古い、駅から遠いなど一般的に条件が悪い物件を売却することは可能か
今回、お話を伺ったエージェント
株式会社groove agent 市野瀬 裕樹(いちのせ ゆうき)さん
前職では、ゼネコンで現場監督を経験されたという市野瀬さん。2社目として、株式会社groove agentに転職し、営業職に従事。現在は管理職としてマネージメント業務を担当していらっしゃいます。
学生時代にアメリカンフットボールチームのキャプテンとして、データ分析や戦略を立てていた経験が、物件の分析やアピールポイントの特定など、今のお仕事にも生きているそうです。
また、「大人を自由にする住まい」をコンセプトとするサービスを提供しているgroove agent社は社員の働き方も自由。明確な定休日がなく、大抵の不動産会社がお休みをしている火曜日や水曜日でも、働くことがあるそうです。だからこそ、お客様からの連絡には、曜日に関係なく、可能な限り早くレスポンスすることを心掛けているとのこと。「おそらくどの仲介担当者よりもレスポンスが早いのではないかと思います!」とおっしゃるので、ずっと仕事から離れられず大変では?と聞いたのですが、“やらなくては”という気持ちではなく、友人や家族の連絡に返信する感覚なので、無理はしていないとおっしゃっていたのが印象的でした。すぐメールに返信があるだけでも、売主としては安心して売却をお願いすることができそうです。
\信頼できる担当者とマッチングできる! /
売却のプロを選ぶ一般的に売りにくそうな条件の家を売却しようとするとき、「本当に売れるのだろうか」「ただ同然での売却になるのではないか」「仲介担当者に面倒くさそうにされるかも」と不安に感じる方がいらっしゃるかもしれません。今回は「売りにくい条件の家を売却するにはどうしたらいいか」をテーマに、タクシエエージェントである株式会社groove agentの市野瀬様にお話を聞きました!
早速ですが、一般的に売りにくい物件とは、どんな物件ですか?
一般的には築年数が経っている、部屋の中が汚れている、駅から遠い、周辺がうるさい、日当たりが悪いなどでしょうか。私たちは不動産会社ではなく、リノベーション会社が提供する不動産仲介業なので、特に部屋が古いから売りにくいと思うことはありませんが、一般論として、条件の悪い物件を売りにくいと考える会社はあると思います。
なぜ、リノベーション前提だと築年数が経っていても問題ないのでしょうか? それは、物件種別によって変わってきますか?
リノベーションをしたい方は、ご自身の思い通りの内装や間取りにしたいという想いがあり、むしろ購入物件が古いほうがbefore afterのギャップを楽しめると思う方も多いです。リノベーション済み、リフォーム済みで売られている物件も市場にはたくさんありますが、リノベーション前提の買主様の特徴としては、多少なりとも相場よりも高めの価格で出てくること、また、きれいな部屋を壊すのは抵抗があるため、築浅やリノベーション済物件をさける傾向もあります。なので、われわれとしては、古ければ古いほどむしろ扱いたい物件だったりします。
物件種別については、マンションの場合は、コンクリート造であれば、築年数が経っても十分対象になります。コンクリートの躯体部分はマンションの大規模修繕の範囲なので、個別に手をいれたりせず、専有部の工事可能な部分を変えていきます。
木造の一戸建ての場合は、最初にインスペクションを入れて、柱や基礎の状態を見ます。補修が必要と判断した場合は、基礎から作りなおすこともあります。
マンションと比較して一戸建ての方が難易度は高く、費用も上がることが多いです。1都3県はマンションをリノベーションするケースの方が多いですね。
マンションでも一戸建ても、築年数が経っている家をリノベーションしたい方に売却しようとする場合、売主はどうすればいいですか?
まず、家の買い方が通常と異なるということを知っていただくといいと思います。リノベーションしたい人は普通の不動産会社で買わず、リノベーション会社を通して家を購入することが多いです。われわれのように、ワンストップリノベーション(※)として、不動産事業をやっている会社が増えてきているので、買主様はまず、家探しではなく、リノベーションの施工事例を見て、イメージに近い会社を探します。家を買ってゴールではなく、購入後、自分の思い通りの間取り・内装にできるかどうか、それを形にしてくれる会社があるかどうかが大事なので、リノベーション会社の比較検討から先に始めます。選んだ会社とパートナーシップ契約を結んで、その会社の仲介部門を使って家を探すという流れになります。
(※編集部注釈:ワンストップリノベーションとは、物件探しから住宅ローンなどの資金相談、リノベーション設計から施工、アフターフォローまで一貫して行うリノベーションサービスのこと。物件探しから設計、施工、アフターサービスまで、すべて自社で行うオール・ワンストップリノベーションと、お客様の窓口対応のみで、仲介、設計、施工はそれぞれ外部の会社が行うパーシャル・ワンストップリノベーションの2種類がある)
これを売却視点で考えてみると、いわゆる一般的な仲介会社は、リノベーションをしたいお客様層を集客できない状態、つまり、リノベーション前提とせず、築浅やリフォーム・リノベーション済みの物件を買いたいというお客様が多くいらっしゃるということになります。そういう不動産会社が、室内が痛んでいる物件を預かった場合、古い物件とお客様のニーズのミスマッチが起き、なかなか売れないということが起きます。ニーズのあるお客様に紹介できないからこそ「古い物件は売りにくい」と言われているのだと思います。
一方、リノベーションを希望される方は「いい物件を探す=きれいな物件を探す」ではないので、内部の状態を気にされない方が多いです。築年数が経っていても買いたいという人がどこに集まっているか、売却戦略を考えた時に、リノベーションを手掛ける会社に預けるのがいいです。
実際に私たちが扱った案件で築約45年、ペットもいて、内装を一度も変えたことがないのでだいぶ傷んでいる物件がありました。ただ、上層階で、ルーフバルコニーがあり、日当たりもいいという魅力もある部屋でした。売主様は一般媒介で、自社と大手不動産さんに依頼をされたのですが、競合は複数組が内見をしても、内装が気になって申し込みまでに至らない。でも、われわれがリノベーション前提の1組に紹介したら、そのまま成約になりました。
物件の特性にあった仲介会社を選ぶことが大事ということですね。では、先ほど一般的に売りにくい条件としてあげていただいた「古い」以外の物件についてはどうですか?例えば、駅から遠いなど…
駅から遠い、周辺の音がうるさい、日当たりが良くないなど、環境の変えることができないところですよね。それは、デメリットをどう輝かせるかを考えることだと思います。実際のその環境に住んでいらっしゃる方もいるので、なぜ、その方たちはデメリットを気にしないのか、どのような方に訴求すれば魅力を感じてもらえるかを探ります。例えば、幹線道路が近い、高速に近いなどで「音がうるさい」物件は、車を持っている人にとってはメリットになります。もちろん、マスに向けても響かないので、ニッチなお客様にご紹介できればよいと考えています。
確かに、住まいに求めるものは人それぞれ異なると思うので、マスに響かなくても、条件がマッチする一人の買主様が気に入れば売買は成立しますね! 実際の事例を一つ紹介していただけますか?
もともと、他社に専任媒介でチャレンジしていた売主様なのですが、新浦安駅から遠く、バス便というデメリットがある物件でした。他社の契約更新のタイミングで自社に預けていただき、仕切り直しの際に、駅から遠い分、落ち着いた住環境という魅力をアピールすることにより、2週間で成約にいたりました。
リノベーション前提の買主様の特徴として、物件が気に入れば一般的なデメリットを気にされない点もあります。そのため、一般の仲介サイトでは反響が少なかった物件もすぐに買手が決まるようなケースもありますね。
物件と買主のマッチングのために御社がやっていらっしゃる取り組みについて教えてください。
ポータルサイトではどうしても出せる物件の情報量が少ないのが現状です。わたしたちは独自でウェブ集客に力をいれていて、「sumnara」という自社メディアを運営しています。ただの物件紹介にとどまらず、魅力や詳細を伝えて、売却に繋がるような記事を掲載しています。駅から遠い、周辺の音がうるさい、日当たりが良くないなど、環境のネガティブな面も、このメディアでストーリーを作り、違う切り口に言い換え、ニッチでも刺さる方へ訴求することができています。また、売主様に1時間ほどインタビューをして書き起こし、どんな暮らしを送っているか、住まいへの愛着を語っていただくことで、買主様の関心を高める効果があると思っています。
一方、買主様には対しては「おうち作戦会議」として2時間ほどの打ち合わせをさせていただいています。趣味嗜好、暮らし方、家を買いたい理由などを伺い、より確度の高いマッチングを目指します。
リノベーションに対する関心は年々高くなっていて、自社メディアのページビューも伸び続けています。特にコロナ禍以降、自分好みの住環境にこだわる方が多くなっている印象です。
家を買うことがゴールではなく、思い通りの家で快適に暮らせるかが大事なので、それぞれに刺さるポイントを見極め、お客様にあった物件を届けることが大切だと考えています。
「sumnara」の売主インタビューは説得力があって、ついつい読んでしまいますね。 自分の愛着のある家を自らアピールできるのは魅力的です! 本日は、ありがとうございました!
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