オフィスの再構築!拠点・フロアを統合するメリットとは?

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都心のオフィス市場が好調だ。当社独自の調査による東京主要7区のオフィス空室率は、2017年11月時点で2.98%となっており、当社の集計開始以来はじめて3%を下回った。現在マーケットでは募集床の品薄状態が続いているが、2018年は都内で大型オフィスビルの竣工ラッシュを迎える。今後、オフィスの「拠点統合」を目的とした、新築オフィスビルへの移転がさらに活発になることが予想されている。今やトレンドとも言えるオフィスの拠点統合だが、どういったメリットがあるのだろうか。

物理的な距離を縮めることによるメリット

オフィスの拠点やフロアの統合によって得られる重要なメリットの一つに、社員同士のコミュニケーションの活性化があげられるだろう。拠点やフロアを統合することにより、従来顔を合わせることの少なかった同じ会社の人と会う機会が増加し、社内のコミュニケーション活性化が図れる。このような効果に注目し拠点統合を行う企業は多い。

一方で、部署や関連会社ごとに、別々の拠点を持っているという企業もある。顧客の近くに拠点を構える必要がある営業所ならやむを得ないが、人員増加によって拠点が分かれた企業や、M&Aによって買収した会社の拠点をそのままにしている企業では社員同士のコミュニケーション面でデメリットとなるだろう。

例えば、拠点が分散していると会議のたびに拠点間の移動が必要となる。更に、業務上のやりとりはメールが主になり、コミュニケーションが不足してしまう可能性がある。顔を合わせて話す機会が少なくなれば、シナジーが生まれる場の制限にも繋がりかねない。

ある会社では、傘下の事業会社2社が都内の別の場所にそれぞれ拠点を構えていた。事業会社間での交流は限られた人のみとなっており、両社のシナジーを生かした事業展開が完全にできているとは言いがたい状況であった。

その問題を打開するため、2つの事業会社を一つのオフィスに集約し、フロアも同じにした。昼食を一緒に取ることや懇親会などの機会も増え、物理的な距離が縮まることによって、意思決定のスピードも向上したという。この企業ではフリーアドレス制も採用し、ラウンジスペースを設けることで、コミュニケーションのさらなる円滑化も促している。

無駄がなくなり、コスト面でのメリットも

オフィスの拠点やフロアの統合で得られるメリットは、コミュニケーションの活性化だけではない。二つ目は、拠点やフロアごとで必要となっていた接客・ミーティングスペースの共有ができ、それによって賃貸面積の削減も可能となるケースがあるという点だ。

例えば、2013年に資生堂は資生堂銀座ビルの建て替えを行ったが、その際に都内の別拠点にあった部署や子会社の集約を行った。それにより、都内のオフィス面積を約10%削減することに成功している。このように、拠点やフロアの統合によって、オフィス面積を削減するケースはよく見受けられる。

当社の調査によると、2017年12月時点における都心7区の坪当たり平均賃料は2万7,524円である。仮に、都心で合計1,000坪のオフィスを構えていた企業が、オフィスの統合により、1割の賃貸面積を削減できた場合、年間賃料の削減効果は約3,300万円にものぼる。オフィス統合に費用はかかるものの、数年単位で見れば、投資資金の回収は可能であろう。

オフィスを統合することによって、各拠点やフロアごとに必要となるコピー機やプリンター、電話などの備品の共有化も可能となる。備品費用の削減だけでなく、電気代やメンテナンス費用の節約にもつながる。拠点やフロアの統合は、賃料といった大きな部分から備品といった小さな部分まで、さまざまな場所で効果を発揮するのである。

拠点・フロアの統合は近年のトレンドに

キリンホールディングスは、2013年に傘下のキリンビールやキリンビバレッジ、メルシャンなどの拠点を中野区のオフィスに集約した。会社間でのコミュニケーションの活性化とコスト削減等が大型移転に踏み切った理由である。

日本郵政グループも2018年度中に、日本郵政、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の4社の本社機能を大手町の新オフィスへ統合する予定だ。業務上の効率化とグループ間シナジーを高めるための大型統合計画となる。

このように、拠点やフロアの統合は多くの企業で行われており、トレンドとなりつつある。近年は、耐震基準の高いビルへの移転計画や、フリーアドレス制の導入と併せて検討されるケースも目立っている。業務の円滑化や経営の効率化を考えるにあたり、拠点やフロアの統合も選択肢に加えてみてはいかがだろうか。

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