「築30年のマンションが売れない」「築30年のマンションを売るつもりだが、買い手は見つかるのか」
残りの居住年数が少ないと思われがちな築30年のマンションに対して、上記のような不安を抱く方もいるでしょう。しかし、築30年のマンションでも、対策を講じれば売却できる可能性は大いにあります。
本記事では、築30年のマンションが売れづらい理由と対策を解説します。
記事の後半では、築30年のマンションを購入したらあと何年住めるか、固定資産税はいくらになるのかなどの疑問にもお答えします。ぜひ最後までお読みください。
築30年のマンションが売れない5つの原因
築30年のマンションが売れない原因は、5つ挙げられます。
これらは買い手が後悔なくマンションを購入するために気にするポイントです。5つの原因を詳しく見ていきましょう。
1.住宅ローン控除を利用できないと思われているから
「築30年のマンションは住宅ローン控除の対象外」と思っている買い手がいるため、売れないと考えられます。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りて住居を購入した方を対象に、入居から最大13年間所得税や住民税などが控除される制度です。
2022年以前、住宅ローン控除が適用できる建物は、築20年以内の建物もしくは築25年以内の住宅のみでした。
しかし2022年からは築年数要件が撤廃され、「昭和57年以後に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)に条件が緩和されました。
2023年現在は築30年のマンションも住宅ローン控除の対象です。
対象建物を変更した年が最近であるため、まだ築30年のマンションは住宅ローン控除の対象内だと認識されていない方もいる可能性があります。その影響により、買い手が購入を控える要因の一つになっています。
2.経年劣化で設備の不備が起きないか不安だから
築30年のマンションが売れない原因として、経年劣化で設備の不備が起きないか、買い手が不安を抱いている可能性もあげられます。
具体的には、設備の不備による修繕費の徴収や支出増、水回りの設備不備によって生じる生活の支障などに対する不安です。
国土交通省「令和元年度住宅市場動向調査報告書」によると、中古マンションを選ばなかった理由であげられた項目に「隠れた不具合が心配だった」「給排水管などの設備の老朽化が懸念」があげられました。
このデータから、マンションを選ぶ際に設備の具合を気にしている方が居ると分かります。
出典:令和元年度住宅市場動向調査報告書|国土交通省
快適な住み心地を維持するために、マンションのメンテナンスは実施されます。しかし築30年も経つと、不備が起きやすいのではないかと心配する買い手もいます。
3.耐震性が不安だから
買い手が築30年のマンションの耐震性能に不安を抱いているため、売れない可能性も考えられます。
耐震基準は、旧耐震基準と新耐震基準があり、築30年のマンションは新耐震基準に該当します。
昭和56年以前に建築された建物は旧耐震基準に該当しており、震度5程度の地震でも建物が倒壊しないことを目標としていました。対して新耐震基準は、震度7でも危険が伴うような倒壊をしないレベルの強度と言われています。
実際に阪神淡路大震災が起きた時、大破した建物が旧耐震基準は3割、新耐震基準は1割以下とデータが出ています。
築30年のマンションは耐震性能に優れた設計の物件です。しかし、新耐震基準の知識がなければ、築年数の古さから耐震性がないと考える方もいるでしょう。とくに地震による建物の損壊を気にする買い手にとっては、購入対象にならない可能性があります。
出典:大規模地震による建築物等に係る被害について(H7阪神・淡路大震災)|国土交通省
4.住宅ローンを借りづらいから
築30年のマンションは、築浅のマンションと比べて住宅ローンが借りづらくなります。購入したくても、住宅ローンを組むのが難しく成約につながらない可能性があります。
国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書で、金融機関によっては中古住宅の住宅ローン借り入れを制限している場合があると分かりました。
例えば、ローンの借入期間を50年-築年数に設定している金融機関から融資を受けたい場合、築30年のマンションを購入する際に可能な借入期間は20年です。
中古マンションを購入した人の平均返済期間は28. 5年と言われているため、借入期間は平均より短いことが分かります。
住宅ローンの返済期間に余裕がなくなり、月ごとの返済額が合わなくなったり、審査が通らなかったりして、築30年のマンションを購入できない方もいるでしょう。
出典:中古住宅流通促進・活用に関する研究会(平成25年)|国土交通省
参考:令和4年度住宅市場動向調査報告書|国土交通省
5.外観が古い印象を受けるから
買い手が築30年のマンションの古い外観を気にして、購入につながらないケースが考えられます。
築30年のマンションの外観は築浅の物件と比べて、トレンドや最新のデザインよりも見劣りすることもあるため、古い印象を持たれる方もいます。
外壁が色あせていたり、エレベーターやドア、水回りなどの設備が古かったりする点も、見栄えが悪くなりやすい原因です。
「既存住宅を選ばなかった理由」(出典:国土交通省独自調べ ※平成28年10月実施)で、見た目の「汚い」イメージが挙げられている点から、買い手は外観も購入する際に検討する点だと分かります。
築30年のマンションは外観が古く感じられて、見た目の印象を気にする方にとっては購入候補から外れることがあります。
出典:既存住宅の流通促進に向けて|国土交通省
築30年のマンションが売れない際の対処法は5つ
築30年のマンションが売れない場合、5つの対処法があります。
築30年のマンションが売れないと悩んでいる方は、対処法を把握して売却活動をしましょう。
1.マンションの魅力をアピールする
マンションが売れない際は、マンションの魅力を買い手にアピールすれば売れやすくなります。
では、どういった点がマンションの魅力になるのでしょうか。買い手の求める条件から考えれば、見つけやすくなります。
マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状(平成30年度)|国土交通省によると、マンション購入時に買い手は生活環境を考慮していると分かりました。
具体的には次のとおりです。
上記の項目があてはまる場合は売却活動時にアピールしてみましょう。
築30年のマンションでも生活環境が優れていると伝われば、買い手の興味関心を引き、売却につながりやすくなります。
出典:マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状(平成30年度)|国土交通省
2.空き家の状態で売却活動をする
次の新居が決まっている場合、マンションを空き家にして売却活動をおこなう方法もあります。
空き家の状態で売却活動をするメリットは下記のとおりです。
- 写真をさまざまな角度から撮りやすい
- 生活感を排除した状態で撮影できる
- ホームステージングできる
築30年のマンションでも、清潔感があり綺麗な印象を与えられると売却につながりやすくなります。空き家の状態にすると、家具や家財などがないため、さまざまな角度から撮影も可能です。
中古マンションを購入する方のほとんどが、インターネットを通じて情報収集するため、より良い写真を掲載してアピールしましょう。
また、空き家にするとホームステージングができます。ホームステージングはインテリアを配置して、モデルルームのように演出することです。
ホームステージングした物件は、内覧時にも買い手に対して良い印象を与えやすくなるため、マンションの成約に期待できます。
3.売却額の相場を把握する
築30年のマンションが売れない際は、売却額の相場を把握しましょう。
相場を把握していないと、周辺のマンションよりも高い価格で売り出していることに気づかない恐れがあるからです。
国土交通省「令和元年度住宅市場動向調査報告書」によると、中古マンションを購入した人の理由が「価格が適切だったから」と回答した割合が65.1%を占めました。
出典:令和元年度住宅市場動向調査報告書|国土交通省
相場を把握して適正価格で売れば、成約できる可能性があります。
売却額の相場は、住んでいるエリアによって異なります。マンションのエリア内の相場を把握する方法は、こちらの記事で解説しているので、参考にしてください。
関連記事:マンションの売却相場はいくら?首都圏の相場や築年数別の市況、自分で調べる方法を解説
4.不動産会社の担当者を変更する
マンションの売却活動がうまくいかない場合、不動産会社の担当者を変更する方法も選択肢の1つです。
不動産の担当者が下記のような問題を抱えており、営業活動が上手くいかず、マンションの売却に至っていないかもしれません。
- 売りたいマンションと同じような不動産の売却経験がない
- 広告活動や販売スキルが乏しい
- 地域情報が足りない
- 媒介契約で囲い込みをされている
不動産担当者を変える方法は「不動産の担当者を変えたい!具体的な方法と担当者を変更すべき7つのケース」で解説します。
築30年のマンションでも、安心して売却を任せられる担当者に変更することを試みてください。
信頼できる不動産会社の探し方が分からない方は、三菱地所リアルエステートサービスが提供する「TAQSIE(タクシエ)じっくり売却コース(仲介)」がおすすめです。
大手不動産会社30社・約350名の不動産売却のプロから選び抜かれた、営業担当者のサポートを受けられます。
実績・経験が豊富なプロと実際にやり取りをしてから契約を結べるため、担当者とのミスマッチも防げます。信頼できる担当者に売却を任せたい方は、ぜひご利用ください。
5.買取専門の不動産会社に買い取ってもらう
マンションが売れない場合、不動産会社の仲介により個人へ売却するのではなく、不動産会社に買い取ってもらう方法もあります。
不動産会社がマンションを直接買い取るため、広告や内覧対応などの売却活動が不要です。買い手を探す必要もなく、早くマンションを売却したい方におすすめです。
ただし、買取は仲介と比べて売却価格が安くなる恐れがあるため注意しなければなりません。
「TAQSIE(タクシエ)スピード売却コース(買取)」に登録すると、実績のある不動産会社が3日以内に金額を提示します。
最短1ヶ月で売却可能なので、次の住む場所が決まっていて築30年のマンションを早く現金化したい方や、近所に売却活動をしていると知られたくない方はご検討ください。
築30年のマンションはあと何年住める?
築30年のマンションはあと何年住めるか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
マンションはコンクリートで作られているため木造建築よりも長い寿命を持っていることが特徴です。
定期的な修繕は必要ですが、築30年を越えても居住可能です。築30年のマンションにあと何年住めるのか、具体的に解説します。
メンテナンス次第で100年以上はもつ
マンションは定期的なメンテナンスやリフォームを前提とすれば、100年以上は維持可能です。
国土交通省が公表した「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会」(2013年)の議事概要では「ここ20~30年に建てられた住宅は、性能が向上してきているので、リフォームを適切におこなえば、100年でも十分もつ」と示されています。
また「基礎・躯体以外の内外装・設備は、必要な時期に適切なリフォームや交換を行えば、それぞれの部位が100%の状態に回復する」との意見もあります。
そのため、定期的にメンテナンスをおこなえば、より長くマンションに居住できるでしょう。
引用:中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取組紹介
耐用年数はマンションの寿命とは違う
経済的耐用年数と、マンションの寿命は異なります。
国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」によると、マンションの経済的耐用年数は47年です。つまり、47年前後で建物の価値は0円になります。
しかし、経済的耐用年数は、あくまで減価償却費を経費として計上するためのものです。そのため、47年以降もマンションに住み続けられないほど老朽化するわけではありません。
マンションの壁紙や床の張替えリフォーム、設備交換などをおこなえば、築30年でも快適に住み続けられるでしょう。
参照:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁
築30年のマンションに関するよくある質問
築30年のマンションに関するよくある質問についてまとめました。
築30年のマンションの固定資産税は安い?
築30年のマンションの固定資産税は、新築よりも安くなる可能性があります。
マンションの固定資産税が、建物と土地に課されます。建物部分の固定資産税評価額は、経年により下がる仕組みです。
これにより新築よりも、築年数が経ったマンションほど固定資産税が安くなります。しかし、築古マンションだからといって固定資産税が安くなるわけではありません。
一般的に固定資産税は以下の式で求められます。
固定資産(建物・土地)の評価額(課税標準額)×1.4%(標準税率)
固定資産の評価額は、自治体によって決められており、建物の築年数や所在地、面積、戸数によって変動します。
建物の資産価値は築年数に応じて下がる一方、土地の価値は市場ニーズによって上がることがあります。土地の価格が高騰した場合、固定資産税も高くなる可能性があるでしょう。
また、以下の条件に該当すれば、固定資産税は安くなります。
こういった条件に該当する築30年のマンションであれば、床面積(戸内)が50平方メートル程度で、5万~7万円が固定資産税の相場です。条件が良ければ7万~8万円以上になります。
築30年のマンションの値下がり率は?
築30年時点の新築マンションからの値下がり率は49%です。
東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況
(2023年7~9月)」にある平方メートル単価情報を参考に、新築時から築30年までの各年数別、築30年以上の価格と値下げ率を築年数ごとに求めました。物件の面積は60平方メートルで計算しています。
築年数 |
~築5年 |
~築10年 |
~築20年 |
~築30年 |
築30年~ |
平方メートル 単価(万円) |
142.5 |
121.2 |
101.2 |
73 |
61.6 |
60平方メートルに 換算した価格 (万円) |
8,550 |
7,272 |
6,072 |
4,380 |
3,696 |
値下げ率 |
- |
15% |
29% |
49% |
57% |
参照:首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況(2023年7~9月)|東日本不動産流通機構をもとに弊社が60平方メートルで換算した価格を独自に算出
築5年~築10年にかけての下落率は15%であるのに対し、築30年の下落率は49%となっており、マンションの価格は築年数が経つにつれて徐々に下がっていくことが分かります。
なお、下落率は東京都のマンションの成約事例を参考にしており、エリアによって単価相場は異なります。
築30年のマンションの注意点は?
築30年のマンションの注意点は、以下のデメリットを把握しておくことです。
これらの築30年のマンションのデメリットは、個人の力では改善できません。
また、買い手にとって購入をためらう要素になりうるため、売却活動は築浅物件よりも時間がかかる恐れがあります。
デメリットが原因で中々売れない場合は、築30年のマンションの売却実績が豊富な不動産担当者に依頼することが大切です。
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築30年のマンションは、法定耐用年数は47年ですが、メンテナンス次第で築100年まで住み続けられます。
しかし、経年劣化や耐震性、住宅ローンの借り入れの制限などが原因で売れにくい傾向にあります。
また、住宅ローン控除や耐震性に関して、実際と異なる印象を抱かれているのが現状です。
築30年のマンションの買い手が中々見つからない場合は、マンションの魅力をアピールしたり、空き家の状態で売ったりするなどの対策をしなければなりません。
また、不動産担当者の力不足の可能性もあるため、担当者変更も視野にいれましょう。
これらの対策を講じても売却できない場合は、不動産会社に買い取ってもらうのも選択肢の1つです。
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