• スペシャリストの智
  • リアルな現場
  • The Watch
  • OFFICE JOURNAL
  • 不動産の税金ガイドブック
  • 民法改正のポイント
  • 空室率レポート
  • 鑑定士の視点

話題のリノベーションオフィス。
そのメリット、注意点とは?

2019.10.11

働き方改革への対応が企業価値に直結すると言われる昨今、長時間勤務の是正や育児休暇を始めとする制度の整備に取り組む企業が増えている。そんな中、生産性向上に効果があると注目を集めているのが「リノベーションオフィス」だ。1日の大半の時間を過ごすことの多いオフィスは、単に仕事をするスペースを用意するだけでなく、働きやすさや生産性を求める必要がある。また、デザイン的な配慮や機能に優れているオフィスは訪問者にも評価され、商談につながる可能性も高くなるだろう。この記事では、企業の生産性向上に寄与するリノベーションオフィスを詳しく解説する。

古いオフィスビルでも最新のデザイン性、機能を実現するリノベーションオフィス

リノベーションオフィスとは、古いオフィスビルなど、既存の物件を対象に大きな改修を行い、最新のデザイン性や機能を実現した物件を指す。よく似た言葉に「リフォーム」があるが、リフォームは古くなった物件を「新築同様にする」ことで、“原状回復”に近い。一方で、リノベーションとは「新築時以上の価値や機能を加える」ことを意味する。例えば、最新のIT環境に対応できる機能を加える、セキュリティ機能を加えると言ったこともリノベーションだ。リノベーションによって、最新の新築オフィスでなくても、デザイン性に優れ、働きやすいオフィスを実現することも可能になる。
リノベーションには「新しいデザインや機能を積極的に取り入れていく」という発想が重視され、実際に先行している住宅業界では、古民家や中古マンションを大胆にリノベーションすることで物件の価値を高め、オーナーや住人に利益をもたらすケースが増えている。駅近などの立地に優れた場所は、すでに物件が建っており、新たに物件を建てるのは難しいことが多い。最新機能を備えた物件は立地が悪く、立地がいい物件は古くて機能も劣っているということも珍しくない。そういった場合に、リノベーションは「古い物件の価値を高める効果」がある。古くなった賃貸物件もリノベーションによって、新築並みの家賃を維持できることもあり得る。
こうしたリノベーションをオフィスに施すことで、立地がよい中古物件や今入居しているオフィスを最新のオフィスビルに再生させることもできる。オフィスに求められるIT環境への対応、セキュリティの実現も可能になる。また、今まで以上に「働き方改革」に対応したオフィスに実現も期待できる。現在のオフィスを自社の事業のスタイルや社風などをもとに、それらにマッチするデザインを選んで採用するなど、極めて使いやすく満足度の高いオフィス環境が手に入る。
特に最近では、生産性向上のためにオフィス環境を改善する動きが増えている。業務が行いやすい効率的なオフィスにとどまらず、リフレッシュスペースの増加や、フリーアドレスの導入などで社員同士のコミュニケーションを活性化させることで、新たなビジネスのアイデアが生まれるなどと言った効果も期待されている。そういったオフィス改革の手段の一つとして、オフィスのリノベーションは、注目されていると言える。

オフィスリノベーションのメリットとは?

オフィスリノベーションのメリットをテナント側・オーナー側の両側面から見ていく。

<テナント側のメリット>
生産性が向上する
オフィスのデザインを大きく変えることのメリットとしてまず期待したいのが、生産性の向上だ。物理的に配置や構造を変えることで、部署間の移動や連絡などにかかる時間が減る、ミーティングスペースが増えて臨機応変に相談や会議ができる、仕切りを外すことでコミュニケーションが促進される、逆に仕切りを活かして集中できるスペースを作るなど、様々なメリットが享受できる。様々なタイプのオフィスデザインがあるので、自社にあったデザインを選ぶことができる。

社員のモチベーションが向上する
仕事のやりやすさと相まって、社員のモチベーションも向上する。誰しも、古臭いオフィスよりも新しいオフィスの方が、気持ちが良いものだ。この「快適さ」によって、仕事への「やる気」は変わってくる。快適な環境で働き、モチベーションが高ければ離職する人も減るだろう。突然の離職によるリスクは、その業務をカバーする他の社員にも及ぶ。また、失われたリソースを埋める新たな採用コストも軽減できる。

会社のイメージが向上する
素敵なオフィスはそれだけで会社の魅力となる。特に初めてその会社を訪れた人は、オフィスの状態や環境の印象が、そのまま会社のイメージとなって定着する。いかにも働きやすそうで、明るくて開放的、そして斬新な工夫も導入された様子は、必ずや訪れた人に好印象を与えるだろう。オフィスの写真をWEBサイトや会社案内に掲載すれば、新しい見込み客からの評価や、優秀な人材の採用が望めるなどよい影響が出るだろう。

光熱費などが抑えられる
一般的に古いオフィスでは断熱効果が弱かったり、当初の機能が低下したりして、新しい物件よりも光熱費がかかりがちだ。
例えば、エアコンは型が古いと莫大な電力を消費する。エアコンを入れ替えれば、ランニングコストを大きく下げることも可能だ。加えて、断熱材などの採用で更に消費電力を抑えることもできる。照明をLED照明に変更することでもコストダウンが見込める。

オフィスの選択肢が広がる
最新のオフィスビルは魅力的だが、入居費用が高く、少し駅から離れている場合もある。一方、駅近の便利な物件は古く、設備面で劣ることも多い。しかし、オフィスのリノベーションを考慮すると、立地がいい古い物件をリノベーションすることも十分に物件選びの候補となるだろう。場合によっては、最新オフィスを選ぶよりも、既存の物件をリノベーションした方が、より安い費用で手に入れられる可能性もある。また、オフィス移転ではなく、今使っているオフィスをリノベーションすることでは、従業員の通勤条件が変わらないというメリットもある。このようにリノベーションを考慮することで、オフィス選びの選択肢が広がると言える。

<オーナーのメリット>
ここまで、働く従業員や入居する企業の目線で説明してきたが、オーナーのメリットも見逃せない。仮に保有する物件が古い場合、既存テナントから賃料の値下げの交渉や、退去される危険性が高まる。しかし、適切なリノベーションを施す、あるいは規約を定めてテナントによるリノベーションを認めることで、最新の環境を備えたオフィスとして貸し出すことができる。このことで物件価値が高まり、賃料の下落の防止や、空き物件になってしまうリスクが軽減できる。また、リノベーションによりオフィス環境を変えることで、今まで以上にテナントの業種や業界を広げることができるかもしれない。

オフィスリノベーションの注意点とは?

一方、無計画にオフィスのリノベーションを行おうとしても、失敗に終わる危険がある。

<テナントの場合の注意点>
リノベーションできる範囲を確認する
まず押さえて欲しいのは、リノベーションできる範囲の確認だ。自社物件であれば、後述する消防法などの問題を確認すればいいが、賃貸物件の場合、もともとの建物の規約などで、手を付けてはいけない部分がある。ビルの管理会社やオーナーに相談しながら進めるとよいだろう。

原状回復を確認する
賃貸物件では退去をする際に、元の状態に戻して引き渡すという条件がある。大幅な改修をしてしまうと原状回復が難しくなるなど、多額なコストがかかってしまう危険がある。

消防法を確認する
設計する際、消防法に基づいて火災が発生したときの対策を確保しなくてはならない。例えば天井まで届く仕切りを追加した場合、スプリンクラーや火災報知機などを設置し、消防署への届け出をする必要がある。

工事期間の対応を確認する
今使っているオフィスをリノベーションする場合、工事期間内に業務を行う場所を確保しておく必要がある。別の場所を借りるか、少しずつ施工していくかを考える必要がある。

<オーナーの立場から見た注意点>
一方で入居者がリノベーションしたいと申告してきた場合は、その範囲、原状回復、消防法への配慮、工事期間中の対応などを確認し、必要があれば明確に契約を交わしておくことが求められる。特に補償の範囲や、責任の所在などについては明確にしておくことをおすすめする。また、所有物件のリノベーションを行う場合も消防法や工事期間の確認が必要となる。

本記事では、テナント、オーナー双方の立場から、オフィスのリノベーションについて紹介してきた。人口減少の時代になっている今、人手不足は企業にとって頭が痛い問題だと言える。簡単に人を雇えない以上、現在の人材に最大のパフォーマンスを発揮してもらう必要がある。そのためには、働き方改革を推進し、働きやすい、生産性が高い職場を実現しなければならない。その一つの手段として、オフィスのリノベーションも検討すべきだろう。

当社、三菱地所リアルエステートサービスでも、ビルをお持ちの法人、個人の方に向けて、オフィスの運営管理に関する様々なサービスを展開している。またオフィスの問題点の分析を行うサービスも行っている。オフィスの悩みに関して、ぜひ相談してみてほしい。
ご相談はこちらから