相続した実家がゴミ屋敷と化してしまい、売却できるのかと不安を抱えている方は少なくありません。特に、親が高齢で認知機能が低下していた場合、家の管理が行き届かずゴミ屋敷となってしまうケースも多く見られます。
ゴミ屋敷は一般的な物件と比べて売却が難しく、価格も低くなりがちです。しかし、適切な方法を選べば売却は十分可能です。買取という選択肢を活用すれば、ゴミの片付けなども不要で、スムーズな売却が実現できます。
この記事では、ゴミ屋敷を売却する際の具体的な方法やかかる費用、注意点などについて詳しく解説していきます。
- この記事を読むと分かること
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- ゴミ屋敷を放置するデメリット
- ゴミ屋敷の4つの売却方法
- 売却時にかかる費用・注意点
ゴミ屋敷は放置せずに売却しよう!

ゴミ屋敷の状態で放置してしまうと、建物の劣化が加速したり、近隣トラブルの原因となったり、維持費用の負担も継続的に発生するなどさまざまなデメリットが生じてしまいます。
以下で具体的なリスクについて見ていきましょう。
建物が劣化しやすい(資産価値が低下しやすい)
ゴミ屋敷では、大量のゴミや汚れによって建物の劣化が通常よりも早く進行します。放置された生ゴミから発生する悪臭や水分は、床や壁を腐らせる原因となり、また害虫の発生を招きやすくなります。
さらに、換気が不十分になりやすいため、カビの発生やそれに伴う建材の劣化も深刻な問題となります。
このような状態が続くと、将来的な修繕費用が膨らむだけでなく、建物の資産価値も大きく低下してしまう可能性が高くなります。
近隣住民とのトラブルや火災/倒壊のリスクが高まる
ゴミが大量に放置された状態は、周辺環境に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
【ゴミ屋敷による主な被害・トラブル】
- 悪臭の発生
- ネズミや害虫の繁殖・周辺への侵入
- ゴミの飛散による周辺の汚染
- 不法投棄や治安の悪化
- 地域の景観悪化
これらの問題により近隣住民から苦情が寄せられ、最悪の場合は損害賠償請求を受ける可能性もあります。
また、多くの自治体では「ゴミ屋敷条例」を制定しており、周辺に悪影響を及ぼしている場合は行政代執行の対象となる可能性があります。行政代執行が実施されると、その費用は所有者が負担しなければならず、予期せぬ出費を強いられることになります。
維持費用がかかる
ゴミ屋敷であっても、所有している限り固定資産税や都市計画税などの税金は発生し続けます。
特に管理が不十分な空き家として「特定空き家等」や「管理不全空き家等」に指定され、勧告を受けた場合、住宅用地の特例措置が適用されなくなります。
この場合、小規模住宅用地では最大で6倍、一般住宅用地では最大で3倍まで税負担が増加する可能性があります。
また、建物の劣化が進むことで、予期せぬ修繕費用が発生するリスクも高まります。放置すればするほど、所有者の経済的負担は重くなっていく傾向にあります。
ゴミ屋敷の4つの売却方法

ゴミ屋敷は一般的な物件と比べて売却が難しく、価格も低くなりがちです。その理由は、ゴミの処分や清掃、リフォームなどの費用が必要となるためです。
このような物件の場合、買取での売却が一番おすすめです。買取であれば売却金額が低くなってしまいますが、ゴミの処分なども不要で早期売却が可能です。
しかし、時間をかけてでもなるべく高い金額で売却したいという方もいらっしゃると思います。
そこで、以下ではゴミ屋敷を売却する方法を4つ紹介します。
ゴミの処分/ハウスクリーニングをして仲介で売却
仲介での売却を検討する場合、汚れや臭いがひどい状態では高確率で買い手がつかないため、まずはゴミを処分する必要があります。
ゴミを処分しても、壁紙や床が変色している、部屋中にカビが発生している、匂いがひどいといった場合には、ハウスクリーニングや特殊清掃を行い、場合によってはリフォームが必要になります。
ただし、リフォームに関しては慎重な判断が必要です。物件の印象を良くしようと過度なリフォームを行うと、売却価格の上昇よりも費用の方が上回ってしまう可能性があります。
そのため、リフォームを検討する際は、必ず不動産会社に相談するようにしましょう。
建物を解体し、更地にして売却
建物の状態が著しく悪い場合や、立地条件が良好な場合は、解体して更地にした方が売却しやすくなるケースがあります。例えば、駅前や商業地域に近い物件では、更地の方が利用用途が広く、建物付きよりも需要が高くなる傾向にあります。
【更地売却のメリット】
- 建物の状態を気にせずに売却できる
- 土地活用の自由度が高く、買主の選択肢が広がる
- 建物の維持管理費用が不要になる
しかし、解体には高額な費用がかかることに加え、住宅用地の固定資産税軽減措置が適用されなくなるため、売却タイミングによっては税負担が増える可能性があります。
また、再建築不可物件の場合、建物を解体してしまうと売却がさらに困難になることもあります。
そのため、解体を決断する前に、必ず不動産会社に相談することが重要です。
古家付き土地として売却
建物の老朽化や破損がひどい場合には、古家付き土地として売却するのもよいでしょう。
更地化するのと比べ手間や費用がかからず、買主としても住宅ローンが組みやすいため、リフォームや建て替えを検討している方にもアプローチしやすくなります。
【古家付き土地を売却するメリット・デメリット】
メリット |
デメリット |
・解体費用を負担する必要がない
・更地にするための手続きや手間が不要
・住宅用地の固定資産税軽減措置の適用が継続される
・買主が住宅ローンを組みやすい |
・売却価格が更地よりも低くなりやすい
・買主が限定される可能性がある
・建物の管理責任は売却までは所有者にある |
古家付き土地として売却する場合、建物の価値はゼロと見なされ、実質的に土地だけの価格で取引されます。また、解体費用や手間は買主側が負担することになるためその分を考慮した価格設定となり、更地にして売却するより低い価格となってしまうことが多いです。
そのため、少しでも希望価格で売りたいという場合は、売主側で取り壊したほうがよいケースもあるでしょう。
仲介での売却が難しければ買取を依頼
ゴミ屋敷のような売却が難しい物件は、買取が最も売主の負担が少なくおすすめの方法です。
ゴミをそのまま残して売却できる場合が多く、売主の費用負担を抑えることができます。ただし、ゴミの処分費用は最終的に買取価格に反映されるため、間接的に売主が負担することもあります。
また、仲介手数料がかからず、数週間程度で売却が完了するため、スピーディーに現金化が可能です。
なお、買取価格は市場価格(仲介での売却価格)の70~80%程度となることが一般的で、ゴミ屋敷の場合はゴミ処理費用や建物の状態によってはそれ以下になることもあります。
そのため、買取を検討する際は、必ず複数社に査定を依頼することをおすすめします。
ゴミ屋敷を売却するまでにかかる費用【仲介・買取別に比較】

仲介と買取では、必要となる費用が大きく異なります。
両方の売却方法で共通して必要となるのは、譲渡所得税や印紙税などの税金や登記費用、ローンの返済費用、引越し費用などです。
仲介の場合には、追加で仲介手数料やリフォーム費用、ハウスクリーニング費用などが発生します。
費用項目 |
仲介 |
買取 |
税金 |
必要 |
必要 |
ゴミ処分 |
必要 |
不要※ |
清掃・修繕費用 |
必要 |
不要※ |
仲介手数料 |
必要 |
不要 |
※不動産会社によっては費用負担が発生することがあります。
ただし、買取の場合、費用負担は少なくなりますが、仲介よりも売却金額が低くなってしまうため、最終的に手元に残る金額がどちらの方が多くなるかは状況次第です。
そのため、どちらの方法を選択した方がよいのかわからないという方は、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
仲介・買取で共通してかかる費用
不動産売却時には、売却方法に関わらず税金や登記費用が発生します。
まず、譲渡所得に対する課税として、5年超の長期所有の場合は所得税15%と住民税5%、5年以内の短期所有の場合は所得税30%と住民税9%が課されます。
次に、契約書作成時には売買価格に応じた印紙税が必要となり、例えば、1000万円超5000万円以下の場合は1万円、5000万円超1億円以下の場合は3万円となります。
また、住宅ローンがある場合は抵当権抹消登記が必要で、登録免許税として一律1000円、司法書士への報酬として2~3万円程度が発生します。
具体的な金額は状況によって異なるものもあり、抑えることも可能なので税理士などの専門家に確認することをおすすめします。
仲介で売却する場合に必要な費用
仲介で売却する場合には、物件を市場に出すための準備費用が必要となります。主な費用は、ゴミの処分・清掃費用、リフォーム費用、解体費用です。
また、売買が成立したら不動産会社に報酬として仲介手数料を支払う必要があります。
ゴミの処分や清掃にかかる費用
ゴミ屋敷の場合、一般ゴミ、粗大ゴミ、産業廃棄物などの分別・処分作業が必要となります。
また、リサイクル品、不燃物、有害物質の分別作業に加えて、害虫駆除、消臭、カビ取り、床や壁の清掃なども必要です。
さらに、買取可能な家電や家具がある場合は、不用品買取を活用することもできます。
費用はゴミの種類や量、作業人数、作業時間、トラックのサイズ、輸送距離などによって変動しますが、2DK~3LDKの場合は40万~100万円(軽度な場合は30万円以下)、4LDK以上の場合は60万~150万円程度が一般的です。
なお、状況によってはさらに高額になる可能性もあるため、事前に複数の業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
リフォームにかかる費用
ゴミ屋敷では、床や壁の張替え、水回りの修繕、天井の補修などが必要となるケースが多くあります。
床張替えの費用は、フローリングの種類によって異なり、単層(無垢)で11,000~15,000円/㎡、複層(合板)で8,000~12,000円/㎡、クッションフロアで2,200~4,500円/㎡が一般的です。
壁のクロス張替えは、スタンダードクロスで1,000~1,500円/㎡、ハイグレードクロスで1,500~2,000円/㎡程度が相場となっています。
水回り設備の交換費用は20万~150万円と幅広く、天井補修は壁紙張替えと同様に1,000~2,000円/㎡程度です。
なお、これらの費用は工事の範囲や地域に加えて、下地材の状態、使用する材料のグレード、施工業者の規模などによっても変動します。
建物の解体にかかる費用
更地化のための解体費用は、物件の立地、構造、規模によって大きく変動します。
一般的に木造戸建て住宅の解体費用は1坪あたり4~5万円程度で、総額は150万円前後となることが多いです。
解体費用の主な決定要因としては、建物の構造(木造・鉄骨造・RC造)、延床面積、アスベストの有無があり、そのほかにもブロック塀やカーポートの撤去、井戸埋め戻しなどの付帯工事費用も考慮する必要があるでしょう。
また、残置物の処分費用や井戸、浄化槽、地中杭などの地中埋設物の有無も影響します。立地条件については、都市部では騒音規制や作業スペースの制約により費用が高くなる傾向があり、狭い道路や傾斜地では重機やトラックが使用できないため人手作業が増え、費用が上昇します。
さらに、海岸沿いでの塩害対策や文化財近隣での振動・粉塵制御、豪雪地帯での雪対策なども費用増加の要因となります。
なお、工事発注時期が繁忙期と重なる場合も費用が高くなる傾向にあります。
仲介手数料
不動産会社への仲介手数料は、売却金額に応じて宅地建物取引業法で上限が定められています。
仲介手数料の上限は以下のように定められています。
売却金額(税抜) |
仲介手数料の上限 |
200万円以下の場合 |
売却金額 × 5% + 消費税 |
200万円を超え400万円以下の場合 |
売却金額 × 4% + 2万円 + 消費税 |
400万円を超える場合 |
売却金額 × 3% + 6万円 + 消費税 |
ほとんどの不動産会社では、仲介手数料はこの上限金額に設定されています。
なかには「仲介手数料無料・半額」としている不動産会社もあります。しかし、仲介手数料は主な不動産会社の収入源であり、そこから売却活動の費用を捻出することになるため、無料や半額の場合には積極的な売却活動が期待しにくいでしょう。
なお、買取の場合、不動産会社による直接買取の場合は仲介手数料が不要となりますが、紹介された別の会社との取引(買取仲介)では手数料が発生する可能性があるため注意が必要です。
ゴミ屋敷を売却する時の注意点

ゴミ屋敷は通常の物件と比べて売却のハードルが高く、さまざまな注意点があります。なかでも特に以下の2点には注意が必要です。
なるべく綺麗な状態にしておく
物件の状態は査定価格に大きく影響します。可能な範囲でゴミを処分し、清掃を行うことで、より高い金額での売却が期待できるでしょう。
ゴミの処分費用が捻出できない場合、買取会社がゴミの処分込みで買い取ることもありますが、その分買取価格は大幅に低くなる可能性があります。
そのため、可能な範囲で清掃や修繕を行っておくことをおすすめします。
複数の不動産会社に査定を依頼する
ゴミ屋敷のような特殊な物件は、不動産会社によって査定価格に大きな差が出やすいのが特徴です。これは各社のノウハウや得意分野の違いによるものです。
少なくとも3社以上の査定を取得し、提示された価格の妥当性を確認することをおすすめします。特に買取の場合は、相場よりも大幅に安い査定額を提示されることもあるため、慎重に比較・検討することが重要です。
ゴミ屋敷の売却は「TAQSIE(タクシエ)」に相談!
ゴミ屋敷など管理状態が不適切である不動産を売却する際には、売却金額にも直結するため、豊富なノウハウと実績を持つ信頼できる不動産会社への依頼が重要です。
しかし、不動産会社は数多く存在し、ホームページや口コミを見ただけでは各社の違いを判断することが難しい場合も多くあると思います。
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また、ゴミ屋敷では仲介での売却が難しいケースも多く存在しますので、不動産会社に直接買取を依頼できる「スピード売却コース」もおすすめです。
3日以内に不動産会社3社からそれぞれ買取価格が提示され、価格を比較した上で依頼する不動産会社を選択できるので、より希望の条件に近い金額での売却が期待できます。
登録・相談は無料ですので、ゴミ屋敷の売却でお困りの方はぜひ利用してみてください。