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スペシャリストの智 CREカンファレンス・レポート クラウド化がもたらした加速する社会基盤。今の企業価値を考える。

──こうした中で、企業は今どんなビジョンを持つべきでしょうか。

百嶋
 先ほど社会的ミッションを起点とするCSR経営の重要性を強調したのは、四半期決算の義務化などで多くの日本企業が目先の利益追求を優先する経営の短期志向に陥ってしまっているからです。企業は社会的価値の創出と引き換えに経済的リターンを受け取るというのが本来のあり方であり、社会的価値創造のためには社会課題を解決し社会を豊かにするイノベーションが欠かせません。
 イノベーションといっても、既存顧客の維持を優先するあまり従来製品の改良を繰り返す「持続的イノベーション」と、将来の顧客を見据えて全く新しい価値を創出することにより、競争のパラダイム転換を起こし従来製品の価値を破壊してしまう「破壊的イノベーション」の2つがあることに留意が必要です。前者は製品改良・機能改善に終始する結果、時代の変化に取り残され「ガラパゴス化」に陥ってしまうことがありますが、真のイノベーションである後者は、単なる新製品・新技術の開発という枠を超えて、大きな社会変革をもたらすものです。
保科
 良いモノを作れば売れる時代ではないというのはたしかですね。売り方やサービスの質に付加価値がなければならない。新しいテクノロジーを用いたり、新しいビジネスモデルを創造することで、「より顧客に寄り添える企業に変わる」という視点も重要です。
南黒沢
 長い目でみて市場で生き残る企業には3つの条件があると思います。①その事業に社会的意義があること②新しい価値を創造し続けられること③絶え間ないビジネスモデルの再編成によって、競争優位を短いサイクルで積み重ねることができること。最近の私たちの投資対象もそうした条件から選んでいます。

百嶋
 イノベーションを継続的に生み出すためには、オフィスのあり方も再検討すべきです。従業員間のつながりの醸成、地球環境や従業員の健康への配慮、ワークスタイル革新などが重要な視点となります。創造的なオフィスづくりには、イノベーションの源となる組織スラック(経営資源の余裕部分)に投資するとの発想が欠かせません。
南黒沢
 企業価値とは、究極のところバリューチェーンを構成する組織と人材がいかに活性化しているか、そこから創りだされる企業文化がいかに魅力的かに尽きると思います。成果主義の導入や非正規雇用が拡大する一方で、長期的視点に立って働く人の尊重と人材価値の向上に本気で取り組む経営者が増えている。どんなにコストを低減しても、採用・研修のコストは減らせないと考える経営者は少なくありません。
百嶋
 CRE戦略では企業のファシリティが立地する地域社会との共生も欠かせない視点です。不動産は外部性を持つため、景観や環境など社会性に配慮した利活用が欠かせません。さらにCREは、事業を通じた地域活性化や社会課題解決などCSRを実践するためのプラットフォームの役割を果たすべきです。
前田
 「顧客の時代」にいかに企業価値を向上させるかが今回のテーマでした。それに対応するためには、顧客接点を増やし、そこから来るデータをしっかり分析するのはもとより、変革、創造、スピードを伴う企業価値向上のためのさまざまな施策が重要だということがあらためてわかりました。企業活動の基盤になるCREについても、これらの観点を踏まえながら、より戦略性を高めることが重要になります。

バックナンバー

  1. vol.16
    クリエイティブオフィス戦略で
    新たなイノベーションを
    働き方改革を「場」の視点から再構築
    創造性を促すワークプレイスのススメ
    (百嶋 徹氏)
  2. vol.15
    スペシャリストの智
    CREカンファレンス2017-2018・レポート
    2018年成長する企業の資質とは。
    企業体力強化に備える不動産戦略のポイント。
  3. vol.14
    変革の時代に日本企業の強みを生かす
    CRE戦略を通した「稼ぐ力」の向上
    今後10年の企業ビジョンとCRE戦略の重要性
    (冨山 和彦氏)
  4. vol.13
    企業価値向上のカギを握る
    CREプロフェッショナルの社内育成
    社内外の専門家のネットワークを最大限に活用する
    (村木 信爾氏)
  5. vol.12
    企業価値を高める
    CRE戦略の一環としての
    ワークプレイス改革
    (齋藤 敦子氏)
  6. vol.11
    中堅中小企業が今取り組むべきCRE戦略とは
    不動産の棚卸しから、
    事業継続、相続・承継問題まで
    (平川 茂氏)
  7. vol.10
    リノベーションによる耐震、省エネ、環境保全で
    企業価値の向上
    求められる多様なニーズに対応した
    オフィスビルのリノベーション
    (河向 昭氏)
  8. vol.09
    スペシャリストの智
    CREカンファレンス・レポート
    クラウド化がもたらした加速する社会基盤。
    今の企業価値を考える。
  9. vol.08
    企業価値向上のカギとなる
    クラウド導入で進めるシステム改革
    顧客のビジネス価値を高める企業姿勢
    (保科 実氏)
  10. vol.07
    クラウドを利用した動産管理と企業価値の向上
    「e-Leasing」と「CRE@M」が目指すもの
    (長谷川 善貴氏)
  11. vol.06
    環境保全しながら
    経済合理性のある土地活用を
    (西村 実氏)
  12. vol.05
    不動産を流動化させて経営の劇的な改善を
    バイアウト投資市場からみた企業のCRE戦略
    (南黒沢 晃氏)
  13. vol.04
    現在において考えるべき
    リスクマネジメントとCRE戦略
    (渡部 弘之氏)
  14. vol.03
    企業の成長に欠かせないM&A戦略。
    CRE(企業不動産)の位置づけが重要に
    (大山 敬義氏)
  15. vol.02
    未来に向けたCRE戦略
    外部の専門企業との連携が鍵に
    (百嶋 徹氏)
  16. vol.01
    不動産市況が好転した今年こそ
    CRE戦略再スタートの元年に
    (土岐 好隆氏)