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快適で成果も上がる「オフィス移転」他社事例に学ぶ「会議室のあり方」とは?

2018.06.07

業務報告や情報共有の場として企業では欠かすことのできない会議。業績が好調に推移し、事業規模が拡大していくと、社内での意思決定や連携の場として会議がますます重要性を増していく。しかし一方では、事業の拡大に既存のオフィス環境では追い付かず、スペースの限られた会議室を社内で取り合う格好となり、果ては企業活動にマイナスの影響が生じてしまうといった例も起っている。そうしたことから、環境改善のため、オフィスの拡張や移転を検討する際に、会議室のあり方を見直す企業が増えているという。

(写真=Who is Danny/Shutterstock.com)

会議室不足は共通の悩み

無駄に長いと揶揄されることもある日本の会議文化を見直そうとする動きも一部にはみられるものの、会議の場となる空間はオフィスで重要な位置づけとなっている。ザイマックス総研が2017年に公開した調査によると、過去1年の間にオフィス内のレイアウト変更で新設・拡張したスペース割合と廃止・縮小したスペース割合を比較したところ、会議室を新設・拡張した割合が最も高く、各企業において会議室のニーズが依然として高いことがうかがえる。

会議室が十分に整備されていないと、社内で会議室の確保をめぐり競争する事態を招く結果になる。また、その確保が出来ずに会議の実施がずれ込めば、重要な意思決定などが適切な時期に行えないといった危険性も発生する。

ポスト・イットなどの製品を手掛けるスリーエムジャパンの会議室についての調査では、会議が増える傾向のある新年度に社員に対して会議室の空き状況についてアンケートを実施した。その結果、会議室の空きがなくて困ることが、「よくある(19.1%)」、「ときどきある(34.4%)」と、半数を超える人が、悩みを抱えているのが実態だ。

執務室の空きスペース活用などさまざまなアイデアで会議空間を確保

会議室不足が、多くの企業にとっても悩みの種であることが判明したうえで、それぞれがどのような対策で、会議ができる環境を整備しているのかが気になるところだ。いくつかの企業の例をチェックしてみよう。

リコージャパンでは、会議室が空いていない場合や短い打ち合わせに活用できる、会議室ならぬ「会議スペース」がある。執務エリアに設けられたこの会議スペースは、急に会議が必要になったが、会議室が使用できないといったシチュエーションにも対応できるという。執務エリアの空間の一部にそのスペースを設けているため、大掛かりなレイアウト変更や内装工事も不要で、会議室不足に悩む企業でも、すぐに取り入れられるアイデアだ。

さらに、重要なのがインフラだ。スペースは確保できたが、会議に必須ともいえるプロジェクタやホワイトボードがないと、会議の進行がスムーズに行かないこともある。リコージャパンでは、それぞれの会議スペースにインタラクティブホワイトボードと呼ばれる電子黒板を設置し、情報共有とスムーズで活発な意見交換ができるような環境を作り上げている。

また会議室を設置する場合に、その数や大きさを慎重に検討しても、実際の運用の場面では広さが実態に合わず、活用しづらいケースも生じる。スペースが不適切な会議室に集められると、居心地の悪さから議論が深まることは期待しにくい。

印刷通販を手がける「ラクスル」も、以前は20人用の会議室に40人が入っていたような時期もあり、会議室の在り方に問題を抱えていたという。社屋の移転を機に会議室の見直しも実施。例えば、普段は小規模の3部屋に分かれた会議室が、大人数を収容する必要がある場合は、3部屋をつなげて大会議室に変更できる設計にした。この可変式機構を取り入れれば、会議の数や規模に応じて、柔軟に適切な空間を確保できるようになる。

社内に会議スペースを新たに確保するのが難しい企業にとって参考になりそうなのが「アイリス」の丸テーブルだ。同社ではオフィスにも工場にもミーティング用の丸テーブルだけが置かれ、従業員は立った状態でミーティングを実施する。
高さ1メートルのテーブルは立った状態でメモを取るのにちょうどよい高さで、丸い形には席次や人数で悩む必要もなく、即座に議論に入れるというメリットがあるという。この丸テーブルの導入によって新商品開発が増えたという実績もあり、お手本にもなりそうだ。

いずれにしても、会議というのがそれぞれの企業で重要な役割を果たしているのは明らかで、メールやSNSのグループチャットなど技術革新が企業内の情報共有や意思決定で存在感が増しつつある一方、従来通り会議を効率的に活用して好調な業績につなげている企業も多い。

既存のスペースを柔軟に活用したり、規模に応じてレイアウトを変更できるようにデザインしたりと各社の工夫が発揮され、企業活力の進展における会議室の重要性を物語っている。「会議室」の観点からオフィス移転することもひとつの選択肢かもしれない。