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事業用、投資用の不動産を購入するには?
不動産購入の流れとポイントを解説

2019.06.25

不動産を購入するというと、一般的には、住まいの購入を指す場合が多い。しかし、法人が事業用に土地や建物を購入する、また資産運用の一環として法人個人を問わずに不動産を購入する場合は珍しくない。その場合、住まいの購入とは異なる視点、注意点が存在する。

なんのために不動産を購入するのか。購入理由によって、不動産選びの基準が変わる

 住宅を購入する場合、最寄り駅までの距離、最寄り駅は急行停車駅なのか、商店や学校などは近くになるかといった立地、また間取りなどが物件選びでは重視される。しかし、例えば、資産運用のために賃貸物件を購入しようと考える場合には、異なる視点が必要になる。
 それは一言で言えば「収益性」だ。例えば、都心の駅近、築浅の賃貸マンションを購入しようと考えると、一見非常に優良な物件に思える。資産価値も高いため、金融機関での融資の話もスムースだろう。しかし、当然、物件価格は高くなる。結果として、収益性=利回りは思ったほどのものにはなりにくい。また近隣に競合物件が多いことも容易に想像できるため、家賃競争にさらされて、当初よりも家賃を下げざるを得ないということも考えられる。そうなると更に利回りは悪くなる。一方、郊外の物件の場合はどうだろう。都心の物件に比べて家賃は安くなるが、そのぶん、物件価格も安い。駅近などで立地条件が良ければ、都心に比べて競合が少なく、空室リスクが下がる可能性もある。もちろん、郊外の方がそもそも賃貸住宅の需要が少ないと言ったリスクもある。しかし、投資物件として見ると、単に立地が良い都心の物件だけがいい物件とは限らないのだ。
 また、事業用の土地を購入するというケースもある。例えば、倉庫、事業拡張のための工場用地、社屋用地といった場合だ。これらの場合は、用途地域による建築物の種別制限への注意が求められる。また、駅近よりも高速道路へのアクセスなどの道路事情も考慮する必要もあるだろう。工場や倉庫、物流基地などの場合には、近隣住民や行政との調整が必要なこともありえる。
 「その土地をどう使うのか」によって、大きくその選定基準は異なるのだ。

分譲物件と仲介物件、その違いとは?

 不動産を購入する場合、その不動産が「分譲物件」か「仲介物件」かに注意を払う必要がある。分譲物件とは、不動産会社が所有する物件を直接購入することで、例えば、新築マンションの一棟売りや一戸売り、新築戸建なども分譲物件が多い。一方、仲介物件では、不動産会社は、買主と売主の橋渡しを行う。購入の際には、売主との契約手続きを仲介会社が中心となって進めるため、仲介会社への仲介手数料も発生する。
 一見すると、分譲物件のほうが良さそうだが、まず物件数が限られるという問題がある。また、不動産会社は自社が分譲した物件を売りたい気持ちが強いので、客観的な判断をしにくいこともありえる。その一方で仲介物件は分譲物件に比較して数が多い。また仲介する不動産会社も複数の物件情報を持っているので、比較検討しながら物件選びを進めることが容易だ。中古物件が中心になるが、賃貸マンションやアパートの場合、すでに入居者がいることで資金計画の見通しが立てやすいという側面もある。

不動産購入の一般的なステップと費用とは?

購入フロー図

 不動産購入におけるステップは、概ね一般的な自宅用の住宅不動産購入と変わらない。しかし、①購入目的を確定し、②希望条件を固める段階が、より重要であることは間違いない。それに沿って、不動産会社、物件を探すことになる。多くの場合、信頼できる不動産会社を見つけることができれば、不動産購入はスムースに運ぶ。特に、投資用、事業用の不動産を扱う不動産会社によっては得手不得手があることが多い。初期段階では複数の不動産会社に相談し、自分の要望に沿った不動産会社を選びたい。
 次に、不動産購入時にかかるコストについて解説しておきたい。まず、多くの場合、仲介物件を購入することになるので、仲介手数料がかかる。これは、法律で上限価格が定められており、「売買価格の3~5%程度」となっている。加えて、印紙税(売買価格によって異なる)、所有権登記による登録免許税(固定資産税評価額の2%)、不動産取得税(固定資産税評価額の4%)がかかる。登記を司法書士に頼んだ場合は、司法書士費用もかかる。
 さらに、不動産を購入した後にも様々なコストがかかる。賃貸物件であれば、管理費、入居者の入れ替え時の原状回復の費用、修繕などの維持費用、固定資産税などが必要だ。こういった費用も考慮した資金計画を建てておく必要がある。投資用不動産、不動産での資産運用は、購入がゴールではない。このことを肝に銘じておくことが大切だ。