マンション住み替え成功のキモとは。買い先行・売り先行の特徴を知ろう
今回、お話を伺ったエージェント
株式会社ケイズワン 小林 浩之(こばやし ひろゆき)(マンションウナギ)さん
- マンションに強い
- タワーマンションに詳しい
- マンション管理士
- 1級FP技能士
某財閥系デベロッパーで新築マンション販売歴10年、新興デベロッパーで用地仕入・商品企画4年。中古マンション市場の可能性を感じ、株式会社ケイズワンに入社。取引件数300件以上、モデルルーム訪問100件以上の経験を活かし売却・購入の仲介を行っていらっしゃいます。新築・中古マンションに精通し、公平な評価の上で情報を偏りなく伝えることをポリシーにされています。自社メディアに加え、SNSや動画で、中古だけではなく新築物件も含めたエリアの相場なども積極的に発信中。
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売却のプロを選ぶライフステージの変化やよりよい住環境を求めて、今の住まいを売却し、住み替えを検討する場合があります。購入経験があるので、住み替えはスムーズに進むだろうと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、はじめて住宅を購入する一次取得と、住み替えでは進め方や注意点が異なります。所有する物件の売却と次の家の購入を並行して行う必要があるからです。今回は都心・湾岸エリアに特化した不動産売買仲介を行う、株式会社ケイズワンの小林浩之さんに、マンション住み替えの流れや、売却と購入のタイミングについてお聞きしました。
今住んでいる家が売れるかわからないのに、次の家を買うのも不安だし、今の家が売れてしまっても、次の家が決まっていないと焦るし、住み替えのタイミングはすごく難しいと思うのですが、一般的には、どちらのケースが多いのでしょうか?
私たちが新築も含めた物件情報やエリア相場の情報発信を積極的に行っていること、また、エリア柄、新築分譲マンションが販売され続けているというのもあるとは思いますが、体感としては、新築マンションを契約後、現在の住まいを売却したい方からの相談が一番多いです。この場合、新居の引き渡し予定に合わせて売却することになります。
一方、中古から中古への住み替えは、売却と購入のスケジュールをよりタイトに揃える必要があるため難易度が高いです。中古の場合も、どうしても急いで売却する事情がなければ、住み替え先を先に決める、買い先行をおすすめします。気に入った物件が見つからなければ、現居に住み続ければいいわけですから。
では、まず買い先行、つまり購入物件が決定しているケースについて聞かせてください。
引っ越したいと思う物件をじっくり探してから売却できるというメリットがあります。
買い先行のケース(購入物件が決定している)で、売却の流れは主に3パターンあります。1つ目は“現居の売却が成立次第、退去し、賃貸で仮住まいをする“。2つ目は“売却活動は行うものの、引き渡し時期を新居への入居後のタイミングとする“。最後は“新居へ引っ越し後に売却を行う“というパターンです。
すでに住み替え先が決まっている方が売却を進めるなら、3パターンのうちどの流れが最適でしょうか。
売却の状況によって選べる選択肢が変わるので、お話を伺った上で最適なご提案をするよう心がけています。事情次第ではありますが、2つ目の、”新居への入居後のタイミングで引き渡し”を最初におすすめすることが多いです。
1つ目の仮住まいも許容して売却するケースは、購入後、すぐ住むことができるので買主様が決断しやすく、より高い値段で売れる可能性があります。一方で仮住まいの費用や2回引っ越す手間は売主様にとってはデメリットです。3つ目の転居完了後の売却は最後の選択肢とするのがいいでしょう。ダブルローンは負担が大きいですし、なかなか売れないと焦って精神衛生上もよくないからです。
2つ目の入居後のタイミングで引き渡すケースですが、新築分譲マンションで入居が少し先の場合、動き出すタイミングとして、早くても、新居の引き渡しの1年前〜半年前くらいがおすすめです。1年あれば、タイムリミットに焦ることなく売却活動ができます。
新築分譲マンションの場合、契約から入居まで2年くらいかかることも珍しくないと思いますが、それでも1年前からの開始がいいですか?長く売却をすれば売れるというわけではないのでしょうか?
高値チャレンジをする時間があるということはありますが、必ずしも長く売れば高く売れるということではないと思います。
中古マンションの場合、新着物件をマメにチェックされている方がいらっしゃいます。そのため、初期の問い合わせほど購入意欲が高く、スムーズに成立する可能性が高い傾向があります。スタート時につまずき、関心が高い方にスルーされた後は新しく購入を検討する人を待たなくてはいけないので、長引いて、価格を下げざるを得なくなってしまうこともあります。
私が担当している湾岸エリアなどは、価格が適正であれば、ほとんどの物件が3ヶ月以内に契約に至ります。引き渡しの条件を○年○月以降と決めて、広告を出し、3ヶ月以内に契約ができたとして、買主様はすぐ入居できないわけです。入居まで半年、長くても1年くらいなら待てる売主様もいらっしゃいますが、契約してすぐに住むことができるのが中古のメリットのひとつでもあるので、2年後の入居となると流石に先のことすぎて決まりにくいという傾向が見えます。一方、3ヶ月経っても売れない場合、価格を下げることも含めて、対策をする必要があります。それを踏まえても、1年前から始めれば、精神衛生上もよく、落ち着いて売却活動を進めることができると思います。
売り出し当初の動きが大事ということは、最初の価格が重要になってきそうですね。
そうですね。難しいのが、売り出してすぐ買い手が現れるパターンです。高値チャレンジで出した物件に価格交渉が入り、売り出したばかりだからと断る場面があります。しかしながらその後反響が乏しく、売り時を逃してしまい、結果的に指値された価格より低い価格で売ることになった、という事例もあります。売却の判断について売主様が迷われる場合は、経験を元に早く契約を成立させるメリットをお伝えしています。
また、高値チャレンジにも適切なラインがあり、相場より高すぎると市場にそっぽを向かれるリスクがあります。スタートから1ヶ月は、買い手にとって物件の目新しさがあるため成約のために重要な時期です。相場やエリアの動きをご説明しながら最初の価格の重要性をお話しし、売り出し価格のアドバイスを行っています。
買い先行の特徴がよくわかりました。では、売りを先行するケースについて聞かせてください。
中古から中古の買い替えはタイミングが難しく、売り先行だと、ちょうどその時期に入居できる希望の中古物件がないといけないので、基本は買い先行がいいとは思います。
売り先行で仮住まいもしない場合、売却から購入まで短期間にワンストップで行うので、もし何かしら問題が発生すると、スケジュールが全て狂うというリスクがあります。売主様は、買いが入って契約が成立したから、売却終了だと思ってしまう方がいらっしゃいますが、実際には買主様の本審査が通らなければやり直しになります。通常、ローン特約を付けますので手付金を返還し、契約解除となります。そのため、買主様の住宅ローンの本審査が承認されるまで、売主様にも住み替えのための賃貸契約や売買契約は待ってくださいとお伝えしています。
確かに、売り先行はタイミング難しそうです。
ただ、新居の審査結果によっては、今のローンを返済してからでないと、融資が受けられないケースがあります。一部の銀行では次の家を購入してから「半年以内に売ってください」「1年以内に売ってください」という柔軟性があり、既存の住宅ローンは借金としてカウントせずにローンが通る場合もありますが、借入金融機関によっては、売り先行を選ばざるを得ないこともあります。
売りを先行し、仮住まいをしない場合は、売却する物件に対して「引き渡し猶予」という特約をつけて、それを買主に納得してもらう必要があります。買主様は、残代金も払って、ローンや管理費は発生しているのに、すぐ引き渡してもらえないということになります。その分、物件価格を多少下げて売ることになるケースが多いです。
さらに、売却益の発生するタイミングに関して誤解されている方も多いですが、利益が確定しお金が手元に入るのは引き渡し後です。売却益を手付金や頭金にと考える場合、購入・売却を同時に進める場合は難しいケースがほとんどです。
仮に、売却益がないと手付金が払えないのであれば、売りを先行し、仮住まいをするケースだとスケジュールの難しさを解決できます。仮住まいを前提として、売りを先行するケースは、じっくり売却でき、購入物件に売却益を充当できるので住み替え先の予算を上げることもできるというメリットがあります。ただし、仮住まいの費用や2回引っ越す手間はデメリットになりますし、仮住まいの期間が長ければその分経費がかさみます。
どのケースもメリットデメリットがありますね。
そうですね。売り先行だと次の住まいとのタイミングの都合で、一時的に賃貸などに仮住まいする可能性が高く、買い先行だとダブルローンを続けるリスクがあります。
ただ、売却に動き出してから、契約までのスピード感は物件により差はあるものの、私の担当している東京都中央区・江東区など湾岸エリアの場合、購入ニーズが高いのでスムーズに買い手が見つかる状況が続いています。流動性の高いエリアの場合は、買い先行でもダブルローンが続くというリスクは少ないかもしれません。一方、流動性が低いエリアであれば、まずは売りに出してみて市場の反応を見るという方がいい場合もありますね。
ご事情や物件によって、選べる選択肢は変わってきますので、お客様のご事情、予算計画は最初に詳しく話していただきたいです。もし安易に考えられていることがあれば事実をお伝えし、最適なご提案をいたします。
中古マンションの住み替えの難しさがわかりました。住み替えをスムーズに行うには、どんな仲介担当者を選べばいいのでしょうか。
前提として、売却と購入は同じ仲介担当者に依頼した方がいいと思います。分けても問題はありませんが、スケジュールの調整は一人の担当者が行う方がスムーズです。また売却に想定より時間がかかった場合、売却まで猶予期間を設けてくれる金融機関を紹介するなど、売却と購入両方の状況が分かっているからこそできる提案があります。
仲介担当者を選ぶ基準としては、お客様の状況に合った提案や調整ができること。また、中古マンションの売却と購入両方に慣れている業者さんがいいと思います。たとえば売却専門の場合、購入は不慣れということもありえます。
私が体験したケースですと、事情により、売却を急いでいたお客様がいらっしゃいました。中古マンションを購入し、住み替えたいというご希望でしたが、確実に売却したいなら売り先行で進めるべきとご提案し、適した物件が見つからなければ賃貸でもいいと納得いただき売却を開始しました。結果的には買い手と住み替え物件がスムーズに見つかり、仮住まいの必要なく短期間で住み替えができました。私が売主様のご希望を把握した上で、気に入っていただけそうな住み替え先をご提案出来たこと、売りのリミットに合わせてスケジュールを調整したことで実現できました。
最後に、ケイズワンで売却するメリットを教えてください。
ケイズワンが得意とするエリアに不動産をお持ちでしたら、潜在顧客に素早くアプローチできると思います。自社サイトを運営しており、YouTube、SNSを活用した情報発信も積極的に行っています。該当エリアにニーズが絞れた買主様を間口広く集客できており、掲載物件を定期的にチェックしてくださる方もいます。私たちは新築マンションも含めた情報発信をしていますので、新築・中古を並行して検討する買主様が多い点も特徴です。新築マンション購入希望だったけれど、タイミングや競争率の問題で買えないケースは出てきます。その際に、同エリアでよりグレードの高い中古マンションをご紹介し、契約に至った例もあります。設備仕様の良い中古マンションも多いので、購入されたマンションに満足していただき、入居してよかったとのお声をいただくこともあります。
本日は、ありがとうございました。
【小林浩之さんの担当エリア】
中央区(仲介)
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