土地を売却する方法のひとつに「不動産会社による買取」があります。買取による土地売却は、一般的な「仲介による売却」とは異なるメリット・デメリットがあるので、違いを理解したうえで選ぶことが重要です。
この記事では、土地売却時の買取と仲介の比較、買取のメリット・デメリット、買取の相場価格、不動産会社の選び方について説明します。さらに、土地を高額で買取してもらうための方法や、買取が難しい場合の対応策についても解説します。
土地買取と仲介による売却との違いは?
土地を売却する方法には「買取」と「仲介」の二つがあります。両者はそれぞれ特徴が異なるため、違いを把握したうえで選ぶことが大切です。ここでは買取と仲介の違いを解説します。
土地の買取と仲介による売却との違い
土地の買取とは、不動産会社などに買主となってもらう売却方法です。一方、仲介による売却では、不動産会社に探してもらった買主と売買契約を締結します。
買取と仲介による売却には、以下のような違いがあります。
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買取 |
仲介 |
売却 価格 |
仲介で売るよりも安くなる可能性がある |
売却時点の相場価格で売れる |
売却にかかる期間 |
5日〜1カ月程度 |
3カ月〜6カ月程度 |
仲介手数料 |
原則不要 |
必要
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契約不適合責任 |
ない |
ある
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買取による土地売却の特徴
買取では不動産会社が直接土地を買い取るため買主を探す時間が不要になり、売却にかかる期間が短いことが特徴です。買取では仲介がおこなわれないので、仲介手数料も発生しません。また不動産のプロである不動産会社が買主となるため、売主は契約不適合責任(売主が買主に対して契約書の内容どおりのものを引き渡す責任)を免責されるのが一般的です。
仲介による売却の特徴
仲介による売却は、売主が希望する価格で売り出せるので、相場に近い価格で売却できる可能性があることが特徴です。その一方、買主を探す時間が必要になり、売却までには3〜6カ月程度かかるのが一般的です。
仲介が発生するため、買主を見つけてくれた不動産会社に対しては、成功報酬として仲介手数料を支払う必要もあります。また買主に対しては、一定期間契約不適合責任を負うことも求められます。
土地を買い取ってもらうメリット・デメリット
買取と仲介の違いを踏まえ、土地売却に際して仲介ではなく買取を選ぶ メリット・デメリットを解説します。
メリット |
デメリット |
- 迅速に土地を売却できる
- 土地売却後の資金計画を立てやすい
- そのままの状態で売れる
- 条件が悪い土地でも売れる可能性がある
- 人に知られず土地を手放せる
- 仲介手数料が原則不要になる
- 契約不適合責任を問われる心配がない
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土地を買い取ってもらうメリット
まずは土地を買い取ってもらうメリットから確認しましょう。
迅速に土地を売却できる
買主を探す必要がない買取は売却までの期間が短く、早ければ5日、長くても1カ月程度で土地を売却できることが最大のメリットです。急ぎ現金が必要な方には買取はおすすめの方法です。
土地売却後の資金計画を立てやすい
仲介による売却では、売りに出してもいつ買主が見つかるかわからず、また売り出した価格で売れるとも限りません。土地売却の代金を活用したくても不確定要素が多く、資金計画が狂う恐れがあります。
その点買取は査定価格に納得したら売却価格が確定し、決済・引き渡し日も決まるため、資金計画を立てやすいことがメリットです。
そのままの状態で売れる
仲介による土地売却においては、買主が土地を購入したあとに隣地の所有者とトラブルになるのを避けるために、隣地との境界確定を求められるのが一般的です。また古家が建っている土地は、自分たちで解体・撤去し更地にしないと売れない場合もあります。
一方、買取は現状での引き取りが基本となるため、そのままの状態で買い取ってもらえることがほとんどです。手間やコストをかける必要がないことも、買取のメリットのひとつです。
条件が悪い土地でも売れる可能性がある
一般的に、次のような条件が悪い土地は、仲介では敬遠される傾向があります。
- 不整形地(正方形や長方形に整えられていない土地)
- 面積が狭すぎる・広すぎる土地
- 再建築不可の土地(現行の建築基準法を満たさず、家の建て替えができない土地)
このような土地であっても、買取であれば売却できる可能性があります。買取に対応する不動産会社は、家を建てる以外の用途や隣地の所有者と交渉するなどし、使い道を考えられるためです。仲介に出しているのになかなか土地が売れない場合も、買取を検討してみるとよいでしょう。
人に知られず売却できる
土地を売却したい方のなかには、人に知られたくない事情がある方も少なくありません。しかし土地を仲介で売却する場合は宣伝・広告が必要になることから、誰にも知られず手放すのは難しくなります。
その点買取であれば買主を探す必要がないため、人に知られることなく売却に至れます。
仲介手数料が原則不要になる
売却金額に応じて決まる仲介手数料は、地価が高い都市部では高額になる傾向があります。しかし、不動産会社が買主となり直接土地を買い取る場合、仲介が発生しないため仲介手数料が不要になるのも買取のメリットです。
なお仲介手数料が不要になるのは、不動産会社と直接売買契約を結ぶ場合に限ります。買主が仲介会社に紹介された不動産会社である場合、仲介手数料が発生する点は理解しておきましょう。
契約不適合責任を問われる心配がない
買取による土地売却では、契約不適合責任からの免責が売主にとって大きなメリットです。
土地を購入して整地中に産業廃棄物などが埋められていることが判明するケースがあります。これが通常の仲介売却の場合、買主から契約不適合責任を追及され、損害賠償請求や契約解除の可能性が出てきます。
しかし買取では、不動産の専門家である不動産会社が詳細に調査した上で買い取るため、契約不適合責任は免責されます。これにより、売主は売却後の不具合に対する心配が不要となります。
土地を買い取ってもらうデメリット
土地を買い取ってもらうことには、以下のようなデメリットもあります。
仲介での売却よりも安くなる傾向がある
買取による土地売却は、仲介で売るよりも価格が安くなる傾向があることがデメリットです。
仲介では買主を見つけることで仲介手数料を得られますが、買取においては土地を転売して利益を出す必要があります。そのためには買い取った土地を整地したり、宣伝広告したりする費用がかかります。買主が見つかるまでの固定資産税・都市計画税なども負担しなければなりません。
それら経費を差し引いたうえで、さらに利益を出すことが前提となるため、買取価格は安くなる傾向があるのです。
必ず買い取ってもらえるとは限らない
買取であれば、仲介でなかなか売れない土地でも売却できる可能性が高いことは事実です。しかし、どんな土地でも必ず買い取ってもらえるわけではありません。
不動産会社は買い取った土地を再販して利益を出すため、需要が低く買い手が見つからないと判断されれば買取を断られる可能性があります。また建物の解体・撤去費や整地などにかかる費用が高額になると見込まれ、売却しても利益が出ないと考えられる場合も買い取ってもらうのは難しくなるでしょう。
土地をどのように使われるかわからない
仲介で土地を売る場合、売主は買主がどのような人かを見定めたうえで売却できます。しかし、買取による売却の場合、売却先は不動産会社であるため、その後の土地の使用者や使用方法は通常は不明瞭です。
そのため隣接した土地を買い取ってもらったような場合、新たな地主が高い建物を建てる、立体駐車場にするなど、想定していなかった使い方をされる可能性があるのも買取のデメリットです。
土地の買取が可能な不動産会社を探す手間がかかる
土地買取できる不動産会社は、実はそれほど多くはありません。土地を買取り、売却できるまで維持するには、一定の資力が必要となるためです。そのため買取を依頼できる不動産会社を探すのには、手間がかかる可能性があります。
土地を買取できる不動産会社を効率的に探したい方は、買取に対応している会社だけが登録している紹介サービスを利用すると便利です。たとえばタクシエなら、土地情報を登録するだけで、対象のエリアで買取実績が豊富な3社の査定を受けることができます。買取可能な不動産会社を探す時間と手間が不要になるので、利用をご検討ください。
土地の買取相場は?
土地の買取価格の相場は、土地の状態や土地があるエリアの市場動向に大きく左右されるため一概にはいえません。所有する土地の買取価格を知りたいときには、不動産会社の査定を受けるのが近道です。
土地の買取査定を依頼する不動産会社の選び方
実際に土地の買取査定を受ける際、不動産会社はどのように選べばよいのでしょうか?
対象となるエリアで土地買取を得意とする会社を選ぶ
土地の買取査定を受ける会社は、土地があるエリアに精通し、買取実績が豊富な不動産会社を選びましょう。転売や土地活用のノウハウがある会社であれば、高く買い取ってもらえる可能性が高くなります。
買取実績豊富な会社の紹介サービスを利用すると効率的
土地があるエリアで買取実績が豊富な不動産会社を探すときには、買取に特化した紹介サービスを利用すると便利です。
買取している会社は一括査定サイトなどでも探せますが、それぞれの会社を比較して、査定を依頼する会社を選ぶのは手間と時間がかかります。査定結果が出るスピードも会社によって違うため、結果が出そろう時期もわかりません。
たとえばタクシエなら、土地の情報を登録するだけで、対象のエリア内で買取実績が豊富な3社の査定を受けられます。査定価格は最大3日以内に提示されるため、スピーディーに買取を進められるのでおすすめです。
土地の買取の流れ
土地の買取は、以下の流れで進むのが一般的です。
各ステップの内容を順番に解説します。
STEP1.土地の状況を確認する
まずは買取を依頼したい土地の名義人は誰になっているのか、境界は確定されているのかを確認しましょう。
とくに代々所有している土地では、相続手続きが済んでいないケースが珍しくありません。その場合、土地は登記簿上の所有者しか売却できないため、相続登記が終わるまで売却できない可能性があります。境界が確定していない土地については、そのまま買い取ってくれるかどうかは不動産会社により判断が異なります。
いずれの場合も、わからないときには不動産会社に調査を依頼するとスムーズです。
STEP2.買取査定を依頼する不動産会社を探す
続いて買取を相談・依頼する不動産会社を探します。先にお伝えしたとおり、土地があるエリアで買取実績が豊富な会社の査定を受けられるサービスを利用すると、スピーディーに査定まで進めて便利です。
STEP3.買取査定を受ける
不動産会社の査定には、机上査定と訪問査定があります。
机上査定 |
土地の場所や広さなど、書類上のデータをもとにおおよその査定価格を出す方法 |
訪問査定 |
実際に土地を訪問し、日当たりや周辺環境などを確認したうえで正確な査定価格を出す方法 |
基本的には机上査定を受けたなかから訪問査定を依頼する会社を数社に絞り込みます。ただし売却を急ぐなら、そのまま訪問査定を依頼してもよいでしょう。
STEP4.売買契約を締結する
査定を受けた不動産会社の中から1社を選び、売買契約を結びます。買取の場合、査定価格=売却価格となるため、もっとも高い価格を提示した会社を選ぶとよいでしょう。売買契約締結時には、買取金額の5〜10%程度の手付金を受け取るのが一般的です。
STEP5.決済・引き渡しをおこなう
売買契約締結時に取り決めた決済日に、不動産会社から残金を受け取り、司法書士が所有権の移転登記の手続きをおこないます。土地の場合、家と異なり引越しが不要であるため、比較的スピーディーに決済まで進む傾向があるようです。
できるだけ高く土地を買い取ってもらうコツ
土地の買取に際し、できるだけ高く買い取ってもらうコツをご紹介します。
複数社に買取査定を依頼する
土地には定価がないため、不動産会社が出す査定価格はそれぞれ異なるのが一般的です。1社にしか査定を依頼しなければ、出された価格が適正なのか判断できません。
そのため土地の買取による売却を検討するときには、1社だけではなく複数社に査定を依頼し比較することが大切です。買取は仲介とは異なり、査定価格=売却価格となるためもっとも高い査定額を提示した会社に買取ってもらいましょう。
なおタクシエでは、土地があるエリアで買取実績が豊富な3社の査定を一度に受けられます。土地情報を登録するだけで、最大3日で査定価格が提示されます。スピーディーに売却を進めたい方にはおすすめです。
対象エリアの土地相場を調べておく
買取価格は市場相場よりも低くなる傾向がありますが、出された価格が相場とかけはなれて低い場合には、差分の理由や根拠を聞いてみるとよいでしょう。納得できない場合には、ほかの会社の買取査定を受けてみることをおすすめします。
土地の相場の調べ方について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
土地売却の相場価格の調べ方は?初心者でも自分でできる方法を解説
売れない土地は早めの買取がおすすめの理由
仲介に出していてもなかなか売れない土地は、そのまま放置しているよりも早めに買取を依頼するのがおすすめです。その理由を解説します。
維持管理費が不要になる
土地は所有している限り、毎年固定資産税や都市計画税が課税されます。また雑草が生い茂らないように定期的に除草するなど、メンテナンスも必要です。遠方にある土地の場合は、外注コストがかかる場合もあるでしょう。
そのようなケースでは、安価であっても買取ってもらうと将来的な維持管理の負担が不要になります。将来的なランニングコストと比較して検討してみるとよいでしょう。
近隣トラブルを防げる
土地の維持管理に手間やコストを避けず放置している場合には、雑草が生い茂り不法投棄の現場や害虫・害獣の住みかとなる可能性があります。
近隣の住人に迷惑が及ぶと苦情を申し立てられ、近隣トラブルに発展するかもしれません。買取で手放してしまえば、そういった心配がなくなります。
権利関係が複雑になるのを防げる
売れない土地をそのまま所有していると、相続が発生するたびに権利関係が複雑になるのも問題です。所有者が亡くなるたびにきちんと相続登記がおこなわれるなら問題ありませんが、そうでなければ所有権を持つ人が増え続けてしまうためです。
その場合、いざ買い取ってもらおうとしても、全員の合意を取り付けることが困難になり、売るに売れなくなる可能性があります。相続問題を後世に引き継がないためにも、なかなか売れない土地は、早めに買取による売却を検討してみるとよいでしょう。
土地がなかなか売れないときの対処法
土地の売却がなかなか進まないという状況は、土地所有者にとっては非常に厄介な問題となります。では、このような困難な状況に直面したとき、どのような対処法が考えられるのでしょうか。
土地が売れない理由と対策について詳しくは、こちらの記事もご覧ください。
土地が売れない6つの理由と対策|どうしても売れない土地の対処法も解説
国に帰属させる
土地の処分に困っている場合、相続のタイミングで「相続土地国庫帰属制度」を活用し、国に帰属させる方法もあります。相続土地国庫帰属制度は、2023年(令和5年)4月27日に始まった、相続または遺贈(遺言により遺産を引き継ぐこと)で取得した土地を手放し、国に帰属させる制度です。
この制度を利用するには一定の条件を満たしたうえで負担金(一部をのぞき20万円)を支払う必要がありますが、将来的な土地の維持管理の負担がなくなることがメリットです。
制度について詳しくは、以下のページでご確認ください。
法務省:相続土地国庫帰属制度の概要
まとめ
最後に土地の買取が向いている人をまとめました。
- 安くてもいいのでできるだけ早く土地を現金化したい
- 資金計画を立てるために売却価格や入金日を確定したい
- 仲介に出していてもなかなか売れない土地を手放したい
買取での土地売却を成功させたいときには、土地があるエリアに精通し、買取実績が豊富な不動産会社を見つけることが大切です。エリアの土地活用に詳しく売却ルートがある会社なら、高値での買取が期待できるかもしれません。
三菱地所グループが運営するタクシエなら、土地があるエリアで買取実績が豊富な3社の査定を受けられるので効率的です。最大3日で査定額が出そろうため、迅速に買取を進められます。土地の買取をご希望の方は、ぜひ利用をご検討してみてください。