不動産を売却する際、担当者が「そのエリアにどれだけ詳しいか」は重要なポイントの1つではないでしょうか。そのエリアでの販売実績が多く、市場に精通している担当者であれば、適正価格の提示ができ、スムーズな売却活動が期待できるでしょう。今回は、マンションの買取を専門とし、独自の経営戦略で業績を伸ばし続けている株式会社レジデンシャル不動産の長谷川さんに、一般的な「買取」について、また、同社の営業担当の「エリア制」のメリットなどを聞いてみました。

本日はよろしくお願いします。まずは、一般的な「不動産買取」のメリットを教えてください。

契約したあとに欠陥が見つかっても売主様は保証責任を負わない契約とする「契約不適合責任」が免責されるというのがまず1点。早期売却、早期現金化できるというのが1点。また、住み替え先の引き渡しが最短で1か月後、長いと4か月後という方もいらっしゃるのですが、売却の時期をしっかり合わせられるというのが1番のメリットではないでしょうか。
たとえば、残債が残っていて売らないと次の家を買えない場合、本来であれば同日に売却決済、購入決済を行い、売却決済時には室内を空室にして、鍵の引渡しを行わなければいけない為、かなり大変です。そういうお客様には引渡し猶予(居住延長)という制度があり、販売決済後、1週間前後の引渡しの猶予を設ける制度があります。
少し日数が空くことで余裕をもってスケジュールでお引越しすることができます。

かなりメリットが多いように感じるのですが、デメリットについても聞かせてください。

売却の希望額に届かない場合があるところくらいですね。
最近は新築分譲マンションを始めとし、マンションの価格が高騰しているので、新築のようにリフォームされている中古物件の需要が高まっています。以前は、仲介で売却するのと比べ、買取の売却価格は2割ぐらい落ちるように感じておりましたが、今はリノベーションによる付加価値の評価もあがって、より高く買い取る傾向があり、そこまでの差は感じなくなってきました。金額にご納得いただけるのであれば、買取で進めたほうがいいと思います。

買取に向いているケースで、具体的な例があれば教えてください。

まず、とにかく早く売りたい、現金化したいという希望がある方。
また、10年くらい使っていない物件を売りたいという方にも向いています。家は、住まないと劣化してしまいます。少しでも高く売りたくて一般の方に売却したら、トイレが漏水してお金がかかってしまった、などという話も聞きます。買取であれば、先ほどお伝えした契約不適合責任の免責がつくので、10年使っていなくてどこが故障してるかわからないというケースでも、その後のトラブルが少なくなりますね。
たばこやペットによる匂いや汚れがある家を売りたい方にも向いています。一般の方が内見にきても、これから購入しようとする家が汚いとなかなか契約に至りませんが、買取業者の場合は、フルリフォームしますので多少の汚れや匂いがあっても影響はありません。

では、御社の特徴を教えてください。

弊社は、2022年、2023年の中古マンション買取再販販売戸数で全国No.1となりました。現在は中古マンション事業を国内21拠点、海外2拠点に展開し、独自の経営戦略で業績を伸ばしています。創業は2012年と比較的新しいですが、埼玉県では圧倒的なシェアを誇っています。再販金額は大体1,000万円後半から2,000万円後半を事業のベースとしており、お客様が購入しやすい価格帯の物件を多く扱っています。

特徴としては、「エリア制」を採用しており、たとえば私の場合だと「埼玉県さいたま市大宮区担当」といったように決められ、担当エリアの情報とマンションを覚えるように言われます。
私はさいたま市で生まれ育ったこともあり、大宮区のどこが人気でどこが不人気なのか、この道路を超えたら探す人が減る、ここは平日の交通量が多いといった基本的な情報はすべて頭に入っています。この学区が人気で、道路を渡ったら学区外になるなど、入居後の生活も含めて、エリアに関する知識量では誰にも負けない自信があります。埼玉県、地元出身の営業が多いことも特徴です。
また、大宮区のほとんどのマンションの築年数と何階建てかを把握しており、「このマンションいくらですか？」と聞かれたら、おおよその金額を3秒くらいで答えられます。マンションを覚えているからこそ、同じ築年数でも、マンションの管理状態やエリア的な人気不人気、外観デザイン・グレードの良さも加味して査定しています。
「エリアに強い」というのが、弊社としての強みでもありますし、私の強みでもあります。

マンションの情報が頭に入っていると、机上査定でも正確な数字が出せそうですね。

そうですね。かなり正確な数字が出せるかと思います。最近よく耳にするAI査定も価格の参考にはなりますが、おそらく「この住戸でこの階だと建物が被っていて陽が入らない」といった情報などは加味されていないんです。マンションの特徴、エリア知識を加味して人の力で補正していくことが大事かと思います。

ほかにも御社の特徴があれば教えてください。

「フルリフォーム」といわれるリフォームをしたマンションの取り扱いが多いのが特徴です。リフォームにはざっくり3種類あります。まず1つ目が、築浅の物件で利用する「表層リフォーム」です。キッチンやトイレなどの水回りはそのまま残し、壁紙や床材のみに手を加えるリフォーム方法です。2つ目が、「建具残し」。建具（ドアなどの開口部のパーツにそれを支える枠までを含めた総称）だけを残して、水回りや壁紙、床材など、ほぼすべてを変えるリフォーム方法です。そして最後が「フルリフォーム」。建具も含めたすべてを取り替えます。弊社は、なかでもこの古い物件を再生するフルリフォームを得意としています。

やはりフルリフォームをすると出来は変わってくるのでしょうか？

昭和築から平成7年築前後くらいに完成した物件ですと、一部だけ残してしまうと古臭さが残ってしまうのでほぼフルリフォームになるのですが、見た目はかなり変わってきますね。建具残しでも、平成15年前後くらいの物件で、ある程度新しくしっかりしたマンションだと、格好良くできあがります。リフォーム前とリフォーム後の物件を見比べたらびっくりすると思います。本当に新築マンションみたいになるんです。
ちなみに、施工部は自社で抱えています。どういう家族構成の方に人気のエリアかという知識は私たち買取担当のほうが詳しいので、たとえば間取りを2LDKにするのか3LDKにするのかなど、大事な部分は施工部と買取担当で話し合って決めています。また、社内にインテリア事業部もあるため、リフォーム完了後、お部屋に家具を搬入して、生活したときのイメージが沸くようにしています。真新しいお部屋にインテリアが映えて、お客様の感度はかなり変わると思います。自社にインテリア事業部があって、いいものを作り上げていけるというのはありがたいですね。

今後、タクシエのサービスを使って、一般の方が直接買取業者さんとやりとりをするケースが出てくるかと思います。気をつけたほうがいいことはありますか？

直接、売主様からご連絡いただくケースは今までほとんどなかったので、弊社としても期待してるサービスです。直接やりとりすることによって仲介手数料もかからなくなるので、買取金額も多少上がるかと思うと、売主様にもメリットがありますね。

気を付けたほうがいいこととしては、複数社に話を聞いてみることだと思います。やはり車の買取もそうだと思うのですが、強気の金額で出る会社と出ない会社があると思います。いろんな会社に話を聞きすぎて、あとあと大変になる方もたくさん見てきたので、20社も30社も声をかけるのはちょっと違うかなと思いますが、2〜3社くらいは聞いていただいたほうが、お客様は安心できるのではないでしょうか。私個人としては、弊社だけでお願いしたいところですが（笑）

御社だったらその2〜3社の中に入っても、売主に選んでいただける自信がありますか？

自信はあります。エリアのプロフェッショナルである私たちは、“この金額であれば絶対売れる”というギリギリなラインを攻めた強めの金額を返しているので、複数社を比較するなかでも上位に食い込めると思います。
先ほども少し話に出ましたが、弊社は、地元採用が多く、地元のエリアを担当している営業が多くいます。土地勘があるので、最初のスタートラインは他社さんより1歩先を行っていると思います。

もちろん、金額だけでなく、最後は担当者からのアドバイスなども含めて決めていただければと思います。私はエリアのことなら誰よりも詳しく、さまざまな状況に合わせて、アドバイスすることができます。

すごい！ その自信も素敵です。ありがとうございました。

【長谷川雄大さんの担当エリア】
さいたま市, 川口市, 蕨市, 戸田市, 川越市, 春日部市, 加須市, 鴻巣市, 上尾市, 桶川市, 久喜市, 北本市, 蓮田市, 幸手市, 白岡市（買取）