修繕積立金の負担に悩む方は多いかもしれませんが、高額な積立金を抱えるマンションでも売却は可能です。本記事では、その売れづらさの理由や、対策について詳しく解説します。
- この記事を読むと分かること
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- 修繕積立金の高いマンションが売れない理由とその対策。
- 修繕積立金の相場と、どのくらいから「高い」とされるのか。
- 修繕積立金の高い物件でも、売り方や仲介会社次第で売却は可能。
修繕積立金の高いマンションが売れないのは本当?
「不動産のプロが考える『売れない・売れづらい不動産物件の理由』ランキング」(株式会社すむたす調べ)によると、「管理費用・修繕積立金が高額」は6位とトップ10にランクインしました。
物件が売れない理由として「管理費や修繕積立金の金額が高い」と、約7割もの不動産事業従事者が「当てはまる」「やや当てはまる」と回答しています。
売却中のマンションが売れない場合、修繕積立金の価格が原因となっている可能性は十分考えられます。
※参考:「不動産のプロが考える不動産が売れない理由」ランキング発表!新型コロナの影響で売れづらくなる家とは?|PR TIMES
築年数が古い中古マンションは売れづらい
国土交通省が発表した「平成30年度 マンション総合調査」によると、マンションの完成年次による修繕積立金の相場は以下の通りです。
完成年次 |
修繕積立金平均額 (駐車場使用料等からの充当額を含む) |
〜平成11年 |
13,447円 |
〜平成21年 |
12,649円 |
〜平成26年 |
9,846円 |
平成27年以降 |
6,928円 |
※参考:平成30年度 マンション総合調査〔データ編〕 管理組合向け調査の結果|国土交通省
上の表を見ると、おおむね築年数が古いマンションほど修繕積立金が高くなっていることがわかります。新築時の修繕積立金は低く設定されており、徐々に上がっていくのが一般的です。
これは、築年数が経過するにつれて大規模修繕にかかる費用が明確になり、5年程度に1度のタイミングで修繕積立金額の見直しがおこなわれるためです。マンションによっては、分譲当初の2~4倍以上に上がるケースもあります。
このことから、修繕積立金の金額が理由で売却が難航するのは、新築よりも築年数が経った中古マンションが対象である場合に多いと考えられます。
長期修繕計画が整備されていない物件は売れづらい
単に修繕積立金が高いだけでなく、長期修繕計画が整備されていないと売れづらくなります。
国土交通省によると、約7%の管理組合が長期修繕計画を作成していないデータを公表しています。
修繕積立金は、マンションの共用部分を修繕するための積立金です。払った分がそのまま自分の元へ戻ってくるわけではありません。しかし、考え方によっては、自分や家族がそのマンションで快適に過ごすための貯蓄であると捉えることもできるでしょう。
買い手としては、長期修繕計画に基づく適正な金額設定であれば、多少金額が高くても「将来の快適な暮らしの備えになるなら」と納得できるかもしれません。ところが、そうでない場合は不安や疑念に繋がります。
長期修繕計画が整っていないと「修繕積立金が何に使われるのか」「なぜこの金額に設定されているのか」と買い手の疑問は解消されません。
そのため、「根拠がないにもかかわらず高額な支払額が設定されている」と判断して、購入を控える人が出てくる可能性もあります。
※参考:平成30年度 マンション総合調査〔データ編〕 管理組合向け調査の結果|国土交通省
修繕積立金の高いマンションが売れない4つの理由
続いて、修繕積立金の高いマンションが売れない4つの理由を見てみましょう。
それぞれの理由を解説していきます。
1.月々の支出が多くなる
まず挙げられるのが、修繕積立金によって月々の支出が多くなることです。
買い手側は初期費用や年間の固定資産税・都市計画税以外にも、毎月定期的な支払いが発生します。一般的に、月々のランニングコストは以下の内訳で算出されます。
物件の購入価格が予算内であっても、同じ条件で修繕積立金の安い物件があれば買い手はそちらへ流れてしまうでしょう。
また、購入用のローンが組めたとしても、修繕積立金の価格によっては、毎月の支払い額のキャパシティを超える可能性もあります。
2.修繕積立金の値上げで負担が大きくなる
修繕積立金の値上げにより金銭的な負担が大きくなることも、修繕積立金の高いマンションが敬遠される要因に挙げられます。
先述の通り、修繕積立金は築年数が古くなるにつれて徐々に上がっていくのが一般的です。
特に該当のマンションの積立方法が段階増額積立方式である場合、増額が前提となっています。
段階増額積立方式とは、新築直後の設定額を低く抑え、築年数の経過とともに増額していく徴収方法です。
加えて、建築資材や人件費の高騰などから修繕積立金の金額は上昇傾向にあり、今後も増額は続くと予想されるでしょう。
修繕積立金は管理組合によりマンション全体で決められるものなので、個人で自力交渉などもしようがありません。
修繕積立金の増額は、そのまま買い手側の支出の増大に繋がります。高い修繕積立金が設定されていると将来かかる費用も大きくなることから、購入に踏み切れないケースが考えられます。
※参考:三大都市圏 新築マンションのランニング・コスト|東京カンテイ
3.トラブルで修繕積立金が有用されない可能性がある
分譲マンションのトラブルには様々なものがありますが、中には「居住者たちが地道に積み立てた修繕積立金が、悪質なコンサルタントに巻き上げられる」ようなトラブルも報告されています。
こうした事態は滅多に起きるものではなく、修繕積立金に限らず予期せぬ出来事に見舞われることはあるでしょう。
しかし、買い手側がこのようなニュースを目にすれば、「せっかく積み立ててもトラブルが起きて無駄になるかもしれない」と感じ、修繕積立金が高いマンションの購入に消極的になるケースも考えられます。
4.投資物件として利益が下がる
分譲マンションを購入する人の中には、家賃収入を目的に投資物件として検討するオーナーもいます。
賃貸としてマンションを貸し出す場合、管理費は借主に支払ってもらう形をとることもありますが、修繕積立金は借主に負担させずオーナー自身が支払うケースがほとんどです。
そのため、修繕積立金が高いほど投資の実質利回りを低下させることになり、収入目的の買い手からも「利益を得づらい」と判断される可能性があります。
修繕積立金が高いマンションが売れないときの5つの対策
修繕積立金が高いマンションが売れないときの対策を解説します。売却の対策として、以下5つのポイントを押さえて工夫してみましょう。
それぞれのポイントを解説します。
1.売却価格を相場より安くする
修繕積立金の価格は管理組合によって決められるため、たとえ売却者でも修繕積立金そのものの金額を下げることはできません。
そのため、修繕積立金がネックで購入してもらえない場合は、売却価格を相場より安くするよう見直すのが妥当でしょう。
ただし、むやみに値下げを実施すると損をする可能性があります。同エリアで条件が似たマンションの相場をリサーチして、修繕積立金を考慮した適正価格に値下げしましょう。
2.なぜ修繕積立金が高いのかを伝える
競合物件と比較して修繕積立金が高い場合、買い手に対して「なぜ修繕積立金が高いのか」をしっかり説明することが重要です。
長期修繕計画をはじめ、できるだけ具体的な数字や資料をもとに、後の見通しに問題がなく適正な金額であることを示しましょう。買い手の不安要素を解消できれば、購入に踏み切ってくれるかもしれません。
たとえ同じ築年数のマンションの相場より修繕積立金が高くても、詳細な理由や根拠を明示すれば納得してもらえる可能性があります。
3.修繕積立金が高いメリットをアピールする
修繕積立金が高いことによるメリットをアピールしてみるのも対策の一つです。
修繕積立金は居住者が快適に過ごすための大規模修繕工事に向けて設定されている制度なので、ただ安ければ良いわけではありません。
周辺相場よりも修繕積立金が高い場合、今後の長期修繕計画がきちんとしており、長期的に安心して暮らせる環境が期待できるメリットがあることを、購入希望者に知ってもらいましょう。
4.信頼できる仲介会社にアドバイスをもらう
実際にマンションが売れるかどうかは、仲介会社や営業担当者の力量も左右します。
現在売却中の物件がなかなか売れない場合は、仲介会社を変えてみるのも一つの手段です。口コミや様々な情報を参考に、信頼できる仲介会社や担当者に相談してみましょう。
アドバイスをもらいながらしっかりと物件を売却したい方には、「TAQSIE(タクシエ)じっくり売却コース(仲介)」がおすすめです。
「TAQSIE(タクシエ)じっくり売却コース(仲介)」では、エリアと売却理由をもとに、選りすぐりの3名の仲介担当者をご提案します。豊富な経験をもつ質の高い仲介担当者とマッチングできるので、納得した上で売却を進めたい方にぴったりです。
5.リフォームする
築年数が経過している物件の場合、修繕積立金が高い上に見た目が古いとなると、そのまま売りに出すのは難しいかもしれません。
設備や内装が明らかに劣化している場合は、最低限のリフォームを済ませてから売却することも検討してみましょう。
ただし、はじめから大掛かりなリフォームをしてしまうと、売却価格に反映できず損をする可能性もあります。売却時にネックになりそうな箇所を中心に、必要な部分のみをリフォームするのもおすすめです。
修繕積立金が高くて売れないマンションに関するよくある質問
最後に、修繕積立金が高くて売れないマンションに関するQ&Aをご紹介します。
Q.修繕積立金の相場は?どのくらいから「高い」とされる?
2018年に発表された国土交通省のデータによると、修繕積立金の平均月額は1万2,268円(駐車場使用料等からの充当額を含む)となっています。従って、修繕積立金が2〜3万円以上となると、相場よりも「高い」と感じる買い手が出てくるかもしれません。
ただし、修繕積立金の相場はエリアやマンションのグレードなどにより異なります。また、近年では建築コストの高騰により値上がり傾向にあるため、今後は相場が変わる可能性もあるかもしれません。
※参考:平成30年度 マンション総合調査〔データ編〕 管理組合向け調査の結果|国土交通省
Q.修繕積立金で損をしない売却タイミングは?
売り手側としては、大規模修繕の前に売却できれば損をしない可能性は高いでしょう。
これは、大規模修繕の際に修繕積立金が不足していると、不足分を補うための一時金の徴収が発生する可能性があるためです。
また、修繕をきっかけに設定金額が上がることも多いため、そうなる前に売却できそうであれば手放してしまうことも視野に入れておきましょう。
修繕積立金が高くて売れない物件は「TAQSIE(タクシエ)」に相談しよう
修繕積立金は減額できるものではないため、修繕積立金の設定が高い物件は売却が難しいと感じる方も多いかもしれません。
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修繕積立金の高い物件でも、売り方や物件価格、仲介会社次第で売却することは可能です。競合物件の相場や適正価格をリサーチして、できるだけ価値を落とさず売却しましょう。
修繕積立金の悩みから少しでも早く開放されたいという方は、ぜひ「TAQSIE(タクシエ)」のサービスをご検討ください。