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絵画を投資対象にする「アート投資」の魅力とは?

2019.02.14

次々と派手な話題を提供し続けるZOZOの前澤友作社長は、2017年5月に開催されたサザビーズ・ニューヨークのイブニング・セールで、1982年にジャン=ミシェル・バスキアが制作した作品を落札したことは記憶に新しい。その落札価格は事前予想の6,000万ドルをはるかに上回る1億1,050万ドルで、バスキア作品としてのみならず、米国人芸術家の作品としてもオークションにおける最高価格となった。
前澤社長はサザビーズに対し、同作品を千葉で建設を予定している自身の美術館で展示する意向を示したという。以前にもバスキア作品を落札したことがあり、純粋にコレクション目的かと推測される。その一方で投資対象としてアートに注目している富裕層も存在するようだ。例えば、大馬主であるアイルランドのジョン・マグナー氏は、2003年に2,690万ドルで購入したモディリアーニの裸体画を、2018年5月にサザビーズ・ニューヨークの競売に出品し、少なくとも1億5,000万ドルを手にしたという。今回は趣味と実益を兼ねた「アート投資」の魅力に迫ろう。

(画像=Elnur_Shutterstock.com)

アートは富裕層が関心を持つ投資対象

前述の通り、アートは15年後に5.6倍近い高値で売り抜くことも可能であるだけに、投資対象として魅力的な存在だ。無論、そのような評価を受けるのは優れた作品に限られており、手が届くのは富裕層に絞られてくるだろうが、売買が活発化しているのは確かなようだ。

フランスの美術品価格情報会社であるアートプライスドットコムの調査によれば、1998年に27億ドルだったグローバルオークション市場の売上高は2017年には149億ドルに達しているという。最高落札価格も1998年には7,150万ドルだったが、2017年には4億5,330万ドルにまで膨らんでいる。

富裕層によるアート投資には、大きく分けて2つのパターンに分けられる。その1つは、すでに名の売れた作家の作品がさらに高騰することを期待し、大金を投じてオークションで競り勝とうとする動きだ。もう1つは、まだ無名の作家の中からこれぞと思う人物を見つけ出し、安値で仕込んでおいて人気に火が点くのを待つというものだ。こちらは期待外れに終わるケースも少なくないものの、著名な画家の作品と違い手頃なため、多数の作品に分散投資が可能。その中の1つでも大当たりすれば高いリターンが期待できるというわけだ。

アートはオークションによって取引価格が決まるだけに、大化けすれば信じがたい値がつくケースも出てくるものと考えられる。

アート投資のリスクとは?

次に、アート投資のリスクについても確認しよう。

まず考えられるのが、景気によって価格が左右されやすいという点だ。株式や債券といった金融商品への投資と同じように価格変動リスクに注意したい。例えば、美術品を中心とした公開オークションの運営会社 シンワアートオークションが公表する「近代美術オークションインデックス」(指数はシンワアートが直近3回のオークションの平均単価を基に算出。対象となる美術品は日本人画家が描いた日本画や西洋画が中心)を見ると、1990年9月の1万ポイントだった数値が、2012年には最安値318ポイントを付けている。このことからも分かるように、バブル期に投資目的でアートを購入した人は、大きな損失を抱えてしまっているというわけだ。

次に価格形成が不透明、流動性が低いという点もあげられる。アートは株式投資や債券、不動産投資といったようなデータの裏付けがあるわけではないため、価格形成が不透明である。加えて、株式などの金融商品と比べれば流動性(換金性)が低く、人気に陰りが生じればとんでもない安値で手放さざるをえない恐れもある。

最後に贋作の存在をあげたい。著名なオークションであっても、贋作が出回らないという保証はないため、購入の際は注意が必要だ。落札後のキャンセルは受け付けていない場合が多いため、作品の傷や汚れ等についても下見の段階において自らの目で入念に確認することが大切だ。

趣味をベースに保有するのが吉

このような投資対象として魅力的な面をもつアートだが、リスクが関わってくるのも確かであるし、期待通りに価値が高まらない可能性もある。ZOZOの前澤社長はバスキア落札当日「バスキア落札しました。アートを好きになってよかった。このペインティングをはじめて見た時、心からそう思いました」とTwitterで投稿している(2017年5月18日)。このように自分好みでずっと保有し続けたいという気持ちで、作品を選ぶのが良いといえるだろう。