「戸建ては買取と仲介どちらで売ったほうがいいのか」
「戸建ての買取相場や買取専門会社の選び方を知りたい」
戸建ての売却を検討している中で、上記のような疑問を抱く方もいるでしょう。結論から言うと、買取と仲介どちらが最適な売却方法であるかは、状況や戸建ての特徴によって異なります。
本記事では、買取と仲介の違いや買取のメリット・デメリットを解説します。
記事の後半では、買取と仲介それぞれの売却方法に向いている戸建ての特徴を紹介します。戸建ての売却を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
戸建ての買取と仲介の違い
不動産会社に依頼して戸建てを売却する場合、仲介か買取を選べます。仲介と買取は、それぞれ売る相手が異なります。
不動産会社を通じて個人に戸建てを売る仲介に対して、買取で戸建てを売る相手は不動産会社です。
状況や戸建ての特徴によって、買取・仲介どちらの売却方法が適しているかはそれぞれです。
一概には言えませんが、早く売りたい方や、1年以上売れない家を所有している方は、買取をおすすめします。戸建てを購入してくれる第三者を探す必要がなく、迅速で確実な売却ができるからです。
ただし、買取には注意点があります。一つは、戸建ての状態によって、不動産会社に買取をしてもらえないことがある点です。どんな戸建てでも買取対象になるわけではありません。
また、査定時に高額な金額を提示し、契約や引渡し時に価格を下げられるケースもあります。戸建ては、仲介との違いだけでなく、注意点に気を付けたうえで買取を進めるようにしましょう。
戸建ての買取相場
戸建ての買取相場は、仲介で売却した場合よりも低く、一般的に市場価格の8割程度と言われています。
買取価格は、市場価格から不動産会社の利益や買取後の経費などを差し引いた金額が算出されるからです。
買取後の経費には、修繕費や解体費があります。不動産会社は、買取した物件をリフォームする、あるいは解体して更地にすることで、販売・賃貸に活用します。
これら諸費用を考慮した金額が提示されるため、買取の価格は仲介時よりも低くなります。当然ですが物件の状態によって、買取額は上下します。
例えば、築浅の戸建てのケースです。内装や水回りの設備が良好な状態であれば、不動産会社は軽微な修繕で売りに出せるでしょう。差し引かれる修繕費が少なくなり、売却価格は相場よりも高くなる可能性があります。
対して、築古物件の場合、老朽化が激しいと大がかりな修繕が必要となります。土地にしか価値が見込めないようなら、不動産会社は建物を解体して更地での運用を検討するかもしれません。
こうした場合、修繕費・解体費が大きく差し引かれ、買取価格は相場よりも低くなる恐れがあります。
戸建て買取の5つのメリット
戸建てを買取で売却する場合、次のメリットが挙げられます。
それぞれ見ていきましょう。
1. 売却までの期間が短い
戸建て買取は、仲介よりも売却までの期間が短く、家が売れないストレスを感じなくてよいメリットがあります。
仲介は、一般の消費者に対して戸建てを売るため、買い手が見つかるまで売却活動が続きます。売却活動を終えても、買主に引き渡すまでに1～2ヶ月ほどの期間が必要です。
また、買い手が見つかったとしても、契約前にキャンセルされたら、再び売却活動をおこなわなければなりません。
一方買取の場合、買い手は不動産会社になるため、査定額に納得できれば短期間で引き渡しまで進められます。離婚や相続分割などで早く現金化したい方には、買取がおすすめです。
2. 周囲に売却中と知られにくい
周囲に戸建てを売却中だと知られにくい点も、買取のメリットです。
仲介の場合、買い手を探すためにインターネットやチラシに掲載した物件情報が世間に出回ります。それらが知人や近所の人の目に入り、戸建てを売却していると知られること（場合）があります。
買取は、不動産会社の担当者が査定のために戸建てに訪問するのみなので、売却を知られる可能性は比較的少ないでしょう。特に、近隣とのトラブルや離婚など周りに知られたくない事情で戸建てを手放す方に、ひそかに売却を進められる買取は適しています。
なお、査定時に近隣に知られないか不安な方は、事前に「近隣の人に知られないよう配慮して欲しい」と伝えておくと安心です。
3. 仲介手数料がかからない
買取では、不動産会社に戸建てを直接売却するため、仲介手数料がかかりません。
仲介で戸建てを売却する場合、売買の成約時に不動産会社へ成功報酬として仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料には、上限が設けられています。算出方法はやや複雑で、建物の金額を3つの区分に分けて計算します。
- 200万円以下の部分は5.5%
- 200万円を超え400万円以下の部分は4.4%
- 400万円を超える部分は3.3%
これらを合算した金額が、仲介手数料の上限となります。
1,000万円で戸建てを売却した場合を考えてみましょう。200万円までの部分は5%＋消費税で、11万円です。
200万円分は4%＋消費税なので、8万8,000円。600万円分は3%＋消費税なので、19万8,000円となります。
これを合算して、仲介手数料の上限額は39万6,000円です。
買取は、不動産会社の仲介を通して物件を売るのではなく、直接不動産会社に売却します。そのため、仲介手数料は発生せず支払う必要がありません。
4. 契約によっては契約不適合責任を負わない
戸建てを買取で売る場合、契約によっては契約不適合責任が免除されるメリットがあります。
契約不適合責任とは、売買契約時に伝えられていなかった不具合が売却後に見つかった場合、売主が負う責任です。売主は、一定期間内の対応を求められます。
例えば、仲介で戸建てを一般の消費者に売却したケースを想定します。売却後、雨漏りやシロアリの被害が見つかったら、買主ではなく売主が修理や駆除をしなければなりません。
対して、買取の買い手は、不動産取引に精通している不動産会社です。
多方面にわたって起こりうるリスクを予測し、事前に確認したうえで契約条件を提示できるでしょう。そのため買取では、多くの契約が契約不適合責任免除の条件で結ばれます。
ただし、売主が物件の欠陥を故意に隠した場合や、虚偽の情報を提供した場合、契約不適合責任が発生することがあります。欠陥があるなら、正直に申告しておきましょう。
5. 不特定多数の内覧対応の必要がない
買取の買い手は既に不動産会社と決まっているため、複数回もしくは不特定多数の内覧対応は不要です。内覧とは、購入希望者が戸建てを実際に見にくることです。
仲介の場合、買い手は一般人です。「実物を見てから購入を検討したい」と考える方がほとんどでしょう。内覧対応をする場合、売主は家の清掃や、購入希望者からの質問に備えるなどの手間がかかります。
また、スケジュールを調整しなければなりません。仕事や相続関係の手続きで忙しいと、何度も内覧の対応をすることは、負担が大きくなります。「内覧対応は避けたい」「できれば数を減らしたい」のが本音ではないでしょうか。
そのため、不特定多数の内覧対応が不要の買取は、時間の確保が難しい方にメリットの大きい売却方法です。
戸建て買取の3つのデメリット
戸建て買取はメリットだけでなく、下記のデメリットがあります。
デメリットを把握して、買取が自分に最適な売却方法かどうか判断しましょう。3つのポイントを、詳しく解説します。
1. 売却価格が安くなる
買取のデメリットは、仲介で売却するよりも価格が安くなる点です。
上述したように、買取では不動産会社の利益や修繕費などを考慮した金額が提示されます。そのため、仲介よりも価格相場は安くなる傾向にあります。
加えて、戸建てはマンションとは異なり、取り壊し後に土地や新築物件を建てて売りに出すケースもあります。解体費が差し引かれる可能性がある点も、戸建て買取のデメリットです。
また、できるだけ利益を出すために安価で買い取る不動産会社もあるため、注意が必要です。
戸建てをできるだけ高値で買取するには、「中古住宅の買取価格を高くするコツは？買取相場に影響する項目や買取の流れを解説」の記事もお役立てください。
2. 買取会社が少なく探すのに手間がかかる
戸建ての買取に対応できる買取不動産会社を探す手間がかかる点も、デメリットです。
買取対応している不動産会社はあまり多くありません。戸建ての買取に対応している会社は絞られるため、依頼先を探すのは容易ではないでしょう。
マンションと比較して、戸建ては販売価格の予測が難しいと言われています。買取後に売りに出しても、想定よりも低額での成約になったり売れ残るリスクがあります。
また、シロアリや雨漏りの発生リスクが高い点も、不動産会社が戸建ての買取に消極的な理由の一つです。
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3. 悪質な会社を選んで失敗することがある
戸建て買取の依頼先を何も考えずに選ぶと、悪質な不動産会社に当たるリスクがあります。
こうした事態を避けるために、複数の不動産会社に同時査定を依頼して、比較検討しましょう。
一社だけでは、他社の価格や対応などと比較できず、妥当性を判断できないまま契約する恐れがあります。初めての戸建て買取で不動産会社の良し悪しを見抜くのは難しいと感じる方もいるでしょう。
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買取が向いている戸建ての特徴3つ
物件としての条件が良くないため売却が難しい戸建ては、確実に売れる買取がおすすめです。
買取が向いている戸建ての具体例は、次のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
1. 築年数が古い戸建て
買取が適している戸建ての一つは、築年数が古いものです。
建物は、新築から徐々に資産価値が下がっていきます。木造の一戸建てでは、築20年頃の資産価値はほぼ0になると言われています。
このように資産価値のない戸建ては、仲介では「古家付き土地」として売ることになります。あるいは、家を解体して更地として売ることも検討しなければなりません。
古家付き土地として扱うほどは経年していない場合でも、古い戸建てを売りやすくするには大がかりな修繕が必要となります。
しかし、修繕や解体をしても、確実に売れる保証はありません。立地が悪く需要の少ないエリアの場合、買い手がつかず修繕・解体費で赤字になるリスクもあります。
どこまで修繕するか、解体して更地にしたほうがよいのか、判断するのは難しいでしょう。
不動産会社に買取を依頼すれば、現状のまま古い家を購入してもらえます。そのため、売主は修繕規模や解体要否、売れない場合のリスクなどを考えずに売却できます。
2. 心理的瑕疵のある戸建て
心理的瑕疵のある戸建ては、他の戸建てよりも売れにくい傾向にあるため、買取が向いています。
心理的瑕疵のある物件とは、買い手に何らかの心理的な抵抗が生じる要素を含む物件です。例えば、建物内で人が亡くなっている、近所に嫌悪感を抱く施設がある物件などを指します。なお、雨漏りや水回りの不備などは、物理的瑕疵になります。
心理的瑕疵のある戸建ては、仲介で売却しようとしても成約に至らず、売れ残るケースも多々あります。
どうしても買い手がつかないようなら、解体して更地として売ることも視野に入れなければならないでしょう。
一方、買取は売主が売却活動をする必要がなく、買い取ってもらえる可能性が高いので、心理的瑕疵のある物件でも、売却できるかどうか不安が軽減されます。
3. 再建築不可物件に該当する戸建て
買取が向いている戸建てとして、再建築不可物件に該当する戸建ても挙げられます。
再建築不可物件とは、解体して更地にした後に、新たな建物を建てられない物件のことです。具体的には、都市計画区域および準都市計画区域内の、幅員4ｍ以上の道路に2ｍ以上接していない土地に建つ物件を指します。
建築基準法が制定される以前や、対象区域に指定される以前からその土地に存在する建物が、再建築不可物件となりえます。その性質から古い建物であることが多く、さらに建て替え不可の制限があるため、買い手がつきにくく価格は下がる傾向にあります。
一方で、昔ながらの雰囲気や、安価であることに魅力を感じる買い手もいます。現存の建物のリフォームは許可されているので、建て替えはできずとも修繕は可能です。売れにくくても、一定数の需要は見込めるでしょう。
しかし、再建築不可物件は、自由に建て替えできる物件と比較して資産価値が低くなります。担保としては不十分と見なされ、住宅ローンが通りづらい可能性があります。
そのため、購入希望者がいても住宅ローンの融資を実行できず、なかなか売却に至らないケースが懸念されます。
買取は、個人ではなく不動産会社が購入者になります。買い手がなかなか見つからない、住宅ローンの審査で契約が左右されるなどの心配はありません。再建築不可物件の売却には、買取がおすすめです。
仲介が向いている戸建ての特徴3つ
仲介が向いている戸建ての特徴は、下記の3つです。
上記に該当する戸建ての売却を検討している方は、仲介のほうがおすすめです。それぞれ仲介に向いている理由を詳しく解説します。
1. 築浅・好立地など好条件の戸建て
仲介に向いている戸建ての特徴の一つが、下記のような好条件を有していることです。
駅から徒歩10分圏内、商業施設や公共施設が近いなど好立地な物件は人気が高いため、仲介でも売れやすい傾向にあります。
また、築10年以内の物件は水回りの設備や内装がまだ新しく需要が高いため、価格や条件次第で早期売却が期待できます。
以上から、好条件の戸建ては、買取よりも価格相場が高い傾向にある仲介で売却するとよいでしょう。
2. 売却期間に余裕がある戸建て
売却期間に余裕があるなら、買取で早く売ろうと焦らず、仲介で売ることをおすすめします。
仲介では、物件情報をサイトに載せたり、チラシを配ったりして購入希望者が現れるのを待ちます。売却に至るまでには、一般的に3ヶ月～半年程度の期間を要します。
買取は、金額が決まればすぐに売れるものの、仲介よりは売却額が低い傾向にあります。期間がかかっても問題なければ、高額売却を期待できる仲介を検討してみましょう。
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3. リフォーム済みの戸建て
リフォーム済みの物件は、仲介で売る方法がおすすめです。
リフォームをして綺麗に整えていれば、印象がよく仲介でも十分買い手がつくでしょう。さらに、相場よりも高値での売却も期待できます。
買取の場合、不動産会社はリフォームする前提で戸建てを購入します。売主側でのリフォームの有無は、査定にあまり反映されないと考えたほうがよいでしょう。
もちろん、修繕規模の縮小を理由に査定額が上がることはあります。しかし、売主が負担したリフォーム費用に釣り合う値上がりはほとんど見込めません。よほどの理由がない限りは、仲介で売るようにしましょう。
優良な不動産会社の選び方3つ
優良な不動産会社の選び方は、下記の3つです。
戸建ては不動産会社によって査定額に大きな差が生じやすいので、依頼先はしっかり見極める必要があります。それでは、詳しく解説しましょう。
1. 戸建ての買取実績が豊富な会社を選ぶ
優良な不動産会社を選ぶためには、戸建ての買取実績の豊富さを確認しましょう。マンション売却の実績がある、土地の売却に強みがあるなど、不動産会社によって得意な分野があります。
マンションよりも戸建ては、売却が難しい傾向にあります。戸建ての買取が得意な不動産会社を選ぶことで、納得いく売却に繋がるでしょう。
また、売りたい戸建てが事故物件の場合、近しい条件の買取実績がある会社を選べれば、売買をスムーズに進められます。
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2. エリア実績が豊富な会社を選ぶ
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3.成約までストレスなく進められる会社を選ぶ
ストレスのない売却をおこなえるように、成約までのやりとりを最小限に進められる会社を選びましょう。
早期売却を目的に買取を選んだ場合、いかにスピーディーに負担なく売却を進められるかが大切です。やりとりが多い、あるいは対応が遅い不動産会社は避けましょう。売却まで時間がかかり、買取のメリットを享受できません。
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戸建ては即時買取がおすすめ
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本記事で紹介した買取は、即時買取とも呼ばれています。即時買取とは、戸建ての中古住宅を不動産会社にすぐ売却する方法のことです。買取が決まればすぐに現金化できます。
これに対して、買取保証と呼ばれる種類もあります。一定期間仲介で売却活動をおこない、売却に至らなかった場合に買取をしてもらう方法です。
即時買取にかかる一般的な期間は、5日〜1カ月です。買取保証は、仲介と同様に売却活動をおこなうため、3カ月程度かかります。
早く売却を進めたい方には、即時買取が有効な手段です。効率よく進めるなら、複数の不動産会社に査定依頼をしましょう。不動産会社が提示した金額がそのまま買取金額になるため、より高く査定してくれる不動産会社を探したほうがよいからです。
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