土地を売却するにあたり、「自分でも査定額の相場を調べられるのか」「どんな査定方法があるのか」などの疑問がある方もいるでしょう。
査定方法にはいくつかの種類があり、査定の精度や査定額がわかるまでの期間などが異なります。そのため、状況に合わせて適した方法を選ぶことが大切です。
この記事では、土地の査定方法や評価ポイント、かかる費用などについて解説します。
- この記事を読むと分かること
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- 土地査定の方法
- 土地査定で評価される項目
- 土地査定を受ける際の注意点
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土地の査定額の相場を自分で調べる方法

おおよその土地の売却価格を把握したい場合は、不動産会社に依頼する前に自分で調べてみるのもよいでしょう。土地の売却価格の相場を自分で調べる方法を5つ紹介します。
- 公示地価・基準地価を参考にする
- 固定資産税評価額を参考にする
- 相続税路線価を参考にする
- 周辺の土地取引価格を調べる
- 査定アプリ・AI査定でシミュレーションする
公示地価・基準地価を参考にする
国や都道府県が毎年公表している公示地価や基準地価を参考にして、土地の査定相場を調べる方法があります。
公示地価とは、全国2万6,000箇所の標準地を不動産鑑定士などが鑑定評価した土地の価格です。公示地価は1月1日時点の価格で、国土交通省が毎年3月ごろに公表します。
また、基準地価とは、各都道府県が毎年9月ごろに公表する土地の基準値の価格です。全国2万ヶ所の基準地が評価対象で、評価方法は公示地価と同じです。地方の価格動向を補完する役割をもっています。公示地価・基準地価は、土地の評価額を知るための公的な指標となっています。
国土交通省の「国土交通省ライブラリ」や「地価・不動産鑑定」を利用すれば、全国の地域ごとの価格を調べられます。これらのデータを活用する際は、売却を検討している土地とできるだけ条件の近い地点を探すことが大切です。
たとえば、同じ駅からの距離、同じ用途地域、面積の近い土地を参考にすれば、より実情に近い相場感をつかめるでしょう。
固定資産税評価額を参考にする
市区町村から毎年送付される固定資産税の通知書に記載されている評価額も、土地の査定相場を把握するのに有用です。固定資産税評価額は、固定資産税の納税額を算出するための基準となる価格で、公示地価の7割程度に設定されています。
実勢価格(実際に売買された価格)は公示価格の1.1倍程度とされているため、固定資産税評価額から土地の売却相場を把握するには、以下の計算式で求めます。
たとえば、固定資産税評価額が3,000万円の場合、土地の売却価格の相場は、約4,700万円(=3,000万円÷0.7×1.1)になります。
ただし、実際の売却価格は、需給状況に左右されるため目安として参考にするとよいでしょう。
相続税路線価を参考にする
相続税路線価を参考にして土地の価格相場を調べる方法もあります。相続税路線価とは、相続税を算出する際の基準となる土地の評価額です。国税庁が主要な道路に面した土地1㎡あたりの価格を評価し、毎年7月頃に公表しています。
相続税路線価は、公示地価の8割程度に設定されています。路線価に土地の面積を掛けることで土地の相続税評価額を求められ、おおよその実勢価格の目安の把握が可能です。土地の相続税評価額の算出方法は、以下のとおりです。
土地の相続税評価額=路線価×土地の面積÷0.8×1.1 |
たとえば、路線価が20万円、売却予定の土地面積150㎡の場合、土地の売却価格の相場は約4,100万円(=20万円×150㎡÷0.8×1.1)となります。
路線価は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できます。
周辺の土地取引価格を調べる
売却予定の土地の周辺エリアで取引された土地の価格を調べることで、土地の相場を把握できます。
土地取引価格の調査は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」の活用がおすすめです。過去の売買データをエリア別・用途別で検索できるため、簡単にデータを収集できます。
査定アプリ・AI査定でシミュレーションする
査定アプリやAI査定を利用すれば、土地の売却価格の相場を手軽に調べられます。
住所や土地の面積などを入力すると、過去の取引事例や地価情報をもとに、AIが解析して査定額を算出してくれます。ただし、あくまでも参考価格であり、実際の売却価格と差が出ることもあります。
そのためAI査定は、土地の売却を迷っている段階で、おおよその査定額を把握しておきたい方におすすめです。
不動産会社に土地を査定してもらう方法

土地の売り出し価格を決めるためには、不動産会社に査定を依頼して正確な査定額を把握する必要があります。
査定方法は大きく分けて机上査定と訪問査定の2種類があり、目的や状況によって使い分けることが大切です。それぞれの査定方法の特徴を理解しておきましょう。
机上査定(簡易査定)
机上査定とは、土地の住所や面積、周辺環境などの基本情報をもとに、査定額を算出する方法です。数時間〜1日程度で査定が完了するので、すぐに売却価格の相場を知ることができます。
ただし、実際に土地を見ていないため、査定額には土地の状態や周辺環境が加味されていません。AI査定よりは査定の精度が高いものの、訪問査定と比べると精度は低くなる傾向にあります。
机上査定は、訪問査定を受ける前におおよその相場を知りたい方に向いています。
訪問査定
訪問査定とは、不動産会社の担当者が実際に土地を訪れて、現地の状況を詳しく調べたうえで査定額を算出する方法です。土地の形状や接道状況など、現地を見ないとわからない情報が評価に反映されるため、精度の高い査定結果を得られます。
売却の意思が固まっている場合は、訪問査定を依頼しましょう。
内部リンク:不動産 査定
土地の査定額に影響する評価ポイント

土地の査定額は、複数の観点から評価して算出されます。どのような点が評価されるのかを把握しておきましょう。
土地の面積
土地の広さは、査定額に大きく関わる評価ポイントです。一般的には、面積が広いほど査定額は高くなる傾向にあります。ただし、単純な坪単価×面積では決まらず、広ければ評価が高いとは限りません。
たとえば、土地の面積が広くても建設規制が厳しいエリアや造成工事の費用がかかる傾斜地・崖地などは、評価が低くなる傾向にあります。
一方、狭小地であっても都心や駅近などの立地が良い土地は需要が高いため、高く評価されることもあります。
土地の形状
土地の形状も、査定額を左右する重要な評価ポイントです。四角形や長方形などの整形地は、建物の配置を自由に設計しやすく敷地を無駄なく活用できるため、評価が高くなる傾向にあります。
一方、三角形やL字型、旗竿地などの不整形地は、間取りの設計に工夫が必要であり、建築コストがかさむ可能性があるため、評価は低くなります。
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接道状況
土地がどのように道路と接しているかも査定の評価対象です。接道の仕方によって評価は異なります。
接道の種類 | 評価内容 |
---|
中間画地 | 土地が1本の道路にのみ接している一般的な形状であり、建築や搬入動線に制約が出ると評価が低くなる |
二方路地 | 土地の前後に道路があり、通風や採光、動線の自由度が高まるため評価が高くなる |
角地 | 2本の道路に面し、視認性や利便性、設計自由度に優れているため評価が高くなる |
幅4m以上の道路に2m以上接していない土地は、建築基準法で定められた接道義務の条件を満たしていないため、査定額が下がります(※)。接道義務を満たしていない土地は、建物の建築が認められておらず、買い手が見つかりにくいため評価が低くなります。
(※)「建築基準法(集団規定)」(国土交通省)
最寄り駅までの距離
売却予定の土地と最寄り駅までの距離も査定の評価対象です。駅から徒歩10分圏内の土地は、通勤や通学に便利な立地であり、購入需要が高いため評価が高くなります。
反対に、駅まで徒歩20分以上かかる場所で、バス移動が前提となるエリアの土地は、日常の利便性が低いとみなされ査定額が低い傾向です。ただし、バス停までの距離が近い、乗車時間が短い、便数が多いといった条件が揃っていると、それほど評価が下がらない場合もあります。
周辺環境
土地の周辺にどのような施設があるかも重視されるポイントです。スーパーや病院、学校などの施設が整っているエリアは生活しやすいため高く評価されます。
また、将来的に再開発や交通インフラの整備が予定されているエリアの土地は、将来性が期待されることからプラス評価になります。
周辺の嫌悪施設の有無
売却予定の土地の周辺に嫌悪施設がある場合、評価が低くなります。生活環境への不安や不快感を与える要素となり、買い手に敬遠されやすいからです。
嫌悪施設とは、近隣に建設すると嫌がられる施設のことです。具体的には以下のような施設が該当します。
- パチンコ店
- 風俗施設
- 下水処理場
- 産業廃棄物処理場
- 墓地
- 火葬場
- 軍事基地
嫌悪施設の種類や規模、売却予定の土地からの嫌悪施設までの距離によって査定額が左右されます。
用途地域
土地の用途地域も、査定額に大きく関わる評価ポイントです。用途地域とは、土地の利用目的に応じて13種類に分けられた地域です。都市計画法にもとづき、用途地域ごとに建築できる建物の種類や大きさなどが決められています(※)。
一般的に、使い道の制限が緩やかであるほど活用の幅が広がるため、査定の評価は高くなる傾向です。たとえば商業地域の場合、住宅や飲食店、映画館など建築可能な建物が幅広いため、高評価につながります。
一方、住宅のみが建てられる第一種低層住居専用地域などは、利用目的が限定されるため、査定額が下がる場合もあります。
(※)「みんなで進めるまちづくりの話」(国土交通省)
日当たり
日当たりの良さは土地の査定額に影響する要素の一つです。建物の影にならない開けた土地や、道路が南側や東側にある土地は、日当たりが良いことから需要が高いため査定額が上がります。
一方、北側の道路に面している土地や隣りに高い建物が建っているなどの日差しが遮られやすい土地は、評価が低くなる傾向です。
景観・眺望
景観や眺望も、住環境を構成する重要な要素として評価の対象になります。たとえば、海や山などの美しい風景が望める土地や、眺望が良い高台の土地などは高く評価される傾向です。
反対に、大型マンションや工場、倉庫などが視界を遮っていたり、電柱や電線が多く圧迫感があったりする土地は評価が低くなります。
地盤
地盤の強さも、査定時に重視されるポイントです。強固な地盤の土地は、建物を安全に建てられる安心感があるため査定でプラスに働きます。
一方、軟弱な地盤、過去に液状化や地盤沈下の事例があるエリアの土地は、建築時に地盤改良工事のコストがかかる可能性があるため、査定額が下がります。
土地査定を依頼する際の主な流れ

土地の査定をスムーズに進めるために、土地査定を依頼する際の一般的な流れを理解しておきましょう。
1.書類を準備する
土地の査定を依頼する際に、必要な書類を準備しておきましょう。土地の情報が多いほど、精度の高い査定結果が得られるからです。揃えておきたい書類には、以下などが挙げられます。
- 登記簿謄本(全部事項証明書)
- 地積測量図・境界確定図など境界を確認できる書類
- 地盤調査報告書
- 売買契約書・重要事項説明書
- 固定資産税納税通知書
- 建物図面・間取り図(古家がある場合)
これらの書類があると、土地の所有者情報や面積、隣地との関係などが明確になり査定の精度が高まります。
2.複数の不動産会社に査定を依頼する
必要書類を用意したら、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。複数社から査定を受けることで土地の価格相場がわかり、適正価格で売り出せるようになるからです。
複数の不動産会社に依頼するのが手間に感じる方は、不動産売却のプロをマッチングしてくれるサービス「TAQSIE(タクシエ)」の利用がおすすめです。
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3.現地調査を依頼する
不動産会社に現地調査(訪問査定)を依頼します。現地調査では、不動産会社の担当者が直接土地を訪れ、土地の形状や接道状況、周辺環境などを詳しく確認します。
現地調査の時間は、1〜2時間程度です。基本的に売主の立ち合いのもと査定を行いますが、立ち会い不要の場合もあります。事前に確認しておきましょう。
4.査定結果の報告を受ける
不動産会社から査定結果の報告を受けます。査定額がわかるまでの日数は、数日〜1週間程度です。査定額だけでなく価格の根拠も提示されます。また、不動産会社によっては、売却までの流れや売却戦略も説明してくれます。
査定額の根拠に関して気になる点がある場合は、遠慮なく担当者に質問し補足説明をしてもらいましょう。
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土地の査定にかかる費用

一般的に、不動産会社による机上査定や訪問査定は無料で受けられます。営業活動の一環として行っているため、費用はかかりません。
ただし、不動産鑑定士による正式な査定は有料です。料金は物件の種類によって異なります。
物件の種類 | 費用の目安(税込) |
---|
土地のみ | 20万円~ |
土地+建物 | 25万円~ |
マンション(専有一部屋) | 30万円~ |
賃料 | 地代 | 25万円~ |
家賃 | 30万円~ |
建物を含む土地の場合は、建物の状態の評価も加わるため、その分費用が高くなります。
税務申告や相続、訴訟などにより公的機関や裁判所に不動産鑑定評価書を提出する場合は、不動産鑑定士による鑑定が必要です。
また、高額な土地や特殊な土地を所有しているなど、一般的な査定では評価が難しい場合も不動産鑑定士による詳細な分析が向いています。
不動産鑑定士による査定の依頼費用は、物件の所在地や評価の難易度、鑑定士の報酬規定によって異なるため、相見積りを取り比較・検討するとよいでしょう。
土地査定における注意点

土地の売却を成功させるために、土地査定における注意点を確認しておきましょう。
測量を実施し境界を確定させておく
土地の査定を依頼する際は、測量を実施して境界を明確にしておきましょう。境界が曖昧だとトラブルが発生する不安から買い手が敬遠するため、査定額が下がる要因になります。
また、買主に対して土地の境界を明示していないと、民法415条により売主に損害賠償責任が発生する可能性があります(※)。
隣接する土地所有者に連絡をとり、土地家屋調査士と隣地所有者立ち会いのもと、境界確定測量を行いましょう。
(※)「民法」e-Gov法令検索
査定価格と売却価格にずれが生じることもある
査定額と実際の売却価格が一致しないこともあります。不動産会社が提示する査定額は、あくまでも売却価格の目安にすぎないからです。
売却価格は、需要の変動や売り出す時期、購入希望者からの値引き交渉などによって変動します。査定額よりも売却価格が下回る場合があることを覚えておきましょう。
「TAQSIE(タクシエ)」に相談して土地を査定しよう
土地の査定額は、土地の面積や形状、周辺環境などさまざまな要素が影響します。同じ査定方法でも査定額は不動産会社によって異なるため、複数社に依頼し比較検討することが大切です。
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「不動産売却マスター」編集長
【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、衛生管理者、ファイナンシャルプランナー3級
2008年入社。人事部門で福利厚生制度などの企画運営、住宅賃貸部門でタワーマンション営業所長、高級賃貸マンション企画などを経て、2018年より経営企画部で主に事業開発を担当し、複数の新規事業立上げに従事。2020年度三菱マーケティング研究会ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞。「TAQSIE」では初期構想から推進役を担い、現在もプロジェクト全般に関わっている。
「不動産の売却に特化した情報を発信する『不動産売却マスター』編集部です。不動産の売却や買取をスムーズに進めるポイントや、税金、費用などをわかりやすく解説します」