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進む「X-Tech」不動産Techでもたらされる改革とは?

2018.10.12

近年、金融や医療、農業、さらには教育など、幅広い分野で最新のテクノロジーが活用されている。例えばディープラーニングの技術を応用した「AI(人工知能)」、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」、金融のあり方を根本から変えようとしている「ブロックチェーン」など、いずれも世界中で注目されている先進のテクノロジーばかりだ。
既存の分野に先進的なテクノロジーが加わることで、イノベーティブな変化を遂げようとしている状況やトレンドは「X-Tech」と呼ばれている。代表的なものとしては、金融分野における「フィンテック(FinTech)」や医療分野における「メディテック(MedTech)」などがある。すでにこれらの単語を耳にしたことがある方も多いのではないだろうか。
不動産業界においても「不動産テック(Real Estate Tech)」の波が押し寄せている。もともと不動産業界は、保守的な傾向が強い分野であり、日本だけでなく世界でもIT化が遅れている。その点、新しいテクノロジーが活用されることによる生産性向上や効率化の余地が残されているのだ。そんな不動産テックの今を概観してみよう。

(写真=PIXTA)

不動産テックの概要とその対象領域

不動産テック協会(仮称)準備委員会が2018年3月に発表した『不動産テック業界 カオスマップ 最新版』には、「不動産情報」や「仲介業務支援」、「ローン・保証」、「クラウドファンディング」、さらには「マッチング」など全部で12のカテゴリーが掲載されている。

不動産テックが進んでいる米国など海外の事例を参考にすると、これらのうち、「①マッチングプラットホーム運営」「②ビッグデータ活用」「③業務効率化サービス」の3つが現状先頭に立っていると言え、最新のテクノロジーを活用して、不動産テックを牽引している。

たとえば、米国で最大規模の不動産検索サイト「Zillow」は、全米約1億世帯を超える物件データを保有し、不動産の売却希望者と購入希望者をプラットホーム上でマッチングしている。その他、物件の査定や金融機関のローン見積もりなどの幅広いサービスも提供しており、2014年には同じく不動産情報サイトのTrulia社を買収し、規模の拡大を続けている。

不動産テックが解決する既存の悩みとは

では、日本の不動産テック企業では、どのようなサービスが展開されているのだろうか。いくつかの事例を見てみよう。

まず紹介するのが、日本最大級の建設業ネットワークを謳い、建築案件の発注元と業者やフリーの職人のマッチングプラットフォームを提供する「ツクリンク」だ。運営会社はハンズシェアで、全国2万5000社超が参加しており、流通案件総額50.5億円、下請募集数は1万2,386件、施工実績掲載数4,478件となっている。(2018年9月24日現在、以下同)

建築の仕事は一般的に、元請会社から施工会社が受注し、各種職人に発注するスタイルを取られることが多く、建築、施工を担当する職人の存在は欠かせない。しかし昨今の建築業界では、人手不足が理由で必ずしもこうしたスタイルで仕事ができなくなっている。そこで、人材を補うためにこうしたマッチングフォームの需要が高まりつつあり、ツクリンク以外にも、徐々にこうしたサービスを提供する会社が増えてきている。

次に紹介するのは、スマートブレインが提供する会員制不動産検索サイト「エステートロボ」だ。AIを搭載した不動産検索システムとしては日本初のものであり、営業の追客支援にAIを活用することによって、営業活動における生産性の向上にも寄与している。スマートブレインによると、2018年秋にはAIによるロールプレイシステムも搭載される予定だ。

最後に取り上げたいのは、ユーザーが足を運ばざるを得なかった物件の内見をテクノロジーで進化させた「VR内見」である。その名の通り、VR(バーチャルリアリティ)を活用した内見を提供するサービスなのだが、テクノロジーを既存の問題点(物件に行く手間や時間、労力の削減)に直接的に運用して解決策を提示するスタンスは、日本における不動産テックの成功事例として見逃せない。

不動産テックが起こす“革命”はまだ始まったばかり

このように不動産業界においても、進化するテクノロジーを採用し、新しいサービスを提供する企業が増えている。前述した不動産テック業界カオスマップには173のサービス・企業が掲載されており、その分野は多種多様な広がりを見せているのだ。加えて、IT化が遅れている不動産業界には、いまだ様々な可能性が秘められていると言え、これからも、不動産テックの動向から目が離せない。