引っ越しの予定があるのになかなか家が売れない場合は、売出価格や広告戦略、不動産会社の見直しが必要かもしれません。
この記事では、新居へ引っ越すために家を売りたい方に向けて、家が売れない理由と売れないときの対処法を紹介します。
「家が売れるまでにどれくらい時間がかかるものなの?」「持ち家が売れなかったら最終的にどうなる?」といった疑問を解決し、住宅ローンがあっても引っ越す方法も紹介します。ぜひ参考にしてください。
家が売れる目安の期間は?
公益財団法人東日本不動産流通機構は、首都圏で家が売れるまでに、以下の日数がかかることを報告しています。
■登録から成約に至る日数(2022年)
中古マンション |
71.4日 |
中古戸建住宅 |
81.2日 |
(出典:首都圏不動産流通市場の動向(2022年)|公益財団法人東日本不動産流通機構)
中古マンションは71.4日、中古戸建住宅は81.2日かかり、売却までに2カ月以上必要であることがわかっています。
これはあくまで首都圏の平均日数です。地域によって異なると考えられます。2カ月、3カ月を過ぎたのに売れないからといって、焦ったり諦めたりする必要はありません。
しかし、半年から1年かけても売却できない場合は、対策を考え始めたほうが良いでしょう。理由を明らかにして、理由ごとに適切な対処をすれば、売れる可能性を高められます。
販売期間が長期化すると、引っ越しするタイミングも逃しかねません。ぜひ本文で対策を学んでください。
引っ越したいのに家が売れない5つの理由
引っ越したいのに家が売れない場合、以下の理由があると考えられます。
家が売れない状況を客観的に把握するために、それぞれの理由を詳しく解説します。
1.売出価格が相場よりも高い
1つ目の理由は、売出価格が相場よりも高いことです。
売出価格は売主の意思で決められます。少しでも高く売りたい気持ちから、売り家の価格を高く設定する場合があります。
特に相場を知らず、売出価格を付けてしまうと、買い手が集まりづらくなります。相場とは、条件が類似した物件の過去の成約実績や、現在の販売情報などに基づいた市場価格のことです。
相場よりも高い売出価格は、需要が少ないことを意味します。買主の候補者から物件に興味を持ってもらえたとしても、価格の問題で合わないと判断されるでしょう。
関連記事:家・戸建売却相場の調べ方と築年数別の傾向は?安くなりがちなケースも紹介
2.外観・内観など見た目の印象が悪い
売り出している家の見た目が悪いと、思うように売れません。たとえば、以下のようなものが当てはまるでしょう。
外観 |
外壁が汚れている
雑草が生い茂っている |
内観 |
ほこりや汚れで見た目が悪くなっている
水回りが汚れている
雨漏りやひび割れが発生している |
実際はそれほど悪い状態でなくても、インターネット上に掲載されている画像の印象がよくないことで売却につながらないケースもあると考えられます。
3.不動産仲介業者が売却に力を入れていない
家の値段や見た目に問題がないなら、不動産業者に原因があるかもしれません。
それぞれの原因を詳しく解説します。
専任媒介契約を結んだのに家が売れない方は、こちらもあわせてご覧ください。
関連記事:専任媒介契約をした家が売れない!4つの理由と対処法
宣伝活動が不十分である
不動産会社の宣伝活動が適切でないと、内覧希望者を集められません。
たとえば、広告のターゲット範囲を狭く設定したため、物件にマッチする人へ届かないようなケースです。また広告文の内容・写真が魅力的ではない場合、広告が目に入っても興味を持ってもらえません。
戦略をもたずに販売を開始している
販売戦略がなく販売をすると、家は売れづらいでしょう。販売戦略は、買主に欲しいと思ってもらうために、家の魅力を上げられるよう対策することも大事です。
具体的には
- 庭・敷地の除草をする
- 可能な限り室内を綺麗にする
- 内覧でモデルルームのような演出をする
- 設備保証サービスを付ける
などが挙げられます。対策をしても売れない場合、どうするかのプランを持っておくことも販売戦略の1つです。
不動産会社が具体的な販売戦略を立ててないと、買主が集まりづらく、売れる可能性も下がります。
囲い込みが発生している
囲い込みが発生している場合、売主は大きな不利益を被ります。
囲い込みとは、不動産会社が売主と買主の両方から手数料を得る(両手仲介をする)ために、売主に了承を得ずに物件情報の公開をしない行為です。
市場に情報を出さないと、他の不動産会社はその家が売り出されていることがわかりません。その結果、買い手が見つからない状況に陥ります。
4.条件が購入希望者の需要に合わない
条件が購入希望者の需要に合わないと売れづらくなります。
個人差はありますが、人気が集まりづらい物件の条件として、以下のような特徴が挙げられます。
- 築年数が古い
- 最寄り駅から遠い
- 周辺の治安が悪い
- 前面道路が狭く駐車場に車を入れづらい
- 間取りの使い勝手が悪い
ほかにも、二世帯住宅や平屋などの特殊な物件は、一般的な物件と比較すると需要が少ない傾向にあります。マイホームを購入しようとしているファミリー層には、部屋が多すぎる、もしくは少なすぎるため需要には合いません。
5.販売時期が悪い
物件に問題がなくても、販売するタイミングによっては売れない場合があります。
一般的に、不動産の需要が高くなるのは新年度や新学期の直前である3月です。
2~3月に販売が始められるよう、準備を進めておくといいでしょう。年末ごろが販売を開始するタイミングです。
一方、4月以降は需要が減っていきます。この時期に販売を開始して売れていない場合、慌てる必要はありません。早く手放そうと、無理に値下げをしないよう注意をしてください。
売れやすいタイミングを待ってください。ただし、不動産の売れ行きは景気も関係するため、世の中の動向を見ながら判断しましょう。
引っ越したいのに家が売れないときの対処法8つ
引っ越したいのに家が売れない場合は、以下の対処法を取り入れてみましょう。
これらの方法を参考にすることで、困った状況から抜け出せるかもしれません。8つの方法を具体的に解説します。
1.売出価格を下げる
売出価格が相場よりも高い場合や、物件の条件が需要と価格が合っていない場合は、売出価格を下げてみましょう。
以下の観点から条件に合っているか確認してみてください。
- 不動産売却・不動産投資の市場動向
- 同じエリア内の条件が類似した物件の成約価格
- 競合物件の売出価格
- 不動産会社に依頼した物件の査定額
ただし、一度価格を下げて販売すると、変更前の価格に戻すことは困難です。不動産会社とよく相談しながら決めることをおすすめします。
2.広告・宣伝の内容を見直す
内覧希望者が集まらない場合は、不動産ポータルサイトの物件広告を見直す必要があります。
以下のような観点を確認することで、広告の中身を充実させられるでしょう。
- 物件の魅力を訴求できているか
- ユーザーが知りたい情報が掲載されているか
- 写真の枚数は十分か
- 写真写りは悪くないか
広告は、ターゲット層に興味を持ってもらえる内容にすることが大切です。
現在の広告内容が、上記に当てはまっていない場合は、宣伝が上手い不動産会社に変えるのも1つです。
どの不動産会社に変えればいいのかわからない場合は、インターネットで検索して実際の広告を見てみましょう。その中から、魅力的な広告を打ち出している不動産会社を探してください。
3.ハウスクリーニングをする
物件の印象をよくするには、ハウスクリーニングが効果的です。プロに掃除を依頼することで、新築物件のような清潔感を出せます。
特にトイレやバス、キッチンなどの水回りの汚れに注意が必要です。カビや水垢などの汚れが残っていると印象が悪くなります。
ハウスクリーニングを実施していない場合は、費用対効果を確認した上で、依頼を検討してみましょう。
4.不動産会社を変更する
不動産会社に問題があると思った際は、思い切って変更するのも1つの方法です。不動産会社を選ぶ際は、以下の特徴があるかを確認しましょう。
- 広告を掲載するWebサイトが魅力的
- 売却の実績が豊富
- 売却したい物件のジャンル(マンション・戸建/都心・地方など)に強い
広告を掲載するWebサイトが魅力的な会社を選ぶことがポイントです。顧客の立場に立って、ユーザー目線でサービスを提供している会社だと考えられるためです。
また、不動産会社の得意分野を一度調べてみてください。実績が豊富で売却したい物件のジャンルに強い会社は、売却に繋がりやすい可能性があります。
不動産会社を自分で探すなら、実績豊富な仲介担当者から、売却したい不動産の特徴や売主の希望に合ったベストパートナーが見つかるマッチングサービス「TAQSIE(タクシエ)じっくり売却コース(仲介)」をおすすめします。
大手不動産会社30社の中から厳選された、350人の精鋭が売却をサポートします。対象エリアは、主要都市165市町(一部除外エリアあり)です。紹介利用料は無料です。希望に合ったベストパートナーが見つかり、家の売却を進められます。
現在、不動産会社と専任媒介契約を結んでいて解除したい方はこちらをご覧ください。
関連記事:専任媒介契約を解除したい!解除する際の違約金や書式について解説
5.ホームインスペクションを実施する
今の物件の状態を改めて確認したい場合は、ホームインスペクションを実施してみましょう。
ホームインスペクションとは、中古住宅の売買契約前におこなう住宅の検査のことです。建築士やホームインスペクター(住宅診断士)が物件に欠陥がないかを診断します。
ホームインスペクションを利用することで、購入希望者に安心感を与えられるでしょう。
また、リフォーム・メンテナンスの計画も立てやすくなるため、未実施の方はぜひ利用してみてください。
6.売却の時期を見直す
売れるまでの期間に余裕を持たせられる方は、売却の時期を見直してみましょう。
1年の中でも、特に2〜3月は需要があります。新生活に合わせて引っ越しする人が多いため、この時期に間に合わせて12月ごろから売却の準備を始めましょう。
続いて需要が多いのは、9~11月の秋頃です。この時期は転勤や人事異動があるため、物件が売れることがあります。
売るタイミングを変えることで、状況によっては引っ越しの計画も調整する必要が出てくるでしょう。
7.不動産買取業者に直接売却する
物件が売れない場合は、不動産買取業者に買い取ってもらうことも可能です。
引っ越しのタイムリミットがあり、どうしても売却を急ぐ場合は買取をおすすめします。
直接売却することで、以下のようなメリットを得られます。
- すぐにお金に変えられる
- 内覧の手間が省ける
- 契約不適合責任に問われない
ただし、買取を専門にした会社はあまり多くありません。
家の売却検討者と仲介エージェントのマッチングサイト『TAQSIE(タクシエ)』では、「TAQSIE(タクシエ)スピード売却コース(買取)」をご用意しています。3日以内に3社から買取価格が提示されるコースなので、こちらもぜひご活用ください。
8.住み替え計画を見直す
希望している販売価格で売れないときは、住み替え計画を見直すことも大切です。
売れるのを待って何もしないでいると、購入したい希望の家がほかの人に購入される可能性もあります。欲しい家がある場合は、売却の前に新居を購入して引っ越すことも1つの方法です。
その場合は、ダブルローンが組めるのか、遅くともいつまでに売却しなくてはいけないかなどを考えていきましょう。
引っ越したいのに家が売れないとどうなる?
引っ越しを検討しているのに家が売れないままだと、以下のようなリスクがあります。
これらのリスクを理解したうえで、先に引っ越すのか、広告の内容を見直すのかなど戦略を検討していきましょう。
1.新居の購入費を準備できなくなる
家が売れないままでいると、新居の購入費を準備できなくなるでしょう。
売却が進まないと、引っ越しの遅れにもつながります。入学や転勤など、調整できない予定がある場合は、希望するタイミングで引っ越すことが難しくなる可能性もあります。
新居を購入するための費用を、家の売却代でまかなおうと考えている方は、予定通りに購入計画が進まないかもしれません。
2.新居の住宅ローン審査が通らない
旧居のローンが残っていると、新居のローン審査が通らない場合もあります。
年収に占める年間返済額の割合である返済比率が高いために、ダブルローンの審査に通過できません。
新築の購入は住宅ローンを完済して、残高がない状態で進めるのが原則です。
3.固定資産税の二重支払いが発生する
家が売れないまま新居を購入した場合、固定資産税も2件分支払わなければならないケースがあります。
その年の1月1日の時点で旧居を所有しており、同年に新居を購入している場合です。
1月1日時点での物件の所有者は、固定資産税台帳ではその後1年間は変更されません。これによって、所有者が変更しても固定資産税の支払いは発生します。
(参照:住み替え時の固定資産税は誰が払う?計算方法や注意点を確認しておこう|三菱地所の住まいリレー)
ただし、売主の負担が大きく不公平だと感じる人が多いことから、初年度は売主と買主でそれぞれ負担する場合もあります。
4.ローンと家賃が二重支払いになる
家が売れないまま賃貸の物件に引っ越す場合は、ローンと家賃が二重支払いになります。新たにローンを組む必要がないとはいえ、毎月発生する大きな負担です。
計画性のないまま引っ越してしまうと、貯金を切り崩さなければいけない月も発生するかもしれません。
5.管理の手間が長引く
売れない状態が長く続くと、その分、家の管理の手間がかかります。管理をしなければいけない期間も長引きます。
- 水回りの掃除
- 雨漏りやひび割れなどの点検
- シロアリ駆除
- 換気・通水
などが挙げられます。掃除・換気などのほか、シロアリ駆除などコストがかかる手入れも必要になる可能性もあります。
住宅ローンがあるけど引っ越したいときは?
原則として、住宅ローンが残ったままでは物件の売却はできません。しかし、売却して資金を作らなければ引っ越しできないという方は多いでしょう。
そこで、住宅ローンが残っていて、売却も進んでいない状況で引っ越したい場合の方法を3つご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
売却代金で住宅ローン残債を一括返済する
不動産の資産価値がローン残高を上回る状態を、アンダーローンと呼びます。アンダーローンの場合、金融機関へ事前に申し込むことで、家の売却が許可されます。
売買契約後に抵当権を抹消して、買主と売買契約を結び、家を引き渡すことが条件です。この方法で、売却代金からローン残債を一括完済できるようになります。
家の売却額がローン残高よりも下回れば、残金は預貯金やほかの方法で支払わなければなりません。
住み替えローンを組む
家が売れず住宅ローン残債の一括返済が難しい場合は、住み替えローンを組む方法もあります。返済しきれなかったローン残高を新居購入のローンと合わせて、1つの金融機関で支払います。
住み替えローンを組むメリットは、無理のないペースで返済を続けられることです。ただし、住み替えローンを組める金融機関は多くありません。住み替えローンを利用したい場合は、できるだけ早く確認しましょう。
転勤の間だけ貸し出して引っ越す
住宅ローン返済中に転勤が決まった場合は、その期間だけ家を賃貸物件として貸し出して引っ越すことができます。
基本的に、住宅ローンがあるまま家を貸すことはできません。原則として、貸し出すためには住宅ローンではなく、投資ローンを組んでいないと契約違反になるからです。
しかし、転勤などやむを得ない事情であれば貸し出せます。家族全員で引っ越したい場合は、金融機関に申し出て相談してみましょう。
ただし、住宅ローン返済中でも住んでいない場合は住宅ローンの控除を受けられないので注意してください。
引っ越したいのに家が売れないときに避けるべき5つのこと
家が売れなかったとしても、焦って以下のような行動に出ないよう気を付けましょう。
ここからは、それぞれの行動についてどうして避けるべきなのか解説していきます。
1.空き家にする
家が売れないからといって、家を放置していわゆる空き家の状態にすることは避けましょう。家を管理する人がいなくなってメンテナンスをしていないと、急速に劣化します。
また家の管理を怠ると、倒壊の危険があるとみなされた特定空き家に指定されるリスクがあります。
(参照:空家等対策の推進に関する特別措置法 第二条|e-Gov法令検索)
特定空き家に指定されると、土地の固定資産税が増額したり強制的に解体されたりするので、管理は怠らないようにしましょう。
2.リフォームして販売し直す
きれいにリフォームしたからといって、必ずしもすぐに売れるわけではありません。物件の立地や周囲の環境など、別の問題が売れない要因かもしれません。
リフォームによって売れたとしても、リフォーム費用を差し引くと新居の購入費用が不足するケースもあるので、慎重に判断することが大切です。
3.解体して販売する
建物に問題があるせいで売れないと考え、解体して土地だけを販売しようと考える方もいるかもしれません。
ところが、解体をしても土地に魅力がなければ売却できません。土地が売れ残ると、解体費用によって赤字になります。
建物を解体することで固定資産税が増えることもあります。住宅用の土地は「住宅用地の特例」が適用されているため、固定資産税は減税対象です。
しかし、建物を取り壊して更地にすることで減税されなくなります。
4.家の不具合を隠して販売する
早く家を売ろうとして、家の不具合を隠して販売してはいけません。
雨漏りや害虫の被害などを隠して販売すると、告知義務違反に該当します。家に不具合がある場合は、不動産会社にあらかじめ伝えておきましょう。
5.自己判断で売却を進める
引っ越しが控えていると、家がなかなか売れないことに焦ってしまうかもしれません。しかし、自己判断で売却を進めないように注意しましょう。
家の売却は高額な取引であり、専門的な知識も必要です。売りたい気持ちが先走ってしまうと、誤った選択をするリスクがあります。たとえば、買主が提案した値下げを了承すると、新居の購入費用を賄えないかもしれません。
計画的に進めるためにも、まずは売却のプロに相談しましょう。
不動産売却サービス「TAQSIE(タクシエ)じっくり売却コース(仲介)」では、大手不動産会社30社の中から厳選された、350人の精鋭が売却をサポートしています。実績豊富な仲介担当者から、売却したい不動産の特徴や売主の希望に合ったベストパートナーが見つかるマッチングサービスです。
家の売却にお困りの方は、ぜひ一度ご活用ください。
引っ越したいのに家が売れないときは買取を検討しよう!
なかなか家が売れない場合は、売り出し価格が相場より高い物件に魅力がない、不動産会社の広告・宣伝が不十分などの可能性があります。この記事でご紹介した家が売れない理由や対処法を参考にして、引っ越しができるよう準備を進めてみてください。
引っ越しを予定しているのに家がなかなか売れない場合は、不動産会社に直接売却する買取も1つの手です。
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