「マンションの売り時が知りたい」
「マンションを高く売りたい」
「マンションを売却する際の注意点を知りたい」
上記のように考えている方に、マンションの最適な売り時を解説します。マンションの売り時は、周辺状況や物件の状態、経済動向など、さまざまな要素を踏まえて判断しなければなりません。
本記事では、マンションの売り時や、売り急いだほうがよいマンションの特徴を紹介しています。
また後半では、売却時の注意点も解説しています。住み替えなどでマンションの売却を検討しており、マンション売却で失敗したくないと考えている方の参考になるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
マンションの売り時はいつ?
マンションの売り時は、周辺状況や物件の状況により異なります。売り時を見極めるためには、周辺状況や築年数、所有期間などさまざまな観点から考える必要があります。
マンションをできるだけ高く売るためには、売り時のポイントをしっかりとおさえ、適切なタイミングで売却することが重要です。タイミングを間違えると、買い手が現れず値下げすることになったり、売却期間が長引き疲弊したりするリスクがあります。
2024年がマンションの売り時と言われる理由
2024年現在は、マンションの売り時であると言われることがあります。理由として、次の2つがあげられます。
それぞれ詳しく解説します。
1. マンション価格の高騰
2024年現在、マンションの売り時と言われる理由に、マンション価格の高騰があげられます。なぜなら、高額での売却を期待できるからです。まずは、国土交通省が公表している「不動産価格指数」をご覧ください。
引用:不動産価格指数(令和6年3月・令和6年第1四半期分)|国土交通省
上記のグラフから、2013年以降、中古マンションの価格が上昇し続けていることがわかります。なお、このデータは移転登記がなされたものを対象としているため、主に中古マンションを対象とした数値です。
新築マンションの価格高騰には、円安による建築資材の価格や人件費の上昇が背景にあります。しかし、中古マンション価格の変動は、建築に関する資材高や人件費上昇などの影響を直接受けることは少ないでしょう。
したがって、中古マンションの価格が上昇する要因は、新築マンションを買えなかった人の代替需要であると考えられます。
グラフの数字はあくまでも指数なので「必ず高く売れる」「すべてのマンションの価値が上がっている」とは言い切れません。また、今後どう値が動くかもわかりません。しかし、高値を更新している2024年は依然として売り時が続いています。
2. 金利の上昇
2024年が売り時と言われている理由に、金利の上昇もあげられます。2024年3月、日本銀行は17年ぶりに利上げを実施しました。買い控えのリスクが増大する前に売却するのが望ましいとの観点から、2024年は売り時であると言われています。
マンションを購入する際、住宅ローンを利用するケースが多いため、金利の変化は買い手にとって重要です。金利が上がると、買い手に下記のデメリットが生じます。
- 住宅ローンの借入可能額が減る
- 同じ借入金額でも毎月の返済額が増える
上記の金銭面のデメリットが原因で、低金利のときと比べて買い手がマンションの購入を控える恐れがあります。買い手にとってマンションを購入しやすい低金利のうちに売却したほうが、納得できる価格で売れる可能性が高いでしょう。
今後、さらなる金利の上昇も否定できないので、低金利のうちに売却の準備を始めることをおすすめします。
居住用マンションの売り時を判断するポイント
以下では、マンションの売り時を判断するポイントを、居住用・投資用に分けて説明します。
居住用マンションの売り時を判断するポイントは下記の5つです。
1. 築年数
マンションの売り時を判断するポイントの1つめが、築年数です。以下は、首都圏の売却価格を築年数別にまとめたものです。
築年数 |
~築5年 |
~築10年 |
~築15年 |
~築20年 |
~築25年 |
~築30年 |
築30年~ |
価格 (万円) |
8,170 |
7,279 |
6,702 |
5,965 |
5,348 |
4,140 |
2,439 |
参照:首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況(2024年4月~2024年6月)|東日本不動産流通機構
上記をみると、築年数の経過につれて、売却価格が下がっていくことが分かります。築年数が経過すると、建物や設備の劣化により修繕が必要になります。また、買い手の心理としても、安価でなければ好んで古い物件を購入することは稀でしょう。
こうした理由から、築年数を経るごとに価格は低下する傾向があります。マンションの売り時は、築年数が浅いうちであると考えられます。
2. 周辺環境
マンションの売り時を判断するポイントに、周辺環境があげられます。
例えば、新施設の建設や交通インフラの拡充・整備で人の流れが増えると、不動産の需要が高まるためマンション価値の上昇が期待できます。
こうした周辺環境に加え、人口が中長期的に増減いずれの傾向にあるかも考慮に入れるとよいでしょう。例えば、大阪府の人口は、2010年をピークに減少期に入り、2015年時点で人口は約3万人減少しています。以降、30年間で136万人の急激な減少が見込まれています。
人口が減ると、マンションの供給が減少し、価格の低下が予想されるため、そうなる前が売り時です。人口が増えているなら売却はまだ見送るのも選択肢の一つです。
3. シーズン
マンションの売り時を判断するには、シーズンも重要です。
東日本不動産流通機構が調査した東京都のマンション成約件数のアーカイブより、過去5年間のデータを参考にすると2月・3月が多い傾向にあるとわかりました。
進学、就職、転勤などに備えて、新年度を迎える前に住み替えをしたい需要が、成約件数に反映されていると考えられます。
成約件数が多い時期に売却することで、スムーズに売却できる可能性が高くなります。2月と3月に間に合わせるためには、前年の12月までに仲介を不動産会社に依頼し、遅くとも1月には売却活動を開始しましょう。
4. ライフイベント
子どもの進学や定年退職などのライフイベントは、マンションの売り時です。転校を必要とするケースなら、子どもの進学のタイミングで売却して住み替えるとよいでしょう。
授業内容のズレが生じる心配がなく、級友と学年のスタートを同じくすることで交友関係を築きやすくなります。年度途中で住み替えるよりも、進学に合わせて住み替えたほうが子どもにとって環境の変化によるストレスがかかりにくいでしょう。
もし、転校先の学校を軸に住み替え先を決めるなら、希望する学校の学区域や通学しやすい立地を選択できます。
定年退職を迎える頃には、子どもが就職や結婚で独り立ちし、部屋を余らせることもあるでしょう。あるいは、退職して住居に求めるものが変化することもあります。定年退職を機に適した間取りや立地の物件に住み替えると、生活しやすくなる可能性があります。
住み替え先は、駅や病院に近いところなど、老後の利用施設や移動手段を考慮して探すことが大切です。定年退職するまで住み続けたマンションであれば、それなりの築年数になっているケースも少なくありません。
すでにマンションの築年数が経っているなら、その後の売却活動はさらに難航すると予想されます。先延ばしせず定年退職のタイミングで売却を検討したほうが、後で売却に困る心配も少ないでしょう。
5. 所有期間
マンションの所有期間に応じて売り時を判断しましょう。マンション売却によって利益(譲渡所得)が発生した場合は、譲渡所得税がかかります。
売却した年の1月1日現在で所有期間が5年を超えている土地建物を売却した際の譲渡所得を、長期譲渡所得といいます。対して所有期間が5年以下であれば、短期譲渡所得です。
それぞれの税率は下記のとおりです。
所有期間 |
短期譲渡所得 |
長期譲渡所得 |
税率 |
30% |
15% |
長期譲渡所得のほうが税制面で有利なため、もう少しで所有期間が5年を超えるマンションは、売却を待つのも選択肢の一つです。
なお、具体的な譲渡所得税の算出方法は、下記の記事で解説しているので参考にしてください。
関連記事:不動産売却の税金ガイド|種類、計算方法、対策、申告時期、納付方法まで徹底解説
投資用マンションの売り時を判断するポイント
投資用マンションの売り時を判断する際におさえるポイントは3つあります。
上記のポイントに加え、居住用マンションと同様に築年数や周辺環境、大規模修繕、所有期間も加味しましょう。
1. 入居状況
周辺施設の閉鎖などの環境変化やマンションの経年劣化で、新たな入居者が入りづらい状況であれば、投資用マンションの売り時です。
既存の住居者がいるうちに売ることをおすすめします。なぜなら、入居者を確保できていれば、一定の収益が見込めるからです。新しい広告活動をする必要もありません。
マンション経営で入居者を募集するには、大きな労力と費用がかかります。この点をオーナーにメリットとして感じてもらえる期間に売ることを検討しましょう。
入居者いることで買い手にとって、マンション購入後の入居募集の手間が省けたり、購入後すぐに家賃を得られたりするメリットがあります。
2.退室・ 空室
既存入居者の退去が想定される場合もしくは空室になる可能性がある場合は、その前にマンションを売りましょう。
投資用マンションは空室になっていると家賃収入が入らないことを懸念して、買い手が購入を控える恐れもあります。
また、空室の状態が続いた場合、マンションは収益性が低いと判断される可能性があります。買い手が住宅ローンを利用しようと思っても、収益が見込めない物件は、融資が受けられない、もしくは融資金額を減額される可能性があります。
次のオーナーに円滑にバトンタッチにするためにも、空室になる前に売却を検討しましょう。
3. 減価償却期間
投資用マンションの売り時は、減価償却期間の終了が近づいているタイミングです。
減価償却とは、建物や設備など経年によって価値が低下する資産の購入費用を、耐用年数の期間内で分割し経費計上することです。つまり法定耐用年数が過ぎると、減価償却期間中に差し引いていた経費がなくなります。物件の構造ごとの耐用年(住宅用)数は、以下の通りです。
構造 |
耐用年数 |
鉄筋コンクリート造(RC造) |
47年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) |
47年 |
鉄骨造(S造)4ミリメートル超 |
34年 |
鉄骨造(S造)3ミリメートル超4ミリメートル以下 |
27年 |
鉄骨造(S造)3ミリメートル以下 |
19年 |
木造・合成樹脂造 |
22年 |
木造モルタル |
20年 |
参照:主な減価償却資産の耐用年数表│国税庁
納める税金が大幅に上がることもあり、キャッシュフローが悪くなることが考えられます。償却期間内に売却を検討するのも選択肢の一つです。
マンションの売り時を早めたほうがよいケース
マンションの売却を急いだほうがよいケースもあります。
それぞれみていきましょう。
1. マンションを相続したケース
親のマンションを相続し、そのマンションに住まない場合には、タイミングに迷わずすぐに売ることをおすすめします。
理由は、固定資産税や維持管理費などのコストがかかるからです。固定資産税は、その年の1月1日時点で所有している人に課税されます。
つまり、該当の物件に住んでいなくても課税対象になります。さらにマンションの場合、毎月の管理費や修繕積立金を負担しなければなりません。
相続した不動産の売却は「相続した不動産を売却するメリットは?流れや注意点、節税対策まで解説」で詳しく解説しているので参考にしてください。
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2. 近くに新しいマンションができるケース
近くに新しいマンションができると判明したら、売却準備を早めたほうがよいかもしれません。売りたいマンションと近しい条件の物件が建つと、ライバルが増え買い手を探す難易度が上がる恐れがあります。
また、同じ価格帯なら中古マンションより新しいマンションのほうが需要があるため、売れ残るリスクがあります。結果、想定していた価格より値下げして売り出すケースも考えられるでしょう。
売却検討中にマンション建設予定のチラシや看板を見たり、新しいマンションが建つという話を聞いたりした場合は要注意です。なるべく早いうちに、マンションの売却準備を始めましょう。
マンションを売る際の5つの注意点
マンションを売る際の注意点は以下の5つです。
1. 相場を把握する
相場を把握したうえで売り出すようにしましょう。売却相場を参考に売り出し価格を決めると、スムーズに売却できる可能性があります。
売り出し価格を相場より高くすると、売れ残ってしまい、結局値下げする羽目になるかもしれません。また、マンションの売却では、値下げ交渉されるケースがよくあります。
そのため、相場より低い価格で売り出して値下げ交渉に応じると、想定を下回る金額で売ることにもなります。
相場を把握したうえで、高すぎず、低すぎない売り出し価格を不動産会社と決めましょう。
なお、不動産の売却相場を調べる方法は複数あり、特徴や精度はそれぞれ異なります。
詳しくはこちらの記事で解説しているので、参考にしてください。
関連記事:不動産の売却相場の調べ方|購入価格・エリア・築年数など9つの方法
2. 売却期間を考慮する
マンションを売る際の注意点に、売却期間を考慮することがあげられます。
マンションを売り出したからといって、すぐに買い手が見つかるとは限りません。首都圏の中古マンションが売れるまでの平均日数は80.1日です。ただし、この期間はあくまで平均日数です。築年数が古い、アクセスが悪いマンションはさらに期間を要する恐れがあります。
売却期間を考えず売り出すと、買い手が現れないまま住み替え期限が迫ってくる焦りから、値下げに踏み切るケースもあるでしょう。値下げして買い手を見つけたとしても、想定より売却価格が低くなり不満が残ってしまうかもしれません。
納得のいく価格で売却するためには、売れるまでの日数も考慮して、売り出すタイミングを検討しましょう。
3. 信頼できる不動産担当者に依頼する
マンションの売り時に悩んでいるなら、信頼できる不動産担当者に依頼するのがおすすめです。
周辺環境や物件の状況に加え、売り手の希望を最大限に考慮して最適な売り時を提案してくれる担当者が理想です。経験豊富な担当者なら、いざ売り時になった際も、その地域の情報やノウハウを活かした売却活動が期待できるでしょう。
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4. 消費税増税前に売る
マンションを売却する際は、消費税増税前に売りましょう。消費税増税前は、新築マンションの価格上昇に伴い、中古マンションの価格も上昇する可能性があるからです。
マンションが高くなる前に購入したいと考える人が増え、増税直前になるとマンションの駆け込み需要がおこると予想できます。逆に増税後は需要が下がるため、それに伴いマンションの価格も下がるでしょう。
消費税増税が発表されたら、駆け込み需要に合わせた売却準備をしておくと、満足いく価格で売却できる可能性が高まります。
なお投資用マンションでは、売主が課税事業者の場合は消費税が発生し納税額が増加するため、やはり増税前の売却がよいでしょう。
5. 売り時を逃さないよう経済動向をチェックする
マンションを売る際は、経済動向を確認して売り出すタイミングを逃さないようにしましょう。経済動向は新築マンションの価格相場に、新築マンションの価格相場は中古マンションの価格相場に影響を与えるからです。
新築マンションの売却価格の相場は、地価や建材、人件費などさまざまな原因が重なって変動します。地価や建材、人件費の変化は、経済動向の変化と連動しています。
そして新築マンションの価格相場は、中古マンションの価格相場に影響を及ぼします。そのため、新築マンションの相場が下がったタイミングで売却すると、本来より低い価格で売却することになるかもしれません。
売り時を逃さないようにするためには、常にニュースや新聞などで経済動向をチェックしましょう。
マンションの売り時に関するよくある質問
マンションの売り時に関するよくある質問を紹介します。
それぞれみていきましょう。
中古マンションは売るつもりで買うべきですか
将来の住み替えを視野に入れて、売るつもりで中古マンションを買うのも選択肢の一つです。売るつもりでマンションを買えば、ライフイベントやトラブルの発生時に、スムーズに住み替えができるからです。
例えば、子どもの誕生でマンションが手狭になり住み替えるケースがあげられます。ほかには、急な転職で収入が減り、住宅ローンの返済が苦しくなるケースもあります。こうしたライフイベントやトラブルが起きても、住み替えによって柔軟に対応できるでしょう。
なお、売ることを意識するなら、立地条件がよい、生活利便性が高いといった特徴があるマンションを選ぶことをおすすめします。こうした需要の高いマンションなら、スムーズな売却を見込めるでしょう。
分譲マンションを売る人が続出していると聞きますがなぜですか
分譲マンションを売る人が続出している理由は、下記の2つがあげられます。
現在、マンションの価格が高騰していることから、購入時よりもマンションを高く売れることを見越して売却している人がいるでしょう。
修繕積立金は、修繕の必要に合わせて積立金が増額する段階積立方式と呼ぶ、積み立て方があります。マンションは約10年~15年おきに大規模修繕が実施され、かかる工事金額は築年数が経過するほど高くなる傾向にあります。
参照:令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査|国土交通省
工事費の増加による修繕積立金の値上がりを懸念して、マンション売却を検討する人もいるかもしれません。
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