持て余している「遊休不動産」を処分するには?バルクセールという方法も!

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不動産を所有する一般事業法人の中には、売れないまま放置してしまっている不動産の処分方法に悩んでいる企業もあることでしょう。流動性が低い不動産を所有していると、コストがかかるだけでなく、様々なリスクも存在します。当記事では、売れにくい不動産の処分方法として、流動性の高いものと低いものを組み合わせて売却する場合のバルクセールという手法についてご紹介します。

売れにくい不動産、売れやすい不動産とは?

所有している不動産の中で、使用しないまま、売れないまま放置している不動産はありませんか?
例としては下記が挙げられ、当社にも相談が寄せられることがあります。

【流動性の低い不動産】

  • 過去に担保で取得した「山林・原野」
  • 福利厚生施設として購入したものの、現在使用していない「保養所・別荘地」
  • 福利厚生制度の変更により使用されなくなった「旧社宅」
  • 拠点の統廃合により使用されていない「事務所」
  • 土壌汚染が見つかり、単体では売却しづらい「工場」

このような不動産は、使用用途が限られることや繁華性の低いエリアに存することから買主が極端に限定されたり、取引金額よりも解体や維持管理などのコストが上回ってしまい値付けができない等の理由から売却の難易度が高く、流動性の低い不動産であることが多くあります。
また、簿価の高い不動産なども売主にとって損が出てしまい本業に影響を及ぼす可能性が大きく、赤字を出してまで売却するか悩みそのまま放置しているケースも多く見受けられます。単体で売却するか否か、売却するにもいつ売却を行うか、など見極める必要があります。
一方、一般的に売れやすい不動産としては下記のようなものが挙げられ、好立地であったり、購入検討者を広く募ることができるため、取引の流動性が高い物件であることが多くあります。

【流動性の高い不動産】

  • 都市部の駅至近に位置し、稼働が安定している「一棟収益店舗ビル」
  • 賃貸需要の高いエリアに位置し、安定的に収益が得られている「一棟収益マンション」
  • 再開発が進み、将来的に地価向上が見込めるエリアの「土地」
  • 交通利便性の高いエリアに位置し、テナント需要の見込める「一棟オフィスビル」
  • 老朽化により建て替えが必要だが、繁華性の高いエリアに位置し建替え・開発需要の見込める
    「一棟収益マンション」

不動産を処分する方法は、相続や売却、自治体への寄付など多岐にわたりますが、流動性の低い不動産は単体での売却が難しいケースがあります。例えば、寄付を予定していたとしても、土地や不動産の状況によっては自治体から拒否されることも考えられるためです。
そういった際に活用できる方法の1つが、市街地など不動産売買取引が活発なエリアに存している流動性の高い不動産と組み合わせて売却を行う「バルクセール」です。

流動性の低い不動産と高い不動産を組み合わせる

バルクセールのメリットと種類

バルクの意味

バルクセールの「バルク(bulk)」とは、英語で「まとまった」「一括の」または「大量」といった意味がある言葉です。
バルクセールは、1990年代のアメリカから始まった考え方であり、日本では「サブプライムローン問題」をきっかけに普及したとされています。膨大に増えた不良債権を早く現金化するためパッケージ化して売却する方法をバルクセールと呼んでおり、当時は金融機関が主流でしたが、サブプライムローン問題が落ち着いたことで、近年はあまり見られなくなりました。しかし、広義では不動産業界においても、遊休不動産の処分方法として複数所有する不動産を一括売却するバルクセールが活用されています。

バルクセールのメリット

では、不動産を購入する側、売却する側にとってそれぞれどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的なメリットは以下のとおりです。

  • 不動産を購入する側のメリット:希少性の高い物件を購入できる可能性がある など
  • 不動産を売却する側のメリット:単体だと売却が困難な不動産も売却することが可能、
    自然災害のリスクや近隣住民へ迷惑をかけるリスクの解消 など

購入する側にとっては、流動性の低い不動産と合わせることで、あまり市場に流通しない稀少性の高い不動産を購入できることが大きなメリットとなります。また、購入検討者としては、流動性の低い不動産の買取も可能な不動産会社である場合が多くみられます。例えば、山林・原野の有効活用が得意である、地元密着型のコミュニティを築いており購入検討者との繋がりがある、また、建物のコンバージョンを得意としているなど、専門分野に特化した強みを有している不動産会社が流動性の低い不動産に付加価値を乗せて収益化することを目的として購入するケースもあります。
また、売却する側にとっては、流動性が低く単体での売却が難しい不動産の売却が可能となることはもちろん、手入れの行き届いていない土地建物が自然災害により崩落・倒壊するリスクや、近隣住民へ迷惑をかけるリスクを解消することができるというメリットがあります。第三者への被害をもたらしてしまった際の企業のレピュテーションリスクの回避にもつながるでしょう。

バルクセールの種類

前述のとおり、バルクセールとは複数の不動産をまとめて売却することであり、その中でも流動性の高いものと低いものを組み合わせて売却することは、複数の不動産を所有し処分方法に悩んでいる場合にぜひ検討したい手段といえます。なかなか買い手がつかない不動産であったとしても、流動性の高い不動産とひとまとめにすることによって売却に繋がる可能性があります。
なおバルクセールを進めるにあたっては、状況に合わせて方法を選択することが大切です。

全物件まとめて売却

所有する複数の不動産を全てまとめて売却する方法です。物件ごとに不動産売買にかかる業務を行う必要がないため、不要な資産を手離れよく処分できるというメリットがあります。不動産の相場が上がっている時期は、流動性の低い物件があったとしても、都心のビルなど収益性のある物件があれば利益が出る可能性があります。一方、相場が下がっている時期は、収益性のある物件の価値も下がるため、こうしたリスクは念頭に置いて行動する必要があります。

エリア毎に仕分けをする

所有する不動産が全国に点在する場合、エリアごとに仕分けを行い売却するケースもあります。買い手のターゲットが絞りやすくなり、よりエリアに特化した買い手に売却できる可能性が期待できます。

アセット毎に仕分けをする

エリア毎と同様に、物件のアセット毎に仕分けを行い売却するケースもあります。こちらも、物件の種類が単一化されることから、ビルが得意・マンションが得意などアセットに特化した買い手が現れる可能性があります。

流動性の低い不動産を放置するリスク

売却を検討してもなかなか買い手がつかない不動産や、売却するための労力やコストが売却価格を超える不動産を抱えている企業もあるでしょう。
売却の難易度が高いことからそのまま放置してしまっていることも多いかもしれません。しかし、不動産は所有しているだけでも税金や管理費がかかり、特に法人で所有している不動産は、事務コストがかかる上に担当者の負担も増えてしまいます。また、放置していることで負荷が増えるだけでなく、自身が被害者・加害者となるリスクもあります。具体的には下記が例として挙げられます。

  • 土地・崖などの崩落による第三者への被害
  • 看板の落下やコンクリートの剥離による第三者への被害
  • 建物の劣化による倒壊
  • 放火やもらい火による火災
  • 空き巣被害
  • 害虫や動物の進入
  • 雑草や木々が生い茂ることによる近隣住民からのクレーム
  • 土砂災害や台風による土地・崖などの崩落、
    地震による旧耐震建物の倒壊などの自然災害

これらのリスクの発生により多額の損害賠償を請求されたケースもあります。こうした事案は、第三者への被害の有無にかかわらず企業ブランドの低下も招きかねません。自社が被害者・加害者とならないためにも、流動性の低い不動産をそのまま放置せず、前述のバルクセールで売却することを選択肢の一つとしておすすめします。

複数の不動産をまとめて処分する方法も検討しましょう

売れない不動産を処分する方法の1つとして、バルクセールについて解説しました。不動産の処分方法は多数ありますが、バルクセールであれば流動性の低い不動産であっても、所有している物件の状態や立地、エリアを考慮し、流動性の高い物件と組み合わせることで売却できる可能性もあります。
一概に所有する不動産のうち複数を組み合わせて売却を行うといっても、流動性の高い物件の見極めが大切になります。不動産市況に即していない物件や流動性のあまり高くない物件を選んでしまうと、結局売却活動が困難になってしまいます。
労力を最小限に抑えるためにも物件の見極めが重要となるため、専門知識をもった会社へ依頼することをおすすめします。

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