固定資産税の負担が重くなり、不動産の売却を検討する際には、まず「固定資産税評価額」を正しく把握することが欠かせません。固定資産税評価額は、所有する不動産の価値を把握するうえで重要となる指標です。
固定資産税評価額を調べる方法は主に3つあります。また、計算式を用いて自分で固定資産税評価額を算出することも可能です。
この記事では、固定資産税の評価額を調査する方法について解説します。
- この記事を読むと分かること
-
- 固定資産税評価額の調べ方
- 固定資産税評価額の計算方法
- 固定資産税評価額と相続税評価額の違い
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固定資産税評価額とは

固定資産税評価額とは、土地や家屋などの固定資産の価値を評価した価格です(※)。固定資産税や都市計画税の税額を算出するための指標として用いられます。
固定資産の評価は、3年ごとに見直されます(評価替え)。土地や家屋の価値は、地価の変動や経年劣化によって変わり、そのままにしておくと実際の価値とかけ離れた課税になる恐れがあるからです。前回の評価替えは2024年度に行われたため、次回の実施は2027年度に予定されています。
(※)「固定資産税評価額」(国税庁)
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固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額の調べ方は、以下の3つがあります。
- 課税明細書を確認する
- 固定資産課税台帳を閲覧する
- 固定資産評価証明書を取得する
それぞれの調査方法を詳しく解説します。
課税明細書を確認する
固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書で確認できます。固定資産税の納税通知書は、毎年4〜5月頃に市区町村から送付される書類です。課税明細書には、所有する土地や家屋ごとに固定資産税評価額が記載されています。
なお、課税明細書に記載されている「課税標準額」は、固定資産税評価額と異なる場合があるため注意が必要です。家屋の場合は、課税標準額と固定資産税評価額は同じです。しかし、土地は税負担の特例措置が適用された場合、課税標準額と固定資産税評価額が異なります。
固定資産税の納税通知書は、紛失すると再発行はできません。万が一紛失した場合は、後述する「固定資産課税台帳の閲覧」や「固定資産評価証明書の取得」により、固定資産税評価額を確認しましょう。
固定資産課税台帳を閲覧する
固定資産税評価額は、固定資産課税台帳で確認できます。固定資産課税台帳とは、固定資産の課税対象となる土地・家屋の所有者や評価額などが記載されている帳簿です。所有する土地や家屋がある市区町村の役所で閲覧できます。
なお、固定資産課税台帳の閲覧は、固定資産税の納税者もしくは委任を受けた方に限られます。
固定資産評価証明書を取得する
固定資産税評価額は、固定資産評価証明書を取得することで確認できます。固定資産評価証明書とは、固定資産課税台帳に記載されている土地や家屋などの固定資産の評価額を証明する書類です。
所有する土地や家屋がある市区町村の役所窓口で、固定資産評価証明書の申請・取得ができます。一部の地域では、郵送での取り寄せや電子申請にて取得可能です。証明書の発行には、不動産1件につき300〜400円程度の手数料がかかります。
固定資産税評価額はどのように決定される?

固定資産税評価額は、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」にもとづいて、各自治体が決定します(※)。
土地の場合は、宅地や農地などの目的別に応じて評価額を算出します。宅地の固定資産税評価額は、国土交通省が公表する土地の時価(公示地価)の7割を目安に決定されるのが一般的です。
家屋の場合は、構造や築年数などによって評価額が決定されます。
(※)「地方税法」(デジタル庁)
固定資産税評価額の計算方法

固定資産税評価額は、以下の方式で算出されます。
それぞれの計算方法について解説します。
標準地比準方式
標準地比準方式とは、所有する土地と類似する土地(標準地)を基準として、固定資産の評価額を算出する方法です(※)。主に路線価が設定されていない地域の宅地などで用いられます。標準地比準方式では、以下の計算式で固定資産税評価額を算出します。
固定資産税評価額=標準宅地の単価×土地面積×各種補正率 |
標準宅地の単価は、標準的な立地・形状の宅地をもとに決められた価格で、地域ごとに設定されています。
補正率は、土地の形状や接道状況、間口の広さなど、個別の条件に応じて異なります。
(※)「固定資産評価のしくみについて(土地評価)」(総務省)
路線価方式
路線価方式とは、所有する土地に隣接する道路の評価額を基準として、固定資産の評価額を算出する方法です(※)。都市部などの宅地で広く使われる評価方式です。路線価方式による固定資産税評価額の計算方法は、以下のとおりです。
固定資産税評価額=固定資産税路線価×土地面積×各種補正率 |
固定資産税路線価とは、土地の固定資産税を算出する際に用いる土地の価格です。接道する土地1㎡あたりの価格を表しています。固定資産税路線価は、市区町村のホームページで確認可能です。
標準地比準方式と同様、補正率は土地の個別の条件によって異なります。
(※)「固定資産評価のしくみについて(土地評価)」(総務省)
再建築価格方式
再建築価格方式とは、所有する家屋と同じものを建築する場合の建築費(基礎や屋根など)を算出し、所有する家屋の築年数の減価を引いて評価額を求める方法です(※)。以下の計算式で算出します。
固定資産税評価額=再建築価格×経年減点補正率×評点 |
床面積が同じ割合の土地でも、家屋の築年数や建築材などによって評価額が異なります。
固定資産税評価額は自分で計算できるものの、算出に必要な土地の面積や補正率を調査するには時間や労力がかかります。所有する不動産の固定資産税評価額を正確に算出したいのであれば、税理士や不動産鑑定士などの専門家に依頼するのがおすすめです。
(※)「固定資産評価のしくみについて(家屋評価)」(総務省)
固定資産税評価額と相続税評価額の違い

固定資産税評価額と相続税評価額は、評価対象とする税金の種類が異なります。それぞれの違いについて、以下の表にまとめました。
| 評価対象とする税金の種類 |
---|
固定資産税評価額 | ・固定資産税 ・都市計画税 ・不動産取得税 |
相続税評価額 | ・相続税 ・贈与税 |
上記のように、評価対象とする税金の種類が異なるため、固定資産税評価額と相続税評価額が同じ額になることはありません。土地の相続税評価額の調べ方については、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
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土地の相続税はいくらかかる?計算方法や評価額の調べ方、使える控除を紹介
固定資産税評価額から実勢価格を算出できる!

固定資産税評価額を参考にして、おおよその実勢価格を算出できます。実勢価格とは、不動産の売買契約において売主と買主の取引が成立した価格のことです。
一般的に実勢価格は、公示価格の1.1倍が目安とされています。また、宅地の固定資産税評価額は、公示価格の70%程度を目安に設定されています。そのため、実勢価格は以下の計算式で概算できます。
土地の売却相場の調べ方については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
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土地売却の相場価格の調べ方は?路線価からの計算方法や国土交通省のサイトの使い方も紹介
固定資産税評価額から家の売却相場を算出するなら専門家に相談しよう
固定資産税評価額は、例年4〜5月頃に市区町村から送付される「固定資産税の納税通知書」に同封されている課税明細書で確認可能です。また、固定資産課税台帳の閲覧や固定資産評価証明書の取得でも、固定資産税評価額を確認できます。
固定資産税評価額は計算式を用いて算出できますが、正確な情報を用いて計算するには時間がかかります。所有する土地の固定資産税評価額から実勢価格を知りたい場合は、専門家に相談するのがおすすめです。
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三菱地所リアルエステートサービス 新事業推進部
「不動産売却マスター」編集長
【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、衛生管理者、ファイナンシャルプランナー3級
2008年入社。人事部門で福利厚生制度などの企画運営、住宅賃貸部門でタワーマンション営業所長、高級賃貸マンション企画などを経て、2018年より経営企画部で主に事業開発を担当し、複数の新規事業立上げに従事。2020年度三菱マーケティング研究会ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞。「TAQSIE」では初期構想から推進役を担い、現在もプロジェクト全般に関わっている。
「不動産の売却に特化した情報を発信する『不動産売却マスター』編集部です。不動産の売却や買取をスムーズに進めるポイントや、税金、費用などをわかりやすく解説します」