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不動産業界にも存在する「20XX年問題」3選

2018.12.13

さまざまな業界で耳にする「20XX年問題」は、不動産業界にも存在する。東京オリンピック・パラリンピックなど国際的なスポーツイベントの終了、人口構造の変化、法改正などによる不動産市場への影響が危惧されている。今回は、不動産業界を取り巻く「20XX年問題」を3つ取り上げて紹介していく。

(写真=PIXTA)

1. 2020年問題 東京五輪後のマンション価格下落

東京五輪後にマンション価格の下落が予想されるのがマンション2020年問題である。
2020年に開催する東京五輪に向け、首都圏は関連施設の建設に追われている。建築資材や人件費の高騰もあり、国際的なスポーツイベントに関連した施設やホテルの建設費用が上昇傾向にあり、その余波はマンション価格にも及ぶ。一方で、東京五輪を控えた現況が一種のバブルであり、大会終了後の2020年には価格が下がり始めるというのがマンション2020年問題だ。

実際、前回1964年に東京五輪が開催された翌年には、証券不況と呼ばれる経済の低迷期を経験した。また、2014年に発表された「東京都長期ビジョン」では、東京の人口が2020年にピークアウトするとの見通しが明らかになったことも、五輪後のマンション需要に影響を及ぼし、歴史が繰り返されることが懸念されている。しかし、その後東京都は、人口のピークが2025年になると予測を修正しており、このデータがどのようにマンション2020年問題に影響を及ぼすか注目される。

2.2022年問題 生産緑地の指定解除による大量の農地が供給

2018年4月に都市計画法等の一部が改正され、これまで12あった用途地域に「田園住居地域」が新しく追加された。これは、住宅と農地が混在し、両者が調和して良好な居住環境と営農環境を形成している地域を都市計画に位置付けたものだ。

この用途地域設定の背景として注目されているのが2022年問題だ。1992年より生産緑地が指定され、固定資産税や相続税についての優遇措置を与えられていた農地が、2022年に生産緑地の指定解除が可能となる。これを機に宅地が大量供給され、需給バランスが崩れ、土地価格の大幅下落に繋がることが懸念されている。

時を遡ること1992年、管轄自治体などが、都市周辺で500平方メートル以上の面積があり農林業の継続が可能な条件を備えている農地を保全するために、生産緑地地区を指定した。土地所有者がこの指定を受けると、固定資産税や相続税等についての優遇措置を受けられるメリットがあるが、建築物や工作物の造成等の土地に手を加える行為が原則禁止となり、農地等として管理し続ける義務が発生する。

土地所有者が指定を解除する場合、土地の買い取りを市町村に申し出ることができるが、その時期は生産緑地として告示された日から30年が経過してからと定められており、その時が最初に訪れるのは1992年から30年が経過した2022年となる。自治体が買い取る場合には、公園などの整備に土地を活用することが想定されているが、自治体に買い取られない生産緑地は宅地として供給される可能性も高くなる。自治体の想像以上の買い取りの申し出が殺到すれば、宅地の供給過剰にも繋がりかねず、周辺の土地価格にも影響を及ぼす可能性がある。

政府は、生産緑地の500㎡以上という面積要件を300㎡に引き下げたり、営農が持続可能となるように、同地区内にその場で生産された材料を使用するレストランや農産物の製造加工施設、直売所の設置を可能としたりするなどの規制緩和をし、影響を最小限にとどめるよう法改正を実施している。

3.2033年問題 全国の空き家問題が深刻化、空室率30%

少子高齢化とともに、人口減少社会を迎えている日本においては、空き家の問題も深刻化している。日本全国の空き家数が2,166万戸、空室率が3割を超えると予想されるのが2033年問題だ。

総務省の住宅・土地統計調査によると、1963年の住宅全体に占める空き屋率は2.5%で、その数は52万戸。その後は右肩上がりで上昇し、2013年には空き家率は13.5%、820万戸に達した。わずか半世紀の間に、空き家率は5倍以上、戸数では約16倍にも増加し、今や住宅8軒に1軒は空き家という計算になる。この時点でも問題の深刻さに頭を悩まされるが、さらに驚愕なのは先行きの見通しだ。

野村総合研究所がまとめたレポートによると、2018年以降も空き家率は上昇し続け、2033年には30.4%に達し、3軒に1軒は空き家という状況に陥ると警告している。住宅街で空き家が増加すれば、景観や諸インフラの採算性が維持されないだけでなく、治安の悪化につながる恐れもあり、住宅地としての価値が下がってしまうことになる。看過しておける事態ではないだろう。

不動産業界を取り巻く20XX問題は、いずれも業界を震撼させる恐れのあるものだ。一方で、景気動向に左右される面もあり、 今後の推移を注視するとともに、事態が深刻化するまで幾分の時間的な猶予があるうちに、具体的な対策を取れるかどうかが鍵となりそうだ。