土地売却を検討する際、多くの人がまず相場を把握したいと考えます。相場調査には5つの主要な方法があり、それぞれに特性と精度の違いがあります。おおよその相場か、より精密な相場情報かに応じて、適切な方法を選択することが重要です。
この記事では、初心者でも土地売却の相場を調べられるよう、5つの方法それぞれについて具体例を挙げて詳しく解説します。
- この記事を読むと分かること
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- 実勢価格や公示地価、路線価から土地の相場価格を調べる方法。
- 固定資産税評価額を利用して相場感をつかむ。
- 不動産エージェントによる査定を依頼し、精度の高い相場価格を把握する方法。
土地売却の相場を調べる5つの方法
実勢価格から調べる
土地の相場は、売却したい土地と類似した物件の実際の取引事例を確認し、実勢価格を参考相場とすることが可能です。その場合、国土交通省が、実際に不動産売買をおこなった人にアンケートを取った結果を掲載しているサイト「土地総合情報システム」内の、「不動産取引価格情報検索」を活用します。このサイトでは、宅地はもちろん、農地や林地などの情報検索が可能です。
土地総合情報システムで土地の相場を調べる方法
土地総合情報システムを活用し、実際に土地の相場を調べる手順を確認しましょう。
【Step1】検索条件を設定する
土地総合情報システムの「不動産取引価格検索システム」にアクセスし、検索条件を設定して「この条件で検索」をクリックします。
時期を選ぶ:土地の取引件数は少なめであるため、(過去2年間を含む)を選択する
種類を選ぶ:宅地、または相場を調べたい土地の種類を選ぶ
地域を選ぶ:相場を調べたい土地のある都道府県、市区町村、地区を選択する
今回は、「東京都世田谷区下にある、三軒茶屋駅から徒歩10分の100㎡の宅地」の相場を調べるために、以下の条件で検索しました。
【Step2】検索結果から類似物件を探す
検索結果から、最寄り駅からの距離、面積、形状、前面道路の幅員、方位などの項目をフィルター・ソートなどして、類似した物件を探します。今回の条件では、以下の物件が形状、前面道路との幅員なども含め類似していました。
【Step3】㎡数を掛け合わせておおよその相場を出す
類似物件の㎡単価に、売却したい物件の㎡数を掛け合わせ、おおよその相場を算出します。
売却したい土地の相場=81万円 × 100㎡ = 8,100万円
このケースでは、相場はおよそ8,100万円となりました。
地価公示価格や基準地価から調べる
土地の相場を調べる2つ目の方法は、公示地価や基準地価から実勢価格を逆算する方法です。
公示地価とは、国土交通省の土地鑑定委員会が定めた標準地の1㎡あたりの単価を指し、土地取引におけるもっとも標準的な価格とされています。その年の1月1日時点の地価が毎年3月に公示されます。一方基準地価は、都道府県が主体となり7月1日時点に評価した地価で、毎年9月下旬に公示されます。
実勢価格(相場)は公示地価や基準地価の約1.1とされているため、売却したい土地にもっとも近い標準地や基準地の地価に1.1を掛けると、おおまかな実勢価格を算出できます。
実勢価格(相場)=公示地価 × 土地の㎡数 × 1.1
※実勢価格について、約1.1倍というのは目安となり、物件状況などにより大幅に前後します。
公示地価や基準地価から土地の相場を調べる方法
公示地価や基準地価から土地の相場を調べる手順を順番に解説します。
【Step1】調べたい土地のあるエリアを絞り込む
国土交通省の「地価公示・都道府県地価調査」のページにアクセスし、相場を調べたい土地のあるエリアを地図から絞り込んでいきます。
【Step2】検索条件を指定する
検索条件を指定し「検索」ボタンをクリックします。
対象:地価公示・都道府県地価調査の両方
調査年:最新調査年のみ
用途区分:区分が分かっている場合は指定します
地価:空欄のままにしておきます
【Step3】相場を調べたい土地にもっとも近い基準地を探す
標準地や基準地の調査結果が一覧で表示されるので、相場を調べたい土地にもっとも近いものを探します。今回は、以下の調査結果をもっとも近い基準地として選びました。
【Step4】基準地の価格から相場を算出する
基準地の「価格(円/㎡)」に、売却したい土地の㎡数を掛け、さらに1.1を掛けて実勢価格(相場)を算出します。
<80㎡の土地を売却したい場合>
実勢価格(相場)=49万円 × 80㎡ × 1.1 = 4,312万円
この土地のおおよその相場は、4,312万円程度と算出されました。
相続税路線価から調べる
相続税路線価とは、国税庁が提示している、相続税評価額を決めるための土地の単価を指します。毎年7月に、国税庁によってその年の1月1日時点の路線価が公示されます。
相続税路線価は、公示価格の80%程度とされているため、0.8で割り戻すことで公示価格を割り出せます。さらに1.1を掛けることで、実勢価格(相場)の逆算が可能です。
※実勢価格について、約1.1倍というのは目安となり、物件状況などにより大幅に前後します。
実勢価格(相場)= 相続税路線価 × 土地の㎡数 ÷ 0.8 × 1.1
※実勢価格について、約1.1倍というのは目安となり、物件状況などにより大幅に前後します。
相続税路線価から土地の相場を調べる方法
それでは相続税路線価から土地の相場を調べる方法を順番に確認しましょう。
【Step1】路線価を調べたい都道府県を選ぶ
国税庁の「路線価図・評価倍率表」にアクセスし、相場を調べたい土地のある都道府県を選択します。
【Step2】「路線価図」を選択
【Step3】市区町村を選びエリアを絞り込む
【Step4】路線価を確認する
路線価図が開いたら、土地のある場所を探して路線価を確認します。土地が面している道路に記載されている数字がその土地に帯する路線価です。路線価は千円単位で記載されており、430は43万円を表します。(数字と一緒に書かれているアルファベットは今回は関係ありません。)
【Step5】路線価から相場を逆算する
路線価が分かったら、相場を逆算します。下の青い四角の土地が120㎡だった場合を例に計算してみましょう。
青い土地の前の道路には340Cと書かれているため、路線価は34万円です。路線価から実勢価格を出す式に当てはめ、実勢価格を逆算します。
実勢価格=34万円(路線価)× 120㎡ ÷ 0.8 × 1.1 = 5,610万円
この土地の相場は、5,610万円と算出されました。
なお、実際に路線価から実勢価格を算出するときには、土地の形状などにあわせて定められた「補正率」を掛け合わせる必要があります。たとえば同じ広さの土地であっても、四角に近い整形地と、旗竿地や三角形の土地などでは、後者のほうが需要が低くなりやすく、実勢価格もそれにあわせて補正する必要があるためです。
また角地など複数の道路に面している土地も、計算方法は複雑になります。精度高く相場価格を把握したい場合は、不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
固定資産税評価額から調べる
土地のおおよその相場は、固定資産税評価額からも算出できます。固定資産税評価額は、総務省が定めた「固定資産評価基準」に基づいて各自治体が評価した価額です。3年に1回、4月にその年の1月1日時点の地価を各自治体が公示し、固定資産税が決められます。
土地の固定資産税額は、公示価格の70%程度とされているため、固定資産税評価額を0.7で割り戻して公示価格を算出し、さらに公示地価の約1.1が実勢価格の目安とされているため1.1を掛けることで、相場の算出が可能です。
土地の実勢価格 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1
※実勢価格について、約1.1倍というのは目安となり、物件状況などにより大幅に前後します。
それでは固定資産税評価額から土地の相場を割り出す手順を順番に確認しましょう。
【Step1】固定資産税評価額を調べる
毎年自治体から送られてくる固定資産税の納税通知書には、「固定資産評価証明書」が同封されています。まずは、そこに記載されている固定資産税額を確認しましょう。
【画像】東京都主税局
【Step2】固定資産税評価額から逆算して相場を出す
「土地の実勢価格 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1」の計算式に当てはめて、相場を算出します。
<固定資産税評価額が3,500万円だった場合の計算例>
土地の実勢価格 = 3,500万円 ÷ 0.7 × 1.1 = 5,500万円
エージェントに査定を依頼して調べる
土地の相場を把握したいときに、もっともおすすめの方法は、プロのエージェント(不動産会社の担当者)に査定を依頼することです。
ここまで土地の相場を自分で調べる方法をご紹介してきましたが、いずれの方法もおおよその相場観はつかめるものの、売却したい土地の実際の市場相場はわかりません。土地はそれぞれ形状や傾斜、方角、面している道路など特徴が異なり、どれひとつとして同じものはなく個別性が高いからです。売却を考え相場を把握したい場合は、不動産会社の査定を受けるのがもっとも確実な方法です。
不動産会社の査定を受ける場合、複数社に査定を出して相場調査ができる一括査定サイトを検討するのも方法のひとつです。しかし一括査定サイトは、不動産会社は選べても、誰が実際に査定するか分からないというデメリットがあります。個別性の高い土地は、そのエリアに精通し、経験豊富な担当者が査定しないと精度が落ちてしまう恐れがあります。
そこでおすすめしたいのが、実績とノウハウのある担当者と直接マッチングされるエージェント紹介サービスです。
エージェント紹介サービスを利用するメリット
エージェント紹介サービスを利用するもっとも大きなメリットは、担当者のこれまでの実績を確認し、さらにチャットで直接コミュニケーションを取って人柄を確認したうえで査定を依頼できることです。
相談から査定、売却までひとりの担当者が責任を持って受け持つため、一括査定サイトのように「営業は熱心だったのに、契約したとたん担当者が変わり熱量が落ちた」といったことがありません。実際に不動産売却をした人のおよそ8割が「不動産売却には担当者選びが重要」と答えるほど、「誰が担当するか」は土地売却の成否を分ける大切なポイントです。
三菱地所グループが運営するタクシエでは、大手不動産20社以上から登録しているエース級担当者350名のなかから、土地のあるエリアの事情に精通し、売却実績が豊富なエージェントとのマッチングが可能です。信頼できるパートナーを見つけ土地の売却に取り組みたい方は、ぜひ利用をご検討ください。
まとめ
売却したい土地のおおよその相場は、近隣の類似物件の過去の取引データや公示地価、路線価などから自分で調べることが可能です。しかしわかるのはあくまでも「おおまかな相場」であり、実際に査定にだしてみたらかけはなれている可能性もあります。
売却を考え精度の高い相場を知りたい場合には、不動産会社に査定してもらうのがもっとも確実な方法です。個別性が高く高度な知識と査定経験が求められる土地の査定は、エリアに詳しく実績が豊富なエージェントに査定を依頼するのがおすすめです。
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