます。複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格や根拠を比較・検討することで、より適切な売却価格を設定することができます。
近年では、オンラインで査定を依頼できるサービスも増えており、忙しい方でも手軽に査定書を取得できます。
不動産査定書を取得するためのステップ

不動産査定書を取得するには、以下の流れで進めます。
- 不動産会社へ査定依頼: 不動産会社に直接依頼するか、不動産一括査定サイトを利用する方法があります。
- 物件資料の提出: 査定に必要な物件情報などを提出します。
- 現地調査: 訪問査定の場合、不動産会社の担当者が物件を訪問し、調査を行います。
- 査定額の算出: 提供された情報や書類、現地調査などを基に、査定額が算出されます。
- 査定書の発行・説明: 査定書が発行され、内容の説明を受けます。
正確な査定のためには、物件資料を事前に準備し、必要に応じて不動産会社に協力することが重要です。
オンライン査定、机上査定、訪問査定の違い
不動産査定には、オンライン査定、机上査定、訪問査定の3種類があります。
オンライン査定は、AIによる過去の取引データをもとに自動で価格が算出されるため数分で結果が分かります。手軽で迅速な点がメリットですが、正確性に欠けるというデメリットもあります。
机上査定は、不動産会社が実際の物件を訪問せず、築年数や所在地などの物件情報や、似ている物件の取引価格の情報などから査定価格を算出する方法であり、「簡易査定」とも呼ばれています。
過去事例や数多くのデータから算出されるため、査定価格と実際の売却価格に大きな乖離がないことが多いですが、「訪問査定」と比べると振れ幅があることが一般的です。
訪問査定は、専門家が実際に物件を訪問して査定を行うため、より正確な査定結果を得られます。ただし、訪問査定には時間と手間がかかります。
どの査定方法を選ぶかは、売却を検討している方の状況によって異なります。例えば、急いで査定結果を知りたい場合はオンライン査定、より正確な査定結果を得たい場合は訪問査定が適しています。
効率的に査定を行うには、オンライン査定や机上査定で市場価値の目安を把握した上で、訪問査定を依頼するという方法もあります。
不動産査定書のどこをチェックすべきか?

査定書には住所や築年数など物件の基本情報から、査定価格や周辺環境の評価までさまざまなことが記載されています。
主に記載されている内容は以下の通りです。
記載内容 |
概要 |
不動産の概要 |
物件の住所や築年数、面積、用途地域などの基本情報 |
査定価格 |
不動産の客観的な価値・評価を表した金額 |
売出価格 |
買主の募集時に推奨される売却価格 |
周辺環境への評価 |
日当たりや景観、騒音、周辺施設の充実度などの評価 |
売却スケジュール |
市場動向を踏まえた売却にかかると予想される期間 |
予想手取り額 |
諸費用等も考慮した売却時に手元に残ると予想される金額 |
担当者のコメント |
査定の根拠や販売戦略、備考や特記事項など |
以下では、適切な売却価格の設定や、売却戦略の立案のために特に確認すべき重要なポイントを紹介します。
査定価格・売出価格
査定書に記載されている価格は、様々な要素が考慮されて算出されています。
周辺にある類似物件との比較や、過去の取引事例、市場動向、立地や建物の状態、築年数などさまざまな要素が影響しています。
そのため、まずは査定価格をどのように算出したのか、参考にした事例はどれかなど詳細に算出プロセスや根拠などの説明が記載されているかという視点で確認すると良いでしょう。
また。不動産会社によって算出方法や参考にしている過去の取引データが異なるため、査定価格には差が出ることが一般的です。
複数の不動産会社の査定結果を比較しながら、他社と極端に価格差がないかを確認しましょう。相場より1〜2割以上高い場合には注意が必要で、契約を獲得しようとあえて高額を提示しているケースがあります。売出時や売却活動期間中に値下げをされることになる可能性が高いため、極端に価格が高い会社には気をつけましょう。
さらに、査定書には、売却価格の目安となる査定価格だけでなく、価格帯別に売却にかかる想定期間や売却可能性の予測も記載されていることもあります。
最終的に売出価格を決めるのは売主となるため、これらの情報を参考に、売出価格の決定に役立てると良いでしょう。
売却活動のスケジュール
物件の売却にかかる予想期間は、市場の動向や物件の特性などを考慮して出されます。
まずは複数社の売却予想期間を比較しながら、極端に長期間または短期間で設定されている場合には理由について聞いてみましょう。
また、売却活動にかける期間を短くしたいという場合には、売出価格の設定を下げる必要があるのか、売却するタイミングを変更した方がよいのかなどを質問しながら確認すると良いです。
売却期間が長期化すれば、値下げをしなければならない可能性も出てくるため、季節要因や経済状況なども加味しながら、予想スケジュールをもとに売出時期は慎重に検討しましょう。
査定した担当者のコメント
担当者からのコメントは、査定時に評価されたポイントや売却活動に影響するリスクに関する情報が記載されているかを確認しましょう。
先述したように、不動産会社によって査定価格の算出方法が異なるため、例えば、設備の更新リフォームや耐熱性・気密性の高いといった住宅性能がどれくらい査定価格に反映されるかも大きく変わってきます。
物件の強みをしっかり評価してくれる不動産会社を選ぶことで、より高い金額での売却が期待できるでしょう。
また、主に記載されているリスクには、建物の経年劣化や設備の不具合、周辺環境の変化などがあります。
特に、周辺環境に変化がある場合にはその内容も加味されているか確認することが重要です。例えば、近くに商業施設が建設されることで利便性が向上する場合もあれば、逆に騒音や日照の問題が発生する場合もあり、売却価格に大きく関わってきます。
そのため、売却時の懸念点やリスクについてもしっかり把握しているか確認することで、そのエリアに精通している信頼できる不動産会社だと判断できるでしょう。
査定書の確認後に不動産会社の担当者に聞くべき質問とは?

査定書を受け取った後は、内容について担当者に詳しく確認するとよいでしょう。質問を通じて価格設定や予想される売却期間について理解することで、より納得感をもって売却を進められるでしょう。
以下では、査定結果に対して特に聞いておくと良い質問を紹介します。
査定金額はどのように決定されたのか?
不動産査定額の根拠を理解することは、売却活動において非常に大切です。査定額がどのように算出されたのか、具体的な根拠を把握することで、査定額の妥当性を判断することができます。
査定の根拠としては、周辺地域における類似物件の取引事例や市場価格との比較、物件固有の価値評価などが挙げられます。
取引事例比較法では、物件の形状や環境、方位などの個別要因も考慮されます。市場価格との比較では、路線価などの公的な価格情報も参考にされます。
物件固有の価値評価には、建物の再調達価格から経年劣化分を差し引く「原価法」や、収益性を基に評価する「収益還元法」などが用いられます。
査定額の計算式や調整要因の詳細を確認することも重要です。不明な点があればとことん質問し、担当者が丁寧に説明してくれるかも確認すると良いでしょう。
物件に対する改善点やアドバイスはあるか?
物件の売却価格を上げるためにも、物件を改善する余地や売却方法に関するアドバイスがあるかも聞いておきましょう。
特に、中古物件の場合には、簡易なリフォームをするだけで買主の見つかりやすさが格段に上がるケースもあります。
また、物件写真や内覧時の印象を高め、売却価格のアップや成約率の向上を図るためにも、ホームステージングやハウスクリーニングを実施した方が良いケースもあります。
売却前に事前に準備しておくべきことや修繕すべき箇所の有無、売却活動中の対応についてアドバイスがないかも確認しておくと良いでしょう。
今後の市場動向についての見通し
不動産の売却価格にも大きく関わってくるため、市場動向についても詳しく聞いてみましょう。
需要の高まりが予想されるエリアや人気な物件の種別・間取り、金利変動による消費者動向や不動産の売却に関する重要な法改正など、不動産市場の動向によっては売却タイミングをずらした方が良いケースもあります。
また、担当者の信頼性を確認するためにも、これらの情報に精通しているかは重要な指標となるでしょう。
そのため、気になることがあれば積極的に質問し、回答に具体性があることを確認することはもちろん、わかりやすく丁寧な説明が受けられれば、売却活動中も親身に対応してもらえると判断できるでしょう。
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ここまで不動産査定書のチェックすべきポイントや担当者に質問すると良い事項について解説してきました。
実際に査定結果の比較すべきポイントや担当者を選ぶ基準については理解できたと思いますが、まず査定を依頼する会社はどこにすれば良いのかお悩みの方も多いかと思います。
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