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東京の地価動向と購入エリアの見極め方
不動産投資に適したエリアとは?

2019.08.05

不動産の購入や投資において、不動産価格の動向を知ることは欠かせない。特に東京の不動産価格は、景気指標の一つとも捉えられており、その動向には注目が集まっている。そして、その不動産価格を大きく左右する要因として「地価」がある。しかし、一口に東京の地価といっても、エリアや条件によって、状況は異なる。まずは、東京都の地価のおおまかな動向と、不動産投資に適したエリアの見極め方について解説していく。

東京都内の地価動向〜微増傾向かつ二極化

 東京都内における住宅地の地価は直近5年(2013年以降)微増傾向が続いている。東京の地価は、バブル期の高騰のあと、急激に下落し、2005年には底を打ったとされる。その後2013年からは、対前年比でおよそ2~4%前後の微増傾向にある。※ただし都内全域で比較すると、高騰したエリアと下落したエリアに二極化される傾向がある。2005年を基準として2019年の住宅地地価公示価格は中央区で約2.5倍、千代田区で約1.75倍と高騰しているが、多摩地区では八王子市を例に取ると、約1.1倍とほぼ変動が見られない。

 つまり、東京都の地価は全体としては微増傾向にあるものの、10年以上の長期スパンで考えると高騰するエリアと変動が少ないエリアに二極化したと言える。

※東京都財務局 「地価公示価格(東京都分)」よりhttp://www.zaimu.metro.tokyo.jp/kijunchi/chikakouji.html

不動産運用に向いているエリアの見極めポイント

 不動産は流動性が低いため、資産としての不動産購入・運用は、金融資産に比べて、長期的に考えることになる。つまり、短期的な地価の動向よりも長期的な視点が重要となる。
 地価が5年、10年の中長期スパンで安定しているエリアならば、比較的、低リスクで不動産運用が可能となる。
 東京都の場合、全体的に地価は微増傾向にあるものの、不動産購入を検討するならば、地価が安定したエリアに注目すべきだ。それを見極めるポイントとして挙げられるのが、過去の地価変動のデータだが、あくまでもそれは過去のデータだということに留意しなければならない。
 今後の地価動向を予想する上で参考にする場合、住宅系の不動産運用であれば、居住者があって初めて成立する為、人口の増加も一つの指標となるかもしれない。人口が減少しているエリアは避け、人口が増加傾向にあるエリアや今後増加が見込めるエリアを選ぶと良いだろう。もし市区単位の人口動向であれば、区役所・市役所で公表している。また、近隣エリアの開発状況など、メガトレンド(特区に指定された、大型商業施設や工場建設など人口増加が見込めるなど)も情報収集すべきだ。
 さらに都心部へのアクセスが良いエリアや、知名度の高さ、ブランド化しているエリアなども地価の急落は少ないかもしれない。

日銀の金融緩和政策と地価上昇の関係

 東京の地価は、現在、おおむね緩やかな上昇傾向にある。その地価の上昇傾向を支える要因には、日銀の金融緩和政策やインバウンドの増加などが考えられる。日銀が国債の買い取りや円安、株価対策などの金融緩和政策を行ったことにより、日経平均株価は大きく上昇した。そして株式投資で利益を得た投資家は、その収益をより安定性が高い不動産投資に回したという推測もできる。そこで不動産の需要が高まり、地価が上昇しているとも考えられる。特に不動産投資をされやすい都心部のマンションなどに多くの資金が集まったことから、都心部では地価が上がりやすかったと言えるだろう。
 また、銀行など金融機関から融資が受けやすくなったことも、地価上昇の要因と考えられる。金融緩和政策における日銀の国債買い取りによって、銀行は資金が余る事態となり、結果として金融機関から融資を受けやすくなり、また貸出の金利も低金利となった。これにより、金融商品への投資に比べて高額の資金が求められる不動産投資へのハードルが低くなり、地価上昇の一因となったと考えられる。その他にも、インバウンドの増加によって商業地の不動産価値が上昇したことや、海外からの物件需要が高まったことも不動産購入や投資に後押しをかけていると言えるだろう。

 今後、短期的にみれば、消費増税の影響で不動産の取引が停滞する可能性は否定できない。株価にも何らかの影響があると予想されるため、金融投資、不動産投資ともに動きが停滞すると考える向きもある。しかし、オリンピックに向けてのインフラ整備により、都市機能が強化され、土地の価値に注目が集まるとも考えることもできる。事実、オリンピック後には地価が上昇しやすい傾向があることは、過去の北京、ロンドンなどで確認されている。

 不動産を長期保有する以上、地価の変動は避けられない。しかし、過去のデータから地価変動が小さく、比較的安定しているエリアに目を向けることで、リスクを低く抑えることは可能だ。また、住宅地や商業地など異なる属性を持つエリアに分散投資することも、リスクの回避には有効だといえる。これらを意識すれば、地価変動に一喜一憂しない安定した不動産運用が見込めるのではないだろうか。

 不動産投資、賃貸物件の運用などを考える場合、地価の動向は重要なポイントになります。当社三菱地所リアルエステートサービスは、専門知識を持つプロフェッショナルが、お客さまに適切なアドバイスをさせていただきます。不動産の購入・売却時の際には、お気軽にご相談ください。