固定資産税は、不動産を所有している限り毎年かかる税金です。今の物件を手放して新たに不動産を購入すべきかを判断するには、将来的な税負担を見通すことが欠かせません。
しかし、固定資産税の計算方法や評価額の仕組みは複雑で、税額がいくらかかるのかわからないと感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、固定資産税の計算方法を解説します。
- この記事を読むと分かること
-
- 固定資産税の計算に必要な評価額の確認方法
- 土地・建物ごとの固定資産税の計算方法
- 不動産の種類別の税額目安
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固定資産税の計算方法

固定資産税の税額は、以下の手順で求めます。
- 固定資産税評価額を確認する
- 土地の固定資産税を計算する
- 建物の固定資産税額を算出する
- 軽減措置を適用する
それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。
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1.固定資産税評価額を確認する
固定資産税を求める際は、まず固定資産税評価額を確認しましょう。固定資産税評価額とは、固定資産税を算出する際に基準となる価格です。
固定資産税は、評価額に税率をかけて算出されるため、固定資産税を計算する際には固定資産税評価額を把握しておく必要があります。固定資産税評価額の確認方法は、主に以下の3つです。
- 課税明細書を確認する
- 固定資産課税台帳を閲覧する
- 固定資産税評価証明書を取得する
課税明細書は、納税通知書に同封されている書類です。納税通知書は、毎年4〜6月頃に自治体から送付されます。課税明細書には、課税対象となる土地や建物の評価額が記載されています。
固定資産課税台帳とは、課税対象となる不動産の所在地や所有者、評価額などが記載された帳簿です。市区町村が管理しており、所有する不動産がある市区町村の役所で閲覧できます。
固定資産税評価証明書とは、不動産の固定資産税評価額を証明する公的書類です。所有する不動産がある市区町村の役所窓口で申請・取得できます。
固定資産税評価額の確認方法については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
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2.土地の固定資産税を計算する
土地の固定資産税額は、以下の計算式で求めます。
土地の固定資産税額=課税標準額×1.4%(標準税率) |
参考:「固定資産税」(総務省)
課税標準額とは、土地の評価額(時価にもとに算定される価格)から、特例などを適用した後に算出された金額で、課税額を決める際に用いられます。住宅が建っている土地には、以下の住宅用地の特例が適用されます。
用地の区分 | 面積の条件 | 軽減内容 |
---|
小規模住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 評価額の6分の1を課税標準額とする |
一般住宅用地 | 200㎡を超える部分 | 課税標準額が評価額の3分の1を課税標準額とする |
参考:「固定資産税」(総務省)
住宅用地の特例により、上記のように面積に応じて課税標準額が軽減されます。評価額がそのまま課税標準額にならない点に注意しましょう。
3.建物の固定資産税額を算出する
建物に対する固定資産税額も、以下の計算式で求めます。
建物の固定資産税額=課税標準額×1.4%(標準税率) |
課税標準額は、建物の評価額をもとに決まります。建物の評価額は、再建築価格(同等の建物を新築する場合にかかる費用)から経年劣化による減価償却を差し引いて算出されます。
また、後述する軽減措置が適用される場合は、適用後の課税標準額に税率をかけて税額を算出します(※)。
(※)「固定資産税」(総務省)
4.軽減措置を適用する
新築住宅には、以下の軽減措置が適用されます。
住宅の種類 | 一戸建て | マンション |
---|
軽減期間 | 3年間 | 5年間 |
認定長期優良住宅の軽減期間 | 5年間 | 7年間 |
軽減内容 | 建物の固定資産税が2分の1に軽減 | 建物の固定資産税が2分の1に軽減 |
参考:「新築住宅に係る税額の減額措置」(国土交通省)/「認定長期優良住宅に関する特例措置」(国土交通省)
2025年3月31日までに新築された一戸建て住宅は3年間、マンションは5年間、建物の固定資産税が2分の1に軽減されます。
認定長期優良住宅に該当する場合、軽減期間が一戸建ては5年間、マンションは7年に延長されます。認定長期優良住宅とは、耐震性や省エネ性、耐久性などの基準を満たし、長期間快適に住み続けられると国に認められた住宅です。
また、耐震や省エネ、バリアフリーなどの目的でリフォームを行った場合も、翌年度の固定資産税が減額されます(※)。
軽減措置の適用後、土地と建物それぞれの固定資産税額を合算した金額が納付額となります。
(※)「住宅リフォームにおける減税制度について」(国土交通省)
【不動産のタイプ別】固定資産税の計算シミュレーション

以下4つのケースで、固定資産税額のシミュレーションを行います。
- 新築一戸建て(評価額3,000万円)の場合
- 中古一戸建て(評価額4,000万円)の場合
- マンション(評価額5,000万円)の場合
- 住宅が建っていない土地(評価額1,000万円)の場合
固定資産税のおおよその税額を把握する際の参考にしてください。
新築一戸建ての場合
以下の条件で、新築一戸建ての固定資産税をシミュレーションします。
- 評価額:3,000万円(うち土地1,000万円、建物2,000万円)
- 敷地面積:200㎡以下(小規模住宅用地に該当)
【土地の固定資産税】
| 金額 |
---|
課税標準額 | 166.7万円(1,000万円×1/6) |
固定資産税 | 2.33万円(166.7万円×1.4%) |
小規模住宅用地に該当する土地のため、課税標準額が評価額の6分の1に軽減されます。
【建物の固定資産税】
| 金額 |
---|
軽減措置の適用中(3年間)の固定資産税 | 14.0万円(28.0万円×1/2) |
軽減措置の適用終了後の固定資産税 | 28.0万円(2,000万円×1.4%) |
建物部分は、新築住宅の軽減措置が適用され、3年間は固定資産税が半額になります。
【年間の固定資産税額】
| 固定資産税の納付額 |
---|
軽減措置の適用中(3年間) | 16.33万円(2.33万円+14.0万円) |
軽減措置の適用終了後 | 30.33万円(2.33万円+28.0万円) |
中古一戸建ての場合
以下の条件で、中古一戸建ての固定資産税をシミュレーションします。
- 評価額:4,000万円(うち土地1,400万円、建物2,600万円)
- 敷地面積:250㎡
【土地の固定資産税】
| 計算式 | 金額 |
---|
小規模住宅用地分(課税標準額) | 1,400万円 × (200㎡÷250㎡) × 1/6 | 186.7万円 |
一般住宅用地分(課税標準額) | 1,400万円 × (50㎡÷250㎡) ×1/3 | 93.3万円 |
課税標準額合計 | 186.7万円+93.3万円 | 280万円 |
固定資産税額 | 280万円×1.4% | 3.92万円円 |
今回のケースでは、敷地面積が200㎡を超えるため、小規模住宅用地と一般住宅用地の特例が組み合わされます。
【建物の固定資産税】
| 計算式 | 金額 |
---|
固定資産税額 | 2,600万円×1.4% | 36.4万円 |
中古住宅のため、新築住宅の軽減措置は適用されません。このケースでの固定資産税額は40.32万円(3.92万円+36.4万円)になります。
マンションの場合
以下の条件で、マンションの固定資産税をシミュレーションします。
- 評価額5,000万円(うち土地2,000万円、建物3,000万円)
- 敷地面積:200㎡以下(小規模住宅用地に該当)
【土地の固定資産税】
| 金額 |
---|
課税標準額 | 333.3万円(2,000万円×1/6) |
固定資産税 | 4.67万円(333.3万円×1.4%) |
敷地面積が200㎡以下のため、小規模住宅用地の特例が適用されます。
【建物の固定資産税】
| 金額 |
---|
軽減措置の適用中(5年間)の固定資産税 | 21万円(42万円×1/2) |
軽減措置の適用終了後の固定資産税 | 42万円(3,000万円×1.4%) |
新築マンション(居住用・延床面積50㎡以上)の場合、建物部分は5年間、固定資産税が半額になります。
【年間の固定資産税額】
| 固定資産税の納付額 |
---|
軽減措置の適用中(5年間) | 25.67万円(4.67万円+21万円) |
軽減措置の適用終了後 | 46,67万円(4.67万円+42万円) |
住宅が建っていない土地の場合
住宅が建っていない土地の場合は、小規模住宅用地などの軽減措置は適用されません。評価額が1,000万円の場合、固定資産税額は14万円かかります。
土地の固定資産税額(14万円)=1,000万円 × 1.4% |
駐車場や貸し地として活用すると住宅用地としての扱いになり、軽減措置が適用される場合もあります。
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固定資産税の計算方法を理解することで、将来の税負担を把握できます。適用できる軽減措置の有無によって納付額は大きく変わるため、事前にシミュレーションしておくことが大切です。
また、固定資産税は不動産を所有している限り毎年かかるため、使っていない土地や建物がある場合、税負担が大きな悩みの種になりかねません。固定資産税が重荷に感じるようであれば、不動産の売却も選択肢の一つです。
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三菱地所リアルエステートサービス 新事業推進部
「不動産売却マスター」編集長
【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、衛生管理者、ファイナンシャルプランナー3級
2008年入社。人事部門で福利厚生制度などの企画運営、住宅賃貸部門でタワーマンション営業所長、高級賃貸マンション企画などを経て、2018年より経営企画部で主に事業開発を担当し、複数の新規事業立上げに従事。2020年度三菱マーケティング研究会ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞。「TAQSIE」では初期構想から推進役を担い、現在もプロジェクト全般に関わっている。
「不動産の売却に特化した情報を発信する『不動産売却マスター』編集部です。不動産の売却や買取をスムーズに進めるポイントや、税金、費用などをわかりやすく解説します」