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地図にない高級住宅街「城南五山」 大河ドラマでも話題の島津藩ゆかりの地も

2018.08.16

東京・山の手エリアは現在も富裕層が多く住むエリアだが、その中でも、かつて大名屋敷や大名出身の邸宅があった「城南五山」と呼ばれている場所がある。
品川区・港区の山手線内側の高台に位置し、それぞれ花房山(上大崎3丁目)、池田山(東五反田4・5丁目)、島津山(東五反田1・3丁目)、八ツ山(高輪3・4丁目)、御殿山(北品川3~6丁目)、と呼ばれていた。住居表示にこの地名は残ってはいないが、その多くが高級住宅街として今に続いている。それぞれのエリアの歴史や特徴、そして現在の地価について考察してみる。

(写真=PIXTA)

「城南五山」各エリアの名称にある「山」は歴史ある高級住宅地の証

歴史を持つ高級住宅地にはそれに相応しい名称を付けられることが多く、明治時代初期の高級住宅地には「山」や「丘」という名称が付けられることが多かった。今でも「山手」という名称に引き継がれており、代官山や目白台といった他のエリアの高級住宅地にもそれが現れている。

城南五山は、地形的には武蔵野台地の東縁の突端に位置し、江戸期までは東側の沖積低地や東京湾岸から見ると独立した山のように形容されていた。五山とあるようにこの5つのエリアは高台に位置し、地盤が強固で水害や地盤沈下が少なく、地震が発生しても比較的安全性が高い特性を備えていることから、江戸時代には由緒ある大名が武家屋敷を構えていた。

明治維新後には、これらの大名屋敷の広大な敷地は、財閥や実業家の邸宅のほか、大学や大学病院、役所などの施設に引き継がれていった。その後、宅地化が進められるなか、街の景観やブランド価値は損なわれることなく、由緒ある高級住宅地としての人気を確立していった。

城南五山、各エリアの歴史や特徴は?

【花房山】日本赤十字社の社長でもあった花房子爵の別邸があった。
城南五山の最も北側にあるのが、現在の品川区上大崎3丁目一帯に位置する「花房山」である。JR目黒駅の山手線内側・南側に広がる高台の区画で、駅至近の場所だ。江戸時代には大名屋敷があり、明治・大正期には、日本赤十字社の社長でもあった花房子爵の別邸があったとされている。その名に由来し、花房山と呼ばれている。現在も目黒駅に近い場所にありながら、高級低層マンションや邸宅が立ち並んでいる。

【池田山】備前岡山藩・池田家の邸宅が存在した由緒ある高級住宅街。
花房山のエリアから五反田方面に進み、JR五反田駅の山手線内側・桜田通りの西側に広がる高台が「池田山」である。住居表示では、東五反田4・5丁目あたりである。この地には江戸時代、備前岡山藩・池田家の下屋敷があり、その後池田氏の邸宅となった後、昭和初期に高級住宅街として開発された。現在も、道路幅・住宅の区画の広い閑静な住宅街となっており、「ねむの木の庭」や池田家の奥庭を整備した池田山公園が立地し、由緒ある高級住宅街として歴史ある面影を残している。

【島津山】明治時代は薩摩藩の島津家が所有していた。
池田山の東側に桜田通りを挟んだ東五反田1・3丁目の高台にあるのが「島津山」である。江戸時代後半には仙台藩伊達家の下屋敷があり、明治時代に入ると大河ドラマでも話題の薩摩藩島津家の本邸が存在していた。現在は清泉女子大学が立地しているが、その周辺に高級住宅街が形成されている。

【八ツ山】旧三菱財閥の祖・岩崎弥太郎氏の高輪別邸があった。
島津山からさらに東側に行き、JR品川駅の南側の山手線内側あたりが「八ツ山」と呼ばれていたという。現在の住所では港区高輪3・4丁目付近のエリアである。名前の由来には諸説あり、江戸時代にあった山の名が八ツ山だったというものから、8つの岬があった、かつての「谷山村」が八ツ山と呼ばれるようになったなどの説がある。ただしこのエリアは、江戸時代に埋め立てや道路整備により切り崩されたので、平地となっていった。明治時代には、旧三菱財閥の祖として知られる岩崎弥太郎氏の高輪別邸があった場所であり、現在は、三菱グループの迎賓館「開東閣」として使用されている。

【御殿山】徳川将軍家が鷹狩の際に休憩をした品川御殿があった。
城南五山の最も南側にあるのが現在の北品川3~6丁目あたりに位置する「御殿山」と呼ばれる場所である。かつては東京湾を見下ろすことのできる高台であった。徳川将軍家が鷹狩の際に休憩をした品川御殿があった場所に因んで御殿山という名称になったと言われている。明治期にはすでに富裕層の屋敷が広がるエリアであったという。

こうした武家屋敷に選ばれるなどの地歴を背景に、現在でも第一種低層住居専用地域等の住居系の用途地域に指定され、他の土地よりも高さ制限や建ぺい率、容積率、外壁後退といった建築条件の制限が厳しく、高層建築や狭小住居が進出しづらい用途地域になっている。そのため、商業・工業系の建物や、視界を遮る高層建築物も見当たらないため、空が広く感じられ穏やかな景色を見渡せる街並みが、地域特性と言えるだろう。

「城南五山」の土地価格を、最新の地価公示を用いて算出すると……?

住居表示にはないが、高級住宅街としてのステータスを持つ「城南五山」のそれぞれの地価を、国土交通省平成30年地価公示を用いて算出すると以下のような価格になる。

・「花房山」
標準値番号品川-4(上大崎3-10-35)の価格は1,050,000(円/m²):坪あたり約347万円
・「池田山」
標準値番号品川-9(東五反田5-17-6)の価格は1,150,000(円/m²):坪あたり約380万円
・「島津山」※
標準値番号品川-7(東五反田3−16−26)の価格は980,000(円/m²):坪あたり約323万円
・「八ツ山」
標準値番号港-12(高輪4-20-19)の価格は1,170,000(円/m²):坪あたり約387万円
・「御殿山」
標準値番号品川-10(北品川5-14-10)の価格は751,000(円/m²):坪あたり約248万円
(※「島津山」は該当地域に地価公示がないため、平成29年都道府県地価調査を用いて算出)

どのエリアも高級住宅街というだけあり、東京都区部の平均価格572,300(円/m²)と比較すると地価が高いことがわかる。

「城南五山」の中では唯一「御殿山」のみ坪あたり200万円台となっているが、現在の立地を見ると、「御殿山」以外のエリアは目黒、品川、五反田というJRの主要駅を最寄りとし、比較的駅近くにそのエリア広がっているが、「御殿山」のみ最寄り駅がJR以外という立地条件も影響しているものと思われる。

一方で、交通利便性だけでははかることができないのが、高級住宅街というステータスであろう。住居表示に「城南五山」それぞれの地名はなくとも、その街の持つ歴史を理解し継承することにより、高級住宅街というブランド力を保持していくことができるのではないだろうか。

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